人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

N響2022ー2023シーズン会員申し込み ~ Aプロ(2日目)に変更 / 音楽大学オケ・フェスのチケットを取る ~ 高関健 ✕ 桐朋学園大オケ他 / 新国立劇場「ポイントアップ・アイテム」

2022年07月11日 07時11分09秒 | 日記

11日(月)。昨日は参議院議員選挙だったので投票に行ってきました    投票もしないで政府がどうの自民党がこうのと言えませんから

「第13回音楽大学オーケストラフェスティバル」のチケットを取りました 8つの音楽大学オーケストラが4日間にわたり東京芸術劇場とミューザ川崎を会場に演奏します 私が取ったのは12月3日(土)15時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる①武蔵野音楽大学(シベリウス「交響曲第2番」:指揮=円光寺雅彦)と②桐朋学園大学(マーラー「交響曲第1番」:指揮=高関健)の公演です 高関健によるマーラーとなれば聴くしかありません

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2738日目を迎え、9日夜の朝日新聞デジタルによると、安倍元首相が銃で撃たれて殺害された事件で、殺人未遂容疑で奈良県警に現行犯逮捕された無職、山上徹也容疑者の親族が朝日新聞の取材に応じ、「山上容疑者は子どもの頃から、母親が入信していた宗教団体を巡って苦労していた」と話した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大手新聞やテレビは 何を恐れて霊感商法で有名な宗教団体の名前を明かさないのか 

 

         

 

NHK交響楽団の2022-2023シーズンの会員申し込みをしました N響はNHKホールの改修工事の完了に伴い、AプロとCプロが池袋の東京芸術劇場からNHKホールに戻ってきます。私はこれまでCプロ会員でしたが、新シーズンはAプロ(NHKホール・2日目)に変更します Aプロはヴェルディ「レクイエム」(ルイージ)、マーラー「第9番」(ブロムシュテット)、ショスタコーヴィチ「第10番」(井上道義)、ブルックナー「第2番」(ルイージ)、R.シュトラウス「アルプス交響曲」(ヤルヴィ)といった大編成による管弦楽曲が揃っています こういう大曲こそ生演奏で聴いて初めて作品の醍醐味が分かる作品です

ところで、受付開始時間の午前11時にN響WEBチケットにアクセスしたのですが、全く繋がりませんでした その後、何度かトライしましたが午前中は繋がらず、12時20分頃にやっと繋がりました 奇跡的に1階センターブロックの通路側席が取れました ただ、NHKホールは改修工事を終えたとはいえ、音響的にはどうなのか不安があります 新シーズン第1回目のファビオ・ルイージ首席指揮者就任記念公演(9月11日)でヴェルディ「レクイエム」を聴いて確かめるしかありません

また、Bプロは協奏曲が中心となっており会場もサントリーホールなので、Aプロとは違った魅力があります ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、グリーグ「ピアノ協奏曲」、メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、バルトーク「ヴィオラ協奏曲」、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」、モーツアルト「ホルン協奏曲第3番」、レスピーギ「グレゴリオ風協奏曲」といったラインナップです Bプロも追加申し込みをするかどうか、7月14日の会員先行発売日までに検討したいと思います

 

     

 

         

 

新国立劇場の会員組織「クラブ・ジ・アトレ」から「2022/2023シーズン ポイントアップアイテムの案内」が届きました これは手持ちのポイントに応じて「選択アイテム」から商品を選べる制度で、このほかポイント数に関わらず応募自由の「抽選アイテム」が用意されています 「選択アイテム」のラインナップを見ると、レストラン「マエストロ」5000円食事券(500ポイント)、UV折り畳み傘(400ポイント)、オペラ・バレエ舞台写真(250ポイント)、サーモタンブラー(200ポイント)、2023年版カレンダー(150ポイント)、エコバッグ(100ポイント)などがあります 私は500ポイント獲得しているので、そろそろ買い替えようと思っていた折り畳み傘とエコバッグにしようと思います

 

     

 

一方「抽選アイテム」はポイント数に関係なく応募できます 内容はオペラ、バレエ、ダンス、演劇のゲネプロ・舞台稽古の見学または公演の招待です

 

     

 

ラインナップを見て気が付くのは、いずれのアイテムも「公演招待」の当選者は各4名と少なく、「ゲネプロ」「舞台稽古」の当選者は各30名と比較的多くなっていることです この手の抽選で当選するコツは当選確率の高いアイテムを選ぶことです 「当選確率が高い」というのは、①当選者数が多く②あまりポピュラーでない演目のアイテムということです 私はこれまで、コルンゴルトのオペラ「死の都」、グルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」他のゲネプロを選んで当選してきました 今回、対象となるオペラのゲネプロ・舞台稽古は「ジュリオ・チェーザレ」「ボリス・ゴドゥノフ」「アイーダ」「リゴレット」で、招待者は各30名です 私は次のように絞り込んでいきました まず人気のある「アイーダ」と「リゴレット」は外します    次に手帳でコンサートの予定を確かめ、「ボリス・ゴドゥノフ」が他のコンサートと重複することを確認したので外します その結果残ったのは「ジュリオ・チェーザレ」のゲネプロでした もちろん、人によってはダメ元で「アイーダ」や「リゴレット」を選ぶケースもあるでしょうが、個人の考え方次第です 私はどうせ応募するなら当選したいと思います

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高関健 ✕ 竹山愛 ✕ 東京シティ・フィルでモーツアルト「フルート協奏曲第1番ト長調」、ブラームス「交響曲第3番ヘ長調」、バルトーク「舞踏組曲」を聴く

2022年07月10日 07時13分57秒 | 日記

10日(日)わが家に来てから今日で2737日目を迎え、米テスラ最高経営責任者で起業家のイーロン・マスク氏は8日、総額440億ドル(約5兆9000億円)で合意していた米ツイッターの買収を取り止めると同社に通知したと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ツイッターは裁判所に提訴するそうだが先行き不透明だ 相手は 異論増す苦 だから

 

         

 

