2023/1/05
新春の読売歌壇の選者らの歌味わわんお手本として
小池光<霜柱踏む>
小池光<霜柱踏む>
①新春の庭に降り立ちちからある霜柱踏む善きことあれな
②胃ふくろの中に容れたりいただきし会津みしらずの大柿ひとつ
③息つめて一気に抜きしいつぽんの白毛鼻毛をわれは凝視す
栗木京子<風を聴く兎>
①浅草に人にぎはへり密集を恐れし日々を忘れをらねど
②長き耳もつゆゑ兎はしんしんと風を聴くのか庭に動かず
③かたまりてゐるときあたたかさうに見ゆ黄の水仙も白き兎も
俵万智<口ぐせ>
①仙台の日ざし優しく柔らかく長命草に水をやる朝
②人生は長いひとつの連作であとがきはまだ書かないでおく
③傘寿過ぎて人は変われる「ごめん」から「ありがとう」になる母の口ぐせ
黒瀬珂瀾<再生について>
①死者多き齢あらたまるうすやみに三日月宗近あわれきらめく
②交差点の根雪凍てたるあさかげや触れてよかつた首筋なのか
③なつかしきひとりと別れ新春の京と伏見区羽束師に雨