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「(對馬島の淺茅の浦に舶泊てし時、順風オヒテを得ず、停トドまりて五箇日イツカを経き。ここに物華を瞻望ミヤりて、各オノモオノモ慟心オモイを陳べてよめる歌三首)」
「百船の泊つる對馬の淺茅山しぐれの雨にもみたひにけり(歌三首 1/3 #15.3697)」
「幾船が泊まる対馬の浅茅山時雨の雨にもみじのようだ()」
「天ざかる夷にも月は照れれども妹そ遠くは別れ来にける(歌三首 2/3 #15.3698)」
「離れたる田舎に月は照るけれど妻と遠くに別れ来たんだ()」
「秋されば置く露霜に堪(あ)へずして都の山は色づきぬらむ(歌三首 3/3 #15.3699)」
「秋来れば置く露霜に堪えられず都の山は紅葉するだろう()」