昨日、昼食に娘が「ラザニア」と「トマトスープ」を使ってくれました ラザニアはチーズたっぷりでとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、ティアラこうとう大ホールで、東京シティ・フィル「第69回ティアラこうとう定期演奏会」を聴きました プログラムはバルトーク「舞踏組曲」、②モーツアルト「フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313」、②ブラームス「交響曲第3番 ヘ長調 作品90」です 演奏は②のフルート独奏=竹山愛(東京シティ・フィル首席)、指揮=高関健です

自席は1階U列10番、左ブロック右から3つ目です 会場はほぼ満席です

拍手の中、オケのメンバーが配置に着きます 弦楽器は左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。ステージ下手にはハープとピアノが控えます。チェロのトップには客演首席奏者で「クァルテット・エクセルシオ」のチェリスト大友肇がスタンバイしています。コンマスは戸澤哲夫です

 

     

 

1曲目はバルトーク「舞踏組曲」です この曲はベーラ・バルトーク(1881ー1945)がドナウ河右岸のブタと左岸のペストの合併50年を記念し1923年に作曲、同年11月19日にブタペストで初演されました 第1舞曲「モデラート」、第2舞曲「アレグロ・モルト」、第3舞曲「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4舞曲「モルト・トランクィロ」、第5舞曲「コモド」、終曲「アレグロ」から成ります

高関氏の指揮で演奏に入ります 全体的にバルトーク独特のリズム中心の音楽が生き生きと展開しました とくにファゴットやバスクラリネットといった低音楽器が素晴らしい演奏を繰り広げ、弦楽セクションが鋭い切れ味のリズムを刻んでいました

2曲目はモーツアルト「フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が1778年にアマチュア演奏家ド・ジャンの依頼により作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アダージョ・ノン・トロッポ」、第3楽章「ロンド、テンポ・ディ・メヌエット」の3楽章から成ります

フルート独奏の竹山愛は東京藝大大学院修士課程修了。ロームミュージックファンデーションの助成を得てミュンヘン音楽演劇大学で研鑽を積む。第79回日本音楽コンクール第1位はじめ受賞歴多数。現在、東京シティ・フィル首席フルート奏者です

満場の拍手の中、水色系の爽やかな衣装の竹山愛が登場、高関氏の指揮によりさっそく演奏に入ります 明るく愉悦感に満ちたフルートが会場に響き渡ります 終盤のカデンツァは技巧的な曲想ですが、竹山は鮮やかにクリアし聴衆を魅了します 第2楽章は優雅そのものです。ゆったりしたテンポの楽章なので反って演奏が難しいと思われますが、華やかな音色でよく歌い夢み心地に誘われます 第3楽章は軽快なフルートが天翔けます 高関 ✕ 東京シティ・フィルは「ソリスト・ファースト」に徹し、竹山の息に呼応してしっかり支えました モーツアルトらしいモーツアルトの演奏に満場の拍手が送られました

 

     

 

プログラム後半はブラームス「交響曲第3番 ヘ長調 作品90」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1883年に作曲、同年12月2日ウィーンでハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルにより初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ポコ・アレグレット」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

高関の指揮で第1楽章に入ります。弦楽セクションのウネリが凄い 第2楽章では木管楽器群の演奏が冴え渡りました 第3楽章では弦楽アンサンブルによる やるせないメロディーが心に沁みます 谷あかねの憂いに満ちたホルン独奏が素晴らしい この楽章を聴きながら思い出したのは、もう何十年も前のテレビドラマのテーマ音楽です 小手川祐子が女スリ役を演じた連続ドラマでしたが、タイトルロールで北風の吹く中をコートの襟を立てて歩く彼女のバックに流れていたのがこの楽章をピアノで演奏した音楽でした 彼女の孤独感がとても印象深く、今でも覚えています 第4楽章に入ると、今までの鬱屈した気持ちを吹っ切るかのような情熱的な音楽が展開します そしてフィナーレは穏やかに曲を閉じます

初演者ハンス・リヒターはこの曲を「ブラームスの『英雄』だ」と語ったと言われていますが、ベートーヴェンの『英雄』が勢いのある雄渾な音楽だとすれば、ブラームスの「第3番」は歳を重ねた英雄が過去の栄光を振り返った音楽のように感じます この日の演奏から、そのような印象を受けました

 

     

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高関健 ✕ 東京シティ・フィルによるバルトーク「舞踏組曲」の公開リハーサルを見学する ~ リハーサル中のスマホによる無断動画撮影は許されない!

2022年07月09日 07時05分38秒 | 日記

9日(土)。わが家に来てから今日で2736日目を迎え、7月8日午前11時半ごろ、奈良県にある近鉄「大和西大寺」駅付近で、演説を行っていた安倍晋三元首相が山上徹也容疑者の手製の銃で撃たれ心肺停止となり、病院に運び込まれたが死亡した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     銃による問答無用の攻撃は許されない 主義主張の違いは言論対言論で解決すべきだ

     

         

 

昨日、約1か月ぶりに「鶏の唐揚げ」を作りました 唐揚げは隔週金曜日のペースで作っているのですが、ここ1か月は私がコンサートだったり、娘が外食だったりでなかなか日程が合いませんでした    他のメニューはともかく、唐揚げだけは2人でビールを飲みながら食べる習慣になっているのです

 

     

 

         

 

昨日正午から、ティアラこうとう大ホールで東京シティ・フィル「第69回ティアラこうとう定期演奏会」公開リハーサルを見学しました 本日午後3時から開かれる本番では高関健の指揮により①バルトーク「舞踏組曲」、②モーツアルト「フルート協奏曲第1番」、③ブラームス「交響曲第3番」が演奏されますが、この日のリハーサルはバルトークが公開されました

前日の新日本フィルの公開リハーサルもバルトークだったので、バルトークが続きます

「舞踏組曲」はベラ・バルトーク(1881ー1945)がブタとペストの合併50年を記念して1923年に作曲、同年ブタペストで初演されました。第1舞曲「モデラート」、第2舞曲「アレグロ・モルト」、第3舞曲「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4舞曲「モルト・トランクィロ」、第5舞曲「コモド」、終曲「アレグロ」から成ります

