人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

JTアートホール”アフィニス”「音楽家からの年賀状」を聴く

2012年01月12日 06時50分56秒 | 日記

12日(木).昨夕,虎ノ門のJTアートホール”アフィニス”で「音楽家からの年賀状~期待の若手アーティストを迎えて」と題するコンサートを聴いてきました JTアートホールは当社から徒歩で12~3分のところにあり,イイノ・ホールの次に近いホールです

プログラムは①クライスラー「愛の喜び」(弦楽合奏版),②チャイコフスキー「アンダンテ・カンタービレ」③サン=サーンス「ヴァイオリンとハープのための幻想曲」,④J.イベール「ヴァイオリン,チェロ,ハープのための三重奏曲」,⑤ヴォーン・ウィリアムズ「富めるラザロの5つの異版」,⑥メンデルスゾーン「ヴァイオリン,ピアノと弦楽のための協奏曲ニ短調」の6曲ですが,最大の目的はメンデルスゾーンのニ短調の協奏曲を聴くことです

出演者は,独奏がヴァイオリン=徳永ニ男,堀米ゆず子,南紫音,チェロ=向山佳絵子,ピアノ=練木繁夫,ハープ=吉野直子という日本の音楽界の先端を行く音楽家たち,バックにヴァイオリンの川田知子はじめ13人の弦楽奏者が控えます

開演前にホワイエでプログラムを読んでいると「こんな所でお目にかかるとは・・・」と声をかけられました.顔を上げるとYさんがニコニコして立っていました Yさんは元東京シティフィルの事務局長で,退官後は「声と呼吸」にかかわるボランティア的なお仕事に携わっているとのことでした.縁があって当社のU専務とも知り合いで,3人で食事をしたこともあります.今回は思わぬ再会でした

 

                

最初のクライスラー「愛の喜び」は元NHK交響楽団コンマスの徳永ニ男がリードして弦楽14人で演奏しました 男性3人を除く全員が女性で,着ているドレスもブルーあり,グリーンあり,パープルあり,ワインレッドありとカラフルで華やかです 「音楽家からの年賀状」に相応しくとても良いと思いました

お馴染みの「愛の喜び」のメロディーが弦楽合奏の厚みのある音で会場いっぱいに響き渡ります が,狭い会場で,ソロでなく合奏によって力一杯演奏するせいか,音が濁って”ぼわ~ん”という感じがしました 後で休憩時間にYさんに尋ねてみると,やはり同じような印象を受けたようで”音が綺麗じゃなかったですよね”と言っていました

曲の合間に徳永が「この室内楽シリーズは今年18年目を迎えた().これからも良い音楽をお届けしたい」として,南紫音を舞台に呼んで”期待するアーティスト”として紹介したうえで,「今日は新年最初の演奏会ということで,休憩時間にホウイエで,シャンパン,ワイン,オレンジジュースを無料でサービスする.残念ながら私は後半の演奏があるので飲めないが(笑),皆さんも,ほどほどにお願いしたい」と挨拶,歓迎されていました

2曲目のチャイコフスキー「アンダンテ・カンタービレ」は独奏チェロを向山佳絵子が演奏し,徳永が弦楽合奏をリードします.向山は白のドレスの上に黒のレースのようなブラウスで登場,重心の低い落ち着いた演奏を聴かせてくれました 目立ったところが無いのですが,実に深いいい演奏をする人だと思いました

3曲目のサン=サーンス「ヴァイオリンとハープのための幻想曲」はヴァイオリンを南紫音,ハープを吉野直子が演奏しました ロングヘアの南は上が黒,下がピンクのドレスで,ショートカットの吉野はゴールドの輝くドレスで登場しました サン=サーンスが72歳の時の作品ですが,ひと言でいえば”フランス的”とでもいうべき曲想です.吉野のハープの指使いを見ていると,実に美しく,つい見とれてしまいます

次のイベールの「ヴァイオリン,チェロ,ハープのための三重奏曲」は,イベールが54歳の時の作品です.ヴァイオリンを南,チェロを向山,ハープを吉野が演奏しましたが,これも正しく”フランス”そのものといった曲です

休憩時間にはロビーに出て,Yさんとワインを飲みながら近況報告をして過ごしました.無料のアルコール・サービスのせいか,いつになくホワイエが人でごった返していました.せっかくなのでシャンパンも飲みました.これで4,000円は極安です

休憩後1曲目のヴォーン・ウィリアムズ「富める人とラザロ」は徳永がリードして弦楽総動員で演奏しました.南も演奏に加わり,吉野も左手にスタンバイしました.”グリーンスリーブス的”なメロディーと言えばいいのでしょうか,フランスとは一味違うイギリス的な音楽でした

さて,トリを飾るのはメンデルスゾーンの「ヴァイオリン,ピアノと弦楽のための協奏曲ニ短調」です.徳永率いる弦楽合奏をバックに,ヴァイオリン独奏を堀米ゆず子,ピアノを練木繁夫が演奏します.いよいよ真打登場!といったところでしょうか 堀米は淡いグリーンのドレスで登場です.先日,フォーレ四重奏団で聴いたピアノ四重奏曲の演奏もそうでしたが,メンデルスゾーンの初期の短調の曲はすごくいいです 14歳の時のこの作品はモーツアルト的でもあり,ベートーヴェン的でもあります.堀米と練木のコンビはメリハリをつけて前へ前へ進みます そういえば,この曲の演奏では,ギドン・クレーメルのヴァイオリン,マルタ・アルゲリッチのピアノ,オルフェウス室内管弦楽団による名演奏がCDで出ています

この日のコンサートは旧知の知人との久しぶりの再会,ワインのサービスという”おまけ”まで付いて,新年早々から忘れられない演奏会になりそうです

 

