「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

HSP 感覚過敏症 Long Good-bye 2024・04・30

2024-04-30 06:40:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」は 、ネットで見掛けた さる精神科医の

 HSPに関する 解説記事 。

  HSPは Highly Sensitive Person の略 。

  以下に その解説記事の抜粋 と ChatGPT 3.5 が 筆者の質問に答

 えてくれたことを紹介します 、ご参考まで 。

 「 HSPは『  敏感な人 、繊細な人 』という意味を持った言葉で 、

  心理学者のアーロン博士が定義した概念です 。

   代表的な特徴は 、処理の深さ 、刺激の受けやすさ 、共感力の高さ 、

  感受性の高さなどが挙げられます 。

   下記でHSPの特徴について、見ていきましょう。

  ・目、耳、鼻、感覚などの五感が鋭く、敏感に感じる

  ・人混みのような騒がしい場所や刺激が多い場所が苦手

  ・刺激に敏感なため、疲れやすい

  ・物事を深く考えることができるが、考えすぎて疲れることがある

  ・他人や周りからの影響を受けやすい

  ・周りをよく見ているため、細やかな気遣いができる

  ・気遣いができる一方、反応を気にして疲れることがある

  ・感受性が高いので共感や感動しやすい

  ・ネガティブなニュースや出来事にストレスを受けやすい

  以上がHSPの主な特徴です 。

   考えすぎる、気にしすぎる、疲れやすいなどといった面があり、周り

  からの影響をとても受けやすい性格の人が多いです 。

   HSPは適応障害になりやすい?

   HSPは生まれながらに持つ『 敏感さ 』によって、良くも悪くも周り

  や環境からの影響を受けやすい性質を持っています 。

  HSPの人は周りと自分の状況をよく見ることができるがゆえに 、

  他人からの評価を気にしてしまう 、他人と比べて落ち込んでしまう 、

   自分へのハードルを上げすぎてしまうといった性格傾向があります 。

   また 、環境からの影響はHSPにとってとても大きなものになります 。

  もともと『 敏感さ 』や『 繊細さ 』を持っているので 、新しい環境に

  馴染む際に時間がかかってしまったり 、周りからの反応を気にしすぎ

  て疲労が溜まってしまうことがあります 。

   そうして周りや環境からのストレスが強まった結果 、適応障害を発症

  してしまうというケースがあります 。

   HSPであれば必ず適応障害を発症するわけではありませんが、その

  繊細な気質から適応障害になりやすいと言えるでしょう。  」

  ( ´_ゝ`)

 「 User : HSPって何?

   ChatGPT :

      HSPは 、Highly Sensitive Person( 高感受性の人 )
     の略で 、感覚過敏症とも呼ばれます 。これは 、ある
     人が他の人よりも感覚に敏感であり 、外部刺激に対し
     て より強く反応する傾向があることを指します 。例
     えば 、強い光や音 、香り 、感情的な刺激などに過敏
     に反応することがあります 。これは一般的に 、神経
     系の生理学的な違いに関連しています 。」

 「 User : What is the Highly Sensitive Person ? 

   ChatGPT :

     A Highly Sensitive Person (HSP) is an individual 
     who has a heightened sensitivity to stimuli in
     their environment. This heightened sensitivity 
     can manifest in various ways, including being 
     more emotionally reactive, more attuned to 
     subtle details, and more easily overwhelmed by
     sensory input such as loud noises, bright lights,
     or strong smells. HSPs often experience the world
     more intensely than others and may require more
     time to process information or recover from 
     overwhelming situations.

     Being an HSP is not a disorder or a condition 
     but rather a personality trait that is present 
     in about 15-20% of the population. 
     Dr. Elaine Aron, a psychologist, is well-known 
     for her research on high sensitivity and has
     written extensively about the subject. She
     describes HSPs as individuals who process 
     sensory data more deeply due to differences 
     in their nervous system's responsiveness.

     It's important to note that being highly 
     sensitive can have both advantages and challenges.
     HSPs tend to be more empathetic, creative, and
     detail-oriented, but they may also struggle with
     overstimulation, anxiety, and difficulty setting
     boundaries.

   ( ´_ゝ`)

 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

HONESTY オネスティ Long Good-bye 2024・04・28

2024-04-28 05:33:00 | Weblog

    

 

  今日の「 お気に入り 」は 、YouTube から抜き書きした

 Billy Joel の " Honesty " ♪♪ 。備忘のため (^^♪  。

 “ If you search for tenderness
  It isn't hard to find
  You can have the love you need to live
  But if you look for truthfulness
  You might just as well be blind
  It always seems to be so hard to give

  Honesty is such a lonely word
  Everyone is so untrue
  Honesty is hardly ever heard
  And mostly what I need from you

  I can always find someone
  To say they sympathize
  If I wear my heart out on my sleeve
  But I don't want some pretty face
  To tell me pretty lies
  All I want is someone to believe

  Honesty is such a lonely word
  Everyone is so untrue
  Honesty is hardly ever heard
  And mostly what I need from you

  I can find a lover
  I can find a friend
  I can have security
  Until the bitter end
  Anyone can comfort me
  With promises again
  I know I know wo wo

  When I'm deep inside of me
  Don't be too concerned
  I won't ask for nothin' while I'm gone
  But when I want sincerity
  Tell me where else can I turn
  Cause you're the one that I depend upon

  Honesty Is such a lonely word
  Everyone is so untrue
  Honesty is hardly ever heard
  And mostly what I need from you ” 

 

 

    

 

  ( ついでながらの

   筆者註:Billy Joel の歌詞を 、ChatGPT さんは 、次のように 、  

       今日も 、瞬時に 、和訳してくれました 。

       「 優しさを求めれば見つかるさ
        それは難しいことじゃない
        生きるために必要な愛を手に入れられる
        でも、真実を求めれば
        まるで盲目のようなものさ
        それを与えるのはいつも難しいんだ

        誠実さは孤独な言葉
        皆 、嘘ばかりなのさ
        誠実さは滅多に聞かれない
        そして 、それが一番必要なのは君なんだ

        誰かが同情してくれるのはいつだって
        見つけることができる
        心をさらけ出せば
        だけど、綺麗事を言う
        私はただ 、綺麗な嘘を言ってほしいわけじゃない
        信じてくれる人が欲しいだけなのさ

        誠実さは孤独な言葉
        皆 、嘘ばかりなのさ
        誠実さは滅多に聞かれない
        そして 、それが一番必要なのは君なんだ

        恋人は見つけられる
        友達も見つけられる
        安心感を得ることもできる
        最後まで
        誰だって慰めてくれることができる
        また約束をすることも
        分かってる 、分かってる 、うん

        私が深く自分の中にいるとき
        あまり心配しないで
        私が行ってる間は何も求めないから
        でも 、誠実さを求めるとき
        他にどこに頼ればいいのか教えて
        君こそが私が頼りにしている人だから

