人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでプッチーニ「蝶々夫人」を観る~クリスティーヌ・オポライスにブラボー!

2016年05月11日 07時44分29秒 | 日記

11日(水)。わが家に来てから591日目を迎え、オヤツの途中で声をかけられ、「サインはオヤツが終わったらしてあげるから」と勘違い発言をしているモコタロです

 

          

             あちこちから声かけられて 人気者はつらいよ!

 

  閑話休題  

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、プッチーニの歌劇「蝶々夫人」を観ました  これは今年4月2日、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は、蝶々夫人にクリスティーヌ・オポライス(ソプラノ)、ピンカートンにロベルト・アラーニャ(テノール)、シャープレスにドゥウェイン・クロフト(バリトン)、スズキにマリア・ジフチャック(メゾソプラノ)ほか。指揮はカレル・マーク・シション、管弦楽はメトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出はアンソニー・ミンゲラです

 

          

 

主役のオポライスと相手役のアラーニャは、前回のライブビューイング、プッチーニ「マノン・レスコー」でマノンとデ・グリューを歌ったのに次いで タッグを組むことになります 前回はデ・グリュー役のカウフマンが出演できなくなり急きょアラーニャが代役を務めたのでした

「蝶々夫人」はプッチーニが1901から03年にかけて書いたオペラで、1895年(明治28年)頃の長崎を舞台に、アメリカ人の海軍士官ピンカートンと結婚した日本人女性、蝶々さんの悲劇を描いた作品です

プッチーニは、1900年にロンドンで上演されたこの劇を観て感激し、オペラ化を決意したといいます 当時の日本大使夫人・大山久子に会い、彼女から日本の民謡のレコードや楽譜を借りたり、日本の風俗や生活習慣を聞いたりして日本について熱心に調べたと言われています オペラの中では「宮さん宮さん」などの歌が歌われるなど、その成果が反映されています

アンソニー・ミンゲラ(2008年没)による演出は10年前の2006年にMETに初めてお目見えしましたが、極めて日本の様式を意識した舞台作りになっています 舞台上にはいっさい建物は無く シンプルそのもので、高さ2メートルくらいの幅広の障子が何枚か用意され、左右に動き、空間を演出します 人物に目を移すと、蝶々さんこそ日本髪を結っていませんが、他の女性は日本髪のカツラを被っています。和服は良いとしても、どうも西欧人の日本髪スタイルというのは見慣れないせいもあって落ち着きが良くありません しかし、これは仕方のないことです

他の演出と大きく異なるのは、蝶々さんの子どもを ”文楽”のような人形にして3人の黒子が動かしていることです 子どもの顔は変わらないのに局面によって表情が変わって見えるのは人形遣いの為せるワザでしょう また、蝶々さんにしつこく求婚するヤマドリは、まるで歌舞伎役者のいで立ちです

第1幕の終盤でピンカートンと蝶々さんが歌う「愛の二重唱」は感動的な熱唱でしたが、上空から舞い降りてくる無数の紙片の蝶々が二人の熱唱に彩りを添えていました

第1幕が終わった後の休憩時間のインタビューで、D.ボイトがアラーニャに

「第2幕ではピンカートンの出番がないけれど、第3幕に向けて集中力を維持するのが大変じゃない?」

と訊くと、アラーニャは

「そう、大変なんですよ。別のオペラの練習をしなければならないからね

と答えます。ボイトが驚いて

「第3幕の練習じゃなくて別のオペラの練習をするの?」

と訊くと、

「そう、ドビュッシーの『放蕩息子』を歌うんで、歌を覚えなきゃいけないんだよ

と答えていました。ボイトも心の底から驚いていましたが、METの看板歌手は凄まじいですね。本当にました。

第2幕では、いよいよ蝶々さんのアリア「ある晴れた日に」が聴かれます オポライスは声に力がある美しいソプラノであるばかりでなく、演技力が並大抵ではありません 蝶々さんに成りきって演じ、歌っているのが伝わってきます。蝶々さんは2014年にMETでロール・デビューして絶賛を博した役柄であるだけに、自信を持って歌っているように見えます

アラーニャは輝くテノールです。この人の歌と演技は安定感があります 前回のマノン・レスコー同様、オポライスとの二重唱は息がピッタリでした

シャープレスを歌ったドゥウェイン・クロフトはニューヨーク生まれですが、深みのあるバリトンで”真面目な”シャープレスを”真面目に”歌い、演じていました また、スズキを歌ったマリア・ジフチャックもニューヨーク生まれですが、出演者の中で一番日本髪のカツラが似合っていました 歌ばかりでなく、顔の表情だけで演技が出来るベテランの味を醸し出していました

”泣かせるオペラ”蝶々夫人を管弦楽で盛り立てた英国出身のカレル・マーク・シションの指揮するメトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏にも大きな拍手を送ります

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

来シーズンのMETライブビューイングのラインナップが決定しました 上演日でいうと2016年10月8日から2017年5月13日まで、全10演目です モーツアルト=2作品(ドン・ジョバンニ、イドメネオ)、ヴェルディ=2作品(ナブッコ、椿姫)で、あとはワーグナー「トリスタンとイゾルデ」、カイヤ・サーリアホ「遥かなる愛」(初めて見る作曲家・演目)、グノー「ロメオとジュリエット」、ドヴォルザーク「ルサルカ」、チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」、リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」というラインアップです

個人的に注目しているのは、クリスティーヌ・オポライスがタイトルロールを歌う「ルサルカ」、アンナ・ネトレプコがヒロインのタチアーナを歌う「エフゲニー・オネーギン」、ルネ・フレミングが当たり役の元帥夫人マリー・テレーズを歌う「ばらの騎士」の3演目です また、指揮者としてはワーグナー「トリスタンとイゾルデ」を振るサイモン・ラトル、ヴェルディ「椿姫」を振る二コラ・ルイゾッティが面白いと思います

 

          

 

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ヤルヴィ+N響によるマーラー「千人の交響曲」のチケットを買う/映画「グランドフィナーレ」を観る

2016年05月10日 08時12分41秒 | 日記

10日(火)。わが家に来てから590日目を迎え、新しいミニ・ウサチャンにチョッカイを出して 白ウサチャンにソッポを向かれているモコタロです

 

          

          こういうのを三角関係と言うのかな? 2匹に片思いと言うのかな?

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「豚肉のアスパラ巻き焼き」と「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました 現在、4月から無職の娘が週2回、私が週3回料理を作っています。土・日の料理はお休みです

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日は、N響90周年記念特別演奏会「マーラー『交響曲第8番変ホ長調”千人の交響曲”』」のチケットの一般発売開始日でした さっそく解禁の午前10時にN響ネットにアクセスしましたが、すでに4月19日からのN響会員先行発売で良い席は大方取り尽くされていて、S席では1階は後方か左右の端、2階も後方か端くらいしか空いていませんでした。千人の交響曲を聴くのであれば、演奏者を全体的に俯瞰できる2階席がベターだろうと判断し、2階11列の出来るだけセンターに近い席を押さえました。それにしてもパーヴォ・ヤルヴィの人気は凄いものがありますね

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日、シネ・リーブル池袋でパオロ・ソレンティーノ監督「グランドフィナーレ」を観ました イタリア、フランス、スイス、イギリス合作の124分の映画で、原題は「YOUTH」です

世界的に名を馳せた英国人音楽家フレッド(マイケル・ケイン)は、作曲も指揮も引退し、ハリウッドスターやセレブが宿泊するアルプスの高級ホテルで優雅なバカンスを送っていた 長年の親友で映画監督のミック(ハーヴェイ・カイテル)も同じホテルに滞在しているが、生涯現役にこだわる彼は、若いスタッフたちと新作映画の構想に没頭している そんな中、英国女王からフレッドに、彼が作曲した「シンプル・ソング」を指揮してほしいという依頼が舞い込む しかし、フレッドは”私的な理由”で頑なに断り続ける。彼はその理由を娘のレナ(レイチェル・ワイズ)にも隠していた しかし、ついに彼は決断し、女王を含めた観客の前で「シンプル・ソング」を指揮する

 

          

 

率直な感想を書きます。期待していたものとはまったく異なる内容の映画でした 上のチラシを見ていただきたい。まるでオペラ劇場のような建物の前を歩く老音楽家。下の小さいコマには指揮者とヴァイオリニストの姿が。これを見ただけで、"だれもが知っている"有名なクラシック音楽の、それが器楽でも声楽でも、一つや二つは映画の中で流れるのではないか、と思うはずです しかし、期待は見事に外されます 映画を観た後で この映画の公式サイトで使用音楽一覧を見たら、メルカダンテ、ドビュッシー、ストラヴィンスキーという作曲者名が出てきましたが、映画を観ている間、いつ 誰のどういう曲が流れたのか まったく気が付きませんでした 「グランドフィナーレ」という日本語のタイトルに惑わされた面があるかも知れません ストラヴィンスキーと言えば、夫婦の墓とともに「インテリは趣味が悪い。それが分かって以来 インテリにならないように努力して成功した」という彼の言葉が紹介されていました