              

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アレクシス・ワイセンベルク死去~カラヤンに愛されたピアニスト

2012年01月11日 06時13分56秒 | 日記

11日(水)。昨日の朝日朝刊「死亡欄」にワイセンベルク死去の記事が載っていました

「アレクシス・ワイセンベルクさん(ブルガリア生まれのピアニスト) スイスのルマタン紙によると、8日、スイス南部ルガノで死去、82歳。ラフマニノフやバッハの名手で、名指揮者カラヤンとの共演で知られる巨匠の一人。パーキンソン病を患い、近年は演奏から遠ざかり、スイスで療養生活を送っていた。(ジュネーブ)」

この記事を見て納得した点と意外と感じた点があります 納得したのは「カラヤンとの共演で知られる」という点です.私の頭の中のワイセンベルクの位置づけは,ヴァイオリニストのアンネ・ゾフィー・ムターとともに「カラヤン抜きでは語れない演奏家」です.カラヤンの後押しがなければ現在まで名を残すことはなかったのではないか,と思います

反対に,意外と感じた点は「バッハの名手」という点です ラフマニノフは世の演奏家評に耐えうる演奏だったと記憶していますが,バッハに関してはどうだったのか,”名手”といわれるほどのピアニストだったかどうか,そういった演奏家評はまったく記憶にありません.むしろ,ショパンの方が評価が高かったように思います

たしかワイセンベルクの演奏したLPかCDを持っていたはずだと思い,探してみましたがLPは1枚もありませんでした 1年ほど前にステレオ・アンプを手に入れる交換材料として差し出したLPレコード500枚の中に含まれていたようです その代わり,根性でCDを1枚を捜し出しました.イタリアのARKADIAというレーベルのCDで,ジャケットの解説によると1967年6月14日のライブ録音となっています.ということは,カラヤンに見出される前の演奏ということになります.「ショパン・アルバム」で,ピアノ協奏曲第2番ほかが収録されています

今,追悼のために彼の演奏する「ピアノ協奏曲第2番」を聴いています ライブ録音(私はARKADIAというレーベルは海賊盤ではないかと疑っています)という点で録音状態があまり良くないということもありますが,取り立てて特長もないごく普通の演奏にしか聴こえません いま手元にラフマニノフの協奏曲のLPなりCDなりがあったら,感想も違ってくるのではないかと思いますが,残念です 

今ごろ天国でカラヤンとラフマニノフの協奏曲を演奏しているかもしれません ”ラフマニノフの名手”ワイセンベルクのご冥福をお祈りします

 

        

 

  閑話休題   

コンサート・チケットを2枚買いました ヴァイオリン曲がメインの演奏会です。1枚は1月17日に紀尾井ホールで開かれる南紫音のヴァイオリン・リサイタル。プログラムは①プーランク②ラヴェル③フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」です.彼女は2005年ロン=ティボー国際音楽コンクールで第2位を受賞した若手実力家の一人です その翌年だったかに開かれたロン=ティボー受賞記念コンサートで彼女の演奏を聴いて,気になるヴァイオリストの一人になりました

もう1枚は2月11日にNHKホールで開かれるNHK交響楽団の定期演奏会。プログラムは①ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、②プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、③シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレート”」の3曲で、指揮はベルトラン・ド・ビリー,ヴァイオリン独奏はイザベル・ファウストです。これはプロコフィエフのコンチェルトを聴きたい一心でチケットを買いました

両方とも買おうか買うまいか迷っているうちに時間が経ってしまい,買った時にはいい席は残っていませんでした これを反省点として,こらからは”迷ったら買う”ことにします

 

        

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映画「善き人」を観る~最後にマーラー「第1交響曲第3楽章」が流れる意味は?

2012年01月10日 06時25分26秒 | 日記

10日(火).昨日,有楽町スバル座で映画「善き人」を観てきました スバル座は久しぶりだったので場所がわからず,日比谷シャンテ周辺でうろついてしまいました.ケータイで場所を検索してやっと有楽町駅近くのスバル座を探し出して,開演15分前に到着しました

主人公は1930年代,ヒトラー独裁が進むドイツで,ベルリンの大学で文学を教えるジョン・ハルダーです.彼は大学で教鞭を執る傍らで,病身の母親を介護する善き息子であり,妻の代わりに家事をする善き家庭人であり,ユダヤ人のモーリスの善き理解者であり,と,ごく普通の”善き人”です ところが,彼が過去に書いた小説がヒトラーに気に入られ,最終的にはナチ党に入党せざるを得ない立場に追いやられます.そのことは,友人のユダヤ人モーリスを裏切る行為となります.ドイツ国内で反ユダヤの動きが激化する中,親衛隊の幹部に出世したジョンは国外脱出を希望するモーリスに手を差し伸べようとしますが,思わぬ邪魔が入ります 収容所送りになったモーリスを探すため,収容所を訪ねたジョンが見たものは・・・・・・

監督はオーストリア生まれで,17歳からブラジルに定住するヴィセンテ・モリン.主人公のジョン・ハルダーにヴィゴ・モーテンセン.そのユダヤ人の友人モーリスにジェイソン・アイザックス,女子大生で後にジョンの妻アンにジョディ・ウィッカーほかが演じています

さて,いつも映画を観るときに気になるのが音楽です どういうシーンでどういう音楽が使われているのか,ということです.この映画ではグスタフ・マーラーの音楽が効果的に使用されています

ジョンの小説が映画化されることになり,ジョンとアンが撮影所に出向いた時に,映画スタッフ達が口ずさんでいたのはマーラーの歌曲「さすらう若人の歌」の一節でした また,ユダヤ人達がトラックで護送されるときに彼らが口ずさんでいたのも同じ曲の一節だったように思います.ほかのシーンでも聴こえるか聴こえないか分からないほど小さな音でマーラーの音楽が流れていますが,多分歌曲のどれかの一節だとは思うものの曲名までは分かりませんでした

