2日(水)。右手の手首が痛むので整骨院で診たもらったら、軽い腱鞘炎とのことでした 電気治療のあと湿布をして包帯を巻かれました ブログを書いている場合ではないのです。なぜならそれが原因だからです しかし、まったく書かないわけにはいきません。記録が途絶えますから これから1週間ほどは、文章の分量が少なくなると思います。ご了承ください また、料理も作らない日が出てきますので、写真のアップも少なくなります。こちらも ご了承ください
ということで、わが家に来てから今日で1829日目を迎え、中国の建国70周年を祝い軍事パレードなどの関連行事を実施する北京市では1日、市内はスモッグでもやがかかった状態となった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
中国は空だけじゃなくて 言論の自由の雲行きもスモッグがかかってるんじゃね?
昨日の朝日新聞朝刊の案内広告に、N響コンサートの出演者変更のお知らせが掲載されていました
「謹告 NHK交響楽団 定期公演Aプログラム 11月16日(土)17日(日)NHKホール 出演を予定していたピアニスト、ピーター・ゼルキン氏は、健康上の理由により来日が不可能になりました。このためソリスト、協奏曲の曲目を、指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット氏の意向も踏まえ、次のとおりとさせていただきます。ピアノ=マルティン・ステュルフェルト ステンハマル「ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調 作品23」。そのほかの曲目に変更はございません。何卒ご了承くださるようお願い申し上げます。 NHK交響楽団」
当初、ゼルキン氏がレーガー「ピアノ協奏曲 へ短調 作品114」を演奏する予定でした 私としては、どちらの曲も初めて聴くので、同じようなものです なお、もう1曲はブラームス「交響曲第3番ヘ長調作品90」です
昨夜、初台の新国立劇場「オペラパレス」でチャイコフスキーの歌劇「エウゲニ―・オネーギン」を観ました 出演はタチヤーナ=エフゲニア・ムラ―ヴェワ、オネーギン=ワシリー・ラデューク、レンスキー=パーヴェル・コルガ-ティン,オリガ=鳥木弥生、グレーミン侯爵=アレクセイ・ティホミーロフ、ラーリナ=森山京子、フィリッピエヴナ=竹本節子、ザレツキー=成田博之、トリケ=升島唯博、隊長=細岡雅哉、合唱=新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤洋史)、管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団、指揮=アンドリー・ユルケヴィチ、演出=ドミトリー・ベルトマンです
舞台は19世紀のロシア。女地主の娘タチヤーナは、妹オリガの恋人レンスキーが連れてきたオネーギンに強く惹かれる 募る想いを手紙に託すもののオネーギンには相手にされない 舞踏会でオネーギンはオリガとばかり踊るので、レンスキーの嫉妬を買い、決闘するまでに発展する レンスキーを殺害したオネーギンは、自責の念から放浪の旅に出る 数年後、今や侯爵夫人となったタチヤーナの前にオネーギンが現われ、以前とは逆に熱い恋心を打ち明けるが、タチヤーナは彼の気持ちを拒むのだった
開演直前、2階センター席に取材陣の照明が当てられました どうやら皇室の誰かが訪れたようです。警護が大変だろうな、と思いました
演出のドミトリー・ベルトマン氏が「プログラム・ノート」で語っているように、今回の演出はロシアの演出家コンスタンチン・スタニスラフスキーが1922年に手掛けたプロダクションを主軸として現代性を加えた内容になっています
全体の流れとしては、3幕あるので通常は第1幕、第2幕の後に休憩(計2回)を入れるのが通常のやり方だと思いますが、ベルトマン氏は第2幕第1場(レンスキーがオネーギンに決闘を申し込む場面)と第2場(決闘の場面)との間に30分の休憩を1回入れる方法を採りました これは非常に効果的でした 第2幕第2場の暗く悲惨な場面が終わり、次の第3幕第1場の幕が開くと明るく華やかな舞踏会のシーンが展開します ここで有名な「ポロネーズ」が演奏されるわけですが、この「暗から明へ」の転換が鮮やかです
もう一点、演出上の特徴として、前半にコメディ―的要素を加えた動きを取り入れていることです 初日公演なのであまり詳細には書きませんが、一例を挙げれば、第1幕第1場でレンスキーが婚約者オリガへの愛のアリアを歌っている間、オリガは「じれったいはねえ、この人。いつまでコクってんのよ」的なイラついた態度をとったりするところです。ロシア音楽のオーソリティー、一柳登美子さんの「作品ノート」によれば、オリガは14,5歳の中学生です。そういう態度も取るでしょう こうしたコメディアン的な役割はオリガの他に、フィリッピエヴナ(タチヤーナとオリガの乳母)とトリケ(ラーリン家の知人のフランス人)が担っていました
前述のとおり、第2幕第2場ではオネーギンとレンスキーが拳銃による決闘の末、レンスキーが撃たれて死んでしまいます 前出の一柳さんによれば、当時のロシアでは「決闘法典」により決闘の儀式の細目が定められていて、同じ階級同士でなければ決闘できなかったし、遅刻は厳禁だったし、介添え人も同じ階級の人でなければならなかったのに、オネーギンは遅刻はする、介添え人も酔っぱらいのフランス人を連れてくると言った具合に、規則違反だらけだったのです つまり、オネーギンは最初から決闘などやる気がさらさらなかったのです それを裏付けるように、この演出ではオネーギンは大きな声で笑ってレンスキー目掛けて引き金を引きます。なぜなら、当時の拳銃は命中率が低く 当たるはずはないと思ったからです。しかし、その弾はレンスキーの心臓を貫きます そしてオネーギンはかつての親友レンスキーの身体を抱いて泣き崩れます 彼には殺すつもりは全くなかったからです
このような知識をあらかじめ知っておくと、このオペラの理解度が2倍に膨らむと思います 新国立劇場に行ったら、迷わず1000円を払ってプログラム冊子を買って、一柳登美子さんの「作品ノート」と「チャイコフスキー その生涯とオペラ」を一読することをお勧めします
消費税の関係でコーヒーが400円から500円に値上げされた 便乗値上げじゃね?
歌手陣は絶好調でした タチヤーナを歌ったエフゲニア・ムラ―ヴェワはサンクトペテルブルク生まれのソプラノですが、声が良く通り、演技力も申し分ありません 第1幕第2場の「手紙の場面」のアリアは思わず聴き惚れました
オネーギンを歌ったワシリー・ラデュークはロシア出身のバリトンですが、若き日のオネーギンと 数年後に彼の置かれた立場の歌い分けが見事でした
本公演で最も印象に残ったのはタチヤーナの夫グレーミン侯爵を歌ったタタール共和国出身のバス、アレクセイ・ティホミーロフです 出番は実質的に第3幕第1場で歌われる夫婦の愛情を謳歌するアリアしかありませんが、深みのあるバスが心に響きました
レンスキーを歌ったパーヴェル・コルガ-ティンはロシア出身のテノールですが、第2幕第2場におけるアリアを中心に高音の魅力を発揮しました
オリガを歌った鳥木弥生はコケティッシュな少女を見事に歌い演じました
特筆すべきはウクライナ出身のアンドリー・ユルケヴィチ指揮東京フィルの演奏です タチヤーナの、オネーギンの、レンスキーの、オリガの、それぞれの心象風景を歌手に寄り添いつつ、自ら歌い上げていました
かくして新国立オペラ「エウゲニ・オネーギン」初日公演は、満場の拍手とブラボーが飛び交う中カーテンコールが繰り返され、大成功裏に幕を閉じました