        誠実さは孤独な言葉
        皆 、嘘ばかりなのさ
        誠実さは滅多に聞かれない
        そして 、それが一番必要なのは君なんだ 」

        読むだけでは辛ければ 、ChatGPT さんは 、喋って

        聞かせてもくれますよ 、筆者の知ってる 、南の島

        出身のおねえさんのような 、ちょっと癖のある 、

        片言っぽい日本語ではありますが ・・・ 。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロシアの諺 Long Good-bye 2024・04・26

2024-04-26 05:11:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」は 、ネットで見掛けた 寒い国の

 ことわざ や 慣用句 十選 。

  キリル文字は馴染みがないので 、日本語で 。

  引用はじめ 。

 「 ロシア人には良くてもドイツ人には死

   ・・・ 人それぞれ 。文化によって価値観や考え方
       は違うものだ 。」

 「 リンゴの実はリンゴの木の近くに墜ちる

   ・・・ あの親にしてあの子あり 。親より優れた子
       供は生まれない 。蛙の子は蛙 。  」

 「 ありがとうで腹は膨れない

   ・・・ お礼の言葉だけでなく見返りもよこせ 。  」

 「 より静かに進めば 、より遠くまで行ける

   ・・・ 急がば回れ 。急ぐ必要があるときこそ落ち
       着いて行動しろ 。  」

 「 屑が埃を笑う

   ・・・ 目糞(くそ)鼻糞(くそ)を笑う 。」

 「 自分の荷物は重くない

   ・・・ 好きでやっていることや自分のためになる
       ことは苦にならない 。」

 「 犬は犬死するものだ

   ・・・ 自業自得 。」

 「 3コペイカ盗んだ奴は縛り首 、50コペイカだと
  尊敬の的
  Алтынного вора вешают, а 
  полтинного чествуют. 

   ・・・ 自明 。」

 「 食欲は食事の時に湧く
   Аппетит приходит во время 
  еды.

   ・・・ 欲望はとどまることを知らない 。ひとつの欲
       望が満たされると 更なる欲望が出てくること
       の譬え 。」

  引用おわり 。

  あれっ 、九選 。

  ( ´_ゝ`)

 ( ついでながらの

   筆者註:「 Я(ヤー)はアルファベットの最後の文字
       ロシア語を表記するキリル文字は全部で33文字
       から成り立っている 。このキリル文字をアルファ
       ベット順に並べると最後に来る文字が Я ( ヤ- )
       だが 、これは一人称単数主格を表わす代名詞でも
       ある( 英語のIに該当 )。」

       山ほどある諺 、慣用句の中から 、十選から洩らし

      たものを いくつか 。

       「 自分の顔が歪んでいるなら鏡に腹を立てるな 。」

       「 二度の死はありえないが 、一度は避けられぬ 。」

       「 2×2=4
        Дважды два — четыре.

         ・・・ 至極当然 。誰もが知っている当たり

             前のこと 。  」

       空腹は優れた料理人 。
        Голод - лучший повар.

         ・・・ 腹が減ってりゃ何でも美味い 。」

       「 私がいないところで私が結婚していた 。
        Без меня меня женили.

         ・・・ 当事者であるはずの自分が知らない

             うちにいつの間にか決められていた 。」

       「 『 神様お願いします 』より『 神様のおかげです 』
        がいい 。

         ・・・ 不確実なものより確実なものをよしと

             せよ 。先の雁より今の雀 。」

       「 月曜日は重たい日 。
        Понедельник — день тяжелый.

         ・・・ また月曜日か 。休みが終わって一週間が

             始まるときの 、あの何ともいやな気分を

             言い表したもの 。」

       「 魚は頭から腐る 。
        Рыба с головы гниет.

         ・・・ 組織は上層部からだめになっていく 。」

       「 一人の旧い友は二人の新しい友よりよい 。
        Старый друг лучше новых двух.  」

       「 朝は夕方より賢い 。
        Утро вечера мудренее.

         ・・・ 寝る前にあれこれ考えるな 。」

       以上ウィキ情報 ほか 。)

      

      (* ̄- ̄) ( ´_ゝ`)

 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ながい坂 Long Good-bye 2024・04・24

2024-04-24 05:43:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」は 、年初からじっくり

 読み進めてきた本の中から 、 備忘のため 、抜き

 書きした 文章 。

  五十年ぶりに山本周五郎著「 ながい坂 」を読み

 了えた いま 、これまでの七十五年余りの人生で 、

 この小説の中に書かれた多くのことに 、折々

 案内されながら 生きてきたような思いがしていま

 す 。ところどころで 、主人公の良い子ぶりに

 易するところがないではありませんが 、それを

 揶揄する人物を対話相手に配することで 、修身

 の教科書になることを回避して 、リアリティ

 る文学作品に仕上がっているように思います 。

  おしまいのほうにある 、この本の題名の由来とな

 ったくだりも 抜き書き しました 。

  引用はじめ 。

  「  大五はにやっと笑って仮綴(かりとじ)の帳面を
  二冊 、そこへ差出した 、『 この天と題したほ
  うがこっちの側の人名 、地と題してあるのが波
  岡一味の名簿です 』
  『 早かったな 』主水正は二冊を手に取った 。  」

