そのままVon

おもに31文字の語呂合わせ日記

百人一首

2021年05月31日 |  / 百人一首
2021/05/31
「紫苑さん百人一首の本出せる衝動買いをしたるわたしは
 [水原紫苑『うたものがたり』講談社現代新書][読書]」
「いまいちど『百人一首の謎』の旅著者織田さんを偲びつつ発たん[][読書]」
「吾が知識なお未消化の思いあり構造・秩序・関係で知れ[][百人一首]」
「はじまりは似たる言葉でややこしく駄歌多いので首をひねれり[][百人一首]」
「なぜ定家あんなかるたを作れるかその動機など追求したし[][百人一首]」
「塊を持つ歌のグループを論じるはKJ法の手法に似るか[][百人一首]」
「定家とは理系人間精緻なる論理展開話題にもせん[][百人一首]」
「『明月記』定家の日記膨大で天文記録の記載もあると
 [中にヒントのあるやもしれん][百人一首]」
「燭台で人の頭を殴ったと謹慎などの罰も受けると[][百人一首]」
「俊成の歌の弟子なり後鳥羽とか式子内親王や家隆なども[][百人一首]」


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

百人一首

2018年01月17日 |  / 百人一首

001 秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ 天智天皇
002 春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣干すてふ天の香具山 持統天皇
003 あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む 柿本人麻呂
004 田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ 山辺赤人
005 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき 猿丸大夫
006 鵲の渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける 中納言家持
007 天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも 安倍仲麿
008 わが庵は都の辰巳しかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり 喜撰法師
009 花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに 小野小町
010 これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬもあふ坂の関 蝉丸
011 わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣船 参議篁
012 天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ 乙女の姿しばしとどめむ 僧正遍昭
013 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞ積もりて淵となりぬる 陽成院
014 陸奥のしのぶもぢずりたれゆえに 乱れそめにしわれならなくに 河原左大臣
015 君がため春の野に出でて若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇
016 立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば今帰り来む 中納言行平
017 ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは 在原業平朝臣
018 住の江の岸に寄る波よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ 藤原敏行朝臣
019 難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや 伊勢
020 わびぬれば今はたおなじ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ 元良親王
021 今来むといひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな 素性法師
022 吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ 文屋康秀
023 月見ればちぢにものこそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど 大江千里
024 このたびは幣も取りあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに 菅家
025 名にし負はば逢う坂山のさねかずら 人に知られで来るよしもがな 三条右大臣
026 小倉山峰の紅葉葉心あらば いまひとたびのみゆき待たなむ 貞信公
027 みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ 中納言兼輔
028 山里は冬ぞ寂しさまさりける 人目も草もかれぬと思へば 源宗于朝臣
029 心あてに折らばや折らむ初霜の 置きまどはせる白菊の花 凡河内躬恒
030 有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし 壬生忠岑
031 朝ぼらけ有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪 坂上是則
032 山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり 春道列樹
033 ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ 紀友則
034 誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに 藤原興風
035 人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香に匂ひける 紀貫之
036 夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいずこに月宿るらむ 清原深養父
037 白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける 文屋朝康
038 忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな 右近
039 浅茅生の小野の篠原忍ぶれど あまりてなどか人の恋しき 参議等
040 忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで 平兼盛
041 恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか 壬生忠見
042 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは 清原元輔
043 逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり 権中納言敦忠
044 逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし 中納言朝忠
045 あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたずらになりぬべきかな 謙徳公
046 由良の門を渡る舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ恋のみちかな 曾禰好忠
047 八重むぐら茂れる宿の寂しきに 人こそ見えね秋は来にけり 恵慶法師
048 風をいたみ岩打つ波のおのれのみ くだけてものを思ふころかな 源重之
049 御垣守衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ 大中臣能宣朝臣
050 君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな 藤原義孝
051 かくとだにえやは伊吹のさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを 藤原実方朝臣
052 明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな 藤原道信朝臣
053 嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る 右大将道綱母
054 忘れじのゆく末まではかたければ 今日を限りの命ともがな 儀同三司母
055 滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ 大納言公任
056 あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな 和泉式部
057 めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし夜半の月影 紫式部
058 有馬山猪名の篠原風吹けば いでそよ人を忘れやはする 大弐三位
059 やすらはで寝なましものをさ夜更けて かたぶくまでの月を見しかな 赤染衛門
060 大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立 小式部内侍
061 いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重に匂ひぬるかな 伊勢大輔
062 夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関は許さじ 清少納言
063 今はただ思ひ絶えなむとばかりを 人づてならでいふよしもがな 左京大夫道雅
064 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木 権中納言定頼
065 恨みわび干さぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ 相模
066 もろともにあはれと思え山桜 花よりほかに知る人もなし 前大僧正行尊
067 春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなく立たむ名こそをしけれ 周防内侍
068 心にもあらで憂き夜に長らへば 恋しかるべき夜半の月かな 三条院
069 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり 能因法師
070 寂しさに宿を立ち出でてながむれば いづくも同じ秋の夕暮れ 良暹法師
071 夕されば門田の稲葉訪れて 蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く 大納言経信
072 音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ 祐子内親王家紀伊
073 高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山のかすみ立たずもあらなむ 前権中納言匡房
074 憂かりける人を初瀬の山おろしよ 激しかれとは祈らぬものを 源俊頼朝臣
075 契りおきしさせもが露を命にて あはれ今年の秋もいぬめり 藤原基俊
076 わたの原漕ぎ出でて見ればひさかたの 雲居にまがふ沖つ白波 法性寺入道前関白太政大臣
077 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院
078 淡路島通ふ千鳥の鳴く声に いく夜寝覚めぬ須磨の関守 源兼昌
079 秋風にたなびく雲のたえ間より 漏れ出づる月の影のさやけさ 左京大夫顕輔
080 ながからむ心も知らず黒髪の 乱れてけさはものをこそ思へ 待賢門院堀河
081 ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただ有明の月ぞ残れる 後徳大寺左大臣
082 思ひわびさても命はあるものを 憂きに堪へぬは涙なりけり 道因法師
083 世の中よ道こそなけれ思ひ入る 山の奥にも鹿ぞ鳴くなる 皇太后宮大夫俊成
084 長らへばまたこのごろやしのばれむ 憂しと見し世ぞ今は恋しき 藤原清輔朝臣
085 夜もすがらもの思ふころは明けやらぬ ねやのひまさへつれなかりけり 俊恵法師
086 嘆けとて月やはものを思はする かこちがほなるわが涙かな 西行法師
087 村雨の露もまだ干ぬまきの葉に 霧立ちのぼる秋の夕暮 寂蓮法師
088 難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ 身を尽くしてや恋ひわたるべき 皇嘉門院別当
089 玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする 式子内親王
090 見せばやな雄島の海人の袖だにも 濡れにぞ濡れし色は変はらず 殷富門院大輔
091 きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む 後京極摂政前太政大臣
092 わが袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らねかわく間もなし 二条院讃岐
093 世の中は常にもがもな渚漕ぐ 海人の小舟の綱手かなしも 鎌倉右大臣
094 み吉野の山の秋風さよ更けて ふるさと寒く衣打つなり 参議雅経
095 おほけなく憂き世の民におほふかな わが立つ杣にすみ染の袖 前大僧正慈円
096 花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり 入道前太政大臣
097 来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ 権中納言定家
098 風そよぐ楢の小川の夕暮は 御禊ぞ夏のしるしなりける 従二位家隆
099 人も愛し人も恨めしあじきなく 世を思ふゆゑにもの思ふ身は 後鳥羽院
100 百敷や古き軒端のしのぶにも なほ余りある昔なりけり 順徳院