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという並び 下手にハープとピアノが控えています。コンマスは戸澤哲夫です

黒のポロシャツ姿の高関氏が指揮台に上り、さっそくリハーサルに入ります 彼も前日のアルミンクのようにかなり頻繁に演奏しては止め、指示を出して演奏し~というパターンを繰り返しました 高関氏の指示により着実に舞踏組曲がビルドアップされていきます アルミンクと違って日本人同士なので、また それ以上に高関 ✕ 東京シティ・フィルの濃密な関係なので、コミュニケーションはスムーズに取れているように見えました 新日本フィルと違い公開が1時間なのであっという間に終わってしまいました バルトーク特有のリズム中心の本番が楽しみです また、6月29日の芸劇ブランチコンサートでショパン「フルートとピアノのための『シンデレラ』の主題による変奏曲」を鮮やかに演奏した竹山愛さんのモーツアルトも期待大で、高関氏のブラームスも今からワクワクです

 

     

 

さて、リハーサルが始まるや否や自席の数列前の席(1階 J 列11番)の男性がスマホでリハーサルの様子を動画撮影し始めました あまりにも堂々とスマホを掲げて撮影し続けているので、ひょっとしてシティ・フィルの関係者が記録用に撮影しているのかな、と思いました それにしては一般見学者の席に座っているし、「主催者」とか「関係者」とかの腕章も付けていないし、そもそもムービーカメラでなくスマホで撮影しているし、変だなと思いました 後ろ姿だけでは素性がよく分からないので、リハーサル終了後、近くに行って正面から本人を見てみたら関係者とはとうてい思えない一般見学者の高齢男性でした いうまでもなく、主催者側の用意したプログラムには「録音・録画・写真撮影などは、一切禁止させていただいております」と書かれています 「リハーサルだから許される」などあり得ない話です

 

     

 

こういう老人は四字熟語で「傍若無人」「大胆不敵」「厚顔無恥」と表現されます それにしても、あの老人、リハーサルを動画に撮ってどうするつもりなんだろう

主催者側(江東区の財団)も、せめて開始から5分間くらいは、後方席から場内を見渡して無断撮影していないかチェックした方が良いと思います

まさか今日の本番で無断撮影するとは思えませんが、オーケストラの公開リハーサルを見学に来るほどの熱心なクラシック・ファンの中に、非常識を絵に描いたような人物がいるとは 情けない限りです よい子のみなさんは真似しないようにしましょうね

 

     

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クリスティアン・アルミンク ✕ 新日本フィルによるバルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」公開リハーサルを見学する

2022年07月08日 07時20分20秒 | 日記

8日(金)。わが家に来てから今日で2735日目を迎え、ロシアの独立系メディア「プロエクト」は6月末、ロシア国防省が発表するウクライナ侵攻でのロシアの「戦果」が「水増しされていて でたらめ」だとの調査報道を公表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンに本当の戦果が伝わっていないか  プーチンは知りながら黙認してるかだ

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」「生野菜サラダ」「冷奴」「エノキダケの味噌汁」を作りました トンテキにはカイワレ大根を敷きましたが、合いますね

 

     

 

         

 

昨日午後3時半から、すみだトリフォニーホールでクリスティアン・アルミンク ✕ 新日本フィルによるバルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」の公開リハーサルを見学しました 通常は午前10時半から開始のケースが多いので、今回は例外的な時間帯かもしれません

7月9日(土)と11日(月)の本番ではオルフ「カルミナ・ブラーナ」とともに演奏されます 私は11日の公演を聴きます

「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」はベラ・バルトーク(1881ー1945)が1936年に作曲、翌1937年にバーゼルで初演されました

指揮をとるクリスティアン・アルミンクは1971年オーストリア生まれ。新日本フィル第3代音楽監督(2003ー2013)です 久しぶりなので、念のため Wikipedia で略歴を調べてみてビックリしました 彼の父親は世界最大のクラシック・レコード会社「ドイツ・グラモフォン」の社長であると書かれていました。私は初めて知りました 彼の音楽監督時代の最大の功績は「室内楽シリーズ」を提案し、現在まで続いていることです 演奏者と聴衆の距離が近く、楽団員を身近に感じることから新日本フィルへの親近感を深めるのに大きく貢献しました 反対に、彼の最大の”黒歴史”は、2011年4月、東日本大震災による原発事故の影響を懸念して来日を断念し、新国立劇場の「ばらの騎士」の指揮を急きょキャンセルし、当時の新国立劇場芸術監督・尾高忠明氏をはじめ関係者に大きな迷惑をかけたことです これにより、新日本フィルとの関係は一時的に悪化しました

 

     

 

オケは対抗配置ですが、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる通常の体型とは違います 弦楽器は全てのセクションが左右に分かれます。つまり第1ヴァイオリンも第2ヴァイオリンもそれぞれ左右に分かれます これは、バッハ・コレギウム・ジャパンが「マタイ受難曲」を演奏する際に採る態勢と同じです 中央にはハープ、チェレスタ、ピアノが置かれ、後方に大太鼓、ティンパニ、小太鼓といった打楽器群がスタンバイします。コンマスは崔文洙です

普段着のアルミンクが登場すると、会場から「おかえりなさい」の拍手が起こります この日はバルトーク  ⇒ オルフの順にリハーサルが行われましたが、バルトークのみ公開されました

アルミンクはかなり頻繁に演奏を止めては指示を出し、やり直ししては また止め、ということを繰り返して演奏を進めました リハーサル中、立ったり、椅子に座ったり、楽譜を持ってコンマスのところに行ったりと忙しく動いていました かなり細かい人なのではないかと思いました 約10年間、新日本フィルの音楽監督を務めたこともあり、演奏を始める時には英語でなく日本語で「1と2と~」「3と4と~」と合図していました 時々、スコアブックを持って崔コンマスのところに行き、何かを説明し崔氏の了解を取ったりしていました かなり崔氏を頼りにしていることが窺えました

公開リハーサルは途中15分休憩を挟んで午後5時40分まで続けられました リハーサルを聴いただけでもバルトークの鋭い切れ味の音楽が楽しめました 月曜日の本番が楽しみです

