今日の「お気に入り」。
「 生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかも知れへん。」
( 宮本輝著 「錦繡(きんしゅう)」新潮文庫 所収 )
「 さて、私がパニック障害という病気によって得た多くの宝物についてだが、
もはやそれをひとつひとつ具体的に述べる必要はなさそうだ。他者の痛みが少しはわかるようになったという
ことだけでも充分ではないだろうか。
それからもうひとつ、心の力というもののすごさをわが身で知ったこともつけくわえておく。
ああ、さらにもうひとつ、悪いことが起こったり、うまくいかない時期がつづいても、それは、思いもかけ
ない『いいこと』が突如として訪れるために必要な前段階だと信じられるようになったのだ。 」
「 三歳で死ぬ人、十二歳で死ぬ人、二十代で死ぬ人、三十代で、
四十代で………。 百歳まで生きる人、たいした差があろうとは思えない。 」
「 ―――なにがどうなろうと、たいしたことはありゃあせん。 」
( 宮本輝著 「いのちの姿」 集英社文庫 所収 )