また、この映画では本物のクラシック演奏家が二人登場します 映画の終盤でオペラ劇場のような会場でフレッドがオーケストラを指揮して自作「シンプル・ソング」を演奏しますが、その時にヴァイオリンを独奏したのはロシア出身のヴァイオリニスト、ヴィクトリア・ムローヴァで、ソプラノを歌ったのは韓国出身のソプラノ歌手スミ・ジョーです 彼女は1980年代の終わりころにヘルベルト・フォン・カラヤンに見い出され 世界のクラシック音楽界に名前を知られるようになりました ムローヴァの演奏は生で聴いたことがありませんが、スミ・ジョーのソプラノは十年以上前にサントリーホールでリサイタルを聴きました 素晴らしいドラマティック・ソプラノです 二人のCDは確かに持っていますが、どこにあるのか不明です ちょっと探す努力をしてみましたが、4000枚から探し出すのは困難で、とうとう出てきませんでした

話は変わりますが、映画の前半で、腹の出た肥満男がプールで呼吸困難になるシーンがあります 彼の背中に描かれていた髭モジャの顔はブラームスのようでもあり、カール・マルクスのようでもあり、キューバのカストロのようでもあり、判別がつきませんでしたが、監督が肥満男のモデルとしたのはアルゼンチンの往年のサッカー選手ディエゴ・マラドーナだということです どうやらソレンティーノ監督はマラドーナに特別の思い入れがあるようです

この映画は、クラシック音楽ファンとしては期待外れでしたが、「老いと若さ」「限りある時間をいかに生きるか」といったことを考えさせられた、という意味では予想外の収穫がありました

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ヘンシェル弦楽四重奏団でモーツアルト「弦楽五重奏曲第3番K.515」他を聴く~東京藝大奏楽堂

2016年05月09日 07時08分38秒 | 日記

9日(月)。わが家に来てから589日目を迎え、オヤツが欲しくてウィンクしているモコタロです

 

          

              ウィンクじゃなくて 目にゴミが入ったんだよォ~

 

  閑話休題  

 

昨日、上野の東京藝大奏楽堂で「~ドイツ正統派クァルテット~ヘンシェル弦楽四重奏団を迎えて」を聴きました プログラムは①モーツアルト「弦楽五重奏曲第3番ハ長調K515」、②ヒナステラ「弦楽四重奏曲第1番」、③シューマン「ピアノ五重奏曲 変ホ長調」です 演奏はヘンシェル弦楽四重奏団、ヴィオラ=渡部咲耶、ピアノ=矢野雄太です

 

          

 

午後2時開場、3時開演で全席自由ですが、開演に先立って2時25分から藝大大学院生による「プレトーク」があるので、1時50分には会場に着きました 幸い1階12列13番、センターブロック左通路側が取れました プレトークでは、2曲目に演奏されるヒナステラの弦楽四重奏曲を中心に解説がありました 「アルゼンチン生まれのヒナステラは、8分の6拍子の「マランボ」のリズムを取り入れて作曲したが、作曲者が若い時代にストラヴィンスキーとバルトークを聴き、結果的に作曲活動に影響を受けた」という内容でした

ロンドンの王立音楽カレッジに学んだ双子のヴァイオリン奏者、クリストフとマルクス、ヴィオラのモニカのヘンシェル姉弟が、1994年にデンマーク王立音楽院アカデミー出身のチェリスト、マティアス・バイヤー=カルツホイとともに弦楽四重奏団を結成したのが、現在のヘンシェル弦楽四重奏団の出発点となりました  2011年から、病気で海外遠征が困難になったマルクスに代わってベルリン・フィルのヴァイオリン奏者だったダニエル・ベルが加わり現在に至っています

東京藝大の澤和樹学長がプログラムの巻頭言に「サラブレッドからの転身」というタイトルでヘンシェル弦楽四重奏団について書いています。超訳すると

「ヘンシェル弦楽四重奏団に初めて出会ったのは1991年の夏、ロンドンで行われたアマデウス・クァルテットによるセミナーだった 双子の兄弟が揃って1720年製のストラディヴァリウスのヴァイオリンを弾き、ヴィオラのモニカもグァルネリの名器を操っていた 彼らの父親はシュトゥットガルト放送交響楽団の首席ヴィオラ奏者、母親はピアノやチェンバロ奏者として名を馳せた女性で、彼らは子供の頃から、アマデウス・クァルテットのメンバーや、指揮者のチェリビダッケが自宅に寝泊まりするという環境で育った

ということです。これを見る限り、クラシックの演奏家としては理想的な家庭環境の中で育ったと言えるでしょう。こういう人たちに勝てますか

1曲目のモーツアルト「弦楽五重奏曲第3番K.515」は、弦楽四重奏にヴィオラを加えるというザルツブルクの先輩作曲家ミヒャエル・ハイドン(有名なフランツ・ヨセフ・ハイドンの5つ下の弟)に倣って、1787年春(31歳の時)に作曲したものです 4つの楽章から成りますが、第2楽章と第3楽章のメヌエットとアンダンテの順序は初版と自筆稿(新全集)との2通りあり、この公演では初版のメヌエット、アンダンテの順番で演奏されます

ヘンシェル弦楽四重奏団とヴィオラの渡部咲耶が登場し、配置に着きます。向かって左からダニエル・ベル、クリストフ・ヘンシェル、渡部咲耶、モニカ・ヘンシェル、マティアス・バイアー=カルツホイの態勢を取ります 女性陣はブルー系の衣装です。このクァルテットは曲に応じて第1ヴァイオリンが変わるとのことですが、この曲ではダニエル・ベルがファーストを担当します

全体を通して演奏を聴いた感じでは、第1ヴァイオリンのダニエル・ベルが強い個性で他の3人をリードするというよりは、4人がバランスの取れた演奏に終始していたように思います ただ、1つだけ強く印象に残ったのは、第3楽章「アンダンテ」におけるヴィオラのモニカ・ヘンシェルの何気ないけれど凄い演奏です。ほとんど力を入れず軽く演奏してのに、美しく良く響く音で、4人の中で際立っていました 別の言葉で言えば「最小限の力で最大限の音楽を表現」していました

2曲目のヒナステラ「弦楽四重奏曲第1番」は、1948年に作曲された彼の中期(主観的国民主義期)の作品で、アルゼンチンの草原パンパに暮らしたガウチョ(プレトークの解説によると”アルゼンチンのカウボーイ”)の踊りである”マランボ”を象徴する音楽を中心に展開します 基本的には「テーマの反復からくる旋律の構成」によって熱狂的に演奏されます

この曲ではクリストフ・ヘンシェルが第1ヴァイオリンを務めますが、曲を聴く限り「プレトーク」の解説にあった通り、バルトークとストラヴィンスキーの音楽を彷彿とさせる作品です バルトークがハンガリー民謡を素材に使った代わりに、ヒナステラはマランボを使ったということです。刺激に満ちた演奏でしたが、第1楽章ではモニカ・ヘンシェルのクールな演奏が、第3楽章ではマティアス・バイアー=カルツホイの抒情的な演奏が印象に残りました

 

          

 

休憩後はシューマンの「ピアノ五重奏曲 変ホ長調」です。この曲は1842年秋(作曲者32歳)に完成されましたが、シューマンの名声を世に知らしめた作品となりました

ヘンシェル弦楽四重奏団の4人とピアノの矢野雄太が登場し、配置に着きます。矢野は東京藝大大学院修士課程2年在学中です この曲もクリストフ・ヘンシェルが第1ヴァイオリンを務めます。全4楽章から成りますが、まさにロマン溢れる曲想です 第1ヴァイオリンを中心に熱演が繰り広げられますが、矢野が4人によく溶け込んで演奏していました とりわけ第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」における5人の集中力は見事なもので、シューマンのロマンを堪能できました

こういう一流の演奏が3,000円で楽しめるのですから、東京藝大が主催する一連のコンサートは見逃せないのです この日は7割くらいの入りだったと思いますが、もったいないと思います

 

          

 

ということで、この機会に東京藝大主催の格安コンサート・無料コンサートを日付が近い順にご紹介しておきます。なお、会場はいずれも上野の東京藝大奏楽堂で、全席自由です

 

①5月15日(日)正午から「サティとその時代~世紀末からベル・エポックへ」 第1回「今日は一日、サティの日」 ※入場無料。

 

          

 

②6月25日(土)、10月22日(土)、11月6日(日)「サティとその時代~世紀末からベル・エポックへ 第2回~第4回」。入場料=@3,000円。2回セット券=5,000円、3回セット券=7,500円。

 

          

 

③5月22日(日)午後3時から 「東京藝大音楽学部ホームカミングデイ第2回」 入場料=3,000円。

 

          

 

④5月26日(木)午後7時から 「藝大シンフォニーオーケストラ第54回定期演奏会」 入場料=1,500円。

 

          

 

