人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「サントリーホール Reオープニング・コンサート」を聴く~ジュゼッペ・サッバティー二指揮東京交響楽団によるロッシーニ「ミサ・ソレムニス」ほか / 改修されたサントリーホールを見る

2017年09月02日 08時39分57秒 | 日記

2日(土).昨日は娘が友だちと旅行に出かけ,息子が久しぶりに登校して帰りが遅くなり,私がコンサートだったので夕食は作りませんでした   ウィークデーのうち,たまにはこういうことがあっても良いと思います

ということで,わが家に来てから今日で1067日目を迎え,厚生労働省が1日,希望しても保育所などに入れない待機児童が4月1日時点で前年比2,528人増の2万6,081人になったと発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       選挙のたびに候補者が「必ず解消する」と言っているのに全然改善されてなくね?

 

                                           

 

今年2月から7か月間にわたり,全館改修・増築工事を行ってきたサントリーホールが,昨日リニューアル・オープンしました  

 

     

     

 

午後6時開演のため5時半に会場に着き,さっそくホール内を一通りざっくりと見学しました   アテンダントの女性に「会場内の写真撮影はOKですか?」と聞いてみたら,「今日だけ(開演前は)特別に大丈夫です」ということだったので上の写真を撮りました   

サントリーホールのホームページに掲載の「主な改修ポイント」を基に,私が実際に見た上での補足と感想を付け加えてみました

【主な改修ポイント】

①客席椅子の生地・クッションの張替え,木部の補修  ⇒  新しいのは気持ちが良いです

②舞台床板の全面張替え  ⇒  後で書きますが,張り替えたために事故も・・・・

③パイプオルガンのオーバーホール,メモリーシステムと送風システムの更新

④ブルーローズ(小ホール)床の寄せ木細工の全面張替え

⑤ウエストエントランスの新設 ⇒ ホール右のチケット売り場の右側に新しい入口が出来ました   車椅子の人は直接ここから入り,大ホール1,2階客席用エレベーターまでバリアフリーで行けます

⑥大ホール2階に車椅子スペースの新設

⑦大ホールホワイエにスロープの増設 ⇒ ホールに入って左のコーヒー・サービス・カウンター側です.

⑧大ホール(1,2階)のトイレを増設,女性トイレは空室表示サインを導入

 ▲男性用=小10個,大4個,洗面7個 ⇒1階左サイドのトイレは従来のまま.右サイドの奥に新しく設置されました   2階右サイドにあった男性用トイレは奥(P席寄り)に移され新しくなりました   (今までの男性用トイレのあったところに女性用トイレが新設されました).

 ▲女性用=12個,多目的1個,洗面8個 ⇒ 残念ながら中を見ることが出来ませんでした

 ▲オールジェンダートイレ表示導入

⑨女性トイレの洗面台を増設,化粧直しカウンターを設置.入口・出口を分けて導線を改善

⑩客席・舞台照明のLED化

⑪デジタルサイネージ(デジタル・サイン掲示板)の導入

などです 男性用トイレが増設されたのは良いことですが,他のホールに比べても特に 大 がまだ足りないように思います.トイレ問題は簡単に水に流せません

 

                                             

 

ということで昨夕,サントリーホールの「Reオープニング・コンサート」を聴きました   第1部はオルガンと金管アンサンブルによるオープニング・セレモニー,第2部はロッシーニ「ミサ・ソレムニス」の演奏です   演奏はオルガン=ダヴィデ・マリアーノ,ソプラノ=吉田珠代,コントラルト=ソニア・プリーナ,テノール=ジョン・健・ヌッツォ,バス=ルベン・アモレッティ,合唱=東京混声合唱団,サントリーホール オペラ・アカデミー,管弦楽=東京交響楽団,金管アンサンブル=TKWO祝祭アンサンブル,指揮=ジュゼッペ・サッバティー二です

 

     

 

会場は,P席には人を入れていません.それ以外の客席は満席です   1階ステージ中央にはパイプオルガンの操作卓が置かれています.ステージ手前はバラの花で縁取られ,さながらウィーンフィル・ニューイヤー・コンサートのごとし.とても華やかです

1曲目はジョヴァンニ・ガブリエーリ(1554~1612頃)の「第7旋法のカンツォーナ」第2番です   2階正面バルコニーに金管奏者10人が横に並び,1階のパイプオルガン操作卓にルベン・アモレッティがスタンバイします

金管アンサンブルはトランペット4,ホルン1,トロンボーン2,バス・トロンボーン1,デューバ1のメンバーから成ります   一方,オルガンのダヴィデ・マリアーノは1988年イタリア生まれ.ファーノ・アドリアーノ国際オルガンコンクール第1位ほか受賞多数で,現在第18代札幌コンサートホール専属オルガニストを務めています

作曲者のガブリエーリは,この曲を教会で演奏するに当たり,アンサンブルを分散配置して立体的なエコーが生まれるように工夫したそうです   この10人のメンバーも左サイド4人,中央2人,右サイド4人に分かれその効果を狙います.この配置により 16世紀の荘重な響きがステレオ効果で聴かれました