  「  ・・・ 『 五人衆の報告もほぼ揃ったし 、こ
  の二冊に誤りがなければ 、もう打つ手の計画を
  たてなければならない 、―― 大五さんならわか
  るだろう 、こういう計画の 、表面的な部分には
  難点はない 、大切なのは細部だ 』
  『 重箱の隅(すみ)ですか 』
  『 楊子(ようじ)で摘発するようにではなく 、ど
  う無事に押えておくか 、ということだ 』
  『 一味のほうへ寝返った連中はわかっているん
  ですよ 』と大五が云った 、『 尤も 、殆んど
  は利益でつながっているんですが 、中にはいま
  の位地を足がかりに出世をしようと 、しんけん
  に考えている者も少なくはない 、これらを押え
  ておく 、などというなまぬるいことでは承知し
  ないと思いますがね 』
  『 ではどうしたらいい 』
  『 ひと纏(まと)めにして押しこめるんですね 』
  『 かれらが抵抗しないと思うか 』
  『 むろん 、一騒ぎやニた騒ぎは避けられない
  でしょうな 』
  『 だめだ 、断じて騒ぎにしてはいけない 、手
  を付けるのは六条一味に限ると 、江戸の殿にも
  その点をよく申送ってある 、家中で一味のほう
  へ寝返った者たちは 、大五の云うとおり藩家の
  大事よりも 、おのれの個人的な欲によってつな
  がっている 、そうだとすれば 、その足場が崩
  壊した場合 、それを挽回しようとするよりも 、
  まず身の安全を考えて 、おそらく大部分の者が
  こちらへ寝返るか 、いまの自分の席からはなれ
  るに違いない 』
  『 あなたは楽天家だな 』大五は湯呑の酒を飲
  み 、横坐りに腰掛けた毛だらけの脛を 、さも
  愉快そうにゆらゆらとゆすった 、『 外聞に構
  わず利にはしるような人間を 、あまく見てはい
  けません 、侍の本分とか名聞(みょうもん)で動
  く人間より 、自分の欲のために動くやつのほう
  が執念ぶかいし 、一度にぎった綱を奪われまい
  とすると 、どんな恥知らずなことでもやっての
  ける連中ですよ 』
  『 仮にそうであっても 、かれらが人間である
  ことに変りはないだろう 』
  『 まさか性善説なんぞをもちだすわけじゃない
  でしょうね 』
   主水正は大きく一と呼吸した 、『 性格と境遇
  によって 、人の進退はそれぞれに違う 、世の
  中には先天的な犯罪者か狂人でない限り 、善人
  と悪人の区別はない 、人間は誰でも 、善と悪 、
  汚濁と潔癖を同時にもっているものだ 、大義名
  分をふりかざす者より 、恥知らずなほど私利私
  欲にはしる者のほうに 、おれは人間のもっとも
  人間らしさがあるとさえ思う 、いや 、もう一と
  言 』主水正は片手をあげて 、大五を制止しなが
  ら云った 、『 ―― こんどの御新政改廃は 、陰
  謀でもなし転覆でもない 、まったく新しい出発
  なのだ 、巳(み)の年や亥(い)の年の例などを考
  えてはいけない 、ああいう騒動とはまったく関
  係のない 、当面の事実だけを処理することだ 、
  これだけはここではっきり云っておく 、去年の
  花は今年の花ではない 、それは忘れないでくれ 』
  『 昨日の雨も今日の雨ではない 』大五はにっと
  微笑した 、『 三浦さんにしては珍しく 、風流
  なことを仰いますね 、いいでしょう 、あなた
  が大将だ 、山からおりて来られるのを待ってい
  ますよ 』
  『 大五なら心配ないと思うが 』と主水正も微笑
  を返しながら云った 、『 おれが戻るまで 、あ
  んまりいさましく動かないように頼むよ 』  」

  ( ´_ゝ`)

  「  城の大手門をはいって 、枡形(ますがた)を ( このお城の名は「鵬(おおとり)城」 )
  左右に曲ってゆくうち 、幾人かの侍が主水正
  に丁寧な挨拶をした 。明らかに城代家老に対
  する挨拶のしかたで 、彼はそれらにこたえな
  がら 、しだいに胸苦しさと 、全身に重圧の
  かかってくるのを感じた 。
  『 たいしたことはない 』主水正は声に出し
  て呟(つぶや)きながら 、思わず呻(うめ)き 、
  頭を振った 、『 たかが七万八千石の城代家
  老ではないか 、しかも自分で選んだ道だ 、
  自分で選んだ道がここへ続いていただけでは
  ないか 』
   石を運び 、土を掘る人足(にんそく)たちと ( 「人足」はポリコレに反するらしい )
  少しも違いはない 。一文菓子を売り 、馬子 、
  駕籠(かご)かきをしても 、人間が生きてゆく
  には 、それぞれの苦しみやよろこびがある 。
  そのありかたはいちようではないし 、どっち
  が重くどっちが軽いという差別も評価もでき
  ない 。城代家老という役が特に重大であり 、
  苦しいものであることはない 、と主水正は
  思った 。
   最後の枡形を曲ると 、道は二つに別れる 。
  左へゆけば本丸 、右へゆけば二の丸 、飛騨
  守昌治は二の丸御殿にいる筈であった 。主水
  正が二の丸のほうへ曲ったとき 、その道が緩
  い勾配の坂になっているのに気づいた 。
  『 ここは坂だったのか 』彼は立停(たちどま)
  って 、道の上下を眺めながら 、びっくりした
  ように呟いた 、『 ―― 知らなかった 、まる
  で気がつかなかった 、これまで幾十度(たび)
  となくここを通ったのに 、ここが緩い勾配な
  がら坂になっていたことに 、まったく気がつ
  かなかった 』
   主水正は土堤(どて)になっている左右を見や
  った 。刈り込んだ若草と松林 、薄曇った空か
  ら 、初夏のやわらかい日光が 、あたりにあた
  たかく満ちあふれていた 。正面には二の丸御
  殿の大屋根が 、松林の上にぬきんでて見える 。
  本丸のほうで馬の嘶(いなな)く声がするのは 、
  誰かが昌治の乗馬の調練をしているのであろう 。
  『 ここが坂であったことに初めて気づいたよ
  うに 』と彼はまた呟いた 、これまでどれほど
  多く 、人や大事なものごとに気づかず 、みす
  ごしてきたかもしれないし 、これからも気づ
  かずに聞きのがしたり 、見のがしたりするこ
  とがいかに多いかもわからない
   主水正は引きずるような足どりであるきだし
  た 。城代家老は馬子でもなし 、一文菓子屋で
  もない 。人足や駕籠かき 、百姓 、町人の心
  配や苦労をも背負わなければならないのだ 。
  堰堤(えんてい)工事や 、御用商制度や運上(う
  んじょう) 、年貢の合理化など 、多くの仕事が
  待っている 。しかも 、どんなにそれらを合理
  的に処理しても 、そのまま十年とは続かない
  だろう 。時勢の変化にしたがって 、そのたび
  ごとに修正してゆかねばなるまい
  『 おれは少年のころから 、脇見(わきみ)をす
  る暇さえなく 、けんめいにながい坂を登って
  きた 』とあるきながら彼は呟いた 、『 多く
  の困難や 、むずかしい仕事や 、いのちを覘
  (ねら)われたことさえある 、三十八の今日ま
  で生きてくることができたのは 、幸運という
  べきだろう 』
   しかし 、今日までは自分の坂を登ってきた
  のだ 、と彼は思った 。
  『 そして登りつめたいま 、おれの前にはも
  っと嶮(けわ)しく 、さらにながい坂がのしか
  かっている 』と主水正はまた呟いた 、
  『 ―― そしておれは 、死ぬまで 、その坂
  を登り続けなければならないだろう 』  」

  引用おわり 。

 

  

  

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

基本の基 杞憂の杞 Long Good-bye 2024・04・23

2024-04-23 05:41:00 | Weblog

 

 今日の「 お気に入り 」は 、今読み進めている

 本の中から 、 備忘のため 、抜き書きした 文章 。

  引用はじめ 。

  「 人間には報酬のために働く者が大多分だが 、 ( 「大多分」 という言葉は他で見ない )
  報酬などは考えず 、褒められたり感謝された
  りすることさえ求めずに 、能力いっぱいの仕事
  をすることによろこびを感じている者もある 。
  弥助は主水正のため 、おどろくほどこまやか
  に気を使い 、働いてくれた 。しかしそれを
  誇ろうとしたことは決してないし 、邸内で主
  水正を見かけると 、さりげなく避けて 、話し
  かけられることを嫌っているようであった 。  」

