2018/09/08
「配役は前・後のシテがいてアイとワキとがいる阿漕(前シテ老漁師、後シテ阿漕の霊、アイ浦人ワキ旅人)」
「西行の歌にあるとふ阿漕だが人間の業・罪深さ舞う()」
「伊勢の海阿漕か浦に引く網も度重なれば顕れにけり(西行)」
「旅人が阿漕が浦にさしかかり魚をとれる漁師に会える()」
「旅人の漁師に謂れ尋ねれば奉納のため禁漁区だと()」
「阿漕なる漁師が毎夜魚とりばれて捕まり殺されたると()」
「なにいわん実はわたしがその阿漕明かして夜の海に消えたり()」
「浦人は阿漕のことを旅人にはなし勧める彼への回向()」
「回向せば阿漕の霊が現れて密漁のこと執着を舞う()」
「そのために地獄で責め苦受けおりて救いを求め消え失せにけり()」
2018/09/07
「『能にあり、能にあらず』といわれおり『翁』はいわくありげに演ず()」
「翁いて三番叟と千歳いてアシスタントで面持ちもいる
(『式三番』とも言われ能と狂言が合体した古式を持つ。正月の薪能とか祝賀能で冒頭に上演)」
「演者らは火やお神酒にて身を清め幕から出でる粛々として
(面持ち、翁、千歳、三番叟、囃子方、地謡の順で)」
「翁役、舞台正面ほんらいは神がまします座に頭下ぐ()」
「まずはじめ地謡がトウトウタラリと謎の歌うたい千歳が清めの舞を()」
「その間に翁は面をつけて得る神格もちて翁は舞えり()」
「終わりては翁・千歳は退場し三番叟の狂騒となる
(『揉之段』という溌剌な舞、『鈴之段』という鈴振りの舞)」
2015/11/11
「世阿弥作『右近』というは桜葉の女神が天に昇れる能と
(前シテ:貴婦人
後シテ:桜葉明神
ツレ:侍女
アイ:在所の者
ワキ:鹿島神宮の神職
ワキツレ:従者)」
「神職ら北野天神の桜見に右近の馬場に到着をせり()」
「ややありて花見車の貴婦人ら向かいの木陰に車を停める()」
「神職が業平の歌口ずさみ聞いた貴婦人話しかけたり()」
「見ずもあらず見もせぬ人の恋しくはあやなくけふや眺め暮らさん(在原業平)」
「貴婦人は車を降りて花眺め辺りの社を教えたまえり()」
「貴婦人は末社の桜葉明神であること明かし月の夜待てと()」
「やがて来た桜葉明神現れて花に戯れ春を祝える()」
2015/10/27
「和歌の神住吉明神西行に上の句詠めと下の句をだす
(前シテ:翁
後シテ:社人
ツレ:姥
アイ:末社の神
ワキ:西行法師
)」
「西行が和歌の神さま住吉に参りに来たが日が暮れにけり()」
「西行は一夜の宿を爺ジジ婆ババに頼みたれども断られたり(みすぼらしいと)」
「月が見え雨音聴ける庵だが上の句つければ泊めてあげると(上の句:賎が軒端を葺きぞわづらふ)」
「たちまちに西行つける上の句を感心をして宿を貸したり()」
「庵では一竿風月友として花鳥風月楽しみたると()」
「夜も更けて寝入れば夢見に住吉の末社の神が現れ出でる()」
「先ほどの爺ジジ婆ババ実は住吉の明神さまと告げていきたり()」
「そんなとき住吉明神憑依した社人が喜び舞をおどれり()」
「舞い終えて神は離れて正気なる社人は下がる舞台の袖に()」
2015/10/03
「『浮舟』は宇治十帖の物語トライアングルに悩みし女
(前シテ:里女
後シテ:浮舟の霊
アイ:里人
ワキ:旅の僧
)」
「長谷寺の僧みやこへと行く途中宇治の里にて女に逢える()」
「浮舟のこと尋ねれば話し出す二人の男に悩む姿を()」
「隠すよう住まわせたるも匂いせる宮に見つかり迫られたると()」
「悩みはて死ぬ覚悟してさまよいて取り憑かれては憑依をしたり()」
「前シテの女は告げる叡山の麓の小野を訪ねよという()」
「小野に着き浮舟のため読経をすれば顕る浮舟の霊()」
「叡山の横川の僧に助けられ死界さまようこなたかなたを()」
「汝がしたる弔いにより迷いたるわれも成仏させてもらうと()」