徳島大学 西良浩一教授 「VSOP]
若手医師へのメッセージ
若い20代は我武者羅にがんばりvitalityで乗り切る。いわゆるgeneralist修得の時代です。
Specialityの30代は、専門領域を決めてその道を究める年代です。
専門性をもち10年過ぎれば、自ずとoriginalityを要求される年齢となります。
Originalityの40代は教科書を読む人間から書く人間に飛躍する時期です。
そして人間力の問われる50代、personalityの50代です。
VSOPを自分の年齢に照らし合わせ、行動してください。
一流の整形外科医が待っています。
「オンリーワンを目指すVSOP vitality, speciality,
originality, personality」
腰の手術は全身麻酔でしかできないか?
徳島大学整形外科教授の西良浩一です。
平成25年11月1日より、現職となり腰痛治療を専門として、患者様の診断、治療や、運動機能外科(整形外科)教室を主宰させていただいております。
本学で講師をしておりました平成12年には県内初となる内視鏡による椎間板ヘルニア手術を執刀し、腰椎分離症の内視鏡手術も成功させることができました。
平成22年には帝京大学准教授に異動し、次世代内視鏡といわれる直径8mmの機械による局所麻酔で可能な経皮的内視鏡手術に出会い、この分野の日本第一人者出沢教授に4年間直接指導をいただきました。
この間脊椎外科およびスポーツ医学を中心に担当し、多くのオリンピック選手やプロ野球選手など、若くて強健な方の診断、治療を行うとともに大都市の患者様の治療に従事することで経験、技術を自分なりに磨いてまいりました。
アルピニストの野口健さんは本学で手術され、
現在は非常勤講師に御就任頂き、腰痛対策の啓発活動にご協力いただいております。
平成25年に徳島大学の教職に復帰し、改めて感じたのは徳島という地域性もありますが、患者様に高齢者の比率が大変高いことです。
糖尿病による循環器疾患や全身状態が悪い方にはできれば全身麻酔を避ける方が望ましいです。
現在私は、患者様に負担の少ない局所麻酔による内視鏡を使った手術で腰痛(脊柱管狭窄症など)治療を行っています。
背骨の真後ろから切開して手術するのではなく背中の側方から低侵襲の内視鏡で背骨の中に入る手術法です。
この手法で執刀しているのは日本では私だけだと考えています。
今後は、これらをさらに発展させ、高齢者、病弱者の腰痛患者を救うため新しい治療法の開発・確立を目標とした研究や活動、手術法の全国・世界への展開、内視鏡の改良、後進の育成等に努めてまいりたいと考えております。
この取組みを強力に推進するために今回、クラウドファンディングに挑戦致します。
皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。
「高齢者だから腰が痛いのは当たり前」は本当か?
私は徳島大学医学部の卒業生であります。
都会では若年層、壮年層が中心であった患者の方々ですが、徳島大学整形外科に教授として戻ってみると、患者様の約9割が高齢者という地域性に改めて気付きました。
しかも長年続く日本一の糖尿病死亡率県であって、循環器疾患を伴う方が多く、更に大多数の高齢者には何らかの疾病がつきまとっており、元気な高齢者が少ないという状況でした。
(出典:とくしま健康づくりネット)
腰痛は一般的でありながら、治り難い病気と一般に認識されていると思います。
「年、取っとんやけん腰が痛いんは当たり前でよ」
「年、取っとんやけん腰が痛いんは我慢しいよ」
地域の高齢者の方々から聞こえてくる声は、ほとんどがこういったものでした。
しかし、そうでしょうか?
私は、この状況に対して
「高齢者だから腰が痛いのは当たり前」ではない。
「年、取ってるんだから我慢しなさい」ではない。
と考えました。
高齢者でも腰痛の原因はあるはずです。
それを取り除けば腰痛は治療できます。
高齢者だからといって腰痛を我慢する必要はありません。
円盤投、ハンマー投の日本記録保持者で国際大会にも出場した
室伏由佳さん(徳島大学整形外科 非常勤講師)も自らの腰痛経験から
「腰痛は付き合うものではなく治すものです。」と講義して頂いております。
脊柱管狭窄症などの重い腰痛の治療は全身麻酔による手術となります。
高齢になるほど患者様の数は増え、日本には約365〜580万人ほどの患者様がいると推定されます。
しかし、循環器疾患や高齢による病弱などの理由により、できれば全身麻酔を避ける方が望ましい患者様が多くいます。
「年取ったんやけん手術はやめときよ」
「病院に行っても触ってもくれんかった」
「80過ぎたらどっかは悪うなるでよ」
「全身麻酔したら戻ってこれんかもしれん」
こういったご意見・お考えを持っている患者様が多いようです。
診断の様子
私は、この問題に対してなんとかしたいと思いました。
この問題を解決することが私の使命であると感じました。
その回答が、局所麻酔による内視鏡を使った手術を脊柱管狭窄症の治療に応用することです。