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ヨアン・マンカ監督「母へ捧げる僕たちのアリア」を観る ~ ドニゼッティ「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」、ヴェルディ「椿姫」より「乾杯の歌」が流れる

2022年07月07日 07時07分32秒 | 日記

7日(木)。わが家に来てから今日で2734日目を迎え、4日の米独立記念日に、米イリノイ州シカゴ近郊ハイランドパークで銃乱射事件が起き、死者7人 負傷者30人以上となったが、同日 ニューヨーク市でも銃撃事件が14件相次ぎ、21人が撃たれ3人が死亡した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     米国のモットー「自由と民主主義」の「自由」とは 人を銃で殺す自由のことらしい

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「鯖を塩焼き」にして、「生野菜サラダ」「里芋の煮っころがし」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作りました 大振りの鯖は脂がのっていてとても美味しかったです 「里芋の煮っころがし」は初挑戦ですが、もう少し冷まして味が浸み込む時間が欲しかったところです 次回の反省材料にします

 

     

 

         

 

昨日、新宿武蔵野館でヨアン・マンカ監督による2021年製作フランス映画「母へ捧げる僕たちのアリア」(108分)を観ました

14歳の少年ヌール(マエル・ルーアンべランドゥ)は古ぼけた公営団地で家族と暮らしている    昏睡状態の母を3人の兄たちと共に自宅介護しながら、家計を助けるためバイトに明け暮れる日々を送っていた そんなヌールの日課は、夕方に母の部屋の前にスピーカーを持っていき、母が大好きなオペラを聴かせてあげることだった ある日、教育矯正の一環として校内を掃除していたヌールは、そこで歌のレッスンをしていた講師サラ(ジュディット・シュムラ)と出会い、歌うことに夢中になっていく

 

     

 

本作は、低所得者や移民が多く暮らす地域で、生きる望みのない母親を、強権的なアベル、遊び人のモー、トラブルメーカーのエディの兄3人とともに自宅で介護する中学生の少年の物語です 同じ兄弟でも一人ひとり個性や生き方が違いますが、3人とも母親は病院よりも自宅での介護を望んでいると信じている点で共通しています

ヌールが母親にスピーカーを通して聴かせていたのはドニゼッティ「愛の妙薬」のネモリーノのアリア「人知れぬ涙」です おそらくパバロッティが歌っています。何度も聴いて暗記しているヌールは、サラの歌のレッスンでも歌うことになります サラはヴェルディ「椿姫」の「乾杯の歌」も歌うよう求めます ヌールの歌の才能を見出したサラは、ヌールあてのオペラ劇場への招待状を兄アベルに託します ヌールがオペラ劇場のボックスシートで観たのはステージ上で「椿姫」のヴィオレッタを歌うサラの姿でした 感激したヌールは歌手になる決心をします

出自は関係ない。本当に才能のある人は、誰かがどこかで見ている チャンスはいつかはやってくる。それを掴むか逃すかは本人の心がけ次第だ・・・そういう監督のメッセージが伝わってきます

本作では、プッチーニ「トゥーランドット」からカラフのアリア「誰も寝てはならぬ」(パバロッティ)や、ビゼー「カルメン」の「ハバネラ」(カラス)なども流れます オペラ好きにはたまらない映画です。お薦めします

 

     

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遠藤周作著・鈴木秀子監修「人生には何ひとつ無駄なものはない」を読む ~ 「不幸がなければ幸福は存在しない」「老人には多少の苦労をさせた方が良い」

2022年07月06日 07時14分55秒 | 日記

6日(水)。わが家に来てから今日で2733日目を迎え、ロシアのウクライナ侵攻を受けて西側諸国が凍結したプーチン政権や新興財閥オルガルヒらの資産「3000臆~5000臆ドル(約41兆~68兆円)」について、ウクライナ側は没収した上で甚大な被害を受けた自国の復興に充てるよう求めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     実現は難しいが 最低限プーチンの資産は没収して ウクライナ復興に充てるべきだ

 

         

 

昨日、夕食に「棒棒鶏」「冷奴」「生野菜とアボカドと海老のサラダ」「ジャガイモの味噌汁」を作りました バンバンジーは今年初ですが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

遠藤周作著・鈴木秀子監修「人生には何ひとつ無駄なものはない」(朝日文庫)を読み終わりました 遠藤周作は1923年東京生まれ。慶應義塾大学仏文学科卒業。学生時代から「三田文学」にエッセイや評論を発表。1955年「白い人」で芥川賞を、66年「沈黙」で谷崎潤一郎賞を受賞 96年9月逝去

 

     

 

本書は1998年3月に海竜社から出版された単行本を2005年に文庫化したものです 真摯に、そしてユーモアを交えて多くの作品を発表した遠藤周作の名作の中から、人生・愛情・宗教・病気・生命・仕事などについて書かれた文章を選び、抜粋したアンソロジーです

本書は大きく次のような構成になっています

〇人生・善悪・罪・正義・・・人生には何ひとつ無駄なものはない

〇愛・結婚・夫婦・恋・・・愛することは、”捨てない”こと

〇神・信仰・宗教・・・神は存在ではなく働きである

〇病・老い・死・・・人生の廃物利用のコツ

〇人間・性格・縁・・・あなたの他にもう一人のあなたがいる

〇教育・父性母性・不幸・嫉妬・挫折・・・不幸がなければ幸福は存在しない

〇心・真実・生命・宇宙・・・心の不思議、心の暗闇

〇創造・文化・仕事・ユーモア・・・人生体験ではなく芸術体験という真実

私は本を読む時に、気に入った文章や気になった表現などがあると、そのページの角を折る(「ドッグイヤー」と呼ばれる)癖があります 読了後、ドッグイヤーを目印にその箇所を読み直してブログのコメントを書いたりしています その点について言えば、本書はドッグイヤーが少ない方でした 本文290ページの中で10か所しかありませんでした それはなぜか? 自己分析してみると、遠藤氏はごく当たり前のことしか言っていないからです 考えようによっては、当たり前のことを言葉にして言わなければ通じない世の中になったのかな、と思います そうは言うものの、人生の達人の言葉の集大成ですから「気になった文章」はあります

