2020/07/31
「そこにて不意に死を賜るか終の声じじと残して蝉がころがる
[久々湊盈子/終の声『じじ』と残してセミの逝く吾は転がすことはできぬも][短歌]」
「かぎりなき死者の無念が降るものか見上ぐればかぐろし雪というもの
[久々湊盈子/かぐろしは降る雪黒いといっており死者の無念の現れという][短歌]」
「濁声に大鴉は鳴けり唱和して二羽また三羽世界黄昏コウコン
[久々湊盈子/結句には黄昏と書き『コウコン』とわれならもっと甘く結ばん][短歌]」
「往生際の悪き一匹ゴキブリハウスに毛のある足を残して失せぬ
[久々湊盈子/本体は見てはいなくも足のないゴキブリひそと夜毎に出でし][短歌]」
「わたしより三つばっかり年上の久々湊盈子さん名が珍しい[][歌人]」
「松の上にいささ雪つみ松が根の土はかぐろし今朝のはつ雪
[伊藤左千夫、『かぐろし』の例][短歌]」
「七月も新型コロナ第二波が襲いていまも気を抜けないでいる
[Go To Campaignと、第二波が重なった][日記]」
「八月はもののけ、おばけ、妖怪をテーマとしたる歌を作らん[][短歌]」
2020/07/30
「使ひ方知らぬ救命具の如く〈死〉は在り 日々の暗がりにあり
[高野公彦/使い方知ればどうなる〈死〉というは白日のもとさらされるのか][短歌]」
「ひえびえと水の身体につつまれて上流の鮠ハヤ、下流の死霊
[高野公彦/上流は鮠ハヤというわけわからない氾濫による犠牲者あるも][短歌]」
「盆過ぎた冷たい海で泳ぐなよ死霊エンコが出てきて尻ツベを抜くぞよ
[高野公彦/ツベ抜けば人はどうなる死にたるか死なずも人でなくなるのかな][短歌]」
「死者の曳く月魄ツキシロ白くビル街のまひるのそらをわたりつつあり
[高野公彦/月魄ツキシロは死者曳く船のようでありただ昼間には見えぬものだが][短歌]」
「高野さん宮柊二さんの弟子なりし歌風しっとり落ち着きのあり[][短歌]」
「経歴をみれば不思議な人なりて職歴、学歴多彩でありし[][短歌]」
「かって吾高野さんなる本読みし『短歌練習帖』を再読したし[][短歌]」
2020/07/30
「台湾の李登輝さんが亡くなれるたぶん肺炎老齢なりし[享年97歳][挽歌]」
「京大で学び日本語流暢に話し親日いい人なくす
[兄さんはフィリッピンで日本人として戦死。靖国に][挽歌]」
2020/07/29
「ジャージィーでシヤウト感あるうたいぶり弘田三枝子さん心不全らし[][挽歌]」
「整形で美人になれど前の顔愛嬌あって歌が上手い人なり
[人形の家、夢見るシャンソン人形、ヴァケーション等の曲][挽歌]」
2020/07/29
「万智さんの師匠なれども好きでなし数読み込めばいい歌多し[][短歌]」
「死の家より帰り来たりて萎え居ればわが尾の先が異界にとどく
[佐佐木幸綱/死の家がどんなところか描ければ尻尾が残る異界の端に][短歌]」
「扉トを鎖サせる海辺の部屋の朝七時しんしんとグレゴール・ザムザの気配
[佐佐木幸綱/グレゴール・ザムザはカフカの変身で虫になりたる主人公なり
/海の部屋開けたら怖い予感ありザムザ知らずも語感で怖し][短歌]」
「八衢は魔の住む場所と決め居たるむかしの人に見えしもののけ
[佐佐木幸綱/この歌は万葉集に繋がりし昔の人のもののけ如何に][短歌]」
「世が世なら夜な夜な幽霊来つらんに寄席の帰りの夜更の屋台
[佐佐木幸綱/新宿の花園辺りのそば屋台世が世ならもののけもでん][短歌]」
「最近のPC事情疎くなり雑誌を買ってリハビリをする[][日記]」