上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

市議会最終日・その2・・・・・・公正で民主的な教科書採択を行うことを求め討論

2015-07-03 15:44:50 | 熊本市政
市議会最終日、今議会に、新日本婦人の会から提出されていた「教科書採択の不当な政治介入を許さず、子どもの学習権保障のために、父母・教師・学校の意見を尊重することを求める請願書」に<、賛成討論を行いました。


発言は、以下のとおりです。


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請願第5号「教科書採択の不当な政治介入を許さず、子どもの学習権保障のために、父母・教師・学校の意見を尊重することを求める請願書」について、現場の声を反映した、公正で民主的な教科書採択を行うことを求め賛成討論を行います。
 公立小中学校の教科書は4年ごとに決められますが、今年は中学校教科書採択の年です。教科書の採択は、教員などによる調査員の報告をふまえ、保護者や住民の意見も参考に、教育委員会が文部科学省の検定に合格した教科書から選ぶ仕組みです。
 今回の採択では、安倍政権が「海外で戦争する国」づくりへと暴走を続けるなか、侵略戦争美化の育鵬社と自由社の歴史教科書、育鵬社の公民教科書は、「戦争する国」づくりへ、ゆがんだ歴史認識を持ち込むものとなっています。
 私も、教科書展示会に行ってまいりましたが、歴史教科書では、育鵬社、自由社ともに、日本の侵略戦争を「自存自衛」「アジア解放」のためと描き、「日本の戦争は正しかった」という主張が貫かれています。日本の過去の戦争が誤った侵略であったという判定は、戦後の国際秩序の原点です。日本政府は1982年の宮沢喜一官房長官談話で過去の戦争への反省が「学校教育、教科書の検定にあたっても、当然、尊重されるべきもの」と表明し、検定基準を改定しました。宮沢談話の立場は今も変わらないことが国会で確認されています。両社の教科書は日本政府の公式の立場にも反し、侵略戦争を美化し「日本は正しい戦争を行った」という、世界で通用しない認識を子どもたちに植えつけるものです。育鵬社版では、アジア・太平洋諸国で2000万人以上の犠牲をもたらした日本の侵略戦争について、「自存自衛」の戦争であった、日本の侵略が「東南アジアやインドの人々への独立への希望」になったということを強調しています。自由社版も、占領期には「のちの独立の基礎となる多くの改革がなされた」などと日本軍を「アジアの解放者」として描いています。「勝者の裁き」を強調する東京裁判や、昭和天皇美化のコラムも現行教科書と変わりません。育鵬社版では、東京裁判の判決を日本政府が受け入れていることへの言及がなかったため検定意見が付き、修正に追い込まれています。

 公民教科書でも戦争への反省がみられません。他社の教科書は憲法の平和主義の説明で、戦争への反省から戦争の放棄などが定められことを明記しています。育鵬社の教科書は、戦争放棄などを連合国軍に押し付けられたもので「世界的には異例」と否定的に描き、「平和主義」の項目の大半を自衛隊の説明に割く異常なもので、他国の憲法を引きながら「国防の義務」を強調、自衛隊には違憲論もあると述べていた脚注は削除しています。「集団的自衛権」については、「同盟関係にある国の防衛を支援し、おたがいに協力しようとする権利」と述べ、現行本の「自衛」の表現を「防衛」に書き換えており、言葉の意味・本質を捻じ曲げるものです。「平和主義と防衛」の単元を挿入し、コラム「沖縄と基地」のなかで、「日米安保体制は日本の防衛の柱であり、アジア太平洋地域の平和と安全に不可欠」と記述しています。住民の苦悩や基地撤去を求める運動には一切触れず、「普天間飛行場の辺野古への移設などを進めています」となっており、安倍政権の主張を伝えるものです。「公民」とは「公の一員として考え、公のために行動できる人」だと述べ、前回以上に「公」を強調しています。改悪教育基本法を反映させ「愛国心」を太字で示し、右傾化を強めています。しかも、戦前の大日本帝国憲法は高く評価する一方、現行憲法を敵視し、改憲へ誘導しています。日本国憲法がうたう基本的人権では、現行教科書にあった「憲法に保障された権利と自由が次の世代にも受け継がれるように努力しなければなりません」の文言は削除。教育・勤労・納税を「国民の義務」と強調し、脚注では、「多くの国の憲法では国防の義務を課している」と新たに挿入しています。