一つは「神は存在ではなく働きである」で紹介されているエッセイ「万華鏡」の中の文章です

「もっと早く気が付けばよかったのだ 神とは存在ではなくて、働きであるということに。そしてその働きを私は自分の人生のなかで色々な形で感ずることができた たとえば本格小説を書いている時、稀ではあるが自分が書いているのでのではなく、誰かに手を持って書かされていると思う箇所が私にもある 本が完成したあとに読みかえすと、その箇所が私などの実力をこえ、素晴らしくよく動いている

この文章を読んだとき、真っ先に思い浮かべたのは天才音楽家モーツァルトです 私は確信しているのですが、モーツアルトは本当は人間ではなく、神がモーツアルトの頭と肉体を使って唯一無二の音楽を書かせたのではないか、と

また「人生の廃物利用のコツ」の中の「年をとったことの功徳」の中で次のようなエピソードを紹介しています

「老人問題を専門に研究しているソシアル・ワーカーがある日、ポツリとこう言った。『身辺雑事の苦労をすべて取り除いて、あまり楽にしてあげると、老人は必ずしも幸せじゃないかもしれない そうすると、老人は死の恐怖と向き合う以外になくなってしまう 身辺雑事の苦労は、老人が死と向き合うのを誤魔化してくれるものなの』。彼女のこの言葉は、やはり現場で働いているものだけがわかる人間観察を秘めている

この話の結論は、「老人には少しばかり苦労させたほうがいい」ということです 何かに熱中することは、死の寂しさをひと時でも忘れさせてくれるからです

さらに、「不幸がなければ幸福は存在しない」の中では次のように書いています

「不幸がなければ幸福は存在しないし、病気があるからこそ健康もありうるわけだ だから両者はたがいに依存しあっているといえる しかも不幸と呼ぶものにはピン、キリがあり、もっと不幸な人からみるとある程度、不幸な人はまだ『幸福』にみえるものである 末期がんの患者の眼には心臓病の患者は羨ましく見えるかもしれない すべての価値概念はこのようにして相対的である

最近よく考えるのは、不条理に殺されたり不本意に自国を離れ難民生活を余儀なくされたりしているウクライナの人々のことです 新聞やテレビのニュースで彼らの不幸を見聞するたびに、「日本は物価が上がって暮らしにくくなった」とか「コロナ禍で生活保護者が急増した」とか不平不満を言いながらも、「日本には戦争もないし、何だかんだ言っても平和で安全だから、ウクライナの人たちと比べれば幸せだ」と考えてしまいます 遠藤氏の言うように「幸福」と「不幸」は相対的に捉えられています

また、遠藤氏は文化勲章受章者だけに、文化についても書いています

「一流国とは経済大国であるだけでなく文化でも一流であるという条件を備えなければならぬ

「文化というのは、『無駄なもの』『無意味なもの』に価値をみつけること たとえば小説などはなくても人間、飯は食える。古典芸能がなくても社会生活になんら不便はない。だが、この無駄なもの、無意味なものの中に意味を見出すのが文化なのだ これは文明とは違う。機能を認めるのが文明で、近頃はだから、文明人ばかりで文化人が出てこなくなった

この件については、世界的にコロナ禍における政府の文化事業への補助金問題が一時クローズアップされました この問題は一段落したのだろうか

「ドッグイヤー」こそ少なかったものの、本書のタイトル通り「人生には何ひとつ無駄なものはない」ことが伝わってくるアンソロジーです 広くお薦めします

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「音楽家の心意気」 ~ 縮小傾向にあるクラシック音楽に歯止めをかけるにはどうすればよいか? ~ 片山杜秀氏のエッセイから / ピーター・ブルック氏死去 ~ モーツアルト「魔笛」他を演出

2022年07月05日 07時07分06秒 | 日記

5日(火)。昨日は9日間連続真夏日を終え、朝から小雨が降って多少涼しくなったので、エアコンを止めてフィルターを水洗いしました 本来なら猛暑になる前にやるべきところでしたが、横着者ゆえ遅れに遅れてしまいました でも、こびりついた埃がすっかり取れたのでエアコンの効率が良くなり、娘もびっくりしていました

さて 新聞各紙によると、現代演劇の巨匠として知られる英国の演出家ピーター・ブルック氏が2日、パリで97歳の生涯を終えました 1925年生まれ。少年時代に映画監督を志す一方、オックスフォード大在中の1942年に初の舞台演出をしました。卒業後は小劇場で実績を重ね、20代前半から、現在のロイヤル・シェークスピア・カンパニーやロイヤル・オペラ・ハウスで演出しました オペラの演出では、1998年にモーツアルト「ドン・ジョバンニ」、2010年に同「魔笛」を手がけています 是非、ライブで観たかったと思います ピーター・ブルックさんのご冥福をお祈りいたします

ということで、わが家に来てから今日で2732日目を迎え、北京の外交筋によると、ロシアのプーチン大統領は、6月15日に中国の習近平国家主席と電話会談した際、69歳を迎えた周氏に祝意を示した上で、ロシア訪問を要請したが、周氏は新型コロナウイルス対策を理由に、近い将来の訪露は困難との認識を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     コロナよりも今訪露すると世界から「仲良しこよし」と見られて体裁悪いからだろ

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました いつもはバラ肉を使っていますが、今回は牛もも肉を使いました。久しぶりのカレーでしたが、とても美味しかったです

 

     

 

         

 

2日付日経朝刊 文化欄に評論家・片山杜秀氏が「音楽家の心意気」というタイトルでエッセイを寄せています     片山杜秀氏は1963年生まれ。評論家・思想史家・慶応大学教授。著書に「音盤考現学」「未完のファシズム」など多数