⑤5月28日(土)午後3時から 「東京藝大室内楽講座コンサート」 ※入場無料。

 

          

 

⑥6月3日(金)午後7時から 「リゲティ没後10周年コンサート」 入場料=3,000円。

 

          

 

⑦6月5日(日)、10月16日(日)午後3時から 「ハイドンとモーツアルト第1回、第2回」 入場料=@3,000円、セット券=5,000円。

 

           

 

⑧6月10日(金)午後7時から 「藝大フィルハーモニア第376回定期演奏会」 入場料=3,000円。

 

          

 

⑨6月11日(土)午後3時から 「藝大シンフォニーオーケストラ プロムナードコンサート10」 ※入場無料。

 

          

 

⑩6月18日(土)午後3時から 「東京藝大チェンバーオーケストラ第27回定期演奏会」 入場料=1,500円。

 

          

 

いずれも詳細は東京藝大のホームぺージでご確認ください ちなみに私の場合、6月は「サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン」で同ホールの「ブルーローズ」に連日通うので、ほとんど聴きに行けないのが残念です

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「パリ3区の遺産相続人」「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」を観る

2016年05月08日 09時01分05秒 | 日記

8日(日)。わが家に来てから588日目を迎え、待望のオヤツをもらい安心しているモコタロです

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「パリ3区の遺産相続人」と「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」の2本立てを観ました

「パリ3区の遺産相続人」は2014年 イスラエル・ホロヴィッツ監督によるイギリス・フランス・アメリカ合作映画です

マティアスは、亡き父親が残してくれたパリの高級アパートを売り払って人生をやり直したいと、有り金はたいてニューヨークからパリにやってきたが、誰もいないはずの家には見知らぬ92歳の老婦人マティルドと娘クロエが住んでいた 事情を訊くと、住宅ローンの代わりに売主に毎月年金を払う「ヴィアジェ」という独特の売買システムで、老婦人が死なない限り家は自分のものにならない契約になっていることが分かる 遺産を巡って出会ったことをきっかけに、長年秘められてきたマティルドとマティアスの父親との関係が明らかになり、亡き父親が残したメッセージが理解される

 

          

 

この映画を観るまで、フランスには「ヴィアジェ」という独特の不動産売買システムがあることを知りませんでした マティアスは、父親が自分に相続として残した物件が、まさか一種の住宅ローンとして毎月一定金額を返済しなければならない”負の物件”とは思っても見なかったでしょう

ところで、この映画では1曲だけクラシック音楽が使われていました 映画の終盤で、マティアスがセーヌ川の畔を歩いているとき、音楽大学の女子学生でしょうか、モーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」の第1幕で歌われる「手を取り合ってそこへ行こう」を歌っているシーンです 彼女に合わせて、マティアスも加わり二重唱を歌います。これはドン・ジョバンニがマゼットのフィアンセ、ツェルリーナを誘惑する時の二重唱ですが、オペラでは、ドンジョバンニの「おいで、かわいい娘」の誘いに、ツェルリーナが遂に「私を許して、マゼット!」と応じて二人で去って行きます 映画では、二人は距離を置いて歌い、何事もなく別れます。なぜならマティアスの相手はクロエだからです クロエと言えば、モーツアルトの歌曲に「クロエに」という恋の歌がありましたが、これは偶然でしょうか

2本目の「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」は2014年 リチャード・ロンクレイン監督によるアメリカ映画です

画家のアレックスと妻ルースは街を一望できるニューヨーク・ブルックリンの最上階の5階の部屋で40年間連れ添ってきた  理想的なマイホームだが、唯一の欠点はエレベーターが無いことだった アレックスが5階まで階段で上がるのが年齢的にきつくなってきたため、ルースは愛する夫と愛犬のために住み慣れた部屋を売りに出すことになる 内覧希望者も殺到するが、前日に愛犬ドロシーが急病にかかり、近所でテロ騒動が勃発する。そんな大混乱の中、二人は新しい引っ越し先を求めて物件を見に出る。彼らは理想的な住居を見い出すことができるのか

 

          

 

アレックスを演じた黒人のモーガン・フリーマンとルースを演じたダイアン・キートンが味のある熟年夫婦を演じています それにしても、5階までエレベーターなしで階段を登るのはしんどい話です しかし、長年住み慣れた住居や土地を離れるのは、かなり勇気ある決断が必要でしょう そういう意味では、二人が出した結論は分かる様な気がします

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「コンサートという文化装置」等を買う/伊坂幸太郎著「ガソリン生活」を読む

2016年05月07日 08時14分35秒 | 日記

7日(土)。わが家に来てから587日目を迎え、ウサギのぬいぐるみで遊んでもらうモコタロです

 

          

            おい 顔を見せなきゃ ウサギって分からないだろーが!

 

  閑話休題  

 

昨日は、新宿ピカデリーに行き、METライブビューイング、プッチーニ「蝶々夫人」の座席指定を取ってきました 来週の10日(火)午前10時からの部です。ヒロインの蝶々夫人は、前回METライブでプッチーニ「マノン・レスコー」のタイトル・ロールを歌ったクリスティーヌ・オポライス(下のチラシの美人)が歌います

 

          

 

その後、池袋に出て、池袋西武の地下のいつものコーヒーショップでコーヒー豆を挽いてもらいました 今度のは「リッチビター」です。「ナッツやトーストのような香ばしい香りとダークチョコレートが持つリッチな苦味」と書かれています さあ、どんな味がするでしょうか

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

音楽関係の本を4冊買いました 1冊目は宮本直美著「コンサートという文化装置~交響曲とオペラのヨーロッパ近代」(岩波現代全書)です これは朝日新聞の広告を見て「超面白そう!」と思って飛びついた本です

 

          

 

2冊目は中川右介著「怖いクラシック」(NHK出版新書)です この本は、帯に書かれていた「クラシック音楽のメインストリームは、この世のダークサイドを感じさせる『怖い音楽』なのだ」という謳い文句につられて買ったものです

 

          

 

3冊目は近藤憲一著「指揮者の世界」(ヤマハミュージックメディア)です この本は、「指揮者って何者?」から、下野竜也ら現役指揮者、都響コンマス矢部達哉氏へのインタビュー、オーケストラ・マネジャーという仕事まで、指揮者にまつわる話題が盛り込まれているとのことで面白そうです

 

          

 

4冊目は萩谷由喜子著「クラシックの作曲家たち」(ヤマハミュージックメディア)です この本は 古くはヴィヴァルディから新しくはショスタコーヴィチ、ガーシュインまで、いわゆる”クラシックの作曲家”について、その人と生涯と作品とを簡潔に紹介した”入門編”のようです

 

          

 

それにしても、つい先日5冊買った本がまだ読み終わらないのに また買ってしまいました そもそも本屋さんに行かなければよいのですが、つい行っちゃうんですよね。それで気になるタイトルの本を見つけるとつい買っちゃうんですよね。オレは病気か

 

  も一度、閑話休題  

 

伊坂幸太郎著「ガソリン生活」(朝日文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎の作品はこのブログでも何冊かご紹介しましたね 念のため簡単にプロフィールを記すと、1971年千葉県生まれ、東北大学法学部卒業。2000年に「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューしました。その後、「アヒルと鴨のコインロッカー」「死神の精度」「ゴールデンスランバー」などを次々に発表し数々の文学賞を受賞しています

 

          

 

この作品は朝日新聞に連載されていた小説です

母親の望月郁子、長男・良夫、長女・まどか、次男・亨の4人家族に所有されている緑のデミオが主人公です 隣人のフランク・ザッパ好きの校長先生のカローラであるザッパから「緑デミ」と呼ばれる車 デミオの視点から一連の物語が語られます

のんきな兄・良夫と聡明な小学生の弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死したことから、いつの間にか望月一家は事件に巻き込まれていきます 女優を追ってた週刊誌の記者、亨に嫌がらせをするいじめっ子、まどかの恋人・江口君を恐喝する”怖い男”などが入り乱れて物語は予測もつかない方向に進んでいきます

この物語で、小さいけれど大きな存在感を占めるのが小学生の亨です 真面目だけれどおっとりした長男・良夫と比べ、頭脳明晰で機転が利く存在です 車同士がおしゃべりをするという視点はなかなかのアイディアです 事件の10年後を描いた「エピローグ」が何とも心温まります。ユーモア溢れる家族小説としてお薦めします

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」第3日目(5月5日)のレポート

2016年05月06日 08時37分55秒 | 日記

6日(金)。わが家に来てから586日目を迎え、背中に重い人生を背負ってしまったモコタロです

 

          

             おい これ 人生じゃないだろう ただのぬいぐるみだろうが どけてくれ!