最後にジョンが,モーリスを探し求めて収容所を歩き回っているときに,どこからともなく微かな音で音楽が流れてきます ジョンが建物の裏に辿り着くと,そこに10人ほどのユダヤ人が思い思いの楽器を持って演奏しています.彼らが演奏していたのはマーラーの交響曲第1番ニ長調の第3楽章です.それを見たジョンは言います「これは現実か?」・・・・・ここで映画は終わります

ここで,モリン監督が収容所でユダヤ人が演奏するマーラーの音楽を使った理由・意味を考えてみたいと思います

マーラーの交響曲第1番はニ長調の曲ですが第3楽章はニ短調です.別名「狩人の葬送行進曲」です.CDなどに解説には「森の獣たちが墓地へ運ばれる死んだ狩人の棺に付き添っている.野うさぎが葬送の小旗を持ち,ボヘミアンの楽師のバンドが,おどけた様式で行進を導いて行くと,そのあとに猫,雄鹿,ノロ,キツネを始め,四つ足の動物たちと羽根のあるものたちは唱和しながらついて行く」と書かれています

これだけの要素で考えれば,監督は,ユダヤ人達が「葬送行進曲」を演奏することによってナチを葬り去ろうとしたことを伝えたかったのだと言えるのかも知れません

しかし,話はそう簡単ではないように思います.もう一つ重要な要素があります.この曲の作曲者グスタフ・マーラーはユダヤ人であるという事実です(後にキリスト教に改宗しましたが).

こうしたことを総合して自己流に解釈してみると,「ユダヤ人収容所でユダヤ人がユダヤ人作曲家マーラーの音楽を演奏するのは現実的にはあり得ない」ということです したがって,ジョンが言った最後の言葉「これは現実か?」という問いに対する答えは「現実ではない」「あり得ない」ということになります

ジョンはごく普通の”善き人”でした.しかし,自分の意志に反して,ちょっとしたきっかけでナチに入党し権力側に付くことになってしまいました.これは当時のドイツに限らずいつの時代にも同じようなことが起こりうることではないか.いつもは普通の”善き人”が,何かに巻き込まれて「あり得ないこと」がいつの間にか「現実」になってしまう,というようなことが 監督はマーラーの曲にそうしたメッセージを込めているのではないかと思います.

それにしても,昨年没後100年を迎えたマーラーの音楽を使った映画を最近よく観るように思います.私がたまたまそういう映画を選んでいるのか,映画が私を呼んでいるのか,よく分かりませんが,マーラーの音楽は映像のバックに流すのに”合っている”のかも知れません

 

              

 

〔あとがき〕

終演後,この映画での使用音楽について調べたくて上のパンフレットを買ったのですが,音楽については一言も触れていませんでした 表紙を入れて15ページほどのパンフレットに600円も投資したのに この映画に限らず,映画のパンフレットは,監督,役者,ストーリーの解説には十分なページを割くのに,音楽についてはほとんど触れません.私のように音楽を目的に映画を観るような者にとっては何の価値もありません.非常に残念です.関係者に改善をお願いしたいと思います

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METライブビューイングでヘンデルの歌劇「ロデリンダ」を観る~快調!ルネ・フレミング

2012年01月09日 08時02分16秒 | 日記

9日(月・祝日).昨日午前10時から新宿ピカデリーでMETライブビューイング,ヘンデルの歌劇「ロデリンダ」を観ました 昨年12月3日に米メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラをライブ録画し映画化したものです.休憩を2回挟んで約4時間と長丁場のオペラです 会場を見渡すとオペラの映画にしてはかなりの人数の観客が入っています.昨年のMETの来日公演の影響が大きいのかもしれません

キャストは王女ロデリンダ=ルネ・フレミング(ソプラノ),国王ベルタリード=アンドレアス・ショル(カウンターテナー),国王の妹エドゥイージェ=ステファニー・プライズ(メゾソプラノ),裏切り者の新王グリモアルド=ジョセフ・カイザー(テノール),国王の側近ウヌルフォ=イェスティン・デイヴィーズ(カウンターテナー),謀略の首謀者ガリバルド=シェン・ヤン(バスバリトン)です.指揮はバロック音楽の専門家ハリー・ビケット,演出はスティーヴン・ワズワースです

このオペラは7世紀の北イタリア,ランゴバルト王国を舞台に,愛と欲望がせめぎあう物語です.フレミングの希望で2004年にMETで初演され,ワズワースの演出ともども評判になったもので,今回が再演になります

オーケストラ・ピットにはチェンバロが向かい合せに2台置かれ,1台は指揮者が指揮をしながら弾き,もう1台はチェンバリストが弾きます.幕が開きバロック音楽特有のメロディーが奏でられるのですが,驚いたことに,まるで古楽器で演奏しているのではないかと勘違いするほど,18世紀的な響きがするのです

幕間のインタビューで,インタビュアーのデボラ・ボイト(ワーグナー歌手)から「ヘンデルの時代と違って,現代の大ホールでバロック・オペラを上演するのには困難があるのではないか」と質問され,指揮者のハリー・ビケットは「METオペラのオーケストラは演奏レベルが高いので何の問題もない.強いて言えば,テオルボという当時の楽器を使用していることと,2台のチェンバロを使っているのが特徴だ」と答えていました.

