報酬は将棋連盟から支払われますが、団体は将棋棋士の対局料や賞金などの金額の詳細については発表されていません。
代わりに、同団体が公表している2023年獲得賞金・対局料ベスト10を紹介します。
順位 | 氏名 | 獲得額 | 昨年順位 |
1 | 藤井聡太 竜王・名人 | 18,634(12,205) | 1 |
2 | 渡辺明九段 | 4,562(7,063) | 2 |
3 | 永瀬拓矢九段 | 3,509(4,668) | 4 |
4 | 広瀬章人九段 | 3,066(2,166) | 6 |
5 | 羽生善治九段 | 2,604( ― ) | ランク外 |
6 | 豊島将之九段 | 2,223(5,071) | 3 |
7 | 菅井竜也八段 | 1,959(1,970) | 7 |
8 | 佐々木大地七段 | 1,881( ― ) | ランク外 |
9 | 稲葉陽八段 | 1,781(1,580) | 10 |
10 | 伊藤匠七段 | 1,728( ― ) | ランク外 |
引用:2023年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟
※2023年1月1日~2023年12月31日のデータ
(カッコ内は2022年の獲得額と順位/単位は万円、金額は推定)
将棋棋士は、位によって年収の変化が大きく、ピンキリと言えます。段位が高く、タイトルの獲得数がある棋士であれば高収入も夢ではありませんが、基本的には全般的に高くない認識を持っておきましょう。
参照:藤井聡太“竜王”の優勝賞金4400万円、羽生善治“七冠”時は総額1億6500万円、無冠の今は?〈意外と知らない棋士の収入事情〉(3/3) - 将棋 - Number Web - ナンバー
プロ将棋棋士の年収は公開されていませんが、階級が上がれば上がるほど報酬が増えることが予想できます。
将棋には強さの基準として「級」と「段」という位があります。「級」は数字が小さいほど格上、「段」は数字が大きいほど格が上がります。
6級 |
奨励会という棋士養成機関に入る。
奨励会は、一定以下の年齢かつ棋士の推薦を受けた人のみ受験可能 |
5級 | |
4級 | |
3級 | |
2級 | |
1級 | |
一段 | |
二段 | |
三段 | |
四段 |
棋士になり、各棋戦に出場可能に。
棋戦には、8つのタイトル戦と7つの公式棋戦がある |
五段 | |
六段 | |
七段 | |
八段 | |
九段 |
棋士は6級〜九段までの位があり、最高位は九段です。四段〜九段までが正式な棋士として認められ、各棋戦に出ることができます。
上位である七段・八段・九段は定員が決まっており、毎年の降格と昇格が繰り返されます。
三段〜6級の騎士は以下は養成機関である「奨励会」に入り、リーグ戦を繰り返し昇給を目指します。
日本将棋連盟が発表した2022年の年間獲得賞金・対局料のランキングは、以下のようになっています。
順位 | 賞金・対局料 | 名前 | 段位・称号(2024年1月時点) |
1 | 1億2,205万円 | 藤井聡太 | 竜王・名人(王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖) |
2 | 7,063万円 | 渡辺明 | 九段(永世称号有資格者) |
3 | 5,071万円 | 豊島将之 | 九段 |
4 | 4,668万円 | 永瀬拓矢 | 九段 |
5 | 2,362万円 | 斎藤慎太郎 | 八段 |
6 | 2,166万円 | 広瀬章人 | 九段 |
7 | 1,970万円 | 菅井竜也 | 八段 |
8 | 1,819万円 | 佐藤天彦 | 九段 |
9 | 1,770万円 | 山崎隆之 | 八段 |
10 | 1,580万円 | 稲葉陽 | 八段 |
参考 : 日本将棋連盟