 

  閑話休題  

 

昨日は東京国際フォーラムで開かれた「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」の第3日目=最終日でした この日は5公演聴きました

 

          

 

          

 

          

 

最初に聴いたのは12時15分から「ホールA」で開かれた「モーツアルトと自然~名手が奏でる春の協奏曲」(公演番号312)です プログラムは①モーツアルト「セレナード第13番ト長調K525”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”」、②同「ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K595」です 演奏は、ピアノ=小林愛美、リオ・クォクマン指揮シンフォ二ア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は1階36列51番、右ブロック左通路側です。シンフォニア・ヴァルソヴィアのうち弦楽セクションのみ23人が配置に着きます マカオ出身の指揮者リオ・クォクマンのタクトで1曲目のモーツアルト「セレナード第13番ト長調”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”」が開始されます 曲名の「アイネ・クライネ~」は「一つの小さな夜曲」という意味で、夜曲だから「あのね、暗いね~」ではありません この作品はモーツアルトの代名詞的な超有名曲ですが、実はどういう目的で書かれたのか不明です

若き指揮者クォクマンは軽快なテンポで音楽を進めます。モーツアルトはテンポが命です

弦楽器が拡大し、管楽器が加わり、ピアノがセンターに移動して、2曲目のモーツアルトの最後のピアノ協奏曲=第27番K595の演奏に備えます。ピアノ独奏は現在、フィラデルフィアのカーティス音楽院でマンチェ・リュウ教授のもとで研鑽を積む小林愛実(あいみ)です

空色の明るい衣装で登場した小林愛実がピアノに向かいます。クォクマンのタクトで第1楽章が開始されますが、ピアノはなかなか出てきません モーツアルトのピアノ協奏曲におけるピアノは”女王”的な存在なので、そうやすやすとは登場しません。一通りオケが序奏で地ならししてから、おもむろに登場します

小林のピアノは優しいタッチです。「曲がそういう曲想だから」と言えばその通りかも知れませんが、とにかくソフトなタッチで演奏します 一音一音の粒立ちがきれいです とくに第2楽章「ラルゲット」でその特徴が現れました。第3楽章は歌曲「春への憧れK596」と同じメロディーによるテーマが展開します この曲はモーツアルトの死の年の1月に書かれましたが、そこには死の影はまったく見えません。極めて純度の高い音楽です。小林愛実はそうしたことを意識してか、淡々と弾いていきます 素直な良い演奏でした

会場いっぱいの拍手に、得意のショパン「ノクターン第20番嬰ハ短調”遺作”」をアンコールに演奏し、拍手喝さいを浴びました 会場では老若男女を問わず様々な人が聴いていましたが、これを機会にクラシック人口が増え、ひいてはコンサートの入場料が少しでも下がればいいな、と思います

   

          

 

2番目に聴いたのは13時45分から「ホールC」で開かれた「ナチュールの旅~ローマからアンダルシアへ」(公演番号343)です プログラムは①ファリャ「バレエ音楽”三角帽子 第1組曲」、②同「同 第2組曲」、③レスピーギ「鳥」から「かっこう」、④同「交響詩”ローマの松”」です 演奏は田中延亮指揮桐朋学園オーケストラです

 

          

 

自席は1階16列15番、左ブロック右通路側です。学生たちが舞台に登場し、配置に着きます。弦楽器を中心に圧倒的に女性が多いオケです。コンマスも女性です

指揮をとる中田延亮(のぶあき)は京都生まれで、筑波大学医学専門群在学中に桐朋学園ソリスト・ディプロマコースに入学しコントラバスを専攻する傍ら、指揮も学び、欧州に渡り巨匠ジャン・フルネの最晩年の生徒として師事をしたという変わった経歴の持ち主です

1曲目はファリャ「バレエ音楽『三角帽子』第1、第2組曲」ですが、「三角帽子」は1919年の作品で、ストーリーは「粉屋の女房に横恋慕した代官が、散々な目に遭わされる」というものです。ティンパ二の連打で始まりますが、いかにもスペイン色豊かな音楽が展開します

次にレスピーギ「鳥」から第5曲「かっこう」が演奏されます。管楽器だけでなく弦楽器も「かっこう」の鳴きまねします

最後はレスピーギの交響詩「ローマの松」です。「ローマの松」で思い出したのが数日前の朝日朝刊の4コマ漫画「ののちゃん」です。こんな内容でした

藤原先生: 名曲鑑賞はモーツアルトの『リンツ』とかいうシンフォニーを聴きます。

男子生徒: 『とか』って言っちゃっても 感じ悪くないかなぁ。

ののちゃん: 藤原先生なら平気だよ。

女子生徒: 先生、これレスピーギの『ローマの松』です。

藤原先生: あら、ローマに松があるのね。

女子生徒: そっち!

さて、この曲は「ボルゲーゼ荘の松」「カタコンブ付近の松」「ジャ二コロの松」「アッピア街道の松」の4曲から成りますが、切れ目なく演奏されます

最初の「ボルゲーゼ荘の松」冒頭の演奏を聴いて、「凄いな」と驚きました。これが学生オケの音だろうか と。色彩感豊かで力強い演奏です それは第2曲目以降も同じで、弦も管も並々ならぬ実力の持ち主の集まりだと感じます 最後の「アッピア街道の松」の終盤で、指揮者の中田はトランペットとトロンボーン奏者を立たせて演奏させました 最後の音が鳴り終わった時、会場のあちこちからブラボーがかかりました。はっきり言ってプロ顔負けの演奏でした。桐朋学園恐るべし

 

          

 

3番目に聴いたのは15時30分から「ホールC」で開かれた「四季を巡る旅~18世紀ヴェネツィアの超名曲」(公演番号344)です プログラムはヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲集”四季”」。演奏はヴァイオリン独奏と指揮=アンナ・マリア・スタシキェヴィチ、オケはポーランド室内管弦楽団です

自席は3階5列13番。人気曲だけに3階しか取れませんでした ポーランド室内管弦楽団のメンバーが舞台に登場します。よく見ると、シンフォニア・ヴァルソヴィアの何人かが混じっているような気がします ヴァルソヴィアのメンバーで室内オケを組んでいるのか、まったく別の団体なのか不明ですが、同じポーランドのオケなので人の貸し借りがあるのかも知れません

コンマス(兼指揮者)のアンナ・マリア・スタシキェヴィチ(長いので以下アンナ)が濃緑のステージ衣装で登場、16人のメンバーを統率します

アンナは ヴァイオリン・ソロの部分ではかなり思い入れたっぷりに弾きます ヴィヴァルディの「四季」は4つの楽章に、それぞれ春・夏・秋・冬を表すソネット(詩)が添えられていますが、アンナはその詩のイメージを頭に入れたうえで演奏しているように感じます

「秋」の演奏中、3階(?)右サイドの方で赤ん坊の泣き声が聴こえました ステージ上の演奏者にも聴こえているようで、楽員が客席を見上げていました。この公演は3歳以上が対象者なので、明らかに約束違反です。約束は守ってほしいと思います

何とか無事に演奏が終わり、ソリスト兼指揮を担当したアンナに大きな拍手が送られました 生演奏で聴いて、あらためてヴィヴァルディの「四季」は名曲だな、と再認識しました

終演後、地下のホールE(旧・展示場)に行ってみたら、4日の公演の出演者のサイン入り色紙が飾られていました

 

          

 

          

 

          

 

ホールEでは曽我大介指揮アマデウス・ソサエティー管弦楽団によるキヨスクコンサートが開かれていて、「スターウォーズ」の音楽を演奏していました

 

          

 

          

 

          

 

次いで、4番目に聴いたのは17時30分から「ホールD7」で開かれたピアノ・デュオによる公演(公演番号355)です プログラムは①シューベルト「アレグロ イ短調”人生の嵐”」、②ストラヴィンスキー「バレエ”春の祭典”」(2台ピアノ版) 演奏はピアノ=フランク・ブラレイ、ダヴィッド・カドゥシュです

ホールD7で聴くのは初めてです。抽選で当選した221人の人が入場することが出来ます 会場に入った第一印象は「まるで倉庫みたい」でした。高い天井で、客席が階段状になっています。どちらかと言うと、演劇の劇場のような感じと言えば良いでしょうか 自席は何と最前列の左から2つ目(X1-2)です。こんなに演奏者に近い席で聴くのはL.F.Jのこの11年間で初めてです

フランク・ブラレイはパリ国立音楽院出身、1991年にエリーザベト王妃国際音楽コンクールで優勝し世界的に活躍しています 一方、ダヴィッド・カドゥシュもパリ国立音楽院の出身で、室内楽等で活躍しています 二人の共通点は髭男であることです

1曲目のシューベルト「アレグロ イ短調『人生の嵐』」は、作曲者の死の年に書かれたましたが、タイトルは後に出版社によって付けられました

1台のピアノで、ブラレイが右、カドゥシュが左に座り連弾します 「人生の嵐」とは良くも付けたタイトルで、まさに心に吹き荒れる嵐のような曲想が展開します シューベルト特有の、同じ旋律が繰り返し演奏され悲劇をダメ押しします

2曲目はストラヴィンスキー「バレエ”春の祭典”」(2台ピアノ版)です。今度は向かい合わせの2台のピアノで演奏されます。向かって左にカドゥシュ、右にブラレイがスタンバイします

