「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

小国寡民 2009・07・28

2009-07-28 08:00:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は、加島祥造さん(1923- )の「『タオ――老子』第八十章」から。

  私の大切にしたいのは
  国の大きさでも繁栄でもないよ。
  その国はごく小さくていいし
  人口も少なくていい。
  そこに住む人はみんな
  生きることと死ぬことを大切にするから
  船や車で遠くとびだしたりしない。
  すこしは武器らしいものを持つが
  誰も使おうとしない。
  売り買いの取引は簡単で
  縄に結び目をつけて数える程度だ。

  そして食事はゆっくりと味わい
  着るものは清潔で上等な布だ。
  落ち着いて暮らしていて
  毎日の習慣を楽しんでいる。

  隣りの国は近くて
  犬の遠吠えや鶏の声が聞こえるほどだけれども、
  そんな隣国と往き来をしないまま
  年をとって、静かに死んでゆく。
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2009・07・25

2009-07-25 08:00:00 | Weblog




今日の「お気に入り」は、加島祥造さん(1923- )の「『タオ――老子』第四十八章」から。

  知識を学ぼうとするものは
  毎日何かを知り、覚えこもうとする。
  タオを求める人は、
  毎日何かを忘れ去ろうとする。
  何かを自分の頭から捨て、
  さらに捨ててゆくとき、
  はじめて「無為」が生じる。

  「無為」とは、何もしないことじゃなくて、
  知識を体の中に消化した人が、
  何に対しても応じられるベストな状態のことなんだ。
  世間のことも、まわりのことも、
  なるがままにさせておき、
  黙って、見ていられる人になる。
  そのほうがうまくいく、という計算さえ持たずにね。



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2009・07・21

2009-07-21 09:00:00 | Weblog





今日の「お気に入り」は、金子みすゞさん(1903-1930)の詩「大漁」。


   朝焼小焼だ
   大漁だ
   大羽鰮(おおばいわし)の
   大漁だ。

   浜は祭りの
   ようだけど
   海のなかでは
   何万の
   鰮のとむらい
   するだろう。



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2009・07・15

2009-07-15 07:00:00 | Weblog



今日の「お気に入り」は、加島祥造さん(1923- )の「『タオ――老子』第二章」から。

  名のない神秘の領域から、
  天と地が分かれた。
  この天と地の世界では、
  ものに名がつくし、観念にも名がつく。

  ところで、美しいものと醜いものがあるんじゃない
  美しいと名のつくものは、汚いと名のつくもののおかげで
  美しいと呼ばれるんだ。

  おたがいに片っぽだけじゃありえない。
  善だって、そこに悪があるからはじめて、
  善として存在するんでね。
  悪のおかげで、善があるってわけだ。

  同じように、
  いま存在しているものも、
  存在しないものが裏にあるから、存在しうるんだ。
  ちょうど、難しいことと易しいことが、
  片っぽだけじゃあり得ないのと同じさ。
  「長い」といったって、短いものと比べるから長いのさ。
  「高い」といったって、低いものがあるから高いんだ。
  歌だって、声とメロディーがあるから、歌なんだ。
  「前」という観念だって、「後」があるからのことなんだ。

  だから、本当に賢い人というのは、あまり手軽に判断しない。
  こうと決めたって、ことは千変万化して、
  絶え間なく動いてゆくからだ
  このタオの本当のリアリティを受け入れるとき、
  君は何かを造っても、自分の腕を誇らなくなる。
  よく働いて成功しても、その成果を自分のものにしなくなる。
  仕事をし終わったら、忘れてしまう。
  すると、かえって、
  その人のしたことは、ほかの人々に深く沁み込むのだ。



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2009・07・13

2009-07-13 08:10:00 | Weblog


今日の「お気に入り」は、加島祥造さん(1923- )の「『タオ――老子』第六十五章」から。

  子供に知識ばかり詰めこんで
  子供のなかの自然の成長力を奪う時
  その子がどんなに不幸になるか、
  みんな知っている。
  それでもある人びとは
  子供に知識を詰めこむことを止めない。
  国のことだって同じさ。
  国民にやたらに情報をばらまいたって、
  そしてますます小利口にしたからって、
  人びとは平安なライフを持てるわけじゃない。
  それはただ競争心をあおり
  先への不安を深めるだけなのだ。
  国や会社のトップ・リーダーだって
  もっと素朴な原理に従わねば駄目なのさ。
  私は愚民政治や愚者の天国を勧めてやしない。
  あくまでバランスの問題なんだ。
  昔は違っていたのだがね、
  いまは情報過多だ、それも
  気狂いじみるほどなのに、
  タオの自然のエナジーは
  ますます無視されている。
  だから強く言うのだがね、
  このタオの自然、タオの創成の力は
  実に深くて、実に遠くまで
  ゆきわたっている。だから
  私たちはもう一度、
  この大きなタオの働きに戻って、
  そのエナジーに従ってみることだ。
  そうすれば、世界はいつか
  大きな調和の途(みち)へ向うだろう。
  物や名誉を争うために
  知識をいくら詰めこんだって
  世界の平安も人びとの幸福も
  やってはこないよ。

 
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2009・07・11

2009-07-11 08:20:00 | Weblog


今日の「お気に入り」は、加島祥造さん(1923- )の「『タオ――老子』第七十六章」から。

  生まれたときは
  みずみずしく柔らかだ。
  死ぬ時は、こわばって
  つっぱってしまう。
  人ばかりか
  あらゆる生きものや草や木も
  生きているときは
  しなやかで柔らかだ。
  死ぬと、
  しぼんで、乾き上がってしまう。
  だから、固くこわばったものは
  死の仲間と言っていいだろう。
  一方、みずみずしく、柔らかく
  弱くて繊細なものは
  まさに命の仲間なのだ。

  剣も、ただ固く鍛えたものは、折れやすい。
  木も、堅くつっ立ったものは、風で折れる。
  もともと強くて、こわばったものは、
  下にいて、根の役をすべきなんだ。  
  しなやかで、柔らかで、弱くて
  繊細なものこそ、
  上の位置を占めて、
  花を咲かせるべきなんだ。

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2009・07・09

2009-07-09 08:10:00 | Weblog



今日の「お気に入り」は、老子の言葉。


  「自ら愛して、自らを貴とばず」

  言葉の意味は、「自分を愛することだ。だけど自分を偉い者にしちゃいけない」。

          (加島祥造著「老子と暮らす」光文社知恵の森文庫)
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2009・07・07

2009-07-07 08:00:00 | Weblog



今日の「お気に入り」。

 「 好きなもの 苺 珈琲 花 美人 懐手して宇宙見物 」

                       (寺田寅彦)


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