10月7日(月)。わが家に来てから今日で1834日目を迎え、2016年4月の熊本地震で被災し、立ち入り規制が続いていた熊本城(熊本市)の天守閣周辺が5日、3年半ぶりに一般公開された というニュースを見て感想を述べるモコタロです
熊本のシンボルが修復されて本当に良かった! 熊本県の皆さん 引き続き頑張れ!
昨夜、NHKホールでNHK交響楽団第1921回定期演奏会(Aプログラム)を聴きました プログラムは①フィリップ・グラス「2人のティンパニストと管弦楽のための協奏的幻想曲」、②ショスタコーヴィチ「交響曲第11番ト短調”1905年”」です 演奏は①のティンパニ=植松透、久保昌一、指揮=井上道義です
1曲目はグラス「2人のティンパニストと管弦楽のための協奏的幻想曲」です この曲はフィリップ・グラス(1937~)が、アメリカのティンパニ奏者ジョナサン・ハースのために2000年に作曲した作品です 第1楽章「♩=144」、第2楽章「♩=96~104」、第3楽章「♩=176」の3楽章から成ります
オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成。コンマスはゲストコンサートマスターのライナー・キュッヒル氏です 弦楽奏者の手前のセンターにティンパニ奏者が演奏する合計15のティンパニが、二人の奏者を取り囲むように並べられています 向かって左サイドに首席奏者・植松透氏(1993年N響入団)、右サイドに同・久保昌一氏(1993年N響入団)がスタンバイし、井上氏の指揮で第1楽章に入ります
冒頭の音楽を聴いて「おお、ミッション・インポッシブルじゃん」と思いました。何となくリズムが似ているのです 現代音楽作曲家による作品ということで身構えていたのですが、リズム中心のすごく聴きやすい曲だと思いました 植松氏が立ったままで7つのティンパニを打ち分けます。とても座ってなどいられない獅子奮迅の活躍です 一方、久保氏は回転椅子に座って、右に左に椅子ごと回転しながら演奏します 第2楽章終盤では、2人のティンパニストの演奏に、ステージ後方に控えていた打楽器奏者たちが加わり打楽器のアンサンブルでカデンツァを奏でましたが、奮闘する2人のために仲間が応援に駆けつけてきたように感じ、深い感動を覚えました 第3楽章は楽しいリズムによる音楽で圧倒的なフィナーレを迎えました
私がこの曲を聴くのは初めてでしたが、理屈抜きで楽しく聴くことができ、純粋に感動しました 2人は何度もカーテンコールに応え、大きな拍手とブラボーを浴びていました
プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第11番ト短調”1905年”」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1957年に完成、同年9月にレニングラードとモスクワで試演されてから、10月革命40周年を記念して10月30日にナタン・ラフリン指揮ソビエト国立管弦楽団によりモスクワ音楽院大ホールで初演され、さらに11月3日にムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによりレニングラード初演が行われました この曲は「言語に近い表現と音楽的イメージの視覚的といえる明瞭さ」によって批評家と大衆に親しまれました
前作の交響曲第10番(1953年)から4年空けての第11番の作曲の背景には、1953年3月にスターリンが死去し、その後「雪解け」が進行しており、1956年2月には「戦争以後のソ連の歴史の中で最も重要な事件」と呼ばれる『第20回共産党大会』が開催され、スターリンの恐怖政治がフルシチョフによって暴露されたという歴史的事実があります
この曲は第1楽章「王宮広場:アダージョ」、第2楽章「1月9日:アレグロ」、第3楽章「永遠の追想:アダージョ」、第4楽章「警鐘:アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります
ステージ左サイドにはチェレスタと、ハープ3台がスタンバイします
第1楽章では、前半にソロを務めたばかりのティンパニ首席・植松透氏がまたもや大活躍したほか、トランペットの悲壮感溢れる演奏が印象的でした 第2楽章では、1905年1月9日の「血の日曜日事件」における民衆の銃殺が容赦ないスピードで音楽化されます 第3楽章はゆったりしたテンポによる葬送行進曲です。聴いていると辛く暗い気持ちになります 第4楽章に入ると一転、明るく勝利の音楽が展開します 中間部でイングリッシュ・ホルンがエレジーのような音楽を奏でますが、池田昭子さんは深い感動を湛えた素晴らしい演奏を展開しました そして、オケ総動員による怒涛のフィナーレに突入します
N響の底力と集中力を見せつけた熱演でした カーテンコールが繰り返され、最後に女性ヴァイオリニスト(宮川奈々さん?)から花束を受け取った井上氏は、感激したのか 公衆の面前で彼女を抱きすくめました マエストロ、それ、気をつけないとセクハラでドミンゴの二の舞になりますから
この日のプログラムは「リズム」を共通点とする作品でしたが、思いのほか、フィリップ・グラスの曲に感動を覚えたのがこの日の収穫でした
ところで話は180度変わりますが、家を出る時 小雨が降っていたのでビニール傘をさしてNHKホールに向かったのですが、何とNHKホールには傘立てがないのです 傘はビニール袋に入れて自席の床に寝かせておくしかないのです サントリーホールだって、東京芸術劇場だって、東京オペラシティだって、ミューザ川崎だって、どこのコンサートホールにも傘立てはあります それが常識です。でも 天下のNHKホールにはないのです
井上 陽水 「傘がない」
NHKホール 「傘立てがない」
NHKは2021年3月から2022年6月までNHKホールの耐震工事を実施するそうですが、それを待たずに傘立を設置してほしいと思います