新緑に包まれる5月。
日本中でいたるところで田植えが行われます。
田植えされた稲は、7月の梅雨明けまでにどの位大きくなれるかどうかが収穫を左右します。
其処での除草剤が必要になるのですが、
人体と環境への影響を考えて農薬を使わずに除草するアイガモ農法が有名です。
今日は除草をしてくれたアイガモに関してのお話です。
このアイガモは孵化してすぐに、ヒナを田植えした田んぼに入れて草を食べさせて除草をさせます。
ただ、アイガモが田んぼにいる期間は案外短くて、せいぜい2か月弱くらいです。
理由の1つは、梅雨明け頃には稲も大きくなり、雑草があまり生えなくなることが1つ。
それと、早期米などの場合、8月になれば花が咲いて、モミの中に米汁が入り、
それが米になるようになりますが、今度はアイガモがその米になりかけたモミを食べてしまうからです。
僅か2カ月くらいで、除草の仕事をお役御免になったアイガモですが、
大抵はその末路はカモ鍋などのお肉となってゆきます。
アイガモの雛の購入代金(2006年時点で1羽400円ほど)、
捕食されるロスや餌代(除草、害虫だけでは食欲を満たさない為)を差し引くと利益は少ないのです。
お肉にされる理由としては、
飼育が難しいことや養殖のアイガモを野生に放すことが禁止されていることがあります。
買取価格が低い理由には、
販路が少ないことや処理費(アイガモは水鳥であるために羽が抜けにくく手間がかかる)
が高いことが挙げられます。
ある田んぼを見学に行った折、
その隣に大きな鳥小屋があり、大人になったアイガモが40羽近く飼われていました。
なぜ、大量の大人のアイガモを飼育しているかをお聞きしました。
すると、その生産者さん、
アイガモ農法で役目を終えたアイガモはすべてカモ鍋用に出荷して収益を上げる予定でした。
自分でさばくために、調理師免許まで習得されたのですが、
いざ、お役御免になったアイガモに愛着がわいて殺せなかったらしい。
そこで毎年、アイガモ農法でお世話になったアイガモを飼育し増え続けているのです。
人間が自分の健康を守るためにアイガモを使い、役目が終われば生まれてから1年も経たずに、
カモ鍋になってゆくアイガモたち。
さすがにそのお話を聞いてから、アイガモが不憫でカモ鍋やカモ南蛮を食べる気がしなくなりました。
人間のために他の動物を犠牲にしなくても良い方法に考え直すことも必要かもしれません。