今日の「お気に入り」は、森鷗外(1862-1922)の詩「わが星」。再録。
おもひをかけしわが星は
光をかくしいづこにて
たれのためにかかがやける
心もそらに浮くもの
かゝるおもひをふきはらふ
この夕暮にかぜもがな
すゞしく茂る夏木立
なにをやさしくそよぐらむ
緑色こき大ぞらは
なにをやさしく見下せる
あるかひもなき世の中の
卯月しりてや天の戸を
鳴きてすぎゆくほとゝぎす
しでの山路のしるべせよ
おもひをかけしわが星は
光をかくしいづこにて
たれのためにかかがやける
心もそらに浮くもの
かゝるおもひをふきはらふ
この夕暮にかぜもがな
すゞしく茂る夏木立
なにをやさしくそよぐらむ
緑色こき大ぞらは
なにをやさしく見下せる
あるかひもなき世の中の
卯月しりてや天の戸を
鳴きてすぎゆくほとゝぎす
しでの山路のしるべせよ
今日の「お気に入り」は、金子みすゞさん(1903-1930)の詩一篇。
明るい方へ
明るい方へ。
一つの葉でも
陽の洩るとこへ。
藪かげの草は。
明るい方へ
明るい方へ。
翅(はね)は焦げよと
灯のあるとこへ。
夜飛ぶ虫は。
明るい方へ
明るい方へ。
一分もひろく
日の射すとこへ
都会(まち)に住む子等は。
明るい方へ
明るい方へ。
一つの葉でも
陽の洩るとこへ。
藪かげの草は。
明るい方へ
明るい方へ。
翅(はね)は焦げよと
灯のあるとこへ。
夜飛ぶ虫は。
明るい方へ
明るい方へ。
一分もひろく
日の射すとこへ
都会(まち)に住む子等は。