  「  けれども 、弥助が本当に望んだのは 、それ
  だけではなかったのではないか 。人間が世間
  でくらしてゆくには 、自分の望みどおりの生
  きかたができるとは限らない 。自分では好ま
  ない 、嫌いなことでもやらなければならない
  ことがあるだろう 。それが人間の生きるとい
  うことだ 、―― そう思ったとき 、主水正は
  森番小屋の大造の云ったことを思いだした 。
   ―― おらあ 、人間があんなに苦しんだ姿を
  見たことがねえ 。
   滝沢兵部だったという 。  」

  「『 ・・・ 、人間が自分の好ましいように生き
  られることは稀だし 、平安な一生に恵まれる
  ことも極めて少ない 、・・・ 』  」

  「『 ・・・ 、三井に限らず 、上方商人どもの
  算盤の慥かさと 、ぬけめのなさには私もおど
  ろいたくらいだ 、あれほどとは思わなかった
  んでね 』
  『 ぬけめがないとはどういうことです 』
  『 かれらは百年先の算盤をはじいている 、こ
  んにちのために努力すると同時に 、百年先の
  ために必要なら 、出したくない金も出すし 、
  頭を叩かれると知れば 、すぐに腰を跼(かが)
  め頭をさげてみせる 、―― 舌を出しながらね 』
  『 舌を出しながらですって 』
   主水正は微笑した 、『 それは言葉です 、実
  際に舌を出す出さないではなく 、心の中では
  いつも舌を出しているということだ 、武家経
  済が商人の資本力に支配されはじめてからずい
  ぶん久しい 、どこの藩でもそれに気づいてい
  るのだろうが 、いざとなれば武家権力で抑え
  られる 、ということに頼っている 、その一例
  が天明五年 、幕府から布令(ふれ)だされた非
  常法だ 、もちろん知っているだろうが 、幕府
  旗本たちに対する札差(ふださし)の貸金を帳消
  しにするという法だ 、生産のない消費だけの
  武家生活では 、経済的にゆきづまるのは当然
  であるし 、それは商人どもがもっともよく知
  っている 、もちろん武家でもそれには気づい
  ているが 、御威光と権力が頼みになるあいだ
  は 、気がついていながら 、気づくまいとして
  自分をごまかしているだけだ
  『 はあ 』と佐佐は頷いた 、『 なるほど 、
  商人どもは舌を出すことでしょうな 』  」

  引用おわり 。

  五十五年前のあの頃は 、経済原論 や 資本論 読まずに 、

 小説ばかり 読んでました 、でも 上に引用した文章など 、

 経済の基本の基 、勉強になったもんです 。

 ( ´_ゝ`)

  ( ついでながらの

   筆者註: ついでながら 、中国の古人の言葉二つ 、勉強に

       なるなあ 。

     ・ 「 きじんてんゆう【 杞人天憂 】

       無用の心配をすること 。 取り越し苦労のこと 。

       『 杞人憂天 きじんゆうてん 』ともいい 、略して

       『 杞憂 きゆう 』ともいう 。 『 杞 』は 、中国周

       代の国名 。

        杞の国に 、天地が崩れ堕ちて身の置き場が無く
       なるのではないかと 、夜も眠れぬほど心配した
       人がいた 。このことから 、無駄な心配 、取り
       越し苦労のことを指して 杞憂 という 。」

      ・「 老子の格言で 、『 授人以魚 不如授人以漁
        という言葉があります 。

       『 飢えている人がいるときに 、魚を与えるか 、
        魚の釣り方を教えるか 。』という話で 、

       『 人に魚を与えれば一日で食べてしまうが 、
        釣り方を教えれば一生食べていける 』という
        考え方です 。

        以上ウィキ情報ほか 。)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時の足音 Long Good-bye 2024・04・22

2024-04-22 05:44:00 | Weblog

 

 今日の「 お気に入り 」は 、今読み進めている

 本の中から 、 備忘のため 、抜き書きした 文章 。

  よく気の廻る几帳面な作家さん 、上巻で蒔かれ

 た種を 、下巻で丁寧に拾ってゆく 大河ドラマ

  夜明けの時刻が五時前になった 、春なのに肌寒

 い雨の朝 。

  引用はじめ 。

  「 『 子どものころ先生に 、人間の一生は 、
  一足とびに登るより 、一歩々々を大切にせよ 、
  という意味のお言葉をいただきました 、尚功
  館へ入学してまもなくだったと思います 』
  『 そんなことがありましたかな 、いま考え
  ると釈迦に説法という 』
  『 いや 、そうではありません 、あのころ
  私は出世をしたいという一心に凝り固まって
  いたのです 』と云って主水正は声を低くした 、
  『 ―― 但しそれは一身の栄達を望んだから
  ではありません 、このことはまだ誰にも話し
  ておりませんが 、八歳のとき私は 、胸を刺
  されるような出来事を経験したのです 』

   父に伴(つ)れられて 、大沼へ魚釣りにゆく
  とき 、山内家と滝沢家のあいだにある道に
  はいり 、堀に架かった無名の小橋を渡って
  ゆくのが常であった 。八歳になった或る日 、
  父といっしょにその道をゆくと 、無名の小
  橋は毀(こわ)され 、あとかたもなく取り
  払われていたうえ 、滝沢家の小者に 、こ
  こは私有地であり 、邸内にある学問所の邪
  魔になるから 、ここを通行することは禁ず
  ると云われた 。

  『 城下町に私有地というものはありません 』
  主水正は呼吸をととのえてから云った 、『 ど
  んなに名門であり重臣であっても 、その土地
  は藩主から貸与されたものです 、当時の私は
  そんなことは知りませんでした 、私が胸を刺
  されたように感じたのは 、堀に架かっていた
  小橋が 、毀され取り払われたということです 』

    道とか橋などというものは 、子供には不動
  なもの 、大地があり山川があるのと同様に 、
  常にそこにあるものと信じて 、少しも疑わな
  かった 。それがあとかたもなく打ち毀され 、
  取り払われてしまったのだ 。

  『 そのとき私は 、そういうことが平然と
  おこなわれ 、それに対して誰ひとり抗議を
  する者がいないことを知って 』と云って主
  水正は苦笑いをした 、『 ―― いま思い返
  すと恥ずかしくなりますが 、ぜがひでも尚
  功館へ入学しよう 、そしてできることなら 、
  こんな無理なことのできないような 、正し
  い制度を確立しようと思ったのです 』
  『 知らなかった 、少しも知らなかった 』
  小出はおどろいたように首を振り 、深い溜
  息をついた 、『 ―― 私は老耄して 、その
  小橋のことはなんの記憶もないが 、もしも
  知っていたら 、少しはお役に立つことがで
  きたと思う 、いや 、いやそう云っては悪い 』
  と小出は自分を恥じるように膝を撫でた 、
  『 たとえ知っていても 、私にはどうするこ
  ともできなかったでしょう 、しかしあなたの
  お気持ちはよくわかります 、井戸勘助もこの
  話を聞いたら 、あなたに辛く当るようなこと
  はなかったでしょうがね 』

