人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大友直人 ✕ 髙木凛々子 ✕ 林美智子+三原剛 ✕ 東京交響楽団でチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、デュリュフレ「レクィエム」他を聴く~第28回Kissポートクラシックコンサート

2019年10月01日 06時53分32秒 | 日記

10月1日(火)。わが家に来てから今日で1828日目を迎え、英公共放送局のBBCが、情報番組でトランプ米大統領の「人種差別的な発言」を批判した司会者を「編集指針に違反している」と判断して、局の内外から猛反発を受ける騒動になっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      事実を指摘して何が悪い? BBCもジョンソン首相に倣って 迷走しているようだ

     

         

 

昨日、夕食に「卵とトマトの炒め物」を作りました ウーウェン先生のレシピですが、シンプルで美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、サントリーホールで「第28回Kissポート クラシック コンサート」を聴きました プログラムは①千住明「Our Home Port」、②チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、③デュリュフレ「レクイエム」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=髙木凛々子、③のメゾソプラノ独唱=林美智子、バリトン独唱=三原剛、合唱=ミナトシティコーラス、管弦楽=東京交響楽団、指揮=大友直人です

 

     

 

自席は1階11列26番、センターブロック右から2つ目です

オケはいつもの東響と同じ並びで、ヴァイオリン・セクションを左サイドに集めています。コンマスは水谷晃です

1曲目は千住明「Our Home Port」です この曲はKissポート財団創立20周年テーマ曲として千住明が作曲、2017年に初演された作品です

フル・オーケストラによって極めて日本的な曲想の音楽が会場を満たします いわばNHKの大河ドラマのテーマ音楽の如しです

2曲目はチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1878年に作曲し、1881年にウィーンでアドルフ・ブロツキーのヴァイオリン・ソロ、ハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルの演奏により初演された作品です 最初 名ヴァイオリニスト、レオポルト・アウアーに捧げるつもりだったのが、演奏不能として拒否されたため、初演者のブロツキーに献呈されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァチッシモ」の3楽章から成ります

ソリストを務める髙木凛々子さんは2017年第1回シュロモ・ミンツ国際コンクール第3位、第1回バルトーク国際コンクール第2位など数々の入賞歴を誇る実力者です 今年3月 東京藝大を卒業、5月20日には東京文化会館小ホールでリサイタルを開催、8月21日に東京芸術劇場で開かれた読響「三大協奏曲」コンサートでメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64」のソリストを務め、ご両親の演奏をバックに鮮やかな演奏を展開していたのが記憶に新しいところです

私が初めて髙木さんの演奏を聴いたのは昨年6月14日に開かれた「藝大モーニングコンサート」で演奏したメンデルスゾーンのコンチェルトでした その時の印象は「何と楽しそうに演奏しているのだろう」ということでした

ワインレッド(というよりもブロンズ・カラーと言うべきか)の鮮やかな衣装を身にまとった髙木さんが大きな拍手でステージに迎えられます 大友氏の指揮で第1楽章の序奏が演奏され、髙木さんのソロが入ってきます かなりゆったりしたテンポで進められます。一音一音を噛んで含めるような丁寧な演奏が展開します この楽章で見事だったのはカデンツァです 髙木さん特有の”作曲者との対話”が見られました 「チャイコフスキーさん、私はこう弾きたいんですが、よろしいでしょうか?」といった表情が見て取れます 第2楽章では、抒情的な演奏が素晴らしく、いつもの彼女のように”演奏する幸せ”を感じながら作品に対峙している様子が窺えます 第3楽章は、ソリストによってはオケとのバトルのような「競争曲」になりがちですが、髙木さんはオケとの対話による双方向のやり取りで、しっかりと「協奏曲」を奏でていました

満場の拍手とブラボーに応え、髙木さんはチェコ生まれの作曲家ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンストの「夏の名残の薔薇(庭の千草)変奏曲」を、超絶技巧を駆使して演奏、圧倒的な拍手を浴びました 没個性の音楽界で、個性豊かな演奏スタイルの髙木凛々子さんは若手のヴァイオリニストでイチオシの演奏家です


     


プログラム後半はデュリュフレ「レクイエム」です この曲はモーリス・デュルフレ(1902-1986)が45歳のとき(1947年)に作曲した作品です 曲は下記の9つの部分から構成されていますが、モーツアルトやヴェルディのレクイエムにあるような劇的な「怒りの日」を割愛し、代わりに穏やかな「ピエ・イエス(慈悲深きイエス)」と「イン・パラディスム(楽園へ)」が加えられています その意味ではフォーレのレクイエムに近いと思います 第1曲「入祭唱」(合唱)、第2曲「キリエ」(合唱)、第3曲「主イエス・キリストよ」(バリトン独唱と合唱)、第4曲「サンクトゥス」(合唱)、第5曲「ピエ・イエス」(メゾ・ソプラノ独唱と合唱)、第6曲「アニュス・デイ」(合唱)、第7曲「ルクス・エテルナ」(合唱)、第8曲「リベラ・メ」(バリトン独唱と合唱)、第9曲「イン・パラディスム」(合唱)。

混声合唱の約200名がP席にスタンバイしますが、女声が男声を挟むような配置をとります

オケがスタンバイし、ソリストの三原剛氏と林美智子さんが定位置について、大友氏が指揮を始めようとしたその時です。会場左サイド(1階? 2階?)からバッハ/グノーの「アヴェ・マリア」の着メロが響き渡ったのです 指揮台の大友氏が音のする方を見て苦笑しています 私には大友氏が「おお友よ、このような音ではなく、もっと快い喜びに満ちた歌を歌おうではないか」と言っているように思えました(第九かい)。私は「レクイエムにアヴェ・マリアをぶつけてきたか 不届き者め。早く家に帰って寝ろ」と小さい声で呟きました

さて、ソリストの二人は深みのある歌唱で、抑制された感動を表出しました ミナトシティコーラスの混声合唱は、「入祭唱」「キリエ」「リベラ・メ」をはじめとして、静的な中にもドラマティックな表現力でデュリュフレの世界を描き出しました 「サンクトゥス」の合唱を聴いていたら、ラヴェルの音楽を思い浮かべました

平均年齢が高そうな男声コーラスと、そこまでいかない女声コーラスを聴いて、やっぱり人間の声が一番素晴らしい と思いながら帰途に着きました 来年も聴きに行きます。何を歌ってくれるのでしょうか 楽しみにしています

 

     

コメント
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