ヒロイン役のルネ・フレミングは,インタビューの中で「このオペラはダ・カーポ・オペラだから,2度目に繰り返すときは別の表現をする必要がある」という趣旨のことを言っていました 「ダ・カーポ」とはイタリア語で「初めから」という意味で,曲の初めに戻り,もう一度繰り返して演奏することを指示する演奏記号をいいます.このオペラでは,一つのアリアの中で同じ歌詞を繰り返し歌うことになります.高い歌唱力とともに優れた演技力が求められます.歌手陣は繰り返し部分では表情を変えて歌っていました.「ダ・カーポ」がなければ,このオペラはもっと短くなることでしょう.いかどうかは別として

フレミングの声の美しさ,演技の素晴らしさをどう表現すればいいのでしょうか.このソプラノ歌手は今回のようなバロック・オペラから近代のR・シュトラウス「バラの騎士」の元帥夫人まで幅広く歌えるオールマイティな実力を持っています しかも,何を歌っても違和感なく,まるで,そのアリアが彼女のために書かれたのではないか,と思ってしまうほど説得力のある歌を披露します また,マスネの「タイス」のような滅多に上演される機会のないオペラに積極的に取り組んでレパートリーを確実に広げているのも彼女の素晴らしいところです 今のMETに彼女が居なかったら,METは限られた演目の繰り返し上演しかなかったかも知れません.彼女はMETにとってそれ程大きな存在です.世界最高峰のオペラハウスMETの女王といっても言い過ぎではないでしょう

国王ベルタリード役を歌ったアンドレアス・ショルは,現在最高のカウンター・テナー歌手と言われています.カウンターテナーというのは,女声の声域を歌う男性歌手のことで,テノールよりも高いアルトの音域を歌います バロック期以前の女声パートを歌います.ボイトの「カウンターテナーになっていなかったら,何になっていましたか?」というインタビューに対してショルは「警察のカウンター・テロリストになっていたところだったが,歌の道を選んだ」と答えていました.彼が言っていた「カウンター・テロリスト」はテロ対策要員とでも訳せばいいのでしょうか,彼一流のジョークなのでしょう.カウンターに座ってウィスキーの水割りでも飲んで聞き流すことにします・・・・・・なんテナー

「ヘンデルのオペラについてどう思うか」と訊かれて,メゾソプラノのプライズは「もっと,今の歌手はヘンデルを歌うべきだ.彼の音楽の心地よいテンポが大好きだ」と語っていましたが,音楽を聴いていると良く分かります.バッハがオペラを作曲したらこういう曲を作っただろうか,と思うようなメロディーが随所に出てきます.残念ながらバッハはオペラを1曲も作曲していませんが

もう一人のカウンターテナー=デイヴィーズ,メゾソプラノのプライズ,テノールのカイザー,バスバリトンのヤンも高い歌唱力,演技力で,METオペラの水準の高さを示していました

ヘンデル「ロデリンダ」は13日まで,新宿ピカデリーで午前10時から,東銀座の東劇で午後6時半から上映されています

次は来週,グノーの歌劇「ファウスト」を観に行きます.MET新演出だとのことですが,これも休憩を含め4時間を超える大作,初めて観るオペラです.今から楽しみです

 

             

 

 

 

 

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レスピーギ「ローマ三部作」を聴く~東京交響楽団第596回定期演奏会から

2012年01月08日 09時01分54秒 | 日記

8日(日)その2.昨日は午後3時から新宿文化センターで開かれた三ツ橋敬子=東京シティフィルによる「ニューイヤー・コンサート」が終わったのが午後5時,終わるや否や早足で会場を後にして,途中,コンビニでおにぎり3個とペットボトルのお茶を買って,地下鉄丸の内線新宿3丁目駅から四谷経由で南北線六本木1丁目駅まで急ぎました 会場のサントリーホールに着いたのは5時35分過ぎでした.コートをクロークに預け,ロビーの椅子に座っておにぎりを食べ,席に着いたのは5時55分でした.まあ,何とあわただしかったことか

東京交響楽団の第596回定期演奏会は午後6時過ぎに始まりました.指揮は飯森範親,プログラムはレスピーギの①ローマの噴水,②ローマの松,③ローマの祭の”ローマ三部作です

最初に指揮者の飯森が舞台に登場して新年の挨拶をしましたが,今回の演奏会が,初めて日経のBSジャパンとニコニコ動画で同時生中継される旨をアナウンスしたので,会場がどっと沸きました 話の最中に,楽員がぞろぞろと入場してきたのは良いのですが,左サイドから入ってきた楽員が,譜面台か何かを引っ掛けたらしく”バタン”と大きな音がしました 飯森が「大丈夫ですか?生中継らしいハプニングですね」とコメントして,また会場が沸きました.そして「今回ローマ3部作を一挙に演奏するが,いかにレスピーギがローマを愛していたかを感じとってもらえれば嬉しい」と締めくくりました

プログラムは,前半が①ローマの噴水,②ローマの松,後半がローマの祭となっており,作曲順に演奏されます.

レスピーギは1879年にイタリアのボローニャで生まれ,1913年にはローマのサンタ・チェチーリア音楽院の教授に就任しました.そして「ローマの噴水」を作曲,1917年3月に初演されました.この時は不評だったようですが,翌18年2月に友人の指揮者アルトゥーロ・トスカニーニの指揮で再演されると,大好評で迎えられ,レスピーギは作曲家としての名声を確立することになりました.そういう意味ではレスピーギにとってトスカニーニは”恩人”ですね

曲は①夜明けのジュリアの谷の噴水②朝のトリトンの噴水③昼のトレヴィの噴水④たそがれのメディチ荘の噴水からなっています.どの曲もイタリアの太陽の光が燦燦と輝くもとで噴水が湧き上がる様子が,管弦楽によって見事に描写されます.ここではオーボエ首席の荒絵理子の演奏が光っていました

曲の合間に再び飯森がマイクを持って登場し「レスピーギは音色に敏感な作曲家だった.色彩感溢れる音楽を作曲した彼は”イタリアのラヴェル”とでも言うべき人だった」と解説をします.いい得て妙だと思いました ここで,舞台左袖にトランペット4本,トロンボーン2本が追加されました.

