21日(土)。わが家に来てから601日目を迎え、季節外れのヒーターにキックボクシングの試合を挑むモコタロです
もういい加減に引っ込んだらどうだい ヒーターなんていらないだろ
閑話休題
昨日、夕食に「ハンバーグステーキ」と「生野菜サラダ」を作りました ジャガイモとニンジンはいつも通り皮付きです
池袋西武地下のいつものコーヒーショップで新しいコーヒーを挽いてもらいました 今度は「エルサルバドルCS」です
も一度、閑話休題
昨日、新宿ピカデリーで、METライブビューイング ドニゼッティ「ロベルト・デヴェリュー」の座席指定を取ってきました 来週水曜日午前10時開演の部です。いつも通り左ブロック後方の右通路側席を押さえました 今年度のMETライブビューイングもこの作品と、リヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」の2作品を残すのみとなりました
最後の、閑話休題
昨日、初台の東京オペラシティコンサートホールで「アンサンブル・アフタヌーンVol.2~音楽で夢みる午後」公演を聴きました プログラムは①バッハ「ゴルトベルク変奏曲」より「アリア」、②ドビュッシー「月の光」、③ショパン「幻想曲」、④モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲K.423」、⑤サン=サーンス「白鳥」、⑥ラフマニノフ「ヴォカリーズ」、⑦フォーレ「夢の後に」、⑧ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」です 演奏は、ヴァイオリン=成田達輝、ヴィオラ=川本嘉子、チェロ=長谷川陽子、ピアノ=練木繁夫です
当初、チェロは趙静の予定でしたが、体調不良につき長谷川陽子が代演することになりました。それに伴って演奏曲目が一部変更になりました
自席は1階16列23番、右ブロック左通路側席です。会場は後方がかなり空いていますが、ウィークデーの真昼間ですから、これが普通なのでしょう
最初にピア二ストの練木繁夫がマイクを持って登場し挨拶します
「私はピアノが本職で、しゃべるのは苦手なのですが、お前しゃべれと言われたのでお話しいたします 本日のコンサートは”夢”がキーワードになっています。最初に私の演奏で3曲続けて演奏します」
そして、最初にバッハ「ゴルトベルク変奏曲」から「アリア」を演奏します この曲は不眠症に悩んでいたカイザーリンク伯爵に仕えていたチェンバロ奏者のゴルトベルクが、伯爵の眠れない夜を慰めるための曲を書いてほしいとバッハに依頼したことから作曲されたものです 「アリア」は曲の冒頭と最後に演奏される”主題”です。練木のピアノで「アリア」を聴いていたら、「これなら落ち着いて安眠できるかもしれない」と思いました。また、「バッハの時代、ピアノはまだ存在していなかったのでチェンバロで演奏した。眠気を誘うにはチェンバロの方がベターかも知れないな」「同じピアノでもグレン・グールドの演奏で聴いたら全然眠れず恒常的な不眠症に陥るだろうな」などと勝手に想像していました
次いで演奏されたドビュッシー「月の光」は湖面に映る月が波に揺られているようなイメージが広がります 次いで演奏されたショパン「幻想曲」は、「雪の降る街を~」と歌い出したくなるほど、冒頭のメロディーが中田喜直作曲の「雪の降る街を」にそっくりです 全体的には幻想的な曲想です
次に成田達輝のヴァイオリン、練木繁夫のピアノでサラサーテ「カルメン幻想曲」が演奏されました この曲は、あの有名な「ツィゴイネルワイゼン」と並ぶサラサーテの代表曲で、ビゼーのオペラ「カルメン」から「ハバネラ」「トゥ・ラララ」「セギディーリャ」「ジプシーの歌」などのメロディーを超絶技巧ヴァイオリンによって演奏するものです 成田はストラディヴァリウスとガルネリ・デル・ジェスを貸与されているので、どちらかのヴァイオリンで演奏したはずですが、確かな実力に裏付けられた演奏と相まって、美しくも逞しい音楽が会場の隅々まで届けられました
前半の最後は成田達輝のヴァイオリン、川本嘉子のヴィオラによりモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲K.423」が演奏されます この曲はモーツアルトが27歳の時の作品ですが、同系列の弦楽器2本の組み合わせとは思えないほど、ニュアンスに富んだ技巧的な曲です 若い成田は大先輩の川本と互角の演奏を繰り広げ、あまり知られていないこの曲の魅力を引き出しました
休憩を終え、代演の長谷川陽子と練木繁夫がマイクを持って登場、長谷川が挨拶します
「ロビーで販売しているフランス菓子をいただきましたが、甘い物が大好きなので、美味しくいただきました 皆さん、休憩時間に召し上がられましたか?よろしかったらお帰りの際にお買い求めください」
と、この「アフタヌーン・コンサート」で恒例になっているらしい”今日のおやつ”をPRしたうえで、これから演奏する3曲について簡単に解説しました プロですからコンサートの協賛企業の商品のPRについての要望には応えざるを得ないのでしょう。それに、本当に甘い物が好きそうだし それにしても、この人はトークがとても上手で、場慣れしている様子です その間、練木はマイクを持って立ちすくんでいました
長谷川は練木のしっかりしたサポートのもと、サン=サーンス「白鳥」、ラフマニノフ「ヴォカリーズ」、フォーレ「夢の後に」を続けて演奏しました 3曲ともチェロの音色を生かした特有の響きを堪能するのに相応しい曲です 会場いっぱに響き渡るチェロの音色にうっとりします
最後の曲の演奏に備えて、プロによってピアノの位置が変更されます。練木が語ります
「今度の演奏曲目に合わせて、いまピアノの位置を変えてもらっています。ピアノの車輪が5ミリ違っただけで会場で聴く音が変わってしまいます。いま変更した位置は、リハーサルの時に ピアノが一番響きやすい位置として”位置決め”しておいた場所になっています」
そして、ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」の演奏に入ります ピアノを奧にして、左から成田、長谷川、川本という並びです。
この曲は3曲のピアノ四重奏曲の最初の曲で、1861年(ブラームス28歳の時)に完成しました 4つの楽章から成ります。第1楽章冒頭は、”いかにもブラームス”といった曲想です。4人の演奏を見ていて気が付いたのは、センターに位置する長谷川が演奏するたびに身体を左右に大きく揺らしているのに対し、右サイドの川本はほとんど姿勢を崩さずに演奏していることです
あんなに身体を左右させて、楽譜が読めるのかな・・・・などと要らぬ心配をしている時、会場の中央後方で「ピカッ」と光りました。誰かがフラッシュを焚いて写メしたのではないかと思われます あるいは誤ってシャッターを押してしまったのかも知れません。こういうのをシャッター・アウトと言います どちらにしても、これは文化国家では考えられないことです 本番の演奏の最中にフラッシュを焚くなど、非常識以前に大バカモノもいいとこです こういうヤカラは足をコンクリート詰めにして東京湾に沈め、もとい、国立科学博物館に展示しておくべきです。標題は言うまでもなくは「日本の恥」です
気を取り直して 成田のヴァイオリンはもちろんのこと、長谷川のチェロ、川本のヴィオラは素晴らしく、それを支える練木のピアノも冴えていました とくに第4楽章「ジプシー風ロンド」は文字通り”プレスト”の白熱の演奏で、”協演”ではなく”競演”と呼ぶのが相応しい”バトル”が展開しました 久しぶりにこの曲を聴きましたが、あらためてブラームスの魅力が詰まった名曲だと思いました