乱鳥の書きなぐり

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世界遺産 ナスカ展 地上絵の創造者たち 京都文化博物館

2007-08-13 | 美術・文様・展示物

(写真はナスカ展パンフレットの一部分)

 

 世界遺産 ナスカ展 地上絵の創造者たち

 

 

 8月8日。

 子どもと共に、『フィラデルフィア美術館展』、『ナスカ展』、『陶器祭』の順で回る。

 五条阪の陶器祭をみた後 二条阪から祇園に行き、加藤登紀子の父経営で有名な キエフでお食事。懐かしい・・・

 四条大橋で川に映る川床の灯火を味わいながら、インカミュージックらしき路上ライブを 半時間余り楽しむ。

 充実した一日であった。

 

 

 ナスカ文明は紀元前後から7世紀に、現在のペルー共和国の南海岸地方で広く栄えたと、パンフレットに記されている。(写真)

 ナスカ文明は上に 二本の角があり、橋渡しされたような持ち手(写真中央右の『ハチドリを描いた壺』上部のような握り部) のある、壺などが多く展示されている。

 この形は古代中国の壺の蓋などに見られる、鳥とも思われる 猫の耳の形状と共通点があるのは不思議である。

 文様は生活に密着した図柄が多い。

 鳥や猫、蛇、蛇の舌、魚、蛙・・・といった身近な生き物や人間をテーマにしたものが多い中、呪術的な意味合いをにおわせる文様も多いのが特徴

 何れにせよ 五穀豊穣や子孫繁栄、守り神などの吉祥という意味合いも かねていると思われる。この文様の多くは、中国などのそれに共通している。

 但しシルクロードなどに見られる『蔓草文様(つるくさもんよう)』は、今回の展示物の中には、一つも認めることはできなかった。

 

 

 皿や壺の中には、まじめな意味で 興味深いものもあった。

 男性のリアルな形の性器を、突き出した壺。

 女性の性器の周辺に刺青をした壺。

 また、赤子を産み落とす画をリアルに描いた皿は、興味深い。

 上の赤子の皿は、中央部が少し色合いが薄くなっていることから、実際に使用されていたものということがわかる。しかし、この皿二実際に食品をおくとなると、ある意味、相当の勇気が要るように感じるには、私だけか・・・

 これらの皿や壺は子孫繁栄の意味合いが深い。

 

 

 中には  コンドルや、ネコ科の大型神獣に捕食される人類を生々しく描いた作品もあった。

 どちらも首を失っていることから、斬首という一種の儀礼的行為を、自然界の理の一部として象徴的に表現かと思われる。

 

 

 このナスカ文明では、当時 集落どうしの争いの際に、勝ったものが相手方の首をとったそうである。

 これを勇猛さだけでなく再生・豊穣のシンボルとして丁重に扱う『首級(トロフィー)』の習慣があったという事実に驚きを感じた。

 確かに、マントの下や翼の間にこの『首級』が認められた。

 埋葬された首から樹が生え、びっしりと豆を実らせているデザインを考えると、『再生願望』といった意味あいではないかと思う。

 これは日本の輪廻とも共通。また中近東の『鳥葬』にも通じるか・・・

 

 

 今回私が『ナスカ展』で注目していた物の一つに、ミイラと頭蓋骨がある。

 写真にある右上のミイラは『ナスカ後期の子供のミイラ』である。

 他にも大人のミイラなども展示された板が、いずれも美しい保存状態。

 衣服を着たままで、髪の毛もきれいに残っている。

 眼球が残された常態で残っており、角度を変えても ダビンチの『モナリザ』のように視線を感じる。少し怖い・・・

 完璧なほどの保存状態は、おそらく この地の乾燥した気候条件の賜物と思えるのである。

 

 

 大人のミイラの左側頭部には、500円玉くらいの穴が開いていた。

 ミイラを見た段階ではその意味はわからなかったが、次に数個の穴の開けられた頭蓋骨の展示で、意味ははっきりとわかった。

 

 

 当時この地方では、病気と称しては、頭の骨に穴を開け、手術をしていたとのこと。

 今も残る頭蓋骨に穴の開けられたその割合が 8割というからすごい数である。

 ぎざぎざに勝ち割ったような後の残る頭蓋骨や、石事理で切られたようなきれいな穴。10円玉程度の大きさから、10センチほどの大きな穴までさまざまであった。

 これらを見ていると、ナスカ文明では、『頭』というべきか『首級』というべきかに、以上なほどの執着心や思い入れがあったことが伺える。

 

 

 更に説明を読み勧めていくと、ナスカ文明では、『頭』を変形して伸ばすのが流行っていたとのこと

 頭は3方向から縛って変形させ、イランの羽を持つ人間の頭で 体は鳥獣の埴輪?のような頭の形に変形。あまりにもイランの埴輪に似ていたために驚いた。

 今は禁止されている 中国のかっての纏足嗜好にも似た感じがすると、他の観覧者たちもつぶやいていたのを、耳にした。

 

 

 焼き物の特徴色としての『茶』に対して、織物は『赤』と『紺』が印象的。

 織物は『赤』は『貝殻虫』と 『紺』は『インディゴ(藍)』

 いずれも鮮やかな色調で美しい。

 蛇の舌などの文様が多いが、どういった意味合いなのかは私は知らない。

 

 

 この地方で一般的に有名なのは、なんといってもナスカの砂漠に広がる地上絵(ジオグリフ)ではないかと思う。

 映像があったり、幼子の塗り絵葉書などが用意されていたり、実際の幅の遊歩道がほんの一部再現されていたりと、小さな子どもたちが楽しむことができる。

 『地上絵(ジオグリフ)』に関しては 宇宙人の滑走路説から、巨大な暦説、星図説、宗教儀式の舞台説などがあるが、これに関しては謎のまま、今回の会場を後にしたことを 付け加えておく。

 

 

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映画  タイフーン   チャン・ドンゴン  イ・ジョンジェ  イ・ミヨン

2007-08-13 | 映画

(写真は中国雲南省の麗江古城で見かけた人たち)

 

 タイフーン

 

満足度 ★★★★☆

感動度 ★★★☆☆

話の展開 ★★★★☆

 

2005 韓国

監督 クァク・キョンテク

キャスト チャン・ドンゴン

      イ・ジョンジェ

      イ・ミヨン

 

 

 米軍の兵器を極秘で運んでいたアメリカ船舶が襲われ、船員皆殺し。重要兵器を奪われる。

 

 韓国海軍のエリート将校はその調査を一任される。

 兵器を奪った海賊のリーダー、シン(チャン・ドンゴン)を追跡。

 調査を進めていくうちに、シンは脱北者であり、生き別れた姉ミンジュを探していることを知る・・・。

 そして半紙の展開。後はお楽しみ・・・。

 

 適度に社会派。適度に感動。そして、適度に緊張感。

 チャン・ドンゴンが素敵で格好が良い。

 チャン・ドンゴン、イ・ジョンジェ、イ・ミヨンがは苦心の演技で、心に深く くい入る。

 

  北朝鮮と韓国の歴史的背景と、今尚 残る南北分割の悲劇の余韻を考えるとやるせない。

  朝鮮半島の分裂にまつわるテーマは、重々しく心に覆いかぶさる。

 ゆえに最後の不要とも思える、明るい家族シーンで、映画をまとめる必要性があったのだろうか・・・

 

 それにしても・・・チャン・ドンゴンの船に乗る海賊シーンは、どこかジョニー・デップと重なって見え、二人ともいい男だなぁ・・・なぁんて、しみじみ感じ時ながら観ていた、ツワモノの私なのでありました・・・

 

コメント (2)
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