仕手戦とは、仕手と呼ばれる投機家同士が、売り方と買い方に分かれ争い、投機的な売買で利益を得ようとする相場の状況である。安値の株を大量に買い続けて株価を急激につり上げる買い方、信用取引を利用し割高と思われる株を大量に売り続けて株価を叩き落とそうとする売り方、双方の激しい争いになる。
制度信用を利用する売り方は半年以内に買い戻さねばならないルールがあるため、買い方はさらに買い上がることで売り方を締め付け、売り方は逆日歩や追証などの負担から買戻しを余儀なくされ、さらなる急騰を演じる場合がある。資金力のある機関投資家同士の仕手戦は熾烈を極め、大神一(山一證券)と山崎種二(ヤマタネ)による旭硝子仕手戦などが有名である。
仕手(して)とは、人為的に作った相場で短期間に大きな利益を得ることを目的に、公開市場(株式、商品先物、外国為替等)で大量に投機的売買を行う相場操縦の一種(英語のen:Market manipulationに相当)。
摘発が厳格でない事を逆手に、脱法・違法まがいの手法を取り入れ価格操作をおこなう不正な売買筋のことを仕手筋(してすじ)と呼ぶ。
大規模なものでは米や大豆など商品の買い占めがあり、成功者は莫大な富を得る一方、失敗したものは破産は元より自殺するものも少なくない。
以下では株式市場を例に記述する。
仕手は、巨額の投資資金を武器に銘柄の価格や売買高を意図的に操縦し、利益を得ようとする。
ひとたび仕手が動くと、企業業績とは無関係に株価が急変動する。通常は、仕手筋以外の投資家(提灯)の投機資金を巻き込みながら、一定期間をかけて急騰や急落を繰り返すが、やがては企業業績に見合った株価位置に戻っていく。
「仕手」の名前は能の「シテ方」(主役)に由来するとされる。
一般に仕手と呼ばれるには市場関係者にその存在が知られ、取次証券の売買手口から「○○筋が動いた」などと認知されるようなものを指す。
これはかつての仕手筋が地方や中小の証券を取次にしていたためで、普段はほとんど注文のない弱小証券が突然大量の注文を特定銘柄に集中させ始める事から「主役(シテ)登場」と表現された事による。
今日ではネット証券経由による売買注文が中心になっていることから、かつてのような「仕手」は認識されにくい状況にある。
仕手株とは、仕手が利益を得るために利用する、投機的な取引の対象となりやすい株式のこと。主に、株価の安い低位株で、空売りが可能で発行株数が少なく、浮動株比率が低い銘柄がターゲットになる事が多い。
仕手筋は優良企業ではなく、むしろ「賛否両論があるような銘柄」を、仕手戦を始める前にひっそりと買い集める。
または、逆に空売りができない信用銘柄を仕掛け、一方的に上げていく手法もある。この場合、空売りができない為、現物の買いに信用の買いが加わり、上昇に加速がつき一気に上げていく。
上がるから買う、買うから上がる…という連鎖になる。
新値が8手(新値八手十手)も入れば天井だが、まだまだ上がる可能性もある。
しかしピークを打つと、ストップ安を続けるなど急落する。
仕手の手法として、理論的には売り玉を仕込んだ後に「悪材料」を流布して、下落局面で利益を得る手段(Short and distort)も成立するが一般的ではない。
価値の低い株を買い上げて、風説を流布して価格を吊り上げ利益を得る不正取引は、英語でPump and dump(「ポンプ」で吸い上げ膨らませて「どさっと」投げ売る意)と呼ばれる。
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