異常な暑さが一段落したと思ったら、今度は異常な動き方の台風がやってきました。
それでも涼しいことだけは助かりますが、中四国方面の被災地に新たな災害だけは起きて欲しくないと強く思います。
いつもの体調なら涼しい昨日、一昨日は撮影に出かけるのですが、とにかく夏バテ気味の今回は休養日としました。
当然、記事にする新ネタがあるはずも無く、こんな時のために残しておいたものを今日の記事とします。
今年の課題は2年越しで狙っていた『アカボシゴマダラの羽化』でした。
この本命撮影は結局1度しか撮影できませんでしたが、その替わりもっと難易度の高い(個体の数が少ない)『ゴマダラチョウ』の脱皮、蛹化、羽化が撮れたのはラッキーでした。
それにプラスして予想もしていなかった『オオムラサキ』の幼虫も手に入れることが出来、現在この観察も続けています。
ただ『オオムラサキ』の成虫を見ることが出来るのは来年になりそうです。
出来れば『オオムラサキ』の羽化を待って比較しようと思ったのですが、それは先の話…ということに。
この『アカボシゴマダラ』と『ゴマダラチョウ』、それに『オオムラサキ』は共に“タテハチョウ科”の“コムラサキ亜科”に属し、幼虫はどれもエノキを食草としています。
そのため同じところで見つかることも多いんです。
それに幼虫は見た目が殆ど同じなので、非常に区別がつきにくいのも事実です。
まずは幼虫から。
①、②は4齢幼虫、③の『オオムラサキ』だけは3齢幼虫です。
②の『ゴマダラチョウ』の角が緑色なのは脱皮した直後だからです。
違いは背中の突起の形状です。
①は4対で3番目が大きく目立ちます。②は3対で2番目が大きくなっています。③も4対で2,3番目の突起が大きいですね。
次は蛹です。
③が撮れていないのが残念ですが、どれも幼虫と同じように形はよく似ています。
背中側(左側)の突起があるかないかくらいの違いしかわかりません。
そして成虫です。
これは以前に撮った写真を使いますので、“コムラサキ亜科”の4種を載せてみました。
やはり形はよく似ていると思いますが、この4枚の写真を見て何か気づきませんか?
答えは、蝶なのに花にとまっているところが1枚も無い…ということです。
理由はこの【コムラサキ亜科】の蝶たちの食事は「花の蜜」ではなく「樹液」なんです。
また地面に降りて給水したり(今回のオオムラサキ以外の3枚はそんな時の写真です)、動物の糞などからも水分補給をするそうですよ。
④の『コムラサキ』だけは幼虫の食草が“ヤナギ”なので生息地も異なります。
『コムラサキ』は私がいつもカワセミを狙っている池の周りでよく見られます。(周りにヤナギが多いからでしょうね。)
参考のため一枚追加です。
①の『アカボシゴマダラ』は夏型の蝶です。
因みに春型は…。
こんな感じで、春型には名前にある『アカボシ』が後翅にありません。
ちょっと見には大きめのシロチョウといったところでしょうか?
この『アカボシゴマダラ』、本来、日本では奄美大島に生息している蝶なのですが、現在、関東地方で勢力を伸ばしているものは、この奄美大島産とは種類が違うようなのです。
突然、関東地方に現れたため、中国か韓国から人為的に持ち込まれた物ではないか?…と言われています。
そして昨年、『ゴマダラチョウ』の生息域を脅かす可能性があると言う理由で、【特定外来種】に指定されてしまいました。
(もう十分生息域は広がってしまっていると思いますが…。)
以上、簡単に『アカボシゴマダラ』と『ゴマダラチョウ』の比較をしてみました。
私は昆虫の研究者では無いので上手く説明は出来ませんが、昆虫写真を撮る立場で今後も観察を続けていきたいと思います。