人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

藤岡幸夫 ✕ 角野隼斗 ✕ 東京シティ・フィルで ラヴェル「ピアノ協奏曲」、黛敏郎「シンフォニック・ムード」「BUGAKU」他を聴く / 井上道義 ✕ 新日本フィルの「扉」公開リハーサルを聴く

2022年05月13日 07時15分44秒 | 日記

13日(金)。わが家に来てから今日で2679日目を迎え、CNNによると、ロシアの政府系ニュースサイト「Lenta.ru」は、対ナチス・ドイツ戦勝記念日の9日、所属するジャーナリスト名で「プーチン氏と取り巻きは戦後、法廷で裁かれる運命だ」などとプーチン大統領を批判する30本もの記事を掲載したが、直後に削除された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     政府系サイトからの批判は異例だ  いよいよプーチンも抑えられなくなってきたか

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醤油かけ」「ジャガイモの味噌汁」を作りました トンテキにはキャベツです

 

     

 

         

 

昨日午前10時半からすみだトリフォニーホールで新日本フィルの「第7回  すみだクラシックへの扉」の公開リハーサルを、午後7時から東京シティ・フィルの「第352回定期演奏会」を聴きました

新日本フィルのリハーサルは13日(金)と14日(土)の「扉・定期演奏会」のプログラムの中から新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」とサン=サーンス「糸杉と月桂樹」から「月桂樹」が公開されました 私はまさか『風神・雷神』が公開されるとは思っていなかったので、とてもラッキーな気分になりました

通常の公開リハーサルでは指揮者はマイクを使いませんが、この日 井上氏は口元のピンマイクを着用して客席に呼びかけていました 「さすがはサービス精神旺盛なミッキーだ」と思っていたら、演奏中はスイッチが切られていたのか、楽団員への指示は地声が聞こえました

弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの編成。コンマスは西江王子です 管楽器後方の中央には大きな和太鼓が置かれ、その手前に林英哲氏が、正面2階のパイプオルガン席には石丸由佳さんがスタンバイします

客席の中央の席では作曲者の新実氏が自らのスコアを見ながらリハーサルの進行を見守ります

リハーサルは、演奏しては止め、注意事項を伝え、やり直し、というパターンが繰り返されました 林氏の和太鼓と石丸さんのパイプオルガンが半端ない迫力で、度肝を抜かれます 中盤で和太鼓とオルガンとのコラボの場面がありますが、井上氏は「パイプオルガンの真下で和太鼓が演奏されるので、2人は近いところにいますが、自分の出す音が大きいので、お互いの音は全く聴こえません 近くて遠い・・・まるで夫婦のよう」と、人生の先輩としての格言をさりげなく吐露し、聴衆の微苦笑を誘っていました

休憩後にサン=サーンス「糸杉と月桂樹」から「月桂樹」のリハーサルが行われましたが、この曲も演奏しては止め、指示を出してやり直し・・・というパターンを繰り返し、短時間で仕上げました この曲もパイプオルガンが有効に使われていて、いかにもサン=サーンスらしい作品だと思いました

ファリャ「三角帽子」、ラヴェル「ボレロ」ともども 今日の本番が楽しみです

 

     

 

          

 

東京シティ・フィル「第352回定期演奏会」は午後7時から東京オペラシティコンサートホールで開かれました プログラムは①ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」、③黛敏郎「シンフォニック・ムード」、④同「BUGAKU」です 演奏は②のピアノ独奏=角野隼斗、指揮=藤岡幸夫です

藤岡幸夫は英国王立ノーザン音大指揮科卒業。1994年「プロムス」にBBCフィルを指揮してデビュー 現在、関西フィル首席指揮者、東京シティ・フィル首席客演指揮者を務めています

     

     

 

チケットは早くも完売とのことで、角野隼斗人気の賜物だなと感心します 指揮者の藤岡氏がプレトークで「角野君のお陰で黛敏郎の曲が演奏できる。ありがたいことです」と語っていましたが、東京シティ・フィルにとっても救世主のような存在でしょう

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫氏です

1曲目はラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875ー1937)が親友ゴデブスキー夫妻の2人の子どものために1908年か1910年にかけて作曲した作品で、翌1911年に管弦楽用に編曲されました 第1曲「眠りの森の美女のためのパヴァーヌ」、第2曲「親指小僧」、第3曲「パゴダの女王レドロネット」、第4曲「美女と野獣の対話」、第5曲「妖精の国」の5曲から成ります 「マ・メール・ロワ」とは英語で「マザー・グース」のことです