最前列でカドゥシュの指使いを見ることが出来る幸運に浴しましたが、圧倒的なテクニックで、自由自在でした 見ていると、強奏よりも弱奏の方が難しいのではないか、と素人目に感じます

身近で聴けたこともあり、圧倒的な迫力の演奏を楽しむことが出来ました

 

          

 

5番目(最後)に聴いたのは19時から「ホールC」で開かれた「夜の神秘~激しく官能的な後期ロマン派・夜の音楽」(公演番号346)です プログラムは①スメタナ「交響詩”モルダウ”」、②同「交響詩”ボヘミアの森と草原から”」、③シマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」です 演奏は、ヴァイオリン=アンナ・マリア・スタシキェヴィチ、バード・シンガー(鳥のさえずり)=ジョニー・ラス、ジャン・プコー、ロベルト・トレヴィーノ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は1階22列34番、右ブロックの真ん中です。開演時間になりオケがスタンバイして会場が暗転します。すると、二人の黒服の男が左右の通路に現れ、鳥の鳴き声で会話を始めました 「ああ、これがバード・シンガーの二人か」と納得しました 鳥の鳴き声にそっくりです。大きな拍手に送られて舞台袖に引き上げていきました

ルネ・マルタン氏お薦めの指揮者トレヴィーノが登場し、さっそく1曲目「モルダウ」、次いで2曲目「ボヘミアの森と草原から」を演奏します トレヴィーノは現在シンシナティ交響楽団のアソシエート・コンダクターですが、アメリカ出身の指揮者らしく、オケを良く歌わせ大きく響かせます

3曲目は、ヴィヴァルディの「四季」でソリストを務め好評を博したアンナ・マリア・スタシキェヴィチが再びソリストを務めます 演奏するのはシマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」です。同郷の詩人ミチンスキの詩「5月の夜」に触発されて作曲した単一楽章の曲です

トレヴィーノの指揮で第1楽章が開始されます。オケの奏でる音楽はまさに”現代音楽”ですが、ヴァイオリン・ソロが出てきてメロディーを弾くと、ロマンを感じます 独奏ヴァイオリンは相当技巧を要する曲想です。アンナは第5回シマノフスキ国際コンクール優勝者としての実力を思う存分に発揮し、聴衆のみならず、楽員からも大きな拍手とブラボーを受けていました

 

          

 

今年のL.F.J音楽祭は今月末に伊勢志摩サミットを控えていることもあり、テロ警戒のため、会場のあちこちで制服ガードマンがパトロールする姿が見られました。今年の大きな特徴かもしれません

 

          

 

今年のL.F.J音楽祭の記念に公式CDを買いました 毎年買っているのでこれで11枚目です

 

          

          

 

これで今年のL.F.Jも終わりです また来年を楽しみにしたいと思います

 

          

          

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」第2日目(5月4日)公演のリポート

2016年05月05日 07時56分38秒 | 日記

5日(木・祝)。わが家に来てから585日目を迎え、ゴールデン・ウィークも普通の日曜・祭日も関係なく、ただ食べることに困らなければ良いと思っているモコタロです

 

          

                            そんなことないよ おいらだって悩みがあるんだから

 

  閑話休題  

 

昨日は、東京国際フォーラムで開かれている「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」第2日目でした 私はこの日4公演を聴きました

 

          

 

最初に聴いたのは午前10時から「ホールC」で開かれた「四季を巡る旅~モスクワの冬の幻想」(公演番号241)です プログラムは、チャイコフスキー「交響曲第1番ト短調”冬の日の幻想”」。演奏はドミトリー・リス指揮ウラル・フィルです

 

          

 

自席は1階21列16番、左ブロック右通路側です。指揮のドミトリー・リスはモスクワ音楽院でキタエンコに師事し、現在はウラル・フィルの芸術監督・首席指揮者を務めています 私は数年前にこの音楽祭で初めてこのコンビで聴いてからすっかりファンになりました L.F.Jでこのコンビが演奏したラフマニノフ「交響曲第2番」の名演が今でも忘れられません

この公演の演目はチャイコフスキー「交響曲第1番ト短調”冬の日の幻想”」のみです。この作品はチャイコフスキーがペテルブルク音楽院卒業の翌1866年、モスクワ音楽院の教師になった26歳の年に完成しました タイトルの「冬の日の幻想」は彼自身の命名によるものです。4つの楽章から成りますが、第1楽章を中心にロシアの荒涼たる土地の寒い冬の情景を感じさせる曲想です

ステージに登場するオケのメンバーは1年ぶりですが、何人かは見覚えがあります 男性奏者は全員が上着を脱いだワイシャツ姿で統一しています。暑い日でしたから 大柄なリスが登場、指揮台に上がります

第1楽章は冒頭から特徴的な民謡風のメロディーが流れますが、これがテーマと言ってよいでしょう 第2楽章のアダージョはロシアの冷たい空気を感じます。第3楽章のスケルツォを経て、第4楽章のフィナーレを迎えますが、”メロディーメーカー”チャイコフスキーを強く感じさせる抒情的な曲想です チャイコフスキーの交響曲で”名曲”と言えば、第4番、第5番、第6番というのが定説ですが、リス+ウラル・フィルで第1番を聴くと、間違いなく名曲に思えてきます

リスの指揮の大きな特徴はエネルギッシュな動作によるダイナミックな音楽作りです この演奏でも、時に楽員に喧嘩を売るような挑発的な動作を見せながら、楽員から求める音を紡ぎ出します。楽員も良く応えていました

ところで、第1楽章後、第2楽章後の間に後方の扉から遅刻者がドヤドヤ入場してくるのには閉口しました そもそも遅刻すること自体が不心得だと思いますが、曲の途中で入場するのなら静かに行動すべきです。少なくとも声は出すな、と言いたいです

 

          

 

2番目に聴いたのは11時45分から「ホールA」で開かれた「動物たちのカーニバル~室内楽版”動物の謝肉祭”」(公演番号212)です プログラムは①小曽根真と江口玲の”ア・ラ?ナチュール”-koto song 春の海、②小曽根真「アグア・デ・ラ・ムジカ」、③サン=サーンス「組曲”動物の謝肉祭”」です 演奏はピアノ=小曽根真、江口玲、ヴァイオリン=ドミトリ・マフチン、矢部達哉、ヴィオラ=ジェラール・コセ、チェロ=宮田大、コントラバス=山本修、フルート=工藤重典、クラリネット=吉田誠、打楽器=安江佐和子です

自席は1階45列55番、5,000人以上入る大ホールの後ろから3列目なのでステージがすごく遠く見えます これでもS席で3,500円ですよ、奥さん とは言うものの、出演者の魅力からか満席状態です

 

          

 

最初にピアノの江口玲、ヴァイオリンの矢部達哉、クラリネットの吉田誠の3人が登場、”ア・ラ?ナチュール”と題する音楽を始めます 最初はクラリネットとピアノで純日本的な音楽を奏で、クラリネットが退場し、今度は江口のピアノの伴奏で矢部が「春の海」を演奏します 何に驚いたかと言って、ピアノの音が”琴”そのものなのです

演奏が終わると、小曽根真がマイクを持って登場、「皆さん 明けましておめでとうございます」と挨拶し、会場の笑いを取ります 直前の演奏が「春の海」だったのですから”お正月”ですよね 小曾根が江口に「ピアノがすごい音してましたね」と尋ねると、「実は1912年製の古いピアノでして・・・・・」と答えましたが、それはウソで、ピアノの中から幅広のテープを取り出して、「実はこのテープをピアノ弦に貼ってあったのです。その状態で弾くと琴の音が出るんですよ」と解説、小曽根が「皆さん、マネしないでくださいね。普通のテープを貼ったら後で剥がすのが大変ですから」とアドヴァイスしていました そして、プログラムに載っていない彼自身の曲「アグア・デ・ラ・ムジカ」というラテン風のピアノ音楽をソロで演奏し、拍手喝さいを受けました

舞台の再セッティングが終わり、10人のソリストが登場します。ステージ奥にグランドピアノが向かい合わせに設置され、左に小曽根、右に江口がスタンバイします 他の8人は、左から安江、マフチン、矢部、コセ、宮田、吉田、工藤、山本という配置に着きます

サン=サーンスの「動物の謝肉祭」は休暇中の内輪の会合のために1886年に作られた気軽な音楽だったので、彼は公開で演奏することや楽譜を出版することを禁じていました それでも”名曲”はいつの日か明るいところに出る運命にあるようです

第1曲「序奏と獅子王の行進曲」から第14曲「終曲」までの14の音楽から成ります。第2曲は「メンドリとオンドリ」ですが、マフチンと矢部の「鳥の鳴きマネ」競争は聴きごたえがありました 第4曲「亀」はオッフェンバックの有名な「フレンチ・カンカン」の賑やかなメロディーを 超スローモーションで演奏するものですが、皮肉屋サン=サーンスの面目躍如です 第9曲「森の奥のカッコー」では、吉田があちこち歩き回りながらクラリネットでカッコーの鳴きまねをします 「カッコー」以外の音を出さないので音楽家としてカッコー悪そうです