  『 井戸先生は御健在ですか 』
  『 三年まえに死にました 、酒も嗜(たしな)ま
  ず 、養生には細心な男でしたが 、―― 三年
  まえの十二月に 、卒中で死んでしまいました 』

   主水正は膝の上に両手を置き 、黙って 、暫く
  低頭した 。彼はまざまざと 、時の足音を聞く
  ように思った 。小出方正は老い 、井戸勘助は
  死んだ 。これらのほかにも 、老いたり死んだ
  りした人は少なくないだろう 。時は休みなく
  過ぎ去ってゆき 、人はその時の経過から逭(の
  が)れられない 、王侯といえどもいつかは老い 、
  そして死ぬのだ 。おれ自身も 、いつのまにか
  三十七歳というとしになったのだからな 、と
  主水正は思った 。 」

  引用おわり 。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

阿部重か阿波重か Long Good-bye 2024・04・20

2024-04-20 05:30:00 | Weblog

 

 今日の「 お気に入り 」は 、今読み進めている本の

 中から 、 備忘のため 、抜き書きした 、読み応えの

 ある文章 。

  引用はじめ 。

  「 主殿は夜具の上に起き直り 、右腕で脇息
  に凭(もた)れていた 。十帖(じょう)ほどの
  その座敷は 、寝間ではなく 、客との対談
  にも使っているとみえ 、本床には書の大副
  (たいふく)が掛けてあり 、香炉からは薄く
  煙がゆらめいていた 。青銅の火鉢が一つあ
  るだけで 、庭に面した障子があけてあるた
  め 、戸外と同じくらい空気が冷えてい 、正
  坐している主水正は 、手足の指先から 、寒
  さが全身にしみとおるのを感じた 。

   『 そうか 、殿は御無事だったか 』と主殿
  は乾いた声で云った 、『 それはよかった 、
  ごようすを聞かせてもらおう 』
   主水正は語った 。麻布の下屋敷で会った
  ときの飛騨守昌治の云ったことや 、動作な
  どについて 、できるだけ詳しく話した 。
  主殿は非常に感動したらしく 、聞き終って
  からも 、暫くはなにも云わず 、息をひそ
  め 、眼を伏せたままじっとしていた 。う
  っかりなにか云うと感情が乱れて 、涙でも
  こぼしそうになるため 、強い感動がしずま
  るのを待っている 、というようすであった 。

  ―― なんの病気で 、どのくらい寝ていた
  かは知らないが 、主殿は痩せがめだってい
  るだけで 、顔だちにも姿勢にも 、老衰と
  か 、老耄したとかいう感じは 、殆んどな
  かった 。としはもう七十歳を越したであ
  ろう 、城代を免ぜられたことは 、相当に
  大きな打撃だったに相違ないし 、取って
  代った六条一味の『 御新政 』なるものに
  対しても 、骨に徹する怒りを感じたこと
  だろう 。それにもかかわらず 、いま病床
  に坐している主殿には 、あのころの強い
  自省心と 、人を寄せつけないようなきび
  しい威厳とが 、そのまま少しも変らずに
  残っていた 。

  『 それはよかった 』やがて主殿が云った 、
  『 あまりに直情で 、人の意見に構わずや
  りたいことをやる 、という御性格が私に
  は気がかりであった 、だが 、そこもとの
  話を聞いて心がおちついた 、みごとな御
  成長ぶりだ 、そこもとたちは勤めがいの
  ある殿を持ったぞ 』

   主水正は低頭し 、改めて 、今日ここへ
  来た理由を聞いてもらいたいと云った 。
  主殿はゆっくりと頭を振り 、それは聞く
  まいと答えた 。

  『 私はもう役には立たない 』と主殿は
  感情のない声で云った 、『 時代は変っ
  た 、あの堰堤工事が始まったとき 、私
  はもう自分の時代の去ったことを知った 』
  『 しかし道の案内があれば 、山へ登る
  のに不必要な危険を避けることができる
  のではありませんか 』
   主殿は振り向き 、するどい眼つきで主
  水正の顔をみつめた 、『 では危険を避
  けて 、楽に山へ登るつもりなのか 』
  『 事が多すぎるのです 』
   それがどうした 、とでも云いたげに 、
  主殿は屹と口をひきむすんだ 。
  『 御新政改廃に当っては 』と主水正は
  構わずに云った 、『 順次に手をつける
  のでなく 、全般にわたって同時に決行
  しなければならないのです 、時代は変
  ったかもしれません 、それは仰しゃる
  とおりだと致しましょう 、しかし三代
  も続いて御城代を勤めてこられた御経験
  が 、すべて役に立たなくなった 、とお
  考えになったわけではないと存じます 』

   主殿はひきむすんだ口を少しゆるめ 、
  なにか珍しいものでも見るような眼つき
  で 、暫く主水正の表情を見まもっていた 。
  『 よし 』と主殿は云った 、『 私でお
  役に立つことがあったら答えよう 、第一
  はなんだ 』
  『 卍屋の件です 』
  『 桑島に対する処置を使えないか 』
  『 御金御用商としての卍屋は 、三井の
  筋を引いているばかりでなく 、堂島か
  らも資金が入っております 』と主水正
  は云った 、『 単にそれだけではあり
  ません 、五人衆の制度にも多くの欠点
  があり 、不当な利益をぬすまれたよう
  です 、けれども五人衆の利得はこの領
  内に蓄積され 、いずれかのかたちで御
  領分を潤し 、役に立ってまいりました 、
  それが卍屋の場合には反対に 、取得し
  た利益は殆んど上方へ持ってゆかれて
  しまう 、そしてかれらは通貨の移動を
  糊塗するため 、銭札の増発という手を
  使っています 、したがって桑島に対す
  る処置と同一では 、藩の財政は取返し
  のつかぬことになると思われるのです
  が 』
   主殿の唇に微笑がうかんだ 、『 ここ
  で詳しい詮索をしてもしようがない 、
  だがそこまで調べがゆき届いているなら 、
  迷うことはないだろう 』
  『 天明四年 、幕府でとられた非常法が 、
  この場合もっとも適していると存じます 』
  『 簡単ではないぞ 』主殿は頷いて云った 、
  『 できると思うか 』
  『 迷うことはない 、と仰るのをいまうかが
  いました 』
  『 おまえの口ぶりで 、覘(ねら)っている
  ことにほぼ見当がついたからだ 、天明の
  非常法はあとに多くの問題を残し  、非難
  も少なくはなかった 、おそらく卍屋どもも
  知っているだろうし 、その対策も考えてあ
  ると思うが 、その点はどうだ 』
  『 それには打つ手が用意してございます 』