 重大なことは、こうした教科書を採択させようという動きが、日本を「海外で戦争する国」につくりかえる戦争法案を押し通そうとする安倍政権の動きと、ぴったり重なり合っていることです。
 「戦争する国」には進んで戦争に行く国民が必要です。かつては軍国主義教育が国民を戦争に駆り立てました。「日本は正しい戦争をした」と教えることで、再び同じ過ちを繰り返してはなりません。
 育鵬社版教科書の採択を推進する日本教育再生機構の集会には首相補佐官の衛藤晟一参院議員が出席し、支援の発言をしています。再生機構と改憲団体の日本会議の支持する首長や地方議員が、各地で教育委員に育鵬社版の採択を働きかけています。「戦争をする国づくり」を進める勢力と侵略美化の教科書の採択を進める勢力とが一体であることを示しています。
 文部科学省は教科書採択では教員の意見を尊重し保護者・住民の意見をきちんとふまえることが必要だとするとともに、改定地方教育行政法の下でも首長には採択の権限はないと明言しています。ILO・ユネスコの教員の地位に関する勧告でも、教員は教科書選択にあたり主要な役割を与えられるべきだとしています。各学校で子どもたちに一番ふさわしい教科書を選ぶには、教科書ごとの特徴や各学校の生徒の状況を踏まえる必要があります。そのためには、教科の専門性を持ち、実際に教科書を使って教え、子どもたちの反応をみている教員の意見をしっかりと尊重するとともに、保護者や地域住民の意見も踏まえた採択の検討を行っていくべきです。 
 本請願の主旨を踏まえ、今回の中学校教科書の採択にあたっても、採択に政治の介入を許さず、それぞれの地域の子どもに最適な教科書を選ばれるよう、開かれた場で十分に検討が行われ、日本国憲法を尊重する立場で、公正かつ民主的な教科書採択が行われることを強く要望いたします。議員各位におかれましては、なにとぞ本請願にご賛同いただきますことを、心からお願い致しまして、請願に対する賛成討論といたします。

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市議会最終日・その1・・・・・MICE建設中止を求める請願について質疑

2015-07-03 15:34:52 | 熊本市政
7月3日は、市議会最終日でした。
本会議で、最後の質問をしました。
いろいろ発言の制限もあるので、10分間、桜町再開発・MICE建設問題で大西市長に質問しました。

発言の内容は、以下のとおりです。


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 経済委員長報告に関連して、付託された「MICE建設中止を求める請願」でお尋ねいたします。
 先の一般質問で山部議員が指摘しましたように、桜町再開発事業は、事業認可にあたり出された意見書をことごとく却下しましたように、市民の意見を退け、強硬にすすめられていると思います。
現在、事業は認可から、権利変換の段階に入っており、再開発準備会社は、公募型プロポーザルによって、施行予定者の選定をすすめています。熊本市は、補助金やMICE施設の整備のために450億円もの税金をつぎ込んでいくことになるわけですが、民間事業ということで、その内容はほとんど市民に知らされないまま、企業の意向によって進められているようです。今の時点で、疑問な点をお尋ねいたします。
① 桜町再開発事業は、「ECI方式」(アーリー・コントラクター・インボルブメント)という契約をされるとのことですが、この方式をとられる理由はなんでしょうか。そのメリット・デメリットについてご説明ください。
 特に「工事費の抑制」が期待されると言われていますが、どのような内容で工事費を抑制し、どの程度抑制できるのでしょうか。
② 「ECI方式」での契約によって事業を行っている事例は、国内にどのくらいあるのでしょうか。また、事例も示しください。
③ 「ECI方式」による工事契約は、選定された施行予定者との随意契約になりますが、450億円もの税金をつぎ込んでいく、公共性の高い事業として500億円を超える工事費を随意契約として全く競争性のない契約をすることをどのようにお考えでしょうか。
④ 市長は、マスコミの取材に「建設費が当初予算を超えることは認められない」と言明されていました。その決意をお聞かせください。
⑤ 今議会の補正予算でも種々の建設事業にインフレスライドによる事業費増が提案されましたように、まだまだ建設費の高騰が続いているのが現状です。再開発の事業費が増えた場合に、MICE施設整備費や補助金が現在の予定額を超えないようにどのような対応をされるのでしょうか。
⑥ 施工業者選定の競争性・透明性・公平性を担保するために、選定委員会には市職員を加えるということですが、透明性の確保から、選定結果の公表も行うべきと考えますがいかがでしょうか。また、選定委員会は何名で構成されるのでしょうか。
⑦ 桜町再開発と同じ日建設計が設計した、高さ634m、世界一高いタワー・スカイツリーの総事業費は650億円です。施設全体の延べ面積・229,410平方メートル、桜町再開発事業の1・6倍ものフロアー面積で、最新の建築技術を駆使して、世界一の電波塔としてつくられました。普通の構造物である桜町再開発ビルに、スカイツリーを超える事業費700億円が投じられることには、驚きを禁じ得ません。なぜ、700億円もの事業費になっているのか、熊本市としては、どのように積算していますか。
以上7点、市長にお尋ねいたします。