1位の藤井聡太竜王・名人は、テレビCMの出演などメディア露出も多いため合計年収はさらに高額であることが予想できます。
獲得賞金・対局料は、タイトル挑戦者が優勝した場合よりもタイトル保持者が優勝した場合の方が高額になるため、タイトル保持によりさらに年収が上がります。
また上記の表からわかるように、年収1,000万円を超えるプロ棋士は15〜20人程度と言われています。
※賞金ランキングは2022年の情報となっているため、現在のランキングとは異なる点にご注意ください。
プロ棋士になるには、日本将棋連盟の「奨励会」に入会し四段に昇格する必要があります。
奨励会の受験資格は満19歳以下で、プロ棋士から受験の推薦をもらった者に限られます。
年齢によって受験できる級位も異なり、二次までの対局試験と作文・面接試験を突破しなくてはなりません。
奨励会入会という狭き門を突破し、その後プロ棋士(四段)になれるのは半年に2名と決まっています。
26歳までにプロ棋士に昇格できなかった場合は、奨励会を退会することになります。
しかし、奨励会に入会しなければプロ棋士になれないかというと、必ずしもそうではありません。
アマチュアからプロ棋士を目指したい場合、「プロアマ交流戦」で好成績を残し日本将棋連盟に提出する嘆願書が認められるとプロ編入試験を受けられるようです。
実際にこのルートでプロ棋士になった人は過去に2名しかおらず、アマチュアからプロを目指すのは非常に難しいと言えるでしょう。
ここで、プロ棋士の年収に関するよくある質問をご紹介します。
女流棋士は食べていけないって本当?
女性の棋士は「女流棋士」と呼ばれ、プロの女流棋士は2023年4月現在で13名しかいません。
人数の面から棋戦で優勝する確率は上がりますが、最高賞金額が500万円と棋士の棋戦に比べて小規模です。
人数も少ないため、棋士に比べ対局数も少なく仕事が多くありません。
女流棋士の主な仕事は対局や指導対局、イベントへの出演などです。
女流名人位戦・女流王位戦・マイナビ女子オープン・倉敷藤花戦などの女流棋戦で優勝できなかった場合、賞金・対局料のみで生計を立てていくのは難しいかもしれません。
囲碁プロ棋士の年収は?
囲碁プロ棋士の年収は幅広く、年収が約400万円〜1億円を超える人までさまざまです。
日本経済新聞では、囲碁の2023年の賞金ランキングが確認できました。
囲碁の2023年賞金ランキングは、一力遼棋聖(本因坊・天元)が1億1972万円で初のトップとなった。2位は芝野虎丸名人(十段)で6794万円。12年連続トップだった井山裕太王座(碁聖)は6318万円で3位だった。4位には女性トップの上野愛咲美女流名人(2837万円)が入った。仲邑菫女流棋聖は1149万円の9位。
引用:囲碁賞金ランキング 一力遼棋聖、初の首位(盤外雑記) - 日本経済新聞
将棋のプロ棋士と同様に、対局の賞金だけで生活できる人は囲碁プロの中でもほんの一握りしかいないようです。
囲碁プロ棋士はレベルによっては年収1,000万円を稼ぐことができます。年収ランキング上位者の獲得賞金額は将棋のプロ棋士に近い金額となります。
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▶︎囲碁プロ棋士の年収|収入の仕組みや将棋との比較
プロ将棋棋士の年収まとめ
プロ棋士の平均年収は600万円〜1億円以上と言われています。
実力社会であるため、対局に勝つことが出来れば年収1,000万円以上も夢ではありません。
階級別に「参稼報償金」という基本給が決まっており、そこに対局料や賞金、指導料・講演会、広告出演料を合わせた金額が給料となります。
対局料や賞金額は正式に公表されておらずプロ棋士の年収から予想すると、対局料は数十万〜数百万円、タイトル戦の賞金は数百万〜数千万円でした。
また年収1,000万円を超えるプロ棋士は15〜20人程度と言われており、年間獲得賞金額が1億を超えるプロ棋士もいます。