   聞こう 、というように主殿が脇息を引寄
  せたとき 、家扶の岡野吾兵衛が 、蔽いを
  掛けた膳を持ってはいって来 、主殿の夜具
  の脇へ据えながら 、食事の時刻である 、
  と告げた 。主殿は眉をひそめ 、手を振り
  ながらあとだと云った 。岡野家扶は救いを
  求めるように 、主水正の眼をみつめた 。
  『 医師からきびしく云われているのです 』
  と岡野は主水正に云った 、『 食養生をき
  ちんとなさらなければ 、御恢復はおくれ
  るばかり 、いまはどんなに高貴な薬より
  も 』

  『 医者の一つ覚えだ 』主殿は遮って 、
  首を振りながら云った 、『 枯れかかって
  いる老木に 、濃い根肥(ねごえ)をやれば
  どうなると思う 、老木にはその根肥を吸
  いあげる力はない 、余った養分には虫が
  付くか 、木そのものを腐らせるか 、いず
  れにせよ逆に 、老木の枯れるのを早める
  ばかりだ

   これは木には限らない 、生命あるもの
  すべてに通ずる原則だと思う 。ちかごろ
  新らしがる医者の一部に 、老人ほど食事
  に厚味の物をとるがよい 、それが躯(から
  だ)を若わかしく保つ法だ 、などと云う者
  がある 。しかし老躰(ろうたい)は老躰で
  あることが自然であり 、厚味の食をとる
  ことによって若わかしさを保つとすれば 、
  それは反自然であり 、老躰に鞭打つ結果
  になる 。そこまで云って 、主殿は右手を
  大きく左右に振った 。
  『 ばかばかしい 、どうしてこんな話にな
  ったのだ 』と云って主殿は老家扶に振り
  向いた 、『 いま大切な話をしているんだ 、
  これは持ってさがれ 』
   主水正はとりなそうとしたが 、思い止(と
  ど)まり 、岡野家扶は落胆したように 、両
  肩をゆりあげたのち膳を持って去った 。

  『 気にするな 』と主殿が云った 、『 いい
  からあとを聞こう 』
   それから半刻あまリ 、主水正の云うことを
  主殿はよく聞き 、熱心に意見を述べた 。も
  う自分の時代は去った 、という言葉や 、長
  い病臥生活にもかかわらず 、主殿は藩の情
  勢もよく知っていたし 、問題に対する判断
  も正確であり 、立派な見識のあるものであ
  った 。―― この人は少しも条件に左右され
  てはいない 。六条一味によって城代を免ぜ
  られたが 、城代家老としての人間を変える
  ことはできなかった 。もちろん異例ではな
  いだろうが 、七十歳を越した年齢と 、いま
  置かれている立場から考えると 、やはり舌
  を巻かずにはいられなかった 。

  『 あの人はいまでも現役の城代家老だ 』滝
  沢邸を辞して出ながら 、主水正は太息(とい
  き)をつきながら呟いた 、『 ―― 枯れかけ
  た老木に根肥を入れるな 、老いることを自
  然に受入れるが 、それは肉躰のことで 、
  精神的には無関係なのだ 、それをあの人は
  現実に見せてくれたのだ 』 」

  引用おわり 。

 ( ´_ゝ`)  フー  。^ ^ 。

 ( ついでながらの

  筆者註: 勤め人 辞めて 二十年にもなるのに 、未だ

      に他人(ひと)さまの書いたものに対するチ

      ック癖が止みません 、当人がしょっちゅう

      書き間違え 、読み間違いもする癖して 、

      読書中の電子書籍の中に 、そんな間違い箇

      所を発見して 、たくんの専門のひとたち

      の眼が行き届かないこともあるのだとびっく

      りです 。版を重ねた古典的な時代小説でも 、

      おそらくは電子化にあたって 、こういうこ

      とが起こりうるのです 、馴れはこわい 。

       件( くだん )の文章は 、次の通りで 、通読

      してみれば意味が通らないので 、どこかの

      だれかが 、おかしいと気づく筈なのに 。

      「『 おそくなりました 』 はいって来た二人の
       男の人が辞儀をして云った 、『 安西さまの
       字があまり御達筆なものですから 、阿部重(あ
       べじゅう)といってたずね廻(まわ)ったんです 、
       そのうちに阿部重(あべじゅう)ではないかと云
       われて 、ようやく辿(たど)り着いたわけです 。』
       『 まあ寄れ 』波岡五郎太夫が 、設けてある席
       を手で示した 、『 鳥越で重の付く料理茶屋は
       ほかにはない 、それでよく役目が勤まるな 』
       『 まあお手柔らかに 』安西左京が二人を席に
       つかせながら 、とりなすように云った 、『 か
       れらはこういうところには馴染が(なじみ)がな
       いのです 、さあ女ども 、二人に酌をしてやれ 』  」

       この文章は 、重のつく料理茶屋「 阿波重にて 」と

      いう小見出しのついた 章 の頭にあります 。二つあ

      る「 阿部重 」二番目は 、「 阿部重(あべじゅう) 」

      でなく「 阿波重(あわじゅう) 」でないと意味が通り

      ません 。版元にこの間違いに気づくチェッカーがい

      なかったんでしょうね 、きっと 。物語の本筋でない

      箇所だけに 校閲馴れした みんなが 見落としたんでし

      ょう 。行間 、文脈を読まない AI にチェックさせて

      も間違うかもね 。)

 

  

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポリコレ その2 Long Good-bye 2024・04・18

2024-04-18 06:01:00 | Weblog

 

 今日の「 お気に入り 」は 、今読み進めている本の

 中から 、 備忘のため 、抜き書きした文章 。

   欧米流の「 ポリコレ 」さかんな 21世紀日本では

 書いてはいけない「 差別用語 」 が 、20世紀 昭和

 の 時代小説 には 、容赦なくバンバン出てくる

  伏せ字にしてたらキリがない 。

  引用はじめ 。

  「 主水正は手を伸ばし 、大五の肩をそっと叩
  いた 。刀を抜くなよ 、と主水正は囁いた 。
  まもなく 、提灯の明りが見え 、それがこっ
  ちへ近づいて来た 。主水正はその一人が 、
  清絹(すずし)の寝衣を着た飛騨守昌治だ 、と
  いうことを認めた 。まえよりも少し肥え 、
  陽にやけた手足が 、はるかに健康を増したよ
  うに思え 、主水正は安堵の深い溜息をついた 。
  提灯を持っていたのは相良大学であった 。な
  んのために人目につく提灯などを持っている
  のか 、と主水正は訝しく思った 。昌治は大
  股に近づいて来 、主水正の前で立停った 。
  大股に近づいて来る昌治の足の下で 、夜露
  を吸った芝の湿った音が荒あらしく聞えた 。  」

