20日(金)。わが家に来てから今日で2686日目を迎え、英BBCの18日の放送によると、ロシアの国営テレビの討論番組に出演した退役大佐で軍事アナリストのミハイル・ホダレノク氏は「(ロシアにとって)状況は明らかに悪化するだろう。ウクライナ軍は100万の人々を武装させることが可能だ。祖国を守ろうという彼らの願望はすさまじい。戦場における最終的な勝利は、覚悟を決め理念のために血を流す兵士たちの高い士気によって決定づけられる。(ロシアの)軍事的、政治的状況における最大の問題点は、われわれが全くもって政治的に孤立していて、全世界がわれわれと敵対していることだ」と述べた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
この放送を観た多くのロシア国民が 聞く耳を持って 真実を知ることを祈るばかり
昨日、夕食に「豚しゃぶ」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴・ウニ醤油かけ」「もやしの味噌汁」を作りました 豚しゃぶにはシソがよく合います
昨夕、新国立劇場「オペラパレス」で、グルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」の初日公演を観ました キャストはエウリディーチェ=ヴァルダ・ウィルソン、オルフェオ=ローレンス・ザッゾ、アモーレ=三宅理恵。アーティスティック・コラボレーター/ダンス=佐東利穂子、ダンス=アレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳、合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京フィル、指揮=鈴木優人、演出・振付・美術・衣装・照明=勅使河原三郎です
「オルフェオとエウリディーチェ」はクリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714ー1787)が今から260年前の1762年ウィーンのブルク劇場で初演したオペラです
亡くなった妻エウリディーチェを何とか生き返らせようと祈りを捧げるオルフェオに、愛の神アモーレは復活の可能性を示唆しつつ、全能の神ゼウスの命令として「彼女をこの世に連れ戻すまでは、決して彼女の顔を見てはならない」と伝える オルフェオは多くの試練を与えられながらも必死に耐え抜き、あと少しで妻を生還させられるという時に、彼女から「どうして私の顔を見てくれないのか」と詰問される ゼウスの命と妻の懇願の狭間で悩むオルフェオは、ついに振り返って妻の顔を見てしまう
私は本公演2日前の17日(火)にゲネプロを見学しているので、今回が2度目の鑑賞になります 会場はほぼ満席といっても良いでしょう
鈴木優人がオーケストラ・ピットに入ります。オケはコンマス・依田真宣が率いる東京フィルです 5月度定期演奏会に出演する東京フィル(コンマス=近藤薫)とは別動隊です。楽団員数約160名を誇る東京フィルならではの離れ業です
鈴木優人の指揮で軽快な序曲の演奏に入りますが、いつもの東京フィルとは全く違う音色の音楽が聴こえてきます 弦楽器はノン・ビブラートによる古楽器奏法でメリハリのある演奏を展開します 固いマレットで小気味よく打ち込まれるのはバロック・ティンパニです また、金管楽器もピリオド楽器を使用しているのではないか、と思うほど柔らかい音を出しています これは古楽演奏集団「バッハ・コレギウム・ジャパン」首席指揮者の鈴木優人の「バロック・オペラを現代に蘇らせる」というコンセプトによるものに違いありません
幕が開くと、舞台中央に大きなお皿のような円盤型の傾斜舞台が設置されており、その中央にオルフェオが立っているだけのシンプルな舞台です グルックは「ドラマと音楽的表現の一致」を目指してオペラをシンプルにする改革を行いましたが、そのコンセプトに合致した舞台づくりとなっています 第2幕以降では大きな白百合がフィーチャーされて舞台を飾りますが、これもシンプルです
合唱団を除き、登場する歌手陣はオルフェオとエウリディーチェとアモーレの3人だけなので、一人ひとりの存在感が増します
オルフェオを歌ったローレンス・ザッゾはアメリカ出身のカウンターテナーですが、ロンドンの王立音楽院在学中にブリテン「夏の夜の夢」オベロンでデビューして以来、同役で世界各地の歌劇場や音楽祭で歌っています 全幕を通してほぼ出ずっぱりのハードな役柄ですが、透明感のある歌唱と卓越した演技力で聴衆を魅了しました
エウリディーチェを歌ったヴァルダ・ウィルソンはオーストラリア出身のソプラノですが、シドニー音楽院で学び、数々の賞や奨学金を得てロンドンのオペラスタジオで研鑽を積みました 現在はザールブリュッケン歌劇場専属歌手を務めています 艶のある歌唱で、自分のことを振り返らない夫を責めるエウリディーチェの心情を見事に歌い上げました
アモーレを歌った三宅理恵は4月の新国立オペラ「魔笛」でパパゲーナを歌ったばかりですが、優しく温かみのある歌唱が特徴で、オルフェオとエウリディーチェを再び結びつける役割にピッタリでした
今回の公演で最も印象に残ったのは、4人のダンサーによるダンスです 白い衣装の佐東利穂子と青い衣装のアレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳により全3幕でスローテンポ、あるいは速いテンポで踊られますが、とくに第2幕における「ヴィヴァーチェ(活発に速く)」のダンスはスピード感に溢れ、「これぞ舞踏の芸術」と言いたくなるような素晴らしいパフォーマンスでした どのシーンを切り取っても絵になります このあと、有名な「精霊の踊り」が躍られました
また、照明の演出が見事でした 登場人物により背景の色が変わったり、闇の中 スポットライトで急にダンサーが浮き上がったりと、「明」と「暗」の転換が鮮やかでした
これらはすべて、演出・振付・美術・衣装・照明を一人で担った勅使河原三郎の卓越した芸術能力があって初めて実現できたことです
アモーレはエウリディーチェをこの世に蘇らせましたが、鈴木優人と勅使河原三郎の2人の天才は、260年前のバロック・オペラを「歌とダンスの総合芸術」として現代に蘇らせたのです
本公演は今後、21日(土)14時からと22日(日)14時からの2回上演されます 昨日の初日公演がほぼ満席状態だったので 当日券はないかもしれませんが、ダメ元でトライしてみてはいかがでしょうか それだけの価値があります