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

織田正吉さんの跡を追って

2017年02月15日 |  / 百人一首
『百人一首の謎』について解明した、織田正吉さんの偉業を周りの人にわかりやすく、感動をもって伝えるようにするためにはどのような手順を踏めばよいか。また資料などについても考えてみたい。
まず、話を聞いてくれる周りの人を定義しよう。百人一首がなんぞやということについてはおぼろげに知っていると仮定しよう。絵札と字札があって、絵札に書いてある歌を読んでばらまかれた字札をとるという、カルタ取りをしたり、坊主めくり等をするカルタである。百首全部暗唱している猛者から、あやふやな形で一、二首覚えている人とか、色々であろう。わたしは勿論後者でまともに言える歌は、第一首目の天智天皇の歌くらいであった。多分小学校や中学校でなんとなしに習ったことがあるのが実情なのか。ずいぶんあとになって上の子供に買い与えた『百人一首』と参考書を捨てないで取って置いたのだが、それをずいぶん後になってひもとくことになったのである。
この段階では、わたしの百人一首にたいする認識は、万葉集や古今集などと同じ歌集にすぎなかったのであるが、百人一首よりも前に西行の山家集とか、源実朝の金槐和歌集があった。
ある時期から日本の古典を読んでいくなかで織田正吉さんの『百人一首の謎』に出会い感銘を受けてしまった。読むたびに新しい発見があり、興奮するのだが、世の中にはこの喜びを知らない人が多いように思う。興味のある人は本を歌って読めばいいのだが、年を取ってくるとそこまではなかなかしい。そこで自分の頭の中の整理もかねてまとめてみようとなった。しかし、織田説は盛りだくさんでどの順番で何を伝えればよいか迷ってしまう。結論は、後鳥羽院と式子内親王への魂鎮めと身を焦がしたと言うことを伝えている。二人とも身分が違い、特に後鳥羽院は流人であるので、あからさまには気持ちを表明できない。しかし、この気持ちを百人一首に隠し、なおかつ百人秀歌や新古今集などを参考に綿密な論理で表明しているのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

百人一首( 桜と紅葉)

