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『遺恨あり~明治十三年最後の仇討ち』という年末の番組を見た。藤原竜也が主人公の臼井六郎を演じ、仇役を小沢征悦が山岡鉄斎を北大路欽也、六郎を支えるなか役を松下奈緒がやっていた。
何がよかったかというとひとつに山岡鉄舟の人となりがわかったこと、二つ目は仇討ちと怨恨による殺人の違い、士族の面目がわかったことである。殺した方も命令でやったのだから、仕方ないといえばそれまでだがその殺し方と後の首の処理に尊厳がなかった。わたしの意見はその時点での価値観をもって『仇討ち』を是としたいが、法治国家として出発した日本の法による裁きをするという裁判官の悩みを吉岡が好演していた。
目的を達したあと川で切腹するのかと思わせて、刀を川に投げ込んだところははらはらとさせた。最後は自分の生家に帰っていくと、使用人だったなかが迎える。たぶん、なかと一緒に暮らして穏やかな後生を送ることを予感させて終わっている。
いい映画だと思いエンドロールをみていると吉村昭氏の作品だった。今年、3.11のボランティアの帰り『三陸海岸大津波』を読んでから吉村氏の文章を知ったが、端正な文章を書く人だと認識した。史実に基づく小説を書くということで山岡鉄舟の描写もあながち外れていないのだろう。臼井六郎は実在したんだろうか、機会があれば原文にも当たってみたい。
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「『遺恨あり』藤原竜也が演じたる最後の仇討ちなかなかによし()」
『遺恨あり~明治十三年最後の仇討ち』という年末の番組を見た。藤原竜也が主人公の臼井六郎を演じ、仇役を小沢征悦が山岡鉄斎を北大路欽也、六郎を支えるなか役を松下奈緒がやっていた。
何がよかったかというとひとつに山岡鉄舟の人となりがわかったこと、二つ目は仇討ちと怨恨による殺人の違い、士族の面目がわかったことである。殺した方も命令でやったのだから、仕方ないといえばそれまでだがその殺し方と後の首の処理に尊厳がなかった。わたしの意見はその時点での価値観をもって『仇討ち』を是としたいが、法治国家として出発した日本の法による裁きをするという裁判官の悩みを吉岡が好演していた。
目的を達したあと川で切腹するのかと思わせて、刀を川に投げ込んだところははらはらとさせた。最後は自分の生家に帰っていくと、使用人だったなかが迎える。たぶん、なかと一緒に暮らして穏やかな後生を送ることを予感させて終わっている。
いい映画だと思いエンドロールをみていると吉村昭氏の作品だった。今年、3.11のボランティアの帰り『三陸海岸大津波』を読んでから吉村氏の文章を知ったが、端正な文章を書く人だと認識した。史実に基づく小説を書くということで山岡鉄舟の描写もあながち外れていないのだろう。臼井六郎は実在したんだろうか、機会があれば原文にも当たってみたい。
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「『遺恨あり』藤原竜也が演じたる最後の仇討ちなかなかによし()」