宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

「四季のトラピスト」

2010年03月23日 | Weblog




画像は、98年に北海道新聞社から出版された、「四季のトラピスト」です。








四季の移り変わりを背景に、修道士たちの祈りの生活、労働や作業、
キリスト教の祭儀の様子が美しい写真で見る事が出来、そして数人の修道士が
語った、修道院に入ったきっかけ、迷い、昔の苦労の話しを読むことが出来ます。

取材の許可をされた院長はこの中で、「先人の労苦忘れず」、「私達の生活は、
経済至上主義の現代社会のひずみを考える、一つの材料になるかもしれないと
思うのです。」と述べられています。







新潟出身の修道士の話しです。

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【心の旅】

「ある修道会に入りたいのだけれど、勇気が無いので一緒に来て欲しい」

そんな友人の相談が、自分を修道士の道に踏み入れさせるとは、夢にも思わなかった。
「結局四年間勤めた会社を辞め、修道会に入会したのは、私の方でした。」

と、新潟の雪深い町で生まれ育った修道士(40)は語る。

たまたまカトリック系大学で学び、21歳で洗礼を受けた。
新潟にUターン就職後も、地元の教会に通った。

ボランティアによる伝道に力を入れていてるその修道会に入ってからは、ベトナム
難民キャンプや、道東の特別養護老人ホーム、労働者街の食堂など全国を回り、
奉仕活動に参加した。

「色々な人に出会う度、それまでどちらかと言うと、引っ込み思案な方だった自分が、
少しずつ変わっていく気がした」という。

と同時に、世の中にあるいくつもの矛盾に直面し、自分の心の中に"宿題"が重なって
いった。

やがて、ボランティア活動に打ち込めば打ち込むほど、じっくり神と向き合い、祈りを深める
心のゆとりが少しずつなくなっている自分に気がつく。
もっと違う生き方の方が、自分には合っているのではないか――。
そんな思いがよぎり始めたのも、この頃だ。


「今までは、自分は世界を飛び回ってきたが、まだ一つ旅をしていない場所がある。
それは、私の心の内面である」。

コンゴ動乱の最中の1960年に飛行機事故で急逝し、翌61年にノーベル平和賞を受けた、
ハマーショルド元国連事務総長の言葉を、後にトラピスト修道院に入った時の心境に
重ねている。

「一ヶ所に腰を落ち着け、もっと物事を深めていきたい、静かな祈りの生活がしたい、
との思いが強くなった。
自分の心の旅を続けていくには、トラピストの囲いの中で」
と決心した。

あれから10年、
祈りながら、かつてボランティア活動で出会った人たちの表情が、ふとよぎる事がある。

遠く離れて暮らしていても、心はいつも寄り添っている気がする。
自分の内面に息づく人たちと出会う旅は、今も続いている。


幼い頃、函館の伯母がよく送ってくれたバター飴。
その工場で働きながら思う。

「トラピストで、マリアさまを見出しました。
隠れた祈りの生活に喜びを感じながら生きています。」

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「トラピスト修道院」
http://www.youtube.com/watch?v=uuauKKbYZ2k

修道院までの長い並木道を撮影されています。
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