全身麻酔をかけないで手術できるならその方が安全です。
脊柱管狭窄症で苦しむ病弱・高齢な患者を一人でも多く救うためには、これまでの常識である全身麻酔ではなく局所麻酔での施術を導入する必要がありました。
しかしながら内視鏡によるヘルニア手術をすぐには脊柱管狭窄症には応用できません。
・3年にわたる技術改良
・平成28年にはご遺体による手術の最終的な見極め
などを経て平成29年2月に1例目の手術に成功し以来30件を積み重ねてきました。
この手術は日本、更には世界でもあまり見られないものです。
このため他大学からの研修者も大勢来られます。
局所麻酔による内視鏡を使った手術の様子
患者様インタビュー
「脊柱管狭窄症について」(徳島県 丸本昌男さん 81歳)
私は若い頃から腰痛の悩みを抱えておりました。
その原因は30歳台の時に工場の屋根から落ちて、背骨の一部を骨折した事があり、そのせいだと思って半ば諦めておりました。
出張の折りに、羽田空港からタクシー乗り場まで歩けず、途中何回も休憩の必要があり、また同じ姿勢を維持する事が辛く、行儀の悪い生活をしていました。
この状況を何とか改善したくて、10年以上あちこちの整形外科を訪ねましたが、歳のせいだ・・手術の必要はない・・と、痛み止めの飲み薬を飲むように勧められました。
2年程前頃よりその痛み止めも効かなくなり、時には娘の肩を借りて歩いたり、車椅子で移動するというようになり、自分の人生は終わってしまうのか・・・と、不安な思いが過ぎりました。
西良先生との出会いは、偶然飛行機で隣席になり・・。
先生は気安さと男が惚れるようなお人柄で、直ぐに友達感覚でお話が出来るようになりました。
昨年の4月末、東京への出張の後で腰痛で寝返りも出来ず、トイレにも行けなくなるほど身動きが取れなくなり、手術を決心致しましたが、知人達からは「止めとけ」「車椅子になるぞ」と言うような話も聞かされる中、西良先生を信頼する気持ちと、医学は進歩しているという信念で臨みました。
5月10日、脊柱管狭窄症とヘルニアの併発で手術も厳しかったと思いますが、手術の翌日から直ぐにリハビリに取り組み、自分でトイレに行けた時の嬉しさは今でも忘れられません。
現在は何の不自由も無く歩けるようになり、近々ゴルフへの挑戦も考えられるようになり、10歳は若返った気持ちです。
立てれる・歩ける・座れる、トイレに行ける・日常生活の中で、当たり前に出来ている事の有り難さを忘れておりました。
思い切って手術を受け、普通の生活が出来ている事に感謝をし、また大満足を致しております。
高齢者の全身麻酔手術は危険が伴い困難だと言われておりますが、西良先生の手術の方法が全国的に行われれば、高齢化社会に明るさが増すと考えております。
西良先生の益々のご活躍をご期待致しますとともに、先生との出会いに心から感謝申し上げております。
今後の取組みについて
私が取り組んでおります局所麻酔による内視鏡を使った脊柱管狭窄症の治療の手術を今後さらに発展させ多くの患者の方々を助けていくために、次のような取組みを行っていきたいと考えております。
①本手術法の普及、一般化
局所麻酔による内視鏡を使った脊柱管狭窄症の治療の手術は日本で私のみが行っております。
この手術法を全国・世界の多くの大学病院医師に広めて行きたいと考えております。
具体的には
・各地でセミナーを開催する。
・関連学会での発表する
・全国各地からFELLOW(研修者)を受け入れ、実地に指導する。(すでに10大学以上から来られています)
などを考えています。
②体に負担の少ない手術用内視鏡の開発
現在、腰痛治療の手術に用いられている内視鏡はドリルの耐久性が低いため、何度も使用することができません。
また精密な装置で非常に高価なものであります。
これを解決するために、ドリルの耐久性を上げ、患者様の体に負担が少なくなるよう更に小型化した内視鏡の開発を目指します。
手術用内視鏡
③治療法、手術法を更に発展させるための研究
より症状の重い脊柱管狭窄症患者様にも対応できる低侵襲での内視鏡を活用した固定術(スクリューを骨にねじ込み安定を図る。椎間板内のボルトの間に人工骨の籠(ケージ)を挿入して安定を図る)手術法の開発を目指します。
研究費支援のお願い
このような取組みや研究をさらに進め、成果を出すためには様々な資金が必要となります。
これらの資金と支援を得るため、クラウドファンディングに挑戦いたします。
ご支援の使途
本プロジェクトへのご支援は、以下の用途で活用させていただきます。
①本手術法の普及、一般化のための活動費用
②体に負担の少ない手術用内視鏡の開発費用
③治療法、手術法を更に発展させるための研究費用
私は、この研究活動を進めることにより、現在手術に踏み切れない腰痛で苦しむ多くの患者様を助けることにつながると信じています。
多くの皆様のご支援をお願いいたします!
徳島大学整形外科スタッフ
参考情報
①「2018年版 国民のための名医ランキング―いざという時の頼れる医師ガイド 全国名医514人厳選」(桜の花出版)では整形外科医が選ぶ整形外科部門で第一位に選ばれました。