第1曲を中心にフルートの竹山愛の演奏が冴えていました    曲で一番印象に残ったのは第2曲「親指小僧」です 曲は「7人の子どもが森へ行くが、末っ子の親指小僧が帰りの目印用に撒いたパンのかけらを鳥たちが食べてしまう」という内容ですが、ラヴェルの曲なのに、どこか懐かしい曲想はイギリスのディーリアスの曲のように聴こえました

2曲目は「ピアノ協奏曲 ト長調」です この曲は1929年から31年にかけて作曲、1932年1月14日にパリでマルグリット・ロンの独奏、作曲者の指揮で初演されました 第1楽章「アレグラメンテ」、第2楽章「アダージョ・アッサイ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の角野隼斗は1995年生まれ。東京大学大学院在学中にピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞 2021年の第18回ショパン国際ピアノコンクールでセミファイナリストとなる Cateen(かていん)名義で活動するYouTubeチャンネルは登録者数が95万人を超え、新時代のピアニストとして人気を集めています

藤岡氏の指揮で第1楽章が鞭の一打で開始されます ジャズのイディオムを採り入れた曲想は、クラシック以外の音楽にも精通した角野隼斗にとってはお手の物です 軽快な演奏が続きますが、この曲の聴きどころは第2楽章「アダージョ・アッサイ」です 最初はピアノ・ソロで、次いで竹山愛のフルートとのコラボで、さらに高橋舞のコーラングレとのコラボで美しい音楽が奏でられますが、弱音の美しさが際立っています 演奏する角野隼斗の横顔を見ていたら、ドラクロワが描いたショパンの肖像画を思い出しました 実によく似ています あの顔はショパン・コンクールの審査上 有利だったのではないかと密かに思っています 第3楽章は一転、まさにジャズそのものというような軽快な曲想です 独奏ピアノとオケとの丁々発止のやり取りで衝撃的なフィナーレに突入します

熱狂的な演奏でした 角野隼斗は(多分 自身でアレンジした)「スワニー」を鮮やかに演奏し、クロスオーバー・アーティストかていんの本領を発揮、会場の温度を2度上昇させました

休憩時間には予想通り、女子トイレに長蛇の列が出来ていました 曲がマーラー、ブルックナーの時は男子トイレに長蛇の列が出来ますが、演奏家が かていん や反田恭平の時は女子トイレに出来ます この傾向は天気予報のようにあらかじめ予想が可能です

 

     

     

プログラム後半の1曲目は黛敏郎「シンフォニック・ムード」です この曲は黛敏郎(1929ー1997)が1950年に作曲した最初の管弦楽曲です 第1部「モデラート~アレグロ・モデラート」、第2部「ヴィーヴォ」の2部構成になっています 黛氏はこの曲について「人間が普遍的に持つ捉えどころのない郷愁を描こうとした」と語っていたとのことです

藤岡氏の指揮で演奏に入ります 曲想はインドネシアのガムラン音楽や、伊福部昭のオスティナートや、ストラヴィンスキーの「春の祭典」のようなバーバリズムや、ルンバやルンバのリズムなどが複雑に入り混じったもので、掴みどころがないというのが率直な感想です ただし、聴いていて何故か「熱」を感じました。これは不思議な体験でした

最後の曲は黛敏郎「BUGAKU」です この曲は1962年にニューヨーク・シティ・バレエ団の芸術監督ジョージ・バランシンの委嘱により作曲され、1963年3月30日にアメリカで初演され、1966年に日本で初演されました 「BUGAKU」(舞楽)とは舞を伴う雅楽のことです 柴田克彦氏のプログラム・ノートによると、「中国由来の左舞と、朝鮮由来の右舞がある。本作は、そのテイストや典雅な日本宮廷の雰囲気を、管弦楽による現代的な手法で表現した音楽」とのことです 第1部「レント」、第2部「モデラート」の2部構成になっています

藤岡氏の指揮で演奏に入りますが、驚いたのは、和楽器が一切使われていないのに、笙、ひちりき、笛、鼓などの音が再現されていたことです

黛敏郎の曲は生まれて初めて聴きましたが、2曲とも予想外の作品で、「『題名のない音楽会』の初代司会者は、こういう曲を作っていたのか!」と初めて実感できました 藤岡氏の素晴らしいところは日本人演奏家の作品を積極的に取り上げ、情熱をもって指揮するところです これからも伊福部昭をはじめとして、日本人の作曲家を取り上げてほしいと思います

 

     

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