YouTube: Joan Baez - The Green Green Grass Of Home
曲自体はどこかで聞いて知っていたが、まあ昔の歌であり、誰が作ったどんな内容の歌なのかは知らなかった。素朴な感じのカントリー・ソングという印象しかなかった。
偶々ジョーン・バエズのCDを図書館で借りたら、この曲も入っていた。ずっと聞き流していたが、ふと3番の歌詞が耳にとまった。
Then I awake and looked around me at the cold gray walls that surround me.
And then I realized that I was only dreaming..
目を覚まし、周りを見れば冷たい灰色の壁が取り囲んでいる。
私は気づく ただ夢を見ていただけなのだと
(ウェブによく掲載されている歌詞は少し違うが、ジョーン・バエズはこういう感じで歌っている。僕のヒアリング能力も怪しいものだが)。
あらためて1番、2番の歌詞を聴き直すと、昔と変わらないふるさと 汽車を降りると父と母が迎えてくれる 駆けおりてくるメアリーは金髪にサクランボの唇・・という感傷的な歌詞だ。
細かいところまでわからなかったので、ウェブで訳詞を検索して見る。前半はべたべたと言っていいほどの故郷賛歌だ。甘ったるいフィドルとギターの音がそれを助長する(CDの方は)。ところが、3番になるとそれが夢だというのだ。
いくつかのウェブでは、この人は死刑囚なのだという。
There's a guard and sad old padre arm in arm we'll walk at daybreak..
そこにいるのは看守と年老いた悲しげな'padre' 夜明けには腕をとられて歩いていく
padreは従軍牧師、あるいは単に神父などを差すようだが、この辺りから死刑囚だという解釈になるのか。四方を壁に囲まれている、とあるので、どこかに収監されているという事になるのだろうが、心情的には犯罪者というよりは、戦犯とか何か、背後に何らかの悲劇的なストーリーがあるものと想像してしまう。
前半の故郷を訪ねる様子が甘く感傷的なのも、これが夢だとなるとにわかに深みが増すというか、哀愁を感じるというのか、ある種の感慨を覚えるようになってくる。
こうなって欲しい、と思っていることが夢の中で実現している、という事は良く経験することだ。些細なこと、部屋の掃除をしておかなきゃと思っていると、夢の中で掃除してたり、会わなきゃと思っている人に会っていたり、というのもあるし、もっと切実な悩みを抱えている時期には、それが解決して、夢の中でほっとしていたりする。
辛い思いをして仕事を辞め、次の職場がなかなか見つからなかったとき、良く夢を見た。どこかの職場で何人かの同僚と、にこにこと笑っている夢だ。なにかおかしな事、ちょっと楽しいことがあったらしいのだが、何のことかはわからない。目が覚めて、ずいぶんベタな夢を見るなあ、と我ながら驚くのだが、寝ているときは自分の夢で癒されているようなのだ。もちろん、目が覚めると余計悲しい気持ちになったりもするのだが。
そのときの体験があるからこそ、この歌が余計もの悲しく感じられるのだ。曲調の甘さが余計泣ける・・。
ふと、昔見た映画「ジョニーは戦場へ行った」を思い出したりもする。ジョニーも夢の中で父や恋人に逢っていたのだ・・。