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「小垣内ヲカキツの 麻を引き干し 妹なねが 作り着せけむ 白妙の 紐をも解かず
一重結ふ 帯を三重結ひ 苦しきに 仕へ奉りて 今だにも 国に退マカりて 父母も
妻をも見むと 思ひつつ 行きけむ君は 鶏が鳴く 東の国の 畏きや 神の御坂に
和細布ニキタヘの 衣寒らに ぬば玉の 髪は乱れて 国問へど 国をも告ノらず
家問へど 家をも言はず ますらをの 行きの進みに ここに臥やせる
(足柄の坂を過ぐるとき、死ミマカれる人を見てよめる歌一首 #9.1800)」
「垣内に 麻を干しては 白妙の 着れる衣は 妻作れるか()」
「痩せこけて 巻ける一重を 三重に結ひ 思い募らせ 帰り来たるか()」
「苦役終え 国に退マカりて 父母も 妻をも見むと 思いしことよ()」
「恐ろしき 東の国の 足柄に 行き倒れたる ますらを臥せる」
「和細布ニキタヘの 衣寒らに 黒髪の 乱れて言わず 家をも名をも()」
「小垣内ヲカキツの 麻を引き干し 妹なねが 作り着せけむ 白妙の 紐をも解かず
一重結ふ 帯を三重結ひ 苦しきに 仕へ奉りて 今だにも 国に退マカりて 父母も
妻をも見むと 思ひつつ 行きけむ君は 鶏が鳴く 東の国の 畏きや 神の御坂に
和細布ニキタヘの 衣寒らに ぬば玉の 髪は乱れて 国問へど 国をも告ノらず
家問へど 家をも言はず ますらをの 行きの進みに ここに臥やせる
(足柄の坂を過ぐるとき、死ミマカれる人を見てよめる歌一首 #9.1800)」
「垣内に 麻を干しては 白妙の 着れる衣は 妻作れるか()」
「痩せこけて 巻ける一重を 三重に結ひ 思い募らせ 帰り来たるか()」
「苦役終え 国に退マカりて 父母も 妻をも見むと 思いしことよ()」
「恐ろしき 東の国の 足柄に 行き倒れたる ますらを臥せる」
「和細布ニキタヘの 衣寒らに 黒髪の 乱れて言わず 家をも名をも()」