次は「ローマの松」です.①ボルゲーゼ荘の松②カタコンブ付近の松③ジャニコロの松④アッピア街道の松からなります.プログラムの解説によると,「ローマの噴水」と後の2作「ローマの松」「ローマの祭」との違いは,「ローマの噴水」が現在のローマでの幻想を扱っているのに対して,後の2作品は,過去のローマの栄光に思いを巡らしているところであり,音楽的にも後の2作品はストラヴィンスキーの影響が見られ,音色がより豊かで絢爛豪華になっている,とのことです.確かに実際に聴くとそういうことが分かります

第3部「ジャニコロの松」の中で,(録音された)ナイチンゲールの鳴き声が聴こえる中,クラリネットが弱音で美しいメロディーを奏でるのですが,首席のエマニュエル・ヌヴーの演奏は絶品でした 強奏するより弱音で息の長いメロディーを吹く方がよほど難しいのではないかと思うのですが,彼の演奏は完璧でした 第4部「アッピア街道の松」のフィナーレはいつ聴いても気持ちが高揚します.圧巻でした

休憩後の最後の曲は「ローマの祭」です.①チルチェンセス.古代ローマ時代に皇帝ネロが円形競技場で行った祭です.②50年祭.中世にローマはキリスト教の聖地となり,1300年から50年ごとにローマで大恩赦が行われましたが,その時の祭です.③10月祭.ワイン収穫祭です.④主顕祭.1月6日にキリストの誕生を祝うために東方三博士がベツレムを訪れたことを祝う祭です

第3部「10月祭」ではマンドリンのセレナーデが奏でられるのですが,会場が広いせいもあってマンドリンの音が目立たなかったのが残念でした 反対にコンマス高木和弘のヴァイオリン・ソロは美しく響き渡りました

第4部「主顕祭」はまさにストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」に似たメロディーが流れます管弦打楽器総動員のフィナーレは圧巻でした

ローマ3部作は東京交響楽団の十八番といってもいいかも知れません.今回,初めてBS放送とニコ動で生中継された演奏としては大成功だったのではないかと思います

 

               

〔プログラム表紙の絵は作曲家シェーンベルクの描いた「The Lucky Hands」です〕

 

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三ツ橋敬子指揮でニューイヤー・コンサートを聴く~東京シティフィル

2012年01月08日 08時52分44秒 | 日記

8日(日).昨日は午前中やっと初詣に行って来ました.”刺抜き地蔵”で御馴染みの「高岩寺」です.今さらジロー(古い!)ですが,なかなか行く機会がありませんでした 午後はコンサートのハシゴをしました.まず,午後3時から新宿三丁目の新宿文化センターで三ツ橋敬子指揮東京シティフィルの「ニューイヤー・コンサート」を聴き,終了後すぐに地下鉄を乗り継いで溜池山王のサントリーホールに行き,6時から東京交響楽団の定期演奏会を聴きました ここでは「ニューイヤー・コンサート」の模様を書きます.

指揮の三ツ橋敬子は1980年生まれ.5歳からピアノ,作曲,ソルフェージュを学び,その後,指揮を小沢征爾,小林研一郎らに師事,2010年のアルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで準優勝と聴衆賞を受賞しました.東京シティフィルとは昨年9月22日に,生まれ故郷,江東区のティアラ江東でオール・ブラームス・プログラムを振って強いインパクトを残した凱旋公演以来の組み合わせです

会場は約1800席のほぼ7割くらい埋まっている感じです.もったいないです.自席は1階16列25番で,中央ブロック通路側です.プログラムの前半はウインナ・ワルツ,後半はイタリア・オペラという仕切りです

黒のパンツ・スーツ,長い髪を後ろで束ねた三ツ橋敬子がマイクを持って舞台に登場します演奏に先立って新年の挨拶と曲目の紹介をしました.ちょっとアガッテいる感じですが,ハキハキしています.きっと彼女の性格なのでしょう コンサートマスターは9月の時と同じ客員コンマスの松野弘明です.あの時,指揮者との相性が良いと思いましたが,そういうこともあって再度の登場となったのかもしれません

最初にヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」序曲を演奏しました.前回9月に聴いたときにも感じたことですが,三ツ橋の指揮は左手の使い方に特徴があります.タクトを持った右手で拍子を取り,左手で”滑らかに”,”激しく”,”感情を込めて”などの表情付けをします その左手の動きは滑らかで美しく,それ自体が芸術です この曲ではオーボエが素晴らしい演奏を聴かせてくれました

ここでまた,三ツ橋がマイクを持って次に演奏するシュトラウスの「皇帝演舞曲」,ヨーゼフ・シュトラウスの「ピチカート・ポルカ」,シュトラウス「南国のバラ」の3曲を紹介します

三ツ橋は「皇帝円舞曲」ではダイナミックに指揮をします.弦楽による「ピチカート・ポルカ」では小気味良くリズムを刻みます.そして「南国のバラ」では再びダイナミックに美しくメロディーを奏でます

再びマイクを持って登場して語ります

「ウィーンには4年間住んだことがある.お正月を迎えるときは,花火や爆竹を鳴らして賑やかになる.カウントダウンがあり,新年が明けると,どこからともなくワルツのメロディーが流れてくる.そう「美しき青きドナウ」のメロディーが.それにつられるように人々はワルツを踊り始める.ワルツはウィーンの人々の心の中にある」

