各地で人間に寄り添うネットワークを築く学会の原動力を探求!
【はじめに】
【序章】 なぜいま創価学会なのか
【第1章】 強さの根源「座談会」
【第2章】 団地を支える「調和」の生き方
【第3章】 農漁業――偶然を必然に
【第4章】 「人生の軸」探す若者たち
【第5章】 創価・想像の共同体
【第6章】 「苦海」の不条理を越えて
【第7章】 変化の時代の「羅針盤」
【第8章】 「グローバル化」の鍵
【終章】 創価学会研究を振り返って
【特別付録】 対談 佐藤優×開沼博
開沼博
1984年福島県生まれ。東京大学大学院情報学環准教授(2021-)
他に、
東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター(CIDIR)准教授(2024-)
原子力損害賠償・廃炉等支援機構福島第一廃炉国際フォーラム組織委員会委員(2024-)
環境省PFASに対する総合戦略検討専門家会議委員(2023-)
福島県伝承者育成プログラム検討プロジェクトチーム委員(2022-)
復興庁持続可能な復興広報を考える検討会議構成員(2022-)
ふくしまFM番組審議会委員長(2022-)
福島県立医科大学非常勤講師(2021-)
NHK福島放送局ラジオ「ふくどん」レギュラーゲスト(2023-)
東日本大震災・原子力災害伝承館上級研究員(2020-)
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構広報企画委員会委員(2018-)
東日本国際大学客員教授(2016-)
経済産業省汚染水処理対策委員会多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会委員(2016-)
楢葉町放射線健康管理委員会副委員長(2015-)
これまでに、
原子力損害賠償・廃炉等支援機構福島第一廃炉国際フォーラム総合プロデューサー(2017-2023)
NHK福島放送局ラジオ「こでらんに5NEXT」曜日パーソナリティー(2021-2023)
ふくしまFM番組審議会委員(2017-2022)
立命館大学衣笠総合研究機構准教授(2016-2021)
福島原発事故後10年の検証(第二民間事故調)プロジェクト委員(2019-2021)
福島県アーカイブ拠点施設調査研究・研修検討委員会委員(2018-2020)
NHK福島放送局ラジオ「こでらんに5」曜日パーソナリティー(2016-2020)
Yahoo!基金審査委員(2017-2019)
京都女子大学非常勤講師(2018)
福島大学客員研究員(2016-2018)
Yahoo!基金評議委員(2015-2017)
経済産業省資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会原子力小委員会委員(2014-2017)
福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員(2012-2016)
早稲田大学文化構想学部非常勤講師(2014-2015)
読売新聞読書委員(2013-2014)
復興庁東日本大震災生活復興プロジェクト委員(2013-2014)
福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)ワーキンググループメンバー(2011-2012)
等を歴任。
東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府博士課程単位取得満期退学。
著書に『日本の盲点』(PHP研究所)『はじめての福島学』(イースト・プレス)『漂白される社会』(ダイヤモンド社)『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)『東電福島原発事故 自己調査報告』(徳間書店、編者)『福島第一原発廃炉図鑑』(太田出版、編著)『常磐線中心主義』(河出書房新社、編著)など。フィールドレコーディング作品に「選別と解釈と饒舌さの共生」(Letter To The Future)。学術誌の他、新聞・雑誌等にルポ・評論・書評などを執筆。
第65回毎日出版文化賞人文・社会部門。
第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。
第6回地域社会学会賞選考委員会特別賞。
第36回エネルギーフォーラム賞優秀賞。
第37回エネルギーフォーラム賞普及啓発賞。
開沼氏は自身を「「生粋」の外部」と言い、創価学会に関心を持ちフィールドワークを始めたのかの理由を3点述べている。詳細は本書に譲るが、①創価学会が「日本最大のタブー」であり続けていること、②現代社会に強固に存在する中間集団のモデルの一端が見える、③「差別問題化されない差別」がある、である。
開沼氏が福島県出身で、東日本大震災による「フクシマ」の現状にもともと問題関心があった。
おそらくそうした開沼氏の背景が、タブー視され、震災復興のために必要な中間集団が今まさに必要とされ、差別問題化されない差別にさらされている「フクシマ」の現状理解に創価学会が何らかの示唆を与えるのではないかと捉えたのではないかろうか。
本書を通じて開沼氏は、「強引な勧誘」という強固なイメージが持たれ続けている「折伏」の実際や、一枚岩と思われがちな創価学会の組織が実は多様性に富み、「ヘビーユーザー」と「ライトユーザー」がおり、各会員の教義や池田大作名誉会長への理解は個々人で千差万別であることを明らかにしている。この理解はほかの創価学会研究には見られない新しいものと思われる。
開沼氏はフィールドワークを通じて、国内外で共通して展開される創価学会の実践について、「創価学会が「人間革命」と呼ぶ基盤の上に」、「①自分を見つめる「勤行・唱題」、②他者と生活・信心を分かち合う「座談会」、③それらを社会に開いていく「折伏」、④伸び縮するような柔軟な「師弟」の関係」の4点があり、ここに「創価学会のグローバル化」の鍵があるととらえている。
本書には、コミュニティ再生・地域再生といった、近代化によって失われた中間集団の再生を目指す活動に、すでにその中間集団を構築し維持して続けている創価学会から重要なヒントが引き出せるのではないかという期待感もある。
それは開沼氏が中間集団の再構築に問題関心があるからであるが、従来の教義と実践との関連を調べる研究や信濃町の在り様を探求する研究では得られない、その意味では従来の宗教研究を越えた内容を多く含んだ内容となっている。
そうした評価をした上で、課題をひとつ指摘するとすれば、インタビューに応じた人々に対して開沼氏は聖教新聞記者と共にインタビューしており、ここに信濃町の中央本部の「見せたいものを見せる」という意向があるのではないかという疑念を持たれる可能性がある点は指摘しておきたい。
記事については、我々学会員から見ると「そこまで細かく語句を解説しないと外部の方にはわからないんだ」と思うほど初歩的な言葉にも注釈が加えられてあり、驚いた。
むしろ学会員がもっと対話の際に気を付けなければならないと、思い知らされた。
他の人のレビューの中には、明らかに偏見や色眼鏡でこの本を読んでいると思われるものもあるが、そんなことは学会の草創期からあること。むしろ、もっと学会を理解していただく為に対話をしなければならないと決意した。
自主的に励まし合う環境になった根源である本物の宗教にも触れて貰いたかったです。
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