一番傑作だったのは、第11曲「ピアニスト」です。下手くそなピアニストを皮肉った曲で、わざと下手に演奏するわけですが、途中で小曽根がアドリブでジャズの即興演奏を始めました あれれ???と思っているとサン=サーンスに戻ってきて安心させます 第13曲の「白鳥」は宮田大が美しいメロディーを奏で満場の聴衆を魅了します そして最後の第14曲「終曲」は登場した動物たちの賑やかなオンパレードです

鳴り止まない拍手に、小曽根が江口に何やらアンコールを持ち掛けています 二人が再度ピアノに向かい、ほとんどアドリブで小曾根がピアノを弾くと、江口がそれに応えて違うメロディーを弾く、といったやり取りが始まります 他のメンバーは「いったい俺たちゃどうすりゃいいんだい」という顔付きで椅子に座って二人のやり取りを眺めています しばらくして小曽根が「動物の謝肉祭」の”終曲”のメロディーを弾き出したので、他のメンバーは慌てて楽器に向かって演奏に加わります

アンコール演奏の終盤になると、舞台の左袖から、パフォーマーのフィリップ・エマールが人工の蝶々 をヒラヒラと操りながら登場、音楽に合わせて舞台を走り回ります これには出場者も予定外だったらしく、終演後は出演者ともども拍手喝さいでした

実に楽しいコンサートでした。舞台が遠かったとは言え、S席3,500円は高くなかったですね

終演後、ホールE(旧・展示場)に行くと、出演者のサイン色紙が飾られていました

 

          

 

          

 

12時半を回っていたので、昼食を取ることにしました。私の場合、いつも同じお店です 新東京ビル地下の和食0で「鶏と野菜の黒酢あんかけ」を食べました

3番目に聴いたのは同じ「ホールA」で14時から聴いた「鳥たちのファンタジー~ロシアの超名曲をカップリング」(公演番号213)です プログラムは①ストラヴィンスキー「バレエ”火の鳥”組曲」、②チャイコフスキー「バレエ”白鳥の湖”」から4曲です 演奏はドミトリー・リス指揮ウラル・フィルです

 

          

 

自席は1階34列32番、左ブロック右通路側です。5000人以上収容のホールAもほぼ満席です リス+ウラル・フィルの演奏で聴くのはこの日2回目です

ストラヴィンスキーの「火の鳥」は、言ってみればストラヴィンスキーの名前を世界に知らしめた出世作です 1909年、ロシア・バレエ団の主宰者ディアギレフは当時27歳のストラヴィンスキーの才能を確信し、パリ・オペラ座での公演のために「火の鳥」を委嘱したのです これが大成功を収め、これに基づく組曲が作られました もし、これが失敗に終わっていたらディアギレフは「火の鳥」どころか「火の車」になって、「逆切れ負」になっていたことでしょう

曲は第1曲「序奏」から第11曲「終曲の賛歌」までの11曲から成りますが、一番強烈な印象を残すのは第9曲「凶悪な踊り」でしょう もし、このホールで居眠りをしていた人は、この曲の冒頭のフォルティッシモで身体をビクッとさせて目を覚ますことになるでしょう

ドミトリー・リスはスケールの大きな指揮ぶりで革新的なバレエ音楽を色彩感豊かに描き、聴衆を魅了しました

次いで演奏されたのは、チャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」ハイライトです 演奏したのは1.情景、2.ワルツ、3.白鳥たちの踊り、4.マズルカです。「情景」はクラシック・バレエ音楽の代名詞的な曲ですね 「ワルツ」はゴージャスで優雅です 「白鳥たちの踊り」はちょっとユーモラスです そして「マズルカ」は勇壮です この曲でも、”メロディーメーカー”としてのチャイコフスキーの魅力が溢れています

リス+ウラル・フィルの熱演に大きな拍手が送られました

 

          

 

4番目に聴いたのは15時15分から「ホールC」で聴いた「イギリス・バロックの自然~テムズの舟遊び」(公演番号244)です プログラムは①ヘンデル「水上の音楽 第1組曲」、②同「水上の音楽 第2組曲」です 演奏はカンマー・アカデミー・ポツダムです

自席は3階8列14番、左ブロック右通路側です。会場は満席です

カンマーアカデミー・ポツダムは2001年創設の室内オケです。指揮者を置かず、チェロとチェンバロを除いて立ったまま演奏します 総勢22名が舞台に乗っています。指揮者的な立場のコンマスは女性ですが、日本人みたいです。3階席なのでよく分かりません

ヘンデルはJ.S.バッハと同じ1685年にドイツで生まれました バッハと違うところは、バッハが一度も国外に出なかったのに対し、ヘンデルはイタリアでオペラを学び、イギリスで国籍を取得して約50年もその地で活躍したところです

「水上の音楽」は、1717年夏のイギリスのジョージ1世の舟遊びと、1736年春のフレデリック皇太子の舟遊びの時に演奏された曲です

野外コンサートという位置づけなので、音が遠くまで届くように「第1組曲」は主にホルンが、「第2組曲」は主にトランペットが活躍します さすがに、このオケは弦もさることながら、管楽器群は充実しています。管弦楽に押されてチェンバロの音が聴こえないのが残念なくらいです

1717年の舟遊びでは50人もの楽師の乗った船が、王の御座船に続き「水上の音楽」を演奏したそうです 1717年は「いーな、いーな」と読みます。この年代を覚えても音大入試には出ません。悪しからず

この公演で滅多に聴く機会のない曲を聴くことができてラッキーでした

速いもので今年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭も今日で終わりです 今日は5公演を聴きますが、どんな発見があるか楽しみです

 

          

 

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」始まる~第1日目公演リポート:東京国際フォーラム

2016年05月04日 08時28分58秒 | 日記

4日(水・祝)。わが家に来てから584日目を迎え、すっかり体調が回復してオヤツをむさぼるモコタロです

 

          

               もう絶好調だもんね 矢でも酒でも持ってこい!

 

  閑話休題  

 

いよいよ今年も「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が始まりました 今年のテーマは「la nature  自然と音楽」です。私は3日から5日までの3日間、東京国際フォーラムに通い14公演聴きますが、昨日はその第1日目でした

 

          

 

最初に聴いた公演は10時から東京国際フォーラム「ホールB7」で開かれた「ハイドンと自然~動物たちの愉快な四重奏」(公演番号121)です プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第49番ニ長調”蛙”」、②同「弦楽四重奏曲第39番ハ長調”鳥”」 演奏はアルデオ弦楽四重奏団です

 

          

 

アルデオ弦楽四重奏団は女性だけの4人グループですが、第2ヴァイオリン奏者が出産のため男性奏者が代演します 自席は15列23番、センター右ブロック左通路側席です。会場の後方は空席が目立ちます

 

          

 

ハイドンの弦楽四重奏曲を2曲演奏しますが、このクァルテットの特徴は第1ヴァイオリンのヤン・ミサ(上の写真の右から2人目)の身体全体を使ったリードにあります 時に 腰を浮かせて、時に 右足を浮かせて、情熱的にメイン・メロディーを弾きます 若いクァルテットですが、安心して聴いていられる落ち着きがあります。とくに緩徐楽章が素晴らしいと思いました

最初に演奏したのが第49番「蛙」で、2番目が第39番「鳥」です これはあくまで後世の人が それぞれの曲想から名付けたニックネームです。これにつられて聴きに来たのでしょうか。すぐ前の席は幼い子供2人を連れた4人家族でした。このうち男の子が終始落ち着かない様子で、それが目に入るこちらは落ち着いて聴いていられません プログラムには「3歳以上」の表示があるので、良心的に考えて2人とも3歳以上なのでしょう。しかし、はっきり言って、2人とも音楽をまったく聴いていません お金を払って音楽を聴きに来ているのに、こういう迷惑はたまりません とんだ災難だったといって諦めるしかないのでしょうか? 主催者側に「席を取り換えてほしい」と要求しても、演奏曲目が「鳥」と「蛙」だけに「トリカエルことは出来ませせん」と言われそうです 鳥あえず、個人の良心に頼るのではなくシステムとして安心して聴ける態勢を整えてほしいと思います

 

          

 

2番目の公演は同じ「ホールB7」で11時45分から開かれた「『田園』の系譜~クラシックファン、必聴!隠れた名曲」(公演番号122)です プログラムは①シュターミッツ「交響曲ニ長調”狩り”」、②クネヒト「自然の音楽的描写」です 演奏はリオ・クォクマン指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は8列13番、左ブロック右から2つ目です。シンフォニア・ヴァルソヴィアは1年ぶりですが、毎年聴いているので、お馴染みの顔が何人か見られます 登場した指揮者のリオ・クォクマンはマカオ出身で、ジュリアード音楽院などで学んでいます