そしてシュトラウスの「美しき青きドナウ」の演奏に入ります.ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの終盤で演奏される,誰もが知っている有名なワルツです.この曲でも三ツ橋の左手は華麗に宙を舞います

休憩後,再び三ツ橋がマイクを持って登場,「後半はイタリア・オペラの曲を演奏する」旨を説明します.最初の曲はロッシーニ「歌劇ウィリアム・テル」序曲です.冒頭のチェロの独奏は聴かせてくれました.また,フルートとイングリッシュ・ホルンも美しい音色で演奏していました

次はレスピーギの「ボッティチェッリの3枚の絵」という珍しい曲です.「春」「東方の三博士の礼拝」「ヴィーナスの誕生」による組曲です.レスピーギらしいキラキラ輝くような音楽です 現在イタリアに住んでいる三ツ橋は,今回のコンサートでこの曲をプログラムに入れたかったのでしょう.彼女にとってこだわりの1曲だったのかも知れません

次に,マスカーニ「歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲が演奏されました.弦楽による美しいメロディーが続き,いい気持ちで聴いていると,右サイドからパイプオルガンの音がかぶってきました.三ツ橋の解説によると「こういう形で演奏するのは珍しい」とのことです.本来はオルガン付きで演奏する曲のようです.本当に美しい曲で,”お葬式にはこの曲を流して欲しい”という人を知っています

ここでまた,三ツ橋がマイクを持って登場.「次の曲はヴェルディの「歌劇アイーダ」の凱旋行進曲だが,この曲はいろいろな場面で使われている.サッカーのワールドカップでも使われたので御馴染みだと思う」と言って演奏に入ります.舞台の左右にトランペット4本,トロンボーン2本が追加され音楽に厚みを加えました

これでプログラムは終了しましたが,拍手が鳴り止みません.指揮者が舞台の袖にいる段階で,いきなり小太鼓が高らかに”あのリズム”を刻み始めました.そう「ラデツキー行進曲」です.ワルツ王ヨハン・シュトラウスの父親の作品です.テレビでウィーンフィルのニューイヤー・コンサートを観ている人が多いのか,いきなり手拍子が始まります.ところが,最初は手拍手はしないことになっているので,三ツ橋が会場に振り向いて,「シーッ」と合図,拍手をすべき箇所になると再び会場に振り向いて拍手を促します.まさにニューイヤー・コンサートに相応しい聴衆参加型のアンコール=フィナーレでした.理屈抜きで楽しいコンサートでした

アンコールが終わったのがちょうど午後5時です.6時からサントリーホールで開かれる東京交響楽団のコンサートに間に合わせなければなりません・・・・さて・・・・・この続きは「8日(日)その2」に続きます

 

        

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道尾秀介「鬼の足音」を読む~読み始めたら止まらない!

2012年01月07日 08時25分01秒 | 日記

7日(土).昨夕は金曜日にもかかわらず,地下の炭火焼き鳥Oにも串焼きRにも寄らず,まっすぐ家に帰りました.昨日に続いて奇跡です わが社ではインフルエンザの予防接種を受けた2人が風邪で休み,私を含めて接種を受けていない者が元気に出社しています 私が予防接種を受けたのは息子が大学受験を控えた2年前の冬だけです.インフルエンザの予防接種は,流行の種類(香港A型など)によっては効果がないので,最初から「かかったらかかったで休めばいいや」と覚悟を決めています もちろん,外から室内に入ったらうがいと手洗いは必ず実行しています.それだけで,インフルエンザにかかったことはありません.多分,インフルエンザのACに嫌われているのだと思います・・・・・・・・・ACってなんだ?・・・・・・・Bが留守なので「ビールス」です・・・・・・・山田くーん,座布団1枚取っちゃって!レベル低いから・・・・

 

  閑話休題  

 

道尾秀介著「鬼の足音」(角川文庫)を読み終わりました 正確には「足」は恐の冠部分の下に足を書きます.道尾秀介は1975年生まれ,2004年「背の眼」で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞してデビューしました.昨年「月と蟹」で第144回直木賞を受賞したことでおなじみです

この本には「鈴虫」「ケモノ」「よいぎつね」「箱詰めの文学」「冬の鬼」「悪意の顔」の6篇が収録されています.それぞれの物語の中にSという人が重要なカギを握る人物として登場しますが,まったく別人として設定されています.また,”恐怖”や”不吉なこと”の象徴として,すべての作品にカラスが登場します

この「鬼の足音」は,2006年から2008年にかけて「野生時代」誌に連載された作品を収録した「短編集」です.したがって,まだ新人時代の作品といっても差し支えないでしょう にもかかわらず,どれもが非常に優れたサスペンス作品に仕上がっています.読者の心を掴むのがとにかく”うまい”のです.「背の眼」「シャドウ」「ソロモンの犬」「ラットマン」といろいろと彼の作品を読んできましたが,どれもが恐いけれど,読み始めたら止まらなくなる面白さがあります

こういう手法があるのか,と感心したのは「冬の鬼」です.この本のタイトル「鬼の足音」もこの作品からとったものと思われます.日記形式に話が進むのですが,時間を追って物語が進むのではなくて,時間をどんどん遡っていくのです.最初が1月8日になっており,次が1月7日・・・・・そして最後が1月1日になっていて,それまでの話のどんでん返しが待ち受けています

これまで道尾秀介の本を読んで裏切られたことは一度もありません いつの間にか時間を忘れて読んでいる自分に気が付きます.お薦めです

 

            

 

  もう一度,閑話休題  

 

