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来し方ゆく末、おもひ忘れて夢路をたどるやうなりしが、何物ぞ、
俄(にはか)にその空虚(うつろ)なる胸にひゞきたると覚しく、
女子(をなご)はあたりを見廻して高く笑ひぬ。
その身の影を顧り見て高く笑ひぬ。
「殿、我(わが)良人(をつと)、我子(わがこ)、これや何者」
とて高く笑ひぬ。
目の前に散乱(ちりみだ)れたる文(ふみ)をあげて、
「やよ殿、今ぞ別れまいらするなり」とて、目元に宿れる露もなく、
思ひ切りたる決心の色もなく、微笑の面(おもて)に手もふるへで、
一通 二通 八九通、残りなく寸断に為し終りて、熾(さか)んに
もえ立つ炭火の中へ打込みつ打込みつ、からは灰にあとも止めず、
煙りは空に棚引き消ゆるを、「うれしや、わが執着も残らざりけるよ」と
打眺(うちなが)むれば、月やもりくる軒ばに風のおと清し。
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来し方ゆく末、おもひ忘れて夢路をたどるやうなりしが、何物ぞ、
俄(にはか)にその空虚(うつろ)なる胸にひゞきたると覚しく、
女子(をなご)はあたりを見廻して高く笑ひぬ。
その身の影を顧り見て高く笑ひぬ。
「殿、我(わが)良人(をつと)、我子(わがこ)、これや何者」
とて高く笑ひぬ。
目の前に散乱(ちりみだ)れたる文(ふみ)をあげて、
「やよ殿、今ぞ別れまいらするなり」とて、目元に宿れる露もなく、
思ひ切りたる決心の色もなく、微笑の面(おもて)に手もふるへで、
一通 二通 八九通、残りなく寸断に為し終りて、熾(さか)んに
もえ立つ炭火の中へ打込みつ打込みつ、からは灰にあとも止めず、
煙りは空に棚引き消ゆるを、「うれしや、わが執着も残らざりけるよ」と
打眺(うちなが)むれば、月やもりくる軒ばに風のおと清し。