
画像の本は、現在でも入手が容易な、人智学の設立者である
ルドルフ・シュタイナーの著作の一つで、この本は、詩篇の
ような美しい文体の、瞑想の導入の為の祈りの言葉や、
密義を含んだ祈りなどが集められた本です。
ルドルフ・シュタイナーついては、彼の提唱した教育法などを
受け継いだ全人教育の「シュタイナー教育」も日本で徐々に普及しており、
彼の名前は日本では、80年代よりも現在の方が知られてきて
いるのではないかと思いますが、90年代に書かれた、彼の経歴と
人智学の概要に就いてまとめられた記事が手元にありますので、
そちらも抜粋して、紹介させて頂きたく思います。
ルドルフ・シュタイナーは、丁度ナチス党が政権を掌握していた
頃のドイツで、ナチスとオカルト的な表裏関係にあり、ナチスの「闇」に
拮抗する「光」の霊的巨人であったともしばしば評されています。
幼い頃から天与の「見霊能力」があり、大学在籍中に薔薇十字団の
流れを汲む秘教結社の高位のマスターと出会い、その後有名な神智学
協会に入会し、事務総長に就任した後、対立から協会を離れ、人智学を
起こしたとされています。
神智学と人智学の最大の相違点は、神智学が教祖的な立場のものが
霊的存在の仲介を経て霊智を得るのに対し、人智学では、「この体系の
方法で、毎日15分間の瞑想と集中の行を続ければ、誰にでも見霊能力が
発達し、直接的な秘儀参入が可能である」とした事でした。
彼の指す「見霊能力」とは、単に霊物を見ると云う事ではなく、霊界や、現界の
隠れた事象をも見通す、幅広いものであるとの事です。
シュタイナーは、ナチスの目的遂行を阻む者とされ、建物が放火されたり、
執拗に命を狙われながらも、「見霊能力を使って運命を変える事は黒魔術である」
という信条の元で、自身の身の安全を図る為に、その能力を使う事はなく、
最後はサンドイッチに毒を盛られて、ついに衰弱して亡くなりました。
人智学で特徴的なのは、「アカーシャ年代記」の解読による霊的な壮大な
宇宙時代観で、現在は「地球紀・第四周」の時代であるとされています。
この時代は未だ、地上に於いて、善人と悪人が混交している状態ですが、
これからの時代から、明確に分かれていく事になるとされています。
以下、抜粋です。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ヒトラーのような、悪の野望を持った者の登場として、或いは、常に欲望のみを
求めようとする「ルシファーのささやき」として、我々は常に、「闇に力」に
引っ張られているのだ。
その結果、進化のプログラムを外れ、悪の呪縛に捕らわれてしまう人間の方が、
圧倒的に多いのである。
では、それらの人間は、どう云う運命を辿るのであろうか。
例えば、「地球紀・第五週」において、地球がアストラル的存在にそぐわない
物質的な部分を放出する時、先に述べた「悪人種」は、地球全体のアストラル化に
ついて行けず、この残り滓のような物質の地球に取り残されてしまう事になる。
このように、進化の過程で、それこそ何度となく善と悪の魂のふるい分けが
行われていくのだ。
そして最後に、「金星紀」において、善と悪の最終的な弁別が行われていくので
ある。
この時、金星から分離する「ある特別の天体」は、進化に反逆するもの全てを
含む、云わば「改善出来ない月」であると、シュタイナーは述べる。
進化を拒否し、物質の中に安住する事を選択した者達の行き着く果てがそこなのだ。
この段階になった人間の魂に、もはや救いはなくなってしまうのだ。
今を安穏として生きてはいけない。
アトランティス大陸の滅亡の時を思い起こして欲しい。
物質に心を奪われたアトランティス人の中で、地球的規模の災厄から生き残った
者は、ほんの一握りだったではないか。
そして、多くの預言者が垣間見た未来のビジョンでも判るように、何度となく
このふるい分け=大災厄は人類を襲う。
そして、ごく僅かの人間だけが、選ばれた進化の階段を昇って行くにすぎないのである。
勿論、ある「生」に於いて、霊的進化を遂げられなかった人間にも、転生してチャンスは
与えられる。
しかし、進化は善の方向にも、悪の方向にも、螺旋的なプロセスを辿っていく。
そして次第に収束しながら、ある一点を目指して行くのである。
今生で「善人種」になれなかった人間は、来世ではますます、その道は険しく
困難なものになっていくのだ。
人間の魂は不滅であり、遥かな未来において、これらの事は、人類一人ひとりが
間違いなく体験する。
人類進化の霊的プログラムを知った今、この瞬間から、そのプログラムの教えの通り、
人間自らの崇高さを認識し、魂の成長を思い描きながら、この一瞬一瞬を大切に
生きて行く事が重要なのである。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
シュタイナーの思想については、また他日に紹介させて頂きたく思います。
以下、画像の本からです。
………………
【朝と夜のマントラ】
これは、シュタイナーが秘教寺院で伝授したもので、朝は目覚めた直後、未だ
色々な思考が浮かび出る前に唱えて瞑想するものであるとの事です。
言葉を唱えながら、その言葉の通りの情景や状態をイメージして、瞑想を
行うようにとされています。
【朝】
「それは私の自我の中に生きる。
それは私の中で霊化する。
それは全ての中で輝く。
それは霊の光、それはキリスト太陽の光である。
キリスト太陽は、宇宙の深みからやって来る。」
【夜】
「宇宙の深みから
キリスト太陽が昇ってくる。
その光は、霊である。
その光は、全ての中に輝き、
私の中で霊化し、私の自我の中に生きる。」