最初のクネヒト(1752-1817)の「自然の音楽的描写」(1784-85年頃作曲)は、ベートーヴェンがこの曲を手本にして「交響曲第6番”田園”」(1808年)を作曲したのではないかという有力な説があるとのことです 5楽章構成で、各楽章に付された標題(下記)が似ていることなどを考えると、音楽を聴く限り、ほぼ間違いないのではないかと思います 私にとってはトリビアでした

 

          

 

さっそく演奏後、地上広場のマルシェ(市場)でCDを買い求めました

 

          

 

話は戻って、2曲目のシュターミッツ(1745-1801)の「交響曲ニ長調”狩り”」は、第1楽章を中心に曲想がまさに”狩り”の音楽です ホルンが大活躍しますが、ホルンは狩りの時に自分の後ろにいる人に合図を送るための道具だったということを考えれば当然です

クォクマン+シンフォニア・ヴァルソヴィアはメリハリの効いた素晴らしい演奏で、モーツアルトとほぼ同じ時代に活躍していた隠れた作曲家たちの作品の魅力を十分に引き出していました

 

          

 

12時半を過ぎたので、新東京ビル地下の和食Oで昼食を取って午後の公演に備えました

3番目の公演は「ホールC」で13時45分から開かれた「夜の神秘~夏の夜のロマンス」(公演番号143)です プログラムは①メンデルスゾーン「夏の夜の夢」~序曲、②ベルリオーズ「夏の夜」です 出演は、ソプラノ=浜田理恵、リュー・ジア指揮マカオ管弦楽団です

 

          

 

自席は1階16列31番、右ブロック左から3つ入った席です。初めて聴くマカオ管弦楽団のメンバーが入場し、配置に着きます 次いで指揮者リュー・ジアが登場します。顔を見て思わず「あっ、キム・ジョンウン」と心の中で叫んでしまいました。顔付きも髪の毛の刈り具合もそっくりなのです これは国際問題に発展しかねないので内緒にしておくことにします

1曲目のメンデルスゾーン「夏の夜の夢」序曲は軽快な演奏でした 2曲目はベルリオーズ「夏の夜」は、第1曲「ヴィラネル」、第2曲「ばらの精」、第3曲「入り江のほとり」、第4曲「君なくて」、第5曲「墓地にて(月の光)」、第6曲「未知の島」の6曲から成ります。ソプラノ独唱の浜田理恵が上が黒、下が黒を基調とする緑の衣装で登場します 彼女は新国立劇場のオペラに頻繁に登場しているのでお馴染みの歌手ですが、こうして歌曲を聴くのは初めてです。会場の隅々まだ行き渡る素晴らしいソプラノでした

 

          

 

4番目の公演は同じ「ホールC」で15時30分から開かれた「大自然のパノラマ~アメリカ・大峡谷へ」(公演番号144)です プログラムは①武満徹「グリーン」、②グローフェ「組曲”グランド・キャニオン”」です 演奏は井上道義指揮新日本フィル

自席は3階2列43番、右ブロック右から2つ入った席です。開演前からステージに乗って 本番に備えて練習している楽員を見て、やっと普段から聴き馴染んだオーケストラを聴くのだと安心感を覚えました さらにコンマスが豊嶋泰嗣でなおさら安心です

井上道義が登場し、1曲目の武満徹の「グリーン」の演奏に入ります。彼はなぜか指揮台を使用しません。今年は武満没後20年とのことで、全国的に彼の作品が上演されています。まさに”現代音楽”ですが、和洋折衷のような不思議な曲想です

2曲目はアメリカの作曲家グローフェの「グランド・キャニオン」です。意外にもこの曲を最初から最後まで通して聴くのはこれが初めてです 前半は井上はタクトを持たずに指揮をします。第3曲「山路を行く」ではのどかな歩みが刻まれますが、その直前に演奏される豊嶋のヴァイオリン独奏は見事でした また、コーラングレの森明子の抒情的な演奏、バス・クラリネットのマルコス・レス・ミランダの狂気に迫る演奏も素晴らしいものがありました

終演後、チケットの半券があれば入場できる地下のホールE(旧・展示場)に行ってみました。巨大な生け花のお出迎えです

 

          

 

ホール内では岸本祐有乃指揮丸の内管弦楽団によるウェーバー「魔弾の射手」ハイライトを演奏していました

 

          

 

クラシック専門インターネッラジオ「OTTAVA」のオープンスタジオではL.F.Jアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏がこの音楽祭のPRに務めていました 

 

          

 

5番目の公演は同じ「ホールC」で17時15分から開かれた「『田園』の系譜~隠れた名曲を極めつけの演奏で」(公演番号145)です プログラムは①ノスコフスキ「交響詩”大平原”」、②フィールド「ピアノ協奏曲第5番ハ長調”嵐の中の火事”」です 演奏はピアノ=アブデル・ラーマン・エル=バシャ、リオ・クォクマン指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は1階22列14番、左ブロック右から3つ入った席です。オケのメンバーが配置に着くと、ラ・フォル・ジュルネのアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏が通訳と共に登場し、次のようなアナウンスをしました

「皆さんにサプライズがあります。実はこれから演奏するシンフォニア・ヴァルソヴィアはこの公演が第100回目となります(会場)。そこで、オーケストラにケーキをプレゼントしたいと思います

すると、舞台袖から係員が小さなホールケーキ を持って登場、オケのマネジャー的な人に手渡しました。マルタン氏は、

「ここで火を使うわけにはいきませんね。でも私にいい考えがあります

と言って、ポケットからロウソクの形をしたペン・ライトを取り出し スイッチを入れて点灯しました マネジャーが息を吹きかけると、マルタン氏がスイッチを切って、これでセレモニーは終わりました。なかなか粋な計らいをします

さて、最初に演奏するポーランドの作曲家ノスコフスキの交響詩「大草原」は、曲を聴く限り「草原」とは言え山あり谷ありの草原で、ダイナミックな曲想でした

2曲目のジョン・フィールド(1782-1837)の「ピアノ協奏曲第5番ハ長調」は、第1楽章に「嵐の中の火事」というトンデモナイ名前が付けられています 抒情的な音楽が突然騒然とします。半鐘も鳴らされます なぜ、ピアノの夜想曲(ノクターン)というジャンルの創始者として有名なフィールドが、このようなド派手な名前の曲を作ったのか不思議です ショパンに大きな影響を与えたフィールドとは思えない作風です。しかし、技巧的には相当演奏が難しいのではないかと想像されます エル=バシャはそれをものともせず美しい音で最後まで弾き切りました 

この曲も面白いと思ったのでCDを買い求めました

 

          

 

この日の大きな収穫は2つの「田園の系譜」公演でした 共に初めて聴いたクネヒトの「自然の音楽的描写」とフィールドの「ピアノ協奏曲第5番”嵐の中の火事”」です。この音楽祭が終わってからCDを聴いてゆっくりと復習しようと思います

 

          

 

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「オーソン・ウェルズのフォルスタッフ」「第七の封印」を観る/歌劇「魔笛」のチケットを買う

2016年05月03日 07時27分07秒 | 日記

3日(火・祝)。いよいよ5月の3連休がスタートします 私は毎年5月3日から5日までの3日間は、東京国際フォーラムで開かれる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」に通うのが恒例になっています 今年のL.F.J音楽祭のテーマは「la nature ナチュール 自然と音楽」ですが、第2回「モーツアルト」の2006年から毎年聴いているので今年は11年目になります 今年は3日に5公演、4日に4公演、5日に5公演、計14公演を聴きます

ということで、わが家に来てから583日目を迎え、徐々に体力を回復しつつあるモコタロです

 

          

             体調は日光の手前だな・・・・・イマイチだな・・・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で「オーソン・ウェルズのフォルスタッフ」と「第七の封印」の2本立て映画を観ました これは、同映画館の「魅惑のシネマ・クラシックス」の一環として上映された作品です

 

          

 

          

 

「オーソン・ウェルズのフォルスタッフ」は1966年、監督・脚本・主演をオーソン・ウェルズが担当した、スペイン・スイス映画です 言うまでもなく「フォルスタッフ」はシェイクスピアの原作による架空の人物です。オペラの世界ではヴェルディがこのタイトルで喜劇オペラを作っています

 

          

 

フォルスタッフは肥満の老騎士で、大酒のみで 強欲で 好色ですが、ウィットにとんだ人物なのでなぜか憎めないキャラです これまでオペラでしか観たことがなかったのですが、映画で観てあらためて感じたのは、シェイクスピアの言わんとすることは、「名誉がいったい何の役に立つのか」ということです。映画のセリフで言えば「名誉だと?そんなもので腹がふくれるか?」です

オーソン・ウェルズと言えば、私などはチターのテーマ音楽で有名な「第3の男」を思い浮かべますが、この”フォルスタッフ”は巨漢ウェルズにピッタリのはまり役です

2本目の「第七の封印」は1956年、イングマール・ベルイマン監督によるスウェーデン映画です

 