(答弁)

 ただ今、「ECI方式」ですすめていくことで「工事費の抑制が期待できる」と答弁されましたが、一方で、具体的にどの程度の抑制が見込めるのか「業者選定前の現時点では不明である」ということなので、果たして事業費が本当に抑えられるのか、たいへん疑問です。そこでお尋ねいたします。
第1に、実績の事例として挙げられた「新国立競技場」整備は、今事業費が途方もなく膨れ上がって、財源見通しも立たないと大問題です。昨年2014年10月に施行者が選定され、基本設計の時点では、旧国立競技場の解体費67億円を除く整備費は1625億円とされていましたが、1年も経たないうちに事業費は900億円も増え、現在2520億円です。要するに、事業費は、施工業者選定時より、1・5倍以上に膨れ上がったことになります。工事費抑制が大きなメリット言われる「ECI方式」で、こんなに事業費が増えていることをどのように思われますか。
第2に、市長は、「透明性を図る」と言われていましたが、選定結果の公表でも、次点までの2事業者しか公表しないということです。新国立競技場の施工予定者選定においては、技術提案書を提案されたすべての事業者について結果が公表されています。桜町再開発でも、次点までとするのでなく、応募したすべての事業者について審査結果を公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。
2点について、市長に伺います。

(答弁)

「ECI方式」は、答弁されたように、昨年6月の法改正を受けて国が示した多様な入札契約の一つで、まだ実績も少なく、日本国内では導入のメリットが検証されたという状況ではありません。そのメリットと言われる事業費抑制の内容は、工期短縮による工費節減や入札コストの軽減であり、大幅抑制が見込まれるものではありません。それは、むしろ事業費が大幅に増えて右往左往している新国立競技場の迷走が証明しています。しかも、再開発事業は、必ず事業費が増えます。駅前東A地区再開発の事業費は、事業計画の時点で128億円、事業提案競技の時に185億円、事業完了時には211億円に膨れ上がりました。今の答弁でも、「事業計画の資金計画の枠を超えないように再開発事業者に要望する」、「仮に今後再開発事業が資金計画の枠を超えることになる場合は事業計画の変更もありうる」、「MICEの整備費は、実施設計をすすめる中で当然変動は考えられる」「インフレスライドにも対応する」、これでは、事業を中止でもしない限りは、事業費は増えるばかりです。「建設費が当初予算を超えることは認められない」と、市長が言われたことと相反する状況になります。
 また最初の答弁で、桜町再開発事業とスカイツリーの事業費は比較できないと言われましたが、延べ床面積で桜町再開発の1・6倍にもなる23万平方メートルのスカイツリーは、規模もさることながら、世界一の電波塔として特殊な構造物でもあり最新技術が駆使されています。日本の電波のデジタル化を担う国家的ともいえる大プロジェクトです。それを上回る事業費が、規模も小さい桜町再開発ビルの建設に使われるということに、市民の理解が得られるでしょうか。
 これまで何度も指摘してきましたように、桜町再開発事業へのMICE施設整備は、再開発事業への参加ということでたいへん割高になっています。一般の公共事業で建設した福岡国際会議場が100億円、札幌コンベンションセンターは144憶円です。本市のMICE施設も単独で建設すれば150億円程度で建設可能との専門家の指摘もあります。税金を使う事業だからこそ、最小の経費で最大の効果を上げなければなりません。ところが、3倍もの費用が必要となっているのですから大問題です。市の負担450億円は破格中の破格です。しかも、民間事業ということで、内容もほとんど市民に知らされることなく、ただただ市は高い事業費を払うだけです。このような事業を、市民合意もなくすすめるべきではありません。市長には、請願の主旨を十二分に汲んでいただくことを要望して質疑を終わります。


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