今年もMETライブ・ビューイングを観ます これは最新の米メトロポリタン歌劇場のオペラを映画化したもので,2011-2012シリーズが昨年11月からスタートしています.8日(日)午前10時から新宿ピカデリーでヘンデルの歌劇「ロデリンダ」が上映されるので,同劇場に指定を取りに行きました.休憩2回を含めて4時間以上かかる大作で,ヒロインはメト・オペラの看板ソプラノ歌手ルネ・フレミングです まだ空席がたくさんありました.あまりポピュラーな演目ではないからだと思います.オペラの映画に限らず,席は出来るだけ後方・中央の通路側を取るようにしています.今回はJ列の通路側にしました.このオペラはCDも何も持っていないので,ぶっつけ本番で観ることになりますが,フレミングの美しいソプラノを聴くのが楽しみです

 

                           

 

                    

 

テレビは滅多に観ないのですが,土曜午前7時半からTBSでやっている「サワコの朝」は楽しい番組です 今朝もアイロン掛けをしながら観ました.阿川佐和子がゲストを迎えておしゃべりをするトーク番組です.ゲストの「思い出の曲」などを訊き出して流します.今朝は伊東四郎がゲストでキャンディーズの「年下の男の子」を挙げていました

今日午後3時半から地上波NHK1チャンネルで「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」の再放送があります.1日に見逃した人はチャンスです 今日はコンサートを2つハシゴしてきます.3時から新宿3丁目で一つ聴いて,溜池山王に移動して6時からもう一つ聴きます

 

 

 

 

 

 

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ことし期待するピアニスト河村尚子を聴くぞ!

2012年01月06日 06時41分49秒 | 日記

6日(金).昨日は社員揃って9階クラブで新年恒例の昼食会をやりました といっても,風邪で2人が欠席というちょっと寂しい食事会でした 夕方は地下1階の串焼きRで,6時半までという約束で同店アルバイトのM嬢と話をしながらS監査役,E部長,K君と飲みました.で乾杯した後,昨年残した新潟銘酒「きりんざん」を空けて,ちょうど1時間経ったので解散しました.新年早々から約束どおりの時間に解散したのは”奇跡”と言っても過言ではありません E部長がくしゃみ連発(花粉症?)だった,という事情もありましたが

 

  閑話休題  

 

いつもtoraブログにコメントを寄せてくれているコッコさんが「昨年印象に残ったピアニスト」としてクララ・ハスキル国際コンクールで第1位になった河村尚子(ひさこ)さんの名前を挙げていました 今まで一度も彼女の演奏を聴いたことがなかったので、彼女の出演するコンサートを探して、早速チケットを入手しました

彼女が第1位になったコンクールの冠になっている「クララ・ハスキル」はルーマニア出身、LP時代から大好きなピアニストの一人で、とくにモーツアルトの後期の「ピアノ協奏曲」や、アルチュール・グリュミオ―と組んだモーツアルトとベートーヴェンの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」などは絶品です。中でもイゴール・マルケヴィッチ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団と組んだモーツアルトの「ピアノ協奏曲第20番二短調K.466」の演奏は、この曲のベストだと思います  彼女の演奏はLPとCDでかなりの数を揃えています

 

       

 

さて、買い求めたチケットの1枚は3月7日(水)にトッパンホールで開かれる「河村尚子ピアノ・リサイタル」です オール・プロコフィエフ・プログラムで、「ピアノ・ソナタ第2番」、「同第6番”戦争ソナタ”」ほかを演奏します。もう1枚は3月12日(月)に紀尾井ホールで開かれる「4大ピアノ・トリオを聴く・第2夜」で、①ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番”ドゥムキ―”」、②チャイコフスキー「ピアノ三重奏曲イ短調”ある偉大な芸術家の思い出に”の2曲で、共演はヴァイオリン=佐藤俊介、チェロ=堤剛です。ソリストとしてどういう演奏をするのか、アンサンブルの中でどういう表現をするのか、この耳でしっかり聴いてこようと思っています

せっかく「チケットぴあ」に行ったので、ついでに2月27日(月)に開かれる「4大ピアノ・トリオを聴く・第1夜」のチケットも買いました。こちらは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番”大公”」②メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番二短調」で、ヴァイオリンを佐藤俊介、チェロを鈴木秀美、ピアノをクリスティーネ・ショルンスハイムが演奏します 昨年12月8日に聴いたフォーレ四重奏団によるメンデルスゾーンの「ピアノ四重奏曲第2番へ短調」第4楽章フィナーレがすごく良かったので、どちらかと言えばメンデルスゾーンの短調の魅力をじっくり味わってきたいと思います

 

            

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ストラディバリウスも現代のヴァイオリンも大差ない?

2012年01月05日 07時31分48秒 | 日記

5日(木)。昨日は仕事始めで、恒例により年始の挨拶に見えるお客様にお神酒を飲んでいただきました 。紙コップに2センチくらい注ぐのですが、その都度、こちらもいっしょに付き合うので、昨日だけでコップ1杯分くらい飲んだことになります。昼間のお酒は効きます

昨日のネット上の「ヨミウリ・オンライン」に「バイオリン名器の音色、現代モノと大差なし?」というニュースが載っていました

「何億円もすることで有名なバイオリンの名器「ストラディバリウス」や「ガルネリ」は、現代のバイオリンと大差ないとする意外な実験結果を仏パリ大学の研究者らが3日、米科学アカデミー紀要で発表した。研究チームは2010年、米インディアナ州で開かれた国際コンテストに集まったバイオリニストに協力してもらい、楽器が見えないよう眼鏡をかけたうえで、18世紀に作られたストラディバリウスや、現代の最高級バイオリンなど計6丁を演奏してもらった。どれが一番いい音か尋ねたところ、安い現代のバイオリンの方が評価が高く、ストラディバリウスなどはむしろ評価が低かった。研究チームは”今後は、演奏者が楽器をどう評価しているのかの研究に集中した方が得策”と、名器の歴史や値段が影響している可能性を指摘している」