          

 

ペストが流行し終末的な様相を呈した中世ヨーロッパ。10年に及ぶ十字軍遠征から帰還したアントー二ウスの前に死神が現れる 死神から死の宣告を受けた彼は自らの命を懸けてチェスの対決を申し出る 夜が明けると死神は姿を消すが、故郷を目指すアントー二ウスには死神の陰が付きまとう

 

          

 

ベルイマンというと、私は「魔笛」を思い出します 70年代半ばの作品だったと思いますが、モーツアルトの歌劇「魔笛」を映画化(テレビ用だったか?)したものです 今でも覚えているのは、序曲が流れている間、それを聴いている聴衆の顔を次々と映し出していたことです エリック・エリクソン指揮スゥエーデン放送交響楽団による演奏で、歌っているのはスゥエーデンの歌手陣だったと思います 

「第七の封印」は内容が哲学的で分かりにくいのですが、モノクロならではの魅力に溢れています

 

  最後の、閑話休題  

 

ベルイマンの「魔笛」ではないですが、「魔笛」のチケットを買いました 9月4日(日)午後2時から東京文化会館小ホールで開かれる「東京文化会館オペラBOX  魔笛」です 指揮者も歌手陣も知らない人ばかり(唯一 分かるのはパミーナを歌う砂川涼子さんだけ)です チラシを見ると、合唱や舞台道具作り、衣装、照明などのスタッフも募集しているので、素人を集めてオペラを作ろうという企画のようです。何となく面白そうな予感がします 全席指定3,000円。私の予感は結構当たります

 

          

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「ヴィル・サンダースと奏でる響き~ホルンアンサンブル&吹奏楽」を聴く~東京藝大

2016年05月02日 06時56分17秒 | 日記

2日(月)。わが家に来てから582日目を迎え、食欲は戻ったものの まだ いまいち元気が足りないモコタロです

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日、上野の東京藝大奏楽堂で「ヴィル・サンダースと奏でる響き~ホルンアンサンブル&吹奏楽」公演を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「夏の夜の夢」から「夜想曲」、②ブルックナー「交響曲第4番”ロマンティック”」から第4楽章、③ヘス「イーストコーストの風景」、④グレグソン「ホルン協奏曲」、⑤ホルジンガー「バレエ・サクラ」です。④のホルン独奏は日高剛、指揮はカールスルーエ音楽大学教授ヴィル・サンダース、演奏は東京藝大ホルンアンサンブル、同ウィンドオーケストラです

 

          

 

全席自由ですが、早めに現地に着いて並んだ結果、1階14列13番、センターブロック左通路側席が押さえられました 会場は8割くらい埋まっている感じでしょうか

プログラム前半はホルンだけのアンサンブルです ステージ上には椅子が10脚並べられています。ホルン奏者10人が入場します。男性3人、女性7人という女性上位です。どこの音大でも同じなんでしょうね

1曲目はメンデルスゾーンの劇付随音楽「夏の夜の夢」から「夜想曲」です マティアス・プフラウムという人が編曲した版によって演奏されます。サンダースの指揮で演奏が始まります。19世紀のドイツでは、ホルンは森を象徴する楽器としてイメージされていたとのことですが、ブルックナーの交響曲を待つまでもなく、ホルンだけのアンサンブルによる「夜想曲」はまさに森の中をさ迷っているような感じがします

演奏後、サンダース氏が通訳と共に登場、日高氏のインタビューに応えました。東京藝大の印象は?という質問には

「大学に入学する段階で優秀な学生が選抜されていることが分かる 今回の公演に当たっても、あらかじめ個々人が準備して練習に臨んでいることが分かるし、演奏中は、こちらの注文に対して機敏に反応してくれる能力がある

と答えていました。このことは、東京藝大だけの話ではなく、また、プロのオケでも同じような傾向があるのではないかと思います

2曲目は、そのブルックナーの「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」の第4楽章です そもそもこのコンサートのチケットを買ったのはこの曲をホルンだけによる演奏で聴きたかったからです この曲もプフラウムの編曲による版によって演奏されます。ホルンの編成が13人(男6、女7)に拡大します。聴いている限り、ホルンだけでも十分に耐え得る魅力を持った曲だと感じます 逆に言えば、この”ロマンティック”交響曲はホルンがないと魅力が半減するということです そういうことを再認識させてくれる演奏でした

前半が終わったところでアンコールがあり、ハイジという人の「HELDENKLOBBER(ヘルデンクロッバー)」という曲を演奏しました サンダース氏の解説によると、この曲は「ハーピストとの闘い」的な曲で、ホルンの演奏をハープが邪魔するような内容の曲とのことで、この演奏会ではハープはないので、ビブラフォンが代用します

あれれ、と思ったのは、聴いているとワーグナーの「神々の黄昏」は出てくるわ、マーラーのシンフォニーは出てくるわ、リヒャルト・シュトラウスの「英雄交響曲」は出てくるわ、で 要するに古今の名曲をパクリまくった曲でしたが、これが凄く楽しい曲でした

 

          

 

プログラム後半は吹奏楽のオンパレードですが、知らない曲ばかりです ステージ上は管楽器と打楽器が合わせて50人位でしょうか。コンマスはオーボエの女性です

1曲目は現代イギリスの作曲家ナイジェル・ヘス(1953~)の「イーストコーストの風景」です この曲はヘスがかつて訪れたことのあるアメリカのニューヨーク近辺の印象をもとに作曲した作品です。3つの曲から成り、第1曲目は「シェルター島」、第2曲目は「キャッツキル山地」、第3曲目は「ニューヨーク」というタイトルが付いています

ステージ後方には打楽器群がスタンバイします。3曲とも管打楽器を駆使したゴージャスな響きの音楽で、第3曲の「ニューヨーク」などは、グレンミラーか と思うようなサウンドでした 弦楽器がなくてこれほどの色彩感が出せるのに驚きます

次は当初、ホルジンガーの「バレエ・サクラ」が演奏される予定でしたが、プログラムに挟み込まれたお知らせに、最後に演奏予定のグレグソン「ホルン協奏曲」と順番を入れ替えると書かれていました。この理由は後で分かります

ホルン独奏の日高剛がステージに登場します。彼は宮崎市出身、長崎大学経済学部を卒業後、東京藝大でホルンを学び、オランダ・マーストリヒト音楽院に留学しました。この時にサンダースを知ることになったそうです 帰国後、広島交響楽団、日本フィル、読売日響を経て、2005年から2013年までNHK交響楽団で演奏しました。現在は東京藝大音楽学部准教授を務めています

グレグソンは1945年イギリス生まれで、この「ホルン協奏曲」は1971年に作曲されました 3つの楽章から成りますが、第1楽章を聴いていたら、まるでバルトークの音楽のような曲想でビックリしました それにしても、かなり高度な演奏技術を要する難曲のように感じましたが、さすが、日高剛はそんなことは物ともせず軽快に演奏しました

さて、最後のホルジンガー「バレエ・サクラ」の演奏に先立って、サンダース氏からメッセージがありました

「このたび、熊本で被災されて亡くなられた方々と現在避難生活を送られている方々、そして、最近亡くなった私の音楽の恩師の逝去を偲んで、次の曲を捧げたい

そして、「バレエ・サクラ」の演奏に入りました この曲は現代アメリカの作曲家ホルジンガーが1990年に作曲した曲で、意味は「祭礼の舞い」というものです。解説によると「舞踏と祈り」の方が分かり易いとありました 曲は祭礼の開始を告げるかのように金管楽器のファンファーレで開始されます。そのあとはリズミカルなダンスの音楽が様々に変容して展開します。中間部では、トランペットのソロがどこか懐かしいようなメロディーを立って奏でます これが文字通り”スタンド・プレイ”です 素晴らしい演奏でした 途中、ミサ曲の一節が歌われるのですが、これは男女に関わらず管楽器奏者が歌っています。さすがは藝大です。管楽器専攻とはいえ 歌もなかなかのものです かなり盛り上がって、最後は鐘の音と歌声が聴こえて幕を閉じます

これを聴いて、サンダース氏がなぜ曲の演奏順を入れ替えたのかの理由が分かりました グレグソンの「ホルン協奏曲」は、最後に力強く終わるのに対し、ホルジンガーの「バレエ・サクラ」はどちらかと言うと宗教的な静かな感動とともに終わります。熊本の被災者と恩師の死去を偲んで演奏するのなら、最後の曲は力強く祝祭的な曲ではなく、祭礼の曲のような厳かな方が良いと判断したのだと思います

 

          

 

サンダース+藝大ウィンドオーケストラは、アンコールにヘスの「イーストコーストの風景」から第3曲「ニューヨーク」をアンコールに演奏し、拍手喝さいを受けました

学生の皆さん、素晴らしい、また楽しい演奏をありがとうございました とくに、打楽器で右に左に、一人何役もこなしていた女性奏者にエールを送ります 素晴らしいパフォーマンスでした。コンサートが一層楽しめました。ありがとう

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