片山氏は、日本におけるクラシック音楽の黎明期を振り返りながら、現代におけるクラシック音楽の危機と課題を概要次のように指摘しています

「交響楽団という大所帯はチケット収入だけで賄えるものでは、今も昔も、どこの国でもない 日本の場合は、放送局、映画会社、新聞社、地方自治体などが経営母体、あるいは大口のスポンサーとなって、さらに様々な寄付に支えられ、ここまで来た そうしてやがて1世紀。残念ながらオーケストラをはじめとするクラシック音楽業界の将来は順風満帆ではあるまい コロナ禍のせいばかりではない。大正期から育ってきた、公共がクラシック音楽を支えてこそ社会は豊かになるという価値観が、文化芸術の多様に枝分かれする中、力を失ってきている 確かに熱心なファンはとても多い。が、クラシック音楽を支える社会の裾野は縮小傾向にあると言わざるを得まい 大げさに言えば、大正期へと逆行していくか否かの正念場が、今であろう。クラシック音楽のどこに値打ちがあるのか。それを解さぬ社会は文化的と言えるのか。そのあたりのコンセンサスから作り直していかねば危うい 改めて公共の理解を求め、援助を引き出し、富裕層にもアピールして、新たなる大パトロンを獲得できるか否か。なりふり構わず、味方を増やす努力に邁進しなければならない。それだけの心意気が音楽家たちにあれば、きっと道は開ける

上の文章の中で片山氏が、日本の場合は「放送局、映画会社、新聞社、地方自治体などが経営母体・・・に支えられ、ここまで来た」と指摘している「放送局」は日本放送協会(NHK)=N響、「新聞社」は読売新聞社=読売日響、「地方自治体」は東京都=都響ほか各自治体を指していますが、「映画会社」が経営母体となったのは1946年設立の「東宝交響楽団」(1951年に「東京交響楽団」と改称)のことと思われます そのころの東宝系の映画を観ると、タイトルロールに「演奏 東宝交響楽団」と出てきます

 

     

 

片山氏の「改めて公共の理解を求め、援助を引き出し、富裕層にもアピールして、新たなる大パトロンを獲得できるか否か。なりふり構わず、味方を増やす努力に邁進しなければならない」という主張は、個々のオーケストラが対処すべき課題ですが、それと同時に、どのオーケストラにも共通する課題です 特に「公共の理解を求め、援助を引き出す」のは、個々のオーケストラの枠を取り払って「業界として」横断的に対処すべき課題です また、「新たなる大パトロンを獲得できるか否か」は、若くても優秀な指揮者を迎えオーケストラの個々の楽団員の演奏力のレヴェルアップを図る以外ないのではないか、と思います それとともに、日本の高齢社会を一歩先取りしている感のあるオーケストラの定期会員の実態を直視しなければなりません このまま放っておけば、数年後にはどこのコンサートホールもスカスカになるでしょう 若い聴衆を増やす不断の努力が不可欠です 片山氏流に言えば「それだけの心意気が音楽家たちにあれば、きっと道は開ける」と思います

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パゾリーニ監督、マリア・カラス主演映画「メディア」、「テオレマ」を観る ~ モーツアルト「レクイエム」が流れる

2022年07月04日 07時14分22秒 | 日記

4日(月)。千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君が、海の幸の詰め合わせセットを送ってくれました 大振りのサバ、赤魚、そしてアジが所せましと詰まっています S君ありがとう 持つべきものは友だちです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2731日目を迎え、KDDIの携帯電話サービスやインターネット通信で2日、全国規模の通信障害が発生し、KDDIが提供する「au」や「UQモバイル」で音声通話とネット通信などが繋がりにくくなった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     R.シュトラウスの「英雄の生涯」をもじって「auの障害」としたツイッターを見た

 

         

 

昨日、新文芸坐で「メディア」と「テオレマ」の2本立てを観ました

「メディア」はピエル・パオロ・パゾリーニ監督による1969年製作イタリア・フランス・西ドイツ合作映画(111分)です

イオルコス国王の遺児イアソンは、父の王位を奪った叔父ぺリアスに王位返還を求める ぺリアスはその条件として、未開の国コルキスにある「金の羊皮」を手に入れるよう要求する 旅に出たイアソンは、コルキス国王の娘メディアの心を射止め金の羊皮を持ち帰る しかし王位返還の約束は反故にされ、イアソンはメディアと共に隣国コリントスへ向かう そこで王位に見込まれたイアソンは、メディアを捨てて国王の娘と婚約する 裏切られたメディアは復讐を決意し実行する

 

     

 

本作は、イタリアの奇才パゾリーニが20世紀を代表するソプラノ歌手マリア・カラスを主演に迎え、ギリシャ悲劇「メディア」を映画化した作品です

ただし、カラスは歌を歌っていませんので、歌を期待している人にとっては拍子抜けかもしれません 台詞も動きも極めて少ないので、パゾリーニ監督はマリア・カラスのカリスマ性をそのままメディアに投影したかったのかもしれません

驚いたのは音楽です ギリシャ風の音楽とともに、日本の三味線唄が使われているのです 三味線だけの曲と三味線を伴奏に歌われる長唄(日本語)のような曲が、様々なシーンで流れるのですが、日本人のわれわれが映像を観ながら聴くと、非常に違和感を感じます 典型的なミスマッチです。パゾリーニ監督は三味線の音色や独特の音楽世界に魅了されて使ったのでしょう

 

         

 

「テオレマ」はパゾリーニ監督による1968年製作イタリア映画(99分)です

ミラノ郊外の大邸宅に住む裕福な家族。父親パオロ(マッシモ・ジロッティ)は多くの労働者を抱える工場経営者で、美しい妻ルチア(シルヴァーナ・マンガーノ)や子どもたち、家政婦エミリア(ラウラ・ベッティ)に囲まれ、平穏な生活を送っていた そんな彼らの前に、ある日突然見知らぬ青年(テレンス・スタンプ)が現れ、一緒に暮らし始める 家族は青年の妖しい魅力と神聖な不可解さに狂わされ、青年が去ると同時に崩壊への道を突き進んでいく 妻ルチアは町に出て若い男性と性交渉を交わす旅に出る 息子ピエトロは画家としての本能に目覚め、キャンパスに小便をかける 娘オデッタは拳を握りしめたまま硬直してしまう 父親パオロは公衆の面前で突然全裸になり、砂漠に向かい、そこで絶叫する 家政婦エミリアは子供の病気を奇跡で治し人々から神のように敬われる