  「『 ・・・ 私どもは殿をここからお伴れ出
  し申すために 、命を賭けているのです 、
  どうぞこのまま 、私どもとごいっしょに 』

  『 おれはここにいる 』昌治は静かに首を
  振りながら云った 、『 ―― いつか主水は 、
  おれが堰の工事にかかろうとしたとき 、い
  まは早い 、もう数年先まで待ってくれと云
  った 、こんどは同じことをおれが云う 、
  おれのことはもう暫く待ってくれ 』

   こんどの計画はうまくゆきすぎた 、もの
  ごとがこんなに故障なく 、うまくゆきすぎ
  るというのは不自然だ 。

  『 そればかりではない 』と昌治は力のこ
  もった口ぶりで続けた 、『 かれらはいま
  大きな壁に突き当っている 、兄が将軍家の
  血を引いているということを 、唯一の頼み
  にして事を起こしたが 、根本的に藩政を刷
  新するという具体案を持っていなかった 、
  いま新政とかれらのいう政治のやりかたは 、
  ただおれのやった事を壊すだけが目的で 、
  新らしい効果のある政事(まつりごと)はな
  にもやってはいない 』
  『 殿は 』と主水正が反問した 、『 それ
  をどの程度まで御存じですか 』
  『 おれはめくらでもつんぼでもない 』
  『 それならなおさら 、殿がこのまま閉じ
  込められておられる時ではない 、とお思い
  にはなれないでしょうか 』

  『 いや 、そうではない 』昌治は片手を振
  って遮った 、『 そうではないんだ 、かれ
  らはいま自分で墓穴を掘っている 、その墓
  の底はもう見えている 』
  『 私どもはそれよりも 、殿の御一身のこと
  が大切だと思っているのです 』
  『 無用だ 』と昌治が屹(きつ)とした口ぶり
  で云った 、『 おれのことは心配するな 、
  かれらがもしおれを消すつもりならば 、と
  いうより 、かれらにそれだけの自信と決意
  があったら 、初めにおれの寝首を掻いてい
  ただろう 、そうは思わないか 』
   主水正は答えなかった 。」

  「  主水正には答える言葉がなかった 。
  『 かれらにはおれを殺すほどの自信も決意
  もなかった 』と昌治は続けて云った 、
  『 かれらは機会を逸したのだ 、かれらには
  もうおれに手を出すことはできない 』
  『 しんじつそうでしょうか 』
  『 世の中にしんじつそうだと云い切れるもの
  があるか 』と昌治が反問した 、『 おれが家
  督を相続したとき 、こんな事が起ころうとは
  夢にも思わなかった 、しかし事は起こった 、
  かれらがおれにこれ以上なにもできない 、と
  いうのもおれがそう認めただけで 、それが誤
  認であるかどうかはわからない 、おそらく誰
  にも真偽の判別はできないだろう 、だがおれ
  は自分の勘に誤りがないと信じているし 、そ
  の信念が壊されるまでは 、信じたことにゆる
  ぎはないと思う 、それが人間の生きている証
  明ではないのか 』
  『 お言葉を返すようですが 』と主水正が低
  い声で云った 、『 殿はいま 、かれらが墓穴
  を掘っており 、その底もすでに見えていると
  仰せられました 、もしもかれらがその事実に
  気がつきましたら 、このまま殿を御安泰に置
  くでしょうか 』
  『 それは落雷を恐れるようなものだ 』と云っ
  て昌治は微笑した 、提灯の明りで 、昌治の白
  い歯がはっきりと見えた 、『 ―― どこへ 、
  いつ 、雷が落ちるかと心配しても 、現実には
  なんの役にも立たない 、かれらは初めにおれ
  の命をちぢめるべきだった 、それがかれらに
  は出来なかった 、ここをよく考えてみろ 、主
  水正 、―― 初めに出来なかったことを 、い
  まになって慌ててやることが出来ると思うか 』
   主水正は圧倒された 。昌治の自信の強さには 、
  から威張りでない実感がこもっていた 。主水正
  は心の中でまた舌を巻き 、これほどの人物とは
  知らなかった 、と改めて思った 。殿はおれた
  ちより一枚上だ 、一枚どころか 、遥(はる)か
  に人間としての格が違う 、と主水正は思った 。
  『 おれのことは心配するな 』と昌治は言葉を
  刻みつけるように云った 、『 かれらがゆき詰
  まることはもう眼に見えている 、おまえたちが
  無理をするまでもない 、かれらが兄の松二郎
  を表面に出せないのは 、将軍家にお目見えを
  していないからだ 、そして苦し紛れに新太郎
  を立てようとしている 、ごまかしだ 』
  『 けれどもそれが公儀に認められましたら 』
  『 千に一つだ 』昌治は振り向いて三歩歩き 、
  三歩戻ってまた 、主水正の前に立った 、『 新
  太郎は白痴に近い 、彼を将軍家との対面に出す
  というのは 、千に一つの冒険だ 、かれらにそ
  んな勇気があると思うか 』
   主水正は考えてから云った 、『 私には 、そ
  の賭けは大きく 、また危険すぎると思いますが 』
  『 巳の年の騒動このかた 、大きな賭けは続い
  てきた 、いまは長い年月にわたって膿んでいた
  腫物が 、つぶれたようなものだ 、亀裂のはい
  った崖の亀裂が剝げ落ちて 、新らしい不動な岩
  が出たようなものだ 』
   これからはやぶれた腫物の治療をし 、新らしく
  露出した岩を 、崩れないように固めることだ 。
  いそぐな 、と昌治は云った 。
  『 江戸のことはいい 、主水は国許へ帰れ 』昌
  治はそう云い 、片手を主水正の肩にそっと置い
  た 、『 おれのことは心配無用だ 、国許へ帰っ
  て待っているがいい 、もういちど云うが 、決
  していそぐがないことだ 、諄(くど)いようだが
  念を押しておくぞ 』
   主水正は静かに低頭し 、ではこれで別れると
  云って 、昌治は相良大学を伴れ 、大股に去っ
  ていった 。遠ざかってゆく提灯の火と 、その
  明りに照らされた昌治のうしり姿を見送りなが
  ら 、主水正は眼の熱くなるのを感じた 。
  『 おれたちには一と言もお言葉なしか 』と津
  田大五が云った 、『 薄情な人だ 、尤も昔か
  ら薄情なところのあるお人だったがね 』
  『 帰りましょう 』と庄田信吾が云った 、
  『 私たちの役目は済んだようですから 』
   三人はきびすを返した 。」

  引用おわり 。

 ( ついでながらの

  筆者註:「 ポリコレ
        『 パリコレ 』が略称の『 パリ・コレクション 』
       とは異なります 。

        ポリティカル・コレクトネス( 英: political
       correctness 、略称:PC 、ポリコレ )とは 、
       会の特定のグループのメンバーに不快感や不利益を
       与えないように意図された政策( または対策 )な
       どを表す言葉の総称であり 、人種 、信条 、性別 、
       体型などの違いによる偏見や差別を含まない中立的
       な表現や用語を使用することを指す 。『 政治的正
       しさ 』『 政治的妥当性 』などと訳される 。なお 、
       特に 性別の差異を回避する表現を 性中立的言語
       言う 。また ハリウッドなどで キャストやスタッ
       フの多様性を確保するよう求める条項は 包摂条項
       と言う 。