 これが本当なら、今までの常識を覆す”新説”になります 私は数年前にCD中心主義からライブ中心主義に転換しましたが、CDはいい意味でも悪い意味でも加工が可能だからです。たしかに、演奏に”キズ”があれば、そこだけ録り直して前後と繋げるなり、音を修正したりした方が、繰り返し聴くのにはいいでしょう。しかし、そうした行為からは演奏者の演奏にかける”熱意”が伝わってきません

方針転換してから、かなりの生演奏を聴いてきました。もちろんストラディバリウスによる演奏も何度も聴いてきました その上で言わせてもらえば、ストラディバリウスは弱音でも会場の隅々まで美しい音が行き渡ります。強く弾いても音が濁らず美しく響きます。だから、このニュースは,にわかには信じられないのです

ただ、こういうこともありました。数年まえ、子どもたちが見ていたテレビ番組をたまたま見た時のことです。その番組は、目隠しをしたタレント達に、パーテーションの向こう側で弾いているヴァイオリンのうち、どちらが本物のストラディバリウスかを当てさせる企画でした。同じメロディーを2丁のヴァイオリンが奏でて当てさせるわけです

その時のタレント達は半々ぐらいの割合で当てていました。が、私は確信をもっていたのですが、見事に外れました ”えっ、本当なの?”という感じでした。ストラディバリウスの音を疑う訳にもいかないので、”わが耳も当てにならないものだなあ”と自信を失ってしまいました

しかし、さきのニュースの内容が正しければ、わが耳も満更ではないことになります。それと,テストに協力した「国際コンテストに集まったバイオリニスト」が普段からストラディバリウスを弾いているかどうか,あやしいと思います.ストラディバリウスはプロでも弾きこなすのに相当苦労すると聞いているので,その場で渡されてすんなりと自分の出したい音が出せるのか非常に疑問に思います

そうしたことをいろいろと考えると,いったいどっちが本当なのか、すごく気になってきます

 

 

 

 

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恩師からの便り~中学時代・陸上部顧問からの年賀状

2012年01月04日 06時27分19秒 | 日記

4日(水).早いもので,もう正月休みは終わり,今日は仕事始めです.あらためて気を引き締めていきたいと思います

昨日は,家族そろって品川の義理の父母の家にお年始に行きました.毎年2日は狭山,3日は品川と決まっています.午前11時過ぎにJR品川駅から五反田方面へ歩きました.いつものように歩道で大学対抗箱根駅伝の応援団が”のぼり”と”旗”を持って,走ってくる選手を待ち構えていました.結果的には東洋大学が去年の雪辱を果たして圧倒的な強さで優勝しましたが,それにしても,柏原君の4年連続区間新記録はすごいですね

品川の家ではビールで乾杯,あらためてスパークリング・ワインで乾杯,再び日本酒で乾杯をして,沢山のおせちをいただき満腹になりました.その後,新年恒例のコリントゲーム(パチンコみたいなゲーム)を5人で3番勝負やって,息子がダントツの1位,娘が2位で,私が例年通り最下位でした 

 

  閑話休題  

 

毎年やりとりしている年賀状の相手に中学時代の陸上部の顧問だったF先生がいます.東京オリンピックが中2の時に開催された,そんな時代でした.当時のN中はグランドが石ころだらけで,トラックを走るのに苦労しました.それを,F先生が先頭に立って,グランドをスコップで掘り返し金網で梳いて,柔らかい土だけになるようにグランド整備をしたのです.陸上部の練習の一部の時間はその作業に割かれ,とにかく”走れるグランド”にするために作業を続けました.我われ生徒が帰った後も,F先生は一人黙々とグランド整備に取り組んでおられました

そうした日々の努力もあって,我らN中陸上部はS市の中では短距離も,長距離もトップクラスに位置することができましたその頃の私の成績は100メートルが12秒3で,200メートルが26秒0で,市内ではトップでした

その後,F先生はあちこちの学校で教壇に立ち,教頭まで昇って定年退職されましたが,中学時代の熱心な姿に感動して,教師になった仲間もいます.ひとにやって欲しいことを「やれ」というのではなく,自ら態度で示し,背中で語った教師でした

我われが中学校を卒業してからも,突然,わが家に現れて「〇年〇月〇日の試合の100メートル決勝の時の記録は何秒だった?」と訊くのです.理由を尋ねると「あの頃の陸上部が私が顧問をした中で最高のメンバーだった.いま,その頃のアルバムを作っている.そのためのデータを集めている」と言うのです こちらも日記を付けている訳でもないので「覚えていません.申し訳ありません」と謝るしかありませんでした.そうしたことが3~4回くらいありました.それから数ヵ月後,手作りの立派なアルバムが届けられました.われわれが在籍した3年間の記録とともに,生徒一人一人についてコメントが書かれていて,当時3年生だった我われの学年については「彼らのいいところは後輩に対して決して威張らないところだった」とありました.「アルバム代を」と申し出ると「受け取れない」と言って決して現金を受け取りませんでした 父親は「あんな立派な先生はどこにもいない」と涙を流さんばかりでした.もちろん私も同じ気持ちでした

そのF先生からの年賀状にこうありました.

「N中陸上部員の中で,今も交信しているのは,Y君,Mさん,Yさんぐらいになってしまいました」

なんとなく寂しさが滲み出ているようで,申し訳ない気持ちになりました 先生には昨年暮れに出した年賀状に,せめて当方の様子が分かってもらえるようにと,このブログのアドレスを書いておきました.読んでくれると嬉しいのですが

 

              

                 〔F先生からの年賀状〕

 

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