 

     

 

青年が去った後、家族一人ひとりを襲う様々な出来事の背景にモーツアルト「レクイエム」の第1曲「レクイエム・エテルナム(永遠の安息を)」が流れます 未完の「レクイエム」の中で、唯一モーツアルト自身の手で完成させた曲です 歌詞は「主よ 彼らに永遠の安息を 与えたまえ そして 光が絶えることなく 彼らを照らすように」というものです

あたかも、去っていった青年が上空から彼らを見下ろして、心乱れることなく穏やかな生活を送るよう祈っているかのようです それでは、その青年は何者で、どこから来てどこへ行ったのか?  全く分かりません パゾリーニは難解です

 

     

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新国立オペラでドビュッシー「ペレアスとメリザンド」初日公演を観る ~ 「メリザンドが見た夢の世界」と捉えたケイティ・ミッチェルの斬新な演出

2022年07月03日 07時15分29秒 | 日記

3日(日)。わが家に来てから今日で2730日目を迎え、ロシアのプーチン大統領が 極東の資源開発事業「サハリン2」の運営を新会社に移管するよう命じる大統領令に署名したことにより、同事業に参画する三井物産と三菱商事はロシア側の条件をのまないと株主として残れない事態に発展した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これで 信用できないロシアを相手に 今後一切商売はできないことがはっきりした

 

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」でドビュッシー「ペレアスとメリザンド」のプルミエ(初日)公演を観ました 出演はペレアス=ベルナール・リヒター、メリザンド=カレン・ヴルシュ、ゴロー=ロラン・ナウリ、アルケル王=妻屋秀和、ジュヌヴィエーヴ=浜田理恵、イニョルド=九嶋香奈枝、医師=河野鉄平。合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京フィル、指揮=大野和士、演出=ケイテイ・ミッチェルです

実は、私が生まれて初めてナマのオペラ公演を観たのは、モーツアルトでもなく、ヴェルディでもなく、このドビュッシー「ペレアスとメリザンド」でした 20代前半のことだったのでジュラ紀や白亜紀よりも後だったと思います 小学校から高校まで同級だったY君の2つ歳上の美人のお姉さんに誘われて、東京文化会館に2人で観に行ったのです 彼女は普通高校から私立M音大に現役で入学し、卒業後は藤原歌劇団に入って歌の研鑽を積んでいました 残念ながら 誰の指揮で どこのオケで 誰が歌ったのか 全く覚えていません  ただ、歳上のおねいさんの隣席でドキドキしながら舞台を観たのをうっすらと覚えています

 

     

 

歌劇「ペレアスとメリザンド」はクロード・ドビュッシー(1862ー1918)がメーテルリンクの同名戯曲をもとに、1893年から95年にかけて作曲(その後1901年~02年に改訂)、1902年にパリのオペラ・コミック座で初演された作曲者唯一のオペラです

王の孫ゴローは、異父弟ペレアスの取り計らいで森で出会った女性メリザンドと結婚する ペレアスはメリザンドに惹かれるが、それを見ていたゴローはペレアスを咎め、メリザンドが妊娠していることを伝える。旅立ちを決意したペレアスは、出発前夜にメリザンドと落ち合い、互いに愛を告白しあう そこへゴローが現れ、ペレアスを剣で刺す 寝台に臥したメリザンドは女子を授かる。メリザンドはペレアスへの愛を認めたものの、不貞は否定し、生まれた子どもの傍らで息を引き取る

 

     

 

全く予備知識なしにこの公演を観たら多分 面食らうと思います 何しろあらゆる場面でメリザンドが2人出てくるからです ケイテイ・ミッチェルの演出は、舞台を現代に移した上で、メリザンドが夢を見ているという設定になっており、夢を見ているメリザンドの視点から描いているので、彼女が本来登場しない場面でも、彼女が傍観者として常に存在している演出になっているのです

本公演はエクサンプロヴァンス音楽祭、ポーランド国立歌劇場の共同制作によるものです ケイテイ・ミッチェルは演劇とオペラの分野で活躍するイギリス人演出家で、ロイヤル・シェイクスピア・シアター、ロイヤル・コート劇場、ナショナルシアターでアソシエイト・ディレクターを務めています

このオペラは全5幕から成りますが、本公演では第1幕~第3幕、休憩、第4幕~5幕という構成により上演されました 全幕を通して感じたのは演劇的な手法です 舞台を上下左右に分割し、見えるところで歌と演技を、見えないところで次のシーンの準備を行い、舞台転換をスムーズにしています 明るい世界と暗い世界の描き方も鮮やかです

 

     

     

ペレアスを歌ったベルナール・リヒターはスイス出身の若手のテノールで、世界の歌劇場で歌っています ペレアスは最も得意とする役だそうですが、少年のような未熟な青年を見事に歌い演じていました

メリザンドを歌ったカレン・ヴルシュはフランス出身のソプラノです 現代曲を得意としているとのことですが、美しいフランス語で聴衆を魅了しました

ゴローを歌ったロラン・ナウリはフランス出身のバリトンです バロックから現代オペラまで約40に及ぶレパートリーを持ち、世界のオペラ劇場を席巻しています ベテランらしく存在感抜群の歌唱力でした なお、パートナーはソプラノのナタリー・デセイとのことです

アルケル王を歌った妻屋秀和は新国立劇場ではなくてはならないバスです 何を歌っても安定感がありますが、今回も期待を裏切りませんでした

ジュヌヴィエーヴを歌った浜田理恵は第19回パリ国際声楽コンクールオペラ部門第1位の経歴を持つなど、フランス・オペラには定評があります 美しいフランス語による歌唱が印象に残りました

イニョルドを歌った九嶋香奈枝は新国立オペラ「魔笛」のパパゲーナの歌唱と演技が記憶に新しいソプラノです 今回は少年役ということですが、父親に怯える少年を見事に演じました

大野和士指揮東京フィルは歌手に寄り添いつつ、自らも流れるようなドビュッシーの音楽を神秘的に、そして情緒豊かに演奏しました

 

     

 