        具体例として 、看護婦・看護士という呼称を性別
       を問わない『 看護師 』に統合したことや、母子健
       康手帳という名称を 父親の育児参加を踏まえて
       『 親子手帳 』に変更したことなどが挙げられる 。

       歴 史
        公的な場やメディアでは 、この言葉は一般的に 、
       これらの政策が『 過剰である 』とか『 不当であ
       る 』といった意味合いの蔑称として使われている 。」

       以上ウィキ情報 。 )

 

 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

男はつらいよ 女もつらいわ Long Good-bye 2024・04・17

2024-04-17 04:49:00 | Weblog

 

 今日の「 お気に入り 」は 、今読み進めている本の

 中から 、 備忘のため 、抜き書きした 文章 。

  引用はじめ 。

  「 老人だからといって 、独りで涙をながす
  ようなことがないわけではない 、という
  米村青淵の言葉が思いうかんだ 。老いて
  気力を喪失した滝沢主殿 。酒びたりで怠
  け放題に怠け 、しかも死ぬときには 、草
  臥(くたぶ)れはてた 、と云ったという宗巌
  寺の和尚 。みんな独りだった 。谷宗岳先
  生も 、妻子がありながらこんな田舎へ招か
  れて来て 、若い側女(そばめ)に子を産ませ 、
  つつましやかに寺子屋のような仕事に背を
  跼(かが)めているという 。だが 、実際に
  はその側女にも 、その側女の産んだ子にも
  心はつながっていないに相違ない 。女には
  家があり子供がある 、女には自分の巣があ
  る 。けれども男に巣はない 、男はいつも
  独りだ 。
  『 独りだからこそ 、男には仕事ができる 』
  と主水正は声に出して呟いた 、『 特にいま
  のおれは 、恩愛にも友情にもとらわれては
  ならない 、男にもほかの生きかたはある 、
  男としての人間らしい生きかたは数かぎり
  なくあるだろうが 、おれだけはそうあって
  はならない 、おれには男として人間らしい
  生きかたをするまえに 、侍としてはたすべ
  き責任 、飛騨守(ひだのかみ)の殿がそう思
  い立たれたように 、侍としてなすべきこと
  をしなければならない 、そしてこれは 、
  おれ自身の選んだ道だ 』」

  「 『 人はさまざまだな 』と主水正は独り
  で呟いた 、『 妻のつるは自意識が強い 、
  なにごとも自分を主体にして考えたり行
  動したりする 、ななえは理屈なしに自
  分を男に捧げるだけだ 、そして千代は 、
  千代の中には男のはいってゆけないなに
  かがある 、柔軟で控えめでいながら 、
  どこかにこちんとしたものがあり 、ど
  んな男でもそこへはいってゆくことはで
  きない 、お千代にはもっとも心を許し
  てはならない 』  」  ( 混ぜるな 、危険 ! )

  引用おわり 。

 

 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

たいがいにせいよ Long Good-bye 2024・04・16

2024-04-16 05:08:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」 は 、最近 交わした ChatGPT 3.5

 との「 まじめな対話 」。

  以下は「 Quake Risks in Taiwan 」というタイトルの付

 いた 会話内容 。

  短い質問を投げかけると 、何倍にも膨らませて答えて

 くれる 、使えるツール 。新聞 読むよりためになる 。

  そろそろ 有料の ChatGPT 4 に移る汐時かも 。

  同じ質問を 日本語で ChatGPT 3.5  にしてみました 。

  そのお答えも 以下に 。

  引用はじめ 。

 「 User:
   Japan is an earthquake prone country. How about Taiwan?

  ChatGPT:
   Taiwan, like Japan, is also located in a
   seismically active region and is prone to 
   earthquakes. It sits at the boundary of 
   two tectonic plates: the Philippine Sea 
   Plate to the east and the Eurasian Plate 
   to the west. This tectonic setting makes 
   Taiwan vulnerable to frequent seismic activity.

   The island experiences both moderate and
   significant earthquakes regularly. 
   In the past, several major earthquakes 
   have caused significant damage and loss 
   of life in Taiwan. The 1999 Chi-Chi earthquake, 
   for example, with a magnitude of 7.6 , 
   resulted in extensive destruction and 
   around 2,400 fatalities.

   Due to its geological position, Taiwan 
   implements stringent building codes and 
   earthquake-resistant infrastructure to 
   mitigate the impact of earthquakes. 
   However, the threat of seismic activity 
   remains a significant concern for the 
   region. 」

   ( ´_ゝ`)

   「 User:
     日本は地震の多い国です 。台湾はどうですか ?
   ChatGPT:
     台湾も日本と同様に 、地震の多い地域に位置
    しています 。台湾は 東側にフィリピン海プレ
    ート 、西側にユーラシアプレートという2つの
    地殻プレートの境界に位置しています 。この
    地殻構造のため 、台湾は頻繁に地震活動が起こ
    りやすい地域です。

     台湾では 、中規模から大規模な地震が頻繁に
    発生しています 。過去には 、いくつかの大規
    模な地震が 台湾で甚大な被害と死者をもたらし
    ました 。例えば 、1999年の 集集地震 はマグ
    ニチュード 7.6 の地震で 、広範囲の破壊と
    約2,400人の死者を出しました 。

     台湾は 地震に備えて厳格な建築基準や耐震
    インフラを導入していますが 、地震活動の脅
    威は依然としてこの地域にとって大きな懸念
    事項です 。

   引用おわり 。

  ( ´_ゝ`)フーン

   ChatGPT は 、台湾を 国と呼ぶのを 、巧みに避けている

  ように感じるな 。

  (* ̄- ̄)

   日本語で 文章を綴り 、ChatGPT に英訳して貰い 、その

  英文を推敲する 、推敲した英文を ChatGPT に和訳して

  貰う 、そして 日本語・英語の対訳版を作る 。

   これを繰り返せば 、いとも簡単に 著作権問題 クリアー

  されちゃうんじゃないかな 、優秀な ChatGPT の知恵を

  借りない手はないな 、

   やってる人もいると聞く 、

  「 今日の教訓 その1 」 。

   好みの女性の音声で 、ChatGPT のお仲間の音声ツールに

  「 おしゃべり 」して貰えば 、楽しい対話のひとときが持

  てそうだ 、 やってる人もいると聞く 、

  「 今日の教訓 その2 」 。

   ちょっと不気味だが 、よく考えてみれば だれでも 容易

  出来ること 、年寄り独りでも 楽しめそうな 未来社会 、そ

  のうちやってみよ 。

 

  

   

  

  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする