宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

安全と捨てるもの

2007年11月14日 | Weblog
(画像はクリックされましたら拡大します。)

80年代に出版された某書からです。

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「私もそろそろ転職したいわ。もうこの会社にも仕事にも
飽きたし……。」
というのが、I子さんの口癖だった。

I子さんは26歳、今の商社に勤めて6年半になる。
仕事は営業のアシスタント。
男性社員と二人一組のパートナーになっていて、食品
輸入の仕事の補佐をやっている。
男性社員が決めてきた商談の伝票を起こしたり、船積みが
ちゃんと予定通り行われているかを、テレックスを打って
確認したりというのが主な仕事。
もう6年半もやっているので、少々のアクシデントがあっても
驚かなくなったし、取引先との交渉だって、男性社員が席を
外している時は代ってこなせる。
それも当然で、今のパートナーのJ男さんは、入社はI子さん
よりも三年も後輩の25歳。
むしろ彼女が手取り足取りして仕事を教えてきたような関係だ。

でも取引先からの電話はいつもJ男さんを指名してかかって
くるし、I子さんの勤めるこの商社では、女性に出世の見込みは
殆ど無い。
今の職場に不満はないが、二年先輩のK子さんが「肩たたき」
にあって辞めてからは、I子さんも不安になる事がある。

そんな時、以前この社にいて、独立して小さな貿易会社を
始めた大先輩のL男さんから、自分の会社に来ないかと
誘いを受けた。
中国からお茶や中華料理の食材を輸入する仕事で、その
香港商社に勤務して責任ある仕事をこなしてくれる人が
欲しいのだという。
給料は20万円プラス住宅手当、そしてボーナスは取り合えず
年間四ヶ月というのが条件だった。
香港勤務期間は最低三年、そしてその後の事は相談で、
と言うのだ。

I子さんは心を動かされた。
今まで全ての貿易事務に精通していながら、結局はアシスタント
的仕事しかさせてもらえなかった。
それが支社長として全てを任されるというのだ。
それに前々から海外でしばらく暮らしてみたいという希望も
あったし、この機会に英語を磨きたかった。
ただし給料は現在と殆ど変わらないし、ボーナスを換算すれば
むしろ少なくなるくらいで、先の保証はない。
L男さんの手腕は買っていたが、何しろ小さい会社だから、
いつどうなるとも知れない。
香港には知り合いもいないし、初めての土地に一人で
乗り込んでいくのは不安だった。

そうやって迷っている時、
「I子、あちらなんかに行ったら益々縁遠くなるわよ。」
という母親の一言がきいた。
結局I子さんはこの話を断り、一年後輩の女性がそれに
乗った。

僕はこのI子さんを批判する気はないね。
人にはそれぞれ事情があり、大切にしているものも違う。
まして三年間日本を離れるとなれば、友人や親とも離れ
離れにならなければならない。
それに大会社にいれば、色んな保証もある上に、福祉
施設なども完備している。

ただね、何かを求めてチャレンジしていくためには、何かを
捨てるという選択に迫られる事も確かだ。
たいてい安全とサクセスは、同じラインの上にはないんだよ。

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この本が書かれたのは丁度バブル経済の只中であり、
今では「大会社」であれば必ず保証があるとも言えない
状況になっているように思いますが、最後の「安全と
サクセスは、同じラインの上にはない」という言葉には
共感を覚えました。



「教えて!goo」の一つに、「占い・教えて!goo 」というのが
ある事を知りました。

これだけ占いについて人々が強い関心を寄せている理由
の一つは、「将来の行方を知って正しい方向に進みたい、
正しい決断を下したい」という心情であると思いますが、
簡単にそちらのページを見てみると、わたくしも知らないような
占いや占術家の名前が多く、自分は参加できないと感じました。

色々な占いや専門家がいるようですが、そうしたものに関わる
場合、まず正しいものを見極める必要がありそうです。


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