ところで、第3幕の途中で、2階左サイド前方(あるいは1階左サイド後方)の客席から、大きな男声の絶叫が聴こえました 「こらー!」とも「あー!」とも聴こえましたが、あれはいったい何だったのか 舞台の場面がベッド上の絡みのシーンだったので、一瞬「これも演出か?」と思いましたが、事前アナウンスで「ブラボー等の掛け声はお止めください」と警告しているくらいなので、演出家が約束事を反故にする演出をする訳がないと思い直しました あの絶叫が演出かどうかを確かめる唯一の方法は、もう一度本公演を観ることです 同じ場面で絶叫が聴こえれば演出だったことになるはずです しかし、私には名探偵コナンのような余裕はありません どなたか、2回目以降の公演を観る方は、確かめて教えていただけると嬉しいです

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クラウス・マケラ ✕ 東京都交響楽団でマーラー「交響曲第6番 イ短調」を聴く ~ 90分間集中力の途切れない演奏を展開

2022年07月02日 07時26分59秒 | 日記

2日(土)。わが家に来てから今日で2729日目を迎え、6月のG7の際にイギリスのジョンソン首相が「ジャケットは脱ぐ?着る?われわれがプーチンよりタフだと示そう」と言い、カナダのトルドー首相が「上半身裸で馬に乗ろうか」とジョークを言ったことに対し、プーチン大統領は「上下どちらを脱ぎたかったか分からないが、いずれにしても気色の悪い光景になっただろう」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンもジョークで返すことが分かったが ウクライナ侵略はジョークで済まない    

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました。あとは「もやしの味噌汁」です 鶏肉は柔らかく仕上がり美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京都交響楽団の「第954回定期演奏会」を聴きました プログラムはマーラー「交響曲第6番 イ短調 ”悲劇的”」です 指揮はクラウス・マケラです

クラウス・マケラは1996年フィンランド生まれの26歳。シベリウス・アカデミーでヨルマ・パヌラに指揮を学び、マルコ・ユロネン、ティモ・ハンヒネン、ハンヌ・キースキにチェロを学ぶ チェリストとして活動しつつ、指揮者として10代で頭角を現す 現在オスロ・フィル首席指揮者兼芸術顧問、パリ管弦楽団芸術顧問兼音楽監督、トゥルク音楽祭芸術監督を務めており、2027年から名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任することが発表されています

私がマケラの指揮に接するのは6月26日の都響プロムナードコンサートにおけるショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード”」に次いで2度目です

 

     

 

会場は文字通り満席です。マケラ人気、ハンパありません

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの都響の並び。コンマスは四方恭子、隣は矢部達哉というダブルコンマス態勢を敷きます チェロのトップに控えているのは葵トリオの伊東裕君ではないだろうか 6月26日にも出演していました

「交響曲第6番 イ短調 ”悲劇的”」は、グスタフ・マーラー(1860ー1911)が1903年から05年にかけて作曲、1906年5月27日にエッセンで初演されました 第1楽章「アレグロ・エネルジコ、マ・ノン・トロッポ 激しく、しかし活発に」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「スケルツォ:重々しく」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

満場の拍手の中、背の高いスマートなマケラが指揮台に上ります 演奏に先立って私は、先日のショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード」冒頭の演奏が驚くべき速いテンポだったことから、冒頭をレニングラード並みのスピードで駆け抜けるのではないか、と予想を立てていました しかし、実際には一歩一歩着実に踏み占めるような行進曲のテンポで進められました 弦楽セクションの激しいキザミが印象的です オーボエ首席の広田智之の演奏が素晴らしい

第2楽章と第3楽章は、指揮者によって演奏順が変わります マケラは第2楽章「アンダンテ・モデラート」 ⇒ 第3楽章「スケルツォ」の順に演奏しましたが、私が予習に使ったテオドール・クルレンティス指揮ムジカ・エテルナによるCDでは第2楽章「スケルツォ」 ⇒ 第3楽章「アンダンテ・モデラート」の順になっています    この件については、月刊「都響」6月号に掲載の小室敬幸氏による「スコアの深読み」に概要次のように書かれています

「初版は第2楽章『スケルツォ』、第3楽章『アンダンテ・モデラート』で出版され、初演に向けたリハーサルもこの順に進めたが、初演演奏では順番を逆にしてしまった    マーラーが生前に指揮した3回の演奏では全て第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「スケルツォ」の順で演奏された    その後、国際グスタフ・マーラー協会内部で論争があり、同協会による最新の校訂版によると「アンダンテ・モデラート ⇒ スケルツォ」となっている

 

     

 

第2楽章「アンダンテ・モデラート」でも広田智之のオーボエが素晴らしい    また、マーラーはこの曲を含めて夏にオーストリアのアルプス山中で作曲したことから、この楽章ではカウベルの長閑な音が聴こえてきます    弦楽アンサンブルが美しく響きます     全4楽章の中で最もリラックスできる音楽です

第3楽章「スケルツォ」は第1楽章冒頭の行進曲の変奏であることに違いありません    ホルンのアンサンブルが見事です    指揮をとるマケラは時に楽しそうな表情を見せます

第4楽章は冒頭のチューバの演奏が素晴らしい    四方恭子のヴァイオリン・ソロも美しい     中盤では木管楽器群がベルアップ奏法を見せます    また、トランペットがベルアップを見せた直後、1度目のハンマーが打ち下ろされます。近くにスタンバイしているハープの高野麗音さんは、振動で何センチか浮いたのではないか、と想像します

マケラは90分弱を集中力を切らすことなく、アグレッシブな指揮により都響のメンバーから持てる力を全て引き出し、熱演を展開しました

カーテンコールが繰り返されます    マケラが四方コンマスに「立って」と促しても彼女が立たないので、マケラだけが拍手を浴びます これが何度か繰り返され、場内の照明が点いて初めてマケラは聴衆から解放されました 間違いなくこれからのクラシック界を牽引するカリスマ指揮者と言えるでしょう

指揮するマケラも演奏する都響のメンバーも、あまりの集中力の連続に最後はクタクタに疲れてしまったのではないかと想像しますが、それは心地の良いものに違いありません

 

     

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