2曲目はバッハ/アレン・チェン編「協奏曲 ニ長調BWV972」です   この曲はヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」の中のヴァイオリン協奏曲をバッハがチェンバロ独奏用に編曲し,それをさらにピアニストのアレン・チェンが編曲したものです   2階にいるトランペット(1本)と1階のオルガンにより演奏されました   急ー緩ー急の3楽章から成りますが,曲にトランペットが入ると華やかになりますね

3曲目はフランスのオルガニスト,シャルル=マリ・ヴィドール(1844-1937)が作曲した「オルガン協奏曲第5番へ短調」から第1楽章です   この曲はオルガンの独奏により演奏されましたが,極めてシンフォニックな音楽でした

次いで4曲目,デュリュフレ「オルガンのための組曲」から「トッカータ」がオルガン独奏により演奏されました   超絶技巧曲で,手も足もフル稼働で音の大伽藍を築き上げました

プログラム前半の最後は,ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「美しく青きドナウ」が,金管十重奏で演奏されました   1階のステージに10人の演奏者が横並びでスタンバイします.曲の冒頭は,ミュートを付けたトランペットがヴァイオリンの役割を果たし,ホルンがメインメロディーを奏でます   そして,トロンボーン,テューバが加わり厚みのあるアンサンブルを奏でます   一味違った「美しく青きドナウ」でした

拍手の中,一旦引き上げた10人のメンバーがステージに再登場したとき,「ドスン」という大きな音が聞こえ,会場から「あ~」という悲鳴が聞こえました.何かと思ってステージを見ると,チューバ奏者が滑って転んだようで,尻餅をついていました   足がとても痛そうです   これは改修前ならあり得なかった事故です.私は一度,このホールのバック・ステージ・ツアーに参加してステージにも上がりましたが,床は椅子の脚やチェロのエンドピンの跡などで小さな凸凹が出来ていて滑りにくくなっていました   それが今回のリニューアルで床板を張替え,しっかりワックスを塗ったのだと思います.これが今回のまさかの転倒に繋がったのだと思います   新しいことには多少の危険が伴いますね

 

     

 

休憩後はロッシーニ「ミサ・ソレニムス(壮厳ミサ曲)」です   この曲はロッシーニが作曲し1864年に初演した「小壮厳ミサ曲」(2台のピアノとハルモニウム伴奏)を基に,ロッシーニ自身が1866~68年に管弦楽伴奏用に編曲した作品です   1.キリエ「憐みの賛歌」,2.グロリア「栄光の賛歌」,3.クレド「信仰宣言」,4.サンクトゥス「感謝の賛歌」,5.賛歌,6.アニュス・デイ「平和の賛歌」から成ります

東京交響楽団はいつもの編成で,弦は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという並びです   コンマスはグレブ・二キティンです.オケの後方には東京混声合唱団とサントリーホール・オペラ・アカデミーのメンバー(=手前に女声陣,奥に男声陣が各40人,合計80人)がスタンバイします   コントラバスの奥にはパイプオルガンの操作卓が置かれマリアーノがスタンバイします.ソリストの4人が登場,指揮台の左右に分かれます

指揮をとるジュゼッペ・サッバティー二は世界的なテノール歌手でしたが,2007年から指揮者・声楽指導者に転向しています サッバティー二のタクトで曲が開始されます.テノールのジョン・健・ヌッツォの歌う「グロリア」の「ドミネ・デウス」や,ソプラノの吉田珠代の歌う「サンクトゥス」の「賛歌」を聴くと,「これはミサ曲では無くてオペラではないか」と思ってしまいます   モーツアルトの「ミサ曲ハ短調」が「まるでオペラのアリアを聴いているようだ」と言われますが,ロッシーニのこの曲は,どちらかと言うと,後のヴェルディの晩年の傑作「ファルスタッフ」のような感じです   さらに言えば同じヴェルディの「レクイエム」に通じるようなドラマティックな印象を持ちます.それは合唱にも言えて,「グロリア」の「クム・サンクト・スピリトゥ」などはドラマ性を感じます   モーツアルトの「ミサ曲ハ短調」が美しさゆえに「オペラのよう」と思われるのに対し,ロッシーニの「ミサ・ソレムニス」は,ドラマ性ゆえに「オペラのよう」と思われるような気がします

歌手陣では,ソプラノの吉田珠代さんの深みのあるソプラノが一番印象に残りました   次いでルベン・アモレッティの軽やかなバスも魅力がありました   またコントラルトのソニア・プリーナは,特に最後の「アニュス・デイ」における祈るような歌唱が感動を呼びました   2つのグループの混声による合唱陣は迫力がありました

いろいろな意味で印象深いReオープニング・コンサートが,繰り返されるカーテンコールの後に終了したのは午後8時40分を過ぎていました

 

     

コメント (2)
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