今日の「お気に入り」は、中野孝次さん(1925-2004)の著書「ローマの哲人 セネカの言葉」より、再録。
「言うまでもなく人間は人のために役立つことを求められている。もし可能ならなるべく多くの人に。それが出来ぬなら少数者に。
それも出来ぬなら身近な人々に。それも出来ぬなら自分自身に。
なぜなら、人は自分が他人のために役立つ人間であることを示すとき、公共の利益のために行動しているからです。
『閑暇について』3-5 」
「自分以外の誰のためにも生きていない人は、だからといって自分のために生きているわけではない。
『手紙』55-5 」
「早くに死ぬか遅く死ぬかには、何の意味もありません。大事なのは、善く死ぬか悪く死ぬかということだけです。
そして善く死ぬとは、悪く生きることの危険を逃れることです。
『手紙』70-6 」
「進歩の大きな部分は、進歩しようと欲することにあります。
『手紙』71-36 」
「千年前に生きていなかったと泣く者があったら、これほどの馬鹿はいないでしょう。
同じく千年後には生きていないと泣く者がいたら、これまた大馬鹿者です。
この二つは同じです。 君は千年前にも千年後にも存在していない。 この二つの時間は我々に関係ないのです。
『手紙』77-11 」
「正しい行為の報酬は、それを行ったということの中にある。
『手紙』81-19 」
「他人のために役立つことをした人は、自分自身のために役立つことをしたのです。
『手紙』81-19 」
(中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)