過酷な勝ち上がりルールと出場の鍵・G3決勝成績を調査
アプリ限定 2024/11/08(金) 18:00 0 14
11月19日から今年最後のG1「朝日新聞社杯競輪祭」が開幕する。競輪祭が終われば年末のKEIRINグランプリ出場選手および来期S班の9名が決定する、まさに今年のクライマックスとなる一戦。ここでは出場条件や高額賞金、ノーシードのポイント制一次予選など過酷な勝ち上がりルールについても解説する。
泣いても笑っても“今年最後のG1”
11月19〜24日に小倉競輪場で開催される「朝日新聞社杯競輪祭(G1)」。1948年11月20日に小倉競輪場で初めて競輪が行われたことを記念して、毎年“競輪発祥の地”小倉で行われている。
今年最後のG1で、泣いても笑ってもこれで年末のKEIRINグランプリ出場選手が決まる。競輪祭の出場選手108名は9月末に発表された。それでは選考条件を見ていこう。
【競輪祭 選考条件】※開催時S級
(1) S級S班在籍者
(2) 過去3回以上優勝した者(開催時S1)
(3) パリ五輪自転車競技トラック種目代表選手
(4) 選手選考対象期間において2か月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者(開催時S1)
(5) 2024年度サマーナイトフェステイバル決勝競走出走者
(6) 選考期間における4日制G3決勝1〜3位回数上位者(同数の場合は選考期間における平均競走得点上位者)
(7) 選考期間における平均競走得点上位者(同点の場合は選考期間における選考用賞金獲得額上位者)
※選考期間は4日制G3成績が2023年9月〜2024年8月の12か月間、平均競走得点 2024年3月〜2024年8月の6か月間
平原康多は2009年、14年、16年の優勝で(2)をクリアしている。選考のポイントとなるのは(6)の条件だ。
4日制G3成績優秀者は?
今大会には失格の影響でビッグレース出場が途絶えていた新田祐大も名を連ね、目立った有力選手の選考漏れは見当たらない。
今年から始まった「ミッドナイトG3」は3日制のため、競輪祭の選考対象外。ただしビッグレース前後で行われ「裏開催」と呼ばれるG3(万博協賛や施設整備等協賛G3)は対象となるので、ビッグネームが不在の開催でG1出場権を手にすることも可能だ。
選考期間に行われた42回のG3開催で上位3着までに入った選手は総勢74名。選考条件(6)は単純計算でのべ126名(42大会×3名)となるが、S班を中心に重複が多く発生するため、実質4日制G3で上位3着までに入れば競輪祭の権利はほぼ獲得できる。
4日制G3の決勝成績を1着3pt、2着2pt、3着1ptとして選考期間内の点数をカウントしてみたところ、下記のような順位になった。
G3決勝成績上位者
順位 | 選手名 | pt |
---|---|---|
1 | 清水裕友 | 16 |
2 | 古性優作 | 14 |
3 | 郡司浩平 | 10 |
4 | 新田祐大 山田庸平 阿部将大 |
9 |
7 | 浅井康太 佐藤慎太郎 |
8 |
9 | 松浦悠士 深谷知広 |
7 |
11 | 和田健太郎 吉田拓矢 松井宏佑 |
6 |
14 | 北井佑季 守澤太志 嘉永泰斗 平原康多 |
5 |
トップ2には期間内のG3優勝が4度の清水裕友と古性優作が入り、決勝2着、3着の回数の差で清水が上回る結果になった。
郡司浩平と新田祐大、阿部将大が3度のG3優勝を挙げて上位に入っている。表に入っている選手のうち、佐藤慎太郎と松井宏佑、平原康多は優勝こそないが、G3決勝2着〜3着の回数の多さが目立った。
地区別出場選手数は?
G1を制してグランプリ切符を持っている地区は関東1(平原康多)、南関2(郡司浩平、北井佑季)、近畿1(古性優作)だ。南関の自力選手の層の厚さは顕著で、11月5日時点で5000万円以上の獲得賞金を稼いでいる選手が6名いる。
では、競輪祭の地区別出場選手数を見ていきたい。
地区 | 出場選手数 |
---|---|
北日本 | 20 |
関東 | 14 |
南関東 | 15 |
中部 | 7 |
近畿 | 14 |
中国 | 10 |
四国 | 10 |
九州 | 18 |
競輪祭の出場選手数が最も多いのは北日本。ただし脚質を見ると20名中8名が「追」で、「逃」なのは新山響平と酒井雄多、そして五輪組の小原佑太、中野慎詞、窪木一茂だ。
県別で見ると神奈川が9名と最も多い。グランプリを決めている南関の2人も神奈川所属だ。今年のグランプリは静岡であり、地元S班の深谷知広の「移籍後初・静岡グランプリ出場」は南関勢の思いではないだろうか。深谷にとっては強力な援軍となりそうだ。
競輪祭出場選手の競走得点
競輪祭に出場する選手の、直近の競走得点はどうだろうか? 11月5日時点での点数で比較してみた。
出場正選手108名の平均は110.71。古性優作の121.80が断トツで、次点の郡司浩平が119.38。117点台が眞杉匠と松井宏佑で、116点台は6名いる。
一方で100点を切っているのが佐賀の成松春樹(選考順位107位)。昨年11月の大垣G3「施設整備等協賛競輪」で決勝3着に入り、出場権を手にした。
ほかにも選考順位下位の元砂勇雪(奈良)は今年6月の奈良G3「大阪・関西万博協賛競輪」での決勝2着、原誠宏(香川)は今年8月の松山G3「道後温泉杯争覇戦」の決勝3着で出場権を獲得している。
一次予選はノーシードのポイント制
競輪祭は6日制の長丁場で、一次予選はポイント制の勝ち上がりだ。S班であっても特選などのシードはなく、全員が一次予選を2走して勝ち上がりを競う。
獲得ポイント上位9名は4日目メイン「ダイヤモンドレース」に進み、準決勝進出も同時に決まる。
ポイント10〜36位は「二次予選A」へ進み、上位4着が準決勝進出となる。ポイント37〜63位は「二次予選B」へ回り、こちらは上位2着が準決勝の権利を得る非常に狭き門。まだグランプリ出場の望みが残されている選手は、なんとしても「二次予選A」には進みたいところだろう。
最後のグランプリ切符のゆくえは
今年最後のG1・競輪祭。前半戦のG1はすべてS班以外の選手が獲り、来期のS班は3名の入れ替わりが決定的だ。後半戦2つのG1はいずれもS班の古性優作が戴冠したことで、賞金でのグランプリ出場枠はひとつ余裕が生まれた。
その賞金争いも熾烈を極めており、グランプリ出場ボーダーは1億円を超える可能性もあると言われている。現実的に望みを残しているのは賞金ランク12位(窓場千加頼)までというのが大方の見解だが、それ以下の選手でももちろん競輪祭を獲れば“大逆転”でグランプリ出場を掴むことができる。
競輪祭の優勝賞金は4700万円。決勝2着で2372万円、3着は1550万円、4着が1131万円と決勝4着までが1千万円を超える高額賞金となっている。グランプリがかかる選手たちはもちろん頭に入っているはずだ。
“競輪発祥の地”小倉で、大逆転は起こるのか? 今年最後のG1で、感動のドラマを目に焼き付けよう。