乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

イラン 世界の国ぐにの歴史・15 岩崎書店

2007-04-16 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真はイランのポピュラーな菓子。ひよこ豆のクッキーのようなもの。豆は黄粉のように粉にしたものが、固められている。程よく甘い。やわらかくてデリケート。強くつまむと、崩れてしまう。菓子の上には、刻んだピスタチオがのせられていた。

 布はイラン(イスファハン)の工芸品である『ガラムカーリー』。小さな木型に模様が彫られている。木型を少しづつ、染料をつけてたたくように押さえていく。根気と技術のいる職人芸。

 色はまず青→緑→赤・・・といった順番が決められている。日本で言うならば、浮世絵版画のような手順。布は押された力によって、厚みやでこぼこがあり、なんともいえない味がかもし出される。立体感や重厚ささえ感じさせてくれる布だ。)

 

 

 記録だけ 2007年 44冊目             

 

   イラン           世界の国ぐにの歴史・15 

 

                                                  

 著者  宮崎静一 

 岩崎書店

 1991年4月10日    

 205ページ 1980円+税    

 

 

 今月3冊目は『イラン 世界の国ぐにの歴史・15』

 初めに書かれていたせいぜい40ページの『1、イランのいろいろ』の部分が興味深い。

 中・高生用位の書物だが、上の部分(『1、イランのいろいろ』)には、イランの習慣や生活の知らないことが多く書かれていて、楽しかった。

 それ以降の記述においては、古代のイランから現代イランまでが、満遍なく 淡々と説明されていた。

 気楽に楽しく時間をつぶすことができた意味でも、良書だといえる。

コメント (5)
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トンパ博物館(東巴文字)雲南省北部、ナシ族

2007-04-16 | 美術・文様・展示物

 

  トンパ博物館

 

 

 今年二月某日、トンパ博物館を訪れる。

 写真はトンパ博物館内に展示されている貴重な資料。

 身分を明かし、博物館員の方の承諾を得て、写真撮影開始。

 諸国、フラッシュ無しならば許可、といった博物館や遺跡も多い。しかし、トンパ博物館の場合は、理解を示してくださる。ここではフラッシュも含めて、全てオーケーを出してくださった。ありがたい反面、保存上の問題として、いささか心配になる複雑な私。

 

 係りの方の興味深い説明もほどほどに、私たちはトンパ文字の資料に魅惑された。

 特に夫。旅行であることを忘れて、仕事に取り組んだような 鋭い面持ち。おそらく個人旅行ならば二、三日はここに通い続けたのではないだろうか・・・

 主婦の私ですら時間が短く、後ろ髪をひかれる思いであった。それほどまでに楽しい資料が多く、今も心に深く残っている。

 あわよくば、再びこの地を訪れたいと願う。幸い夫も同様らしく、またの機会があることを信じている。

 

 トンパ文字(中国語:東巴文)は一般的にはナシ族(中国のチベット東部、雲南省北部に住む 少数民族)のナシ語。象形文字とされている。

 この象形文字は、ナシ語の表記に用いられていた。

 約1400の単字。現在、唯一の『生きた象形文字』とも言われる。

 

 ナシ族は象形文字と言われるトンパ文字の他、表音文字も使うという一説もある。私は主婦なので、確証はいたしかねる。

 

 最近では少数民族の方々も 自らが好んで、漢語を使う若者が多い。ここナシ族とて同様。

 但し全ての人ではなく、今でも中国語が通じないことも多々あることを付け加えておきたい。

 

 トンパ文字はトンパ先生という、宗教的、占い師的意味合いを持つ。人の上に立つ要素を含んだ尊敬できる存在。トンパ文字はそんなトンパ先生によって、伝承されている。現在 トンパ先生といわれる人は百人以内なのではないだろうか・・・

 中国では『先生』とは男性といった意味合い。だが、このトンパ先生においての『先生』は、重要な人物。知識人で、信頼されるといった意味合いを持っている。

 

 トンパ文字は、口語をそのまま書き記すのではない。

 意味を文字に置き換えたといった方が近いような気がする。

 

 毛筆で書かれるトンパ文字は、重々しい衣装を身にまとったトンパ先生によって書かれる。仰々しささえ感じるトンパ先生の雰囲気には おおよそ不似合いなほどあどけない文字。

 

 エジプトの象形文字と共通の文字も多く、見ていて楽しい。

 どこと無く亀甲文字をも思い浮かばせるのは、元占いといった呪術的要素を含んでいるせいだろうか・・・

 文字(模様=象形文字)をみているだけである程度なら分かるもの、納得できる。これも象形文字としての共通項。

 

 ただ世界中で唯一 色によって意味を変えうる文字。

 黄色はお金、黒は悪などの意味を持つ。

 既存の文字に色をつけて字の意味を広げるのは興味深い。

 

 トンパ文字はナシ族の作る 素朴で厚い和紙に表記されている。

 この紙(名前は知らない)は硬く、部厚く、重く、丈夫そうな紙。

 知らなかったのだがこの和紙も、この地方では有名なようだ。

 以前に自宅で新聞紙と牛乳パックを混ぜて作った紙に質に似たようにも感じる、ぬくもりのある紙。

 この紙に墨で描かれている場合が多い。

 

 トンパ博物館にはトンパ文字の資料の他にも土偶や衣装、器、占い時に使用する道具や絵図、その他 天国につながるとされる長い巻物などが展示されている。

 

 色としては赤や緑が印象的だ。

 長い年月を経多現在も美しく鮮やかな色を保っているのは、絵の具の中に動物などの血が加えられているせいだという。

 この動物の血も、占い時に使用されたのであろうか・・・

 またも 確証はできないが、血に含まれる鉄分。これが今に至っても、色彩を鮮やかに保つ一要因だと、私は考えている。

 

 絵図はよくみると空恐ろしく感じるものやユニークなものなど、さまざまだ。

 写真の左下のような絵や一見『ミロ』を思わすような絵も多く残されていて、楽しい。

 

 小一時間という短い時間。一通りトンパ博物館を駆け足で通り過ぎた後、実際にトンパ先生にお会いすることができた。

 このトンパ先生。頭には皮ではなく、紙で作られた占いの被り物を付けられていた。失礼だが、衣装も仰々しい。

 

 ここで作られているという紙三千円。名前などは好意で書いていただけるのだという。何人かの方が書いてもらわれていた。夫は部厚い資料となる書物と、手作りの紙に 手書きで書かれた書物を結構な金額を出して購入。

 トンパ先生は快く、夫の○○○○と名前を二冊ともに書いていただいたようだ。

 苗字はいたって簡単なはずだが、少し考え込み観、仰々しく筆を執られた。

 少し時間をあけて二冊の本に書いていただいたせいか、同じトンパ先生が描かれたというのに、微妙に違う文字。

 後で調べると名前の表記もトンパ辞典と比べて、微妙に違う。

 ちなみにトンパ文字のはんこを 家族四人分彫っていただいたが、この印の文字とトンパ先生の文字も、微妙に違う。

 

 トンパ文字は意味を形に表したものだから、こういった融通はきくのだろう・・・意味が通じるならば、よしといったこの文字こそ、本来の以心伝心の意味を持つ素晴らしい文字とも感じるのは、私だけだろうか。

 

 トンパ文字の本は麗江古城で購入したものも含めて 合計五、六冊購入したが、今見ても楽しく、もう一度 雲南省を訪れたいといった気持ちが高ぶる。

 トンパ文字の『歌』(単語)などをみていると、今も尚、麗江古城の内外で歌や、おどり狂っていた人々の姿が目に浮かぶのである。

 

 

コメント (6)
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