2016年11月13日 |  / 百人一首
「005,奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき,猿丸大夫(山・紅葉////)」

「009,花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに,小野小町(散る・桜/////)」
「017,ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは,在原業平朝臣(川・紅葉////)」
「024,このたびは幣も取りあへず手向山紅葉の錦神のまにまに,菅家(山・紅葉/////)」

「026,小倉山峰の紅葉葉心あらばいまひとたびのみゆき待たなむ,貞信公(山・紅葉/////)」

「029,心あてに折らばや折らむ初霜の置きまどはせる白菊の花,凡河内躬恒(秋・菊//////)」
「032,山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉なりけり, 春道列樹(山・川・紅葉)」
「033,ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ,紀友則(散る・桜)」「()」「()」「()」「()」「()」「()」「()」


035 人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香に匂ひける 紀貫之
061 いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重に匂ひぬるかな 伊勢大輔

066 もろともにあはれと思え山桜 花よりほかに知る人もなし 前大僧正行尊

067 春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなく立たむ名こそをしけれ 周防内侍

069 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり 能因法師

073 高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山のかすみ立たずもあらなむ 前権中納言匡房

096 花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり 入道前太政大臣
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

同じ言葉を使っている句

2016年11月13日 |  / 百人一首
「第四句に『わが衣手』という共通のKWを持ち、秋、春の対称かある。テーマは季節の対称性か。(001,秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ,天智天皇/015,君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ,光孝天皇)」

「第三句に『白妙の』という共通のKWをもち、夏、冬の対称をなす。テーマは季節の対称性か。(002,春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山,持統天皇/004,田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ,山辺赤人)」

「結句が『雪は降りつつ』で終わっている。雪だが、冬と春の違いがある。冬春-雪だが、夏秋-?の対称もどこかにある。(004,田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ,山辺赤人/015,君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ,光孝天皇)」

「第一句が『わたの原』で同一。篁は隠岐に二年流された。沖の白波は沖の宮処を暗示。流す側、流される側の対比(011,わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣船,参議篁/076,わたの原漕ぎ出でて見ればひさかたの雲居にまがふ沖つ白波,法性寺入道前関白太政大臣)」

「第一句が『君がため』で共通。雪にめげず、惜しくない命が君にかかっていく。幸せ、長生きを願う歌(015,君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ,光孝天皇/050,君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな,藤原義孝)」

「両者には難波も入っているが、ここは『みをつくし』が共通。一途な恋心。(020,わびぬれば今はたおなじ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ,元良親王/088,難波江の蘆のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき,皇嘉門院別当)」

「第四句の『いまひとたび』が共通。もう一回、という切なる願い。(026,小倉山峰の紅葉葉心あらばいまひとたびのみゆき待たなむ,貞信公/056,あらざらむこの世のほかの思ひ出にいまひとたびの逢ふこともがな,和泉式部)」

「第二句にある『心も知らず』が共通。あなたも含め人の心はわからないと述懐。全体的にどこに掛かっていくのか?(035,人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける,紀貫之/080,ながからむ心も知らず黒髪の乱れてけさはものをこそ思へ,待賢門院堀河)」
「結句の『夜半の月』が同じ。意味的には雲隠れと恋しいという反対の状況。(057,めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半の月影,紫式部/068,心にもあらで憂き夜に長らへば恋しかるべき夜半の月かな,三条院)」

「第三句の『さ夜更けて』が共通。月を見たり、砧を聞いたりと秋の夜長の寂しさをいう。(059,やすらはで寝なましものをさ夜更けてかたぶくまでの月を見しかな,赤染衛門/094,み吉野の山の秋風さよ更けてふるさと寒く衣打つなり,参議雅経)」

「結句の『名こそ惜しけれ』が共通。恋に朽ちる、恋の噂が立つことを憂う。誇りが汚されるという感情か。(065,恨みわび干さぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ,相模/067,春の夜の夢ばかりなる手枕にかひなく立たむ名こそをしけれ,周防内侍)」

「第三句の『あるものを』が共通。『あるとはいうもののないのと同じ』という諦めの気持ちをいう。(065,恨みわび干さぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ,相模/082,思ひわびさても命はあるものを憂きに堪へぬは涙なりけり,道因法師)」

「第三句『ながむれば』が同じ。眺めた対象が、秋の夕暮れと有明の残月という歌。あの人が見たのはなにか。(070,寂しさに宿を立ち出でてながむればいづくも同じ秋の夕暮れ,良暹法師/081,ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる,後徳大寺左大臣)」

「結句の『秋の夕暮れ』が同じ。晴れ間と霧で濡れている夕暮れの違い。(070,寂しさに宿を立ち出でてながむればいづくも同じ秋の夕暮れ,良暹法師/087,村雨の露もまだ干ぬまきの葉に霧立ちのぼる秋の夕暮,寂蓮法師)」

「第一句の『世の中』が同じ。高じる手だてのない『世の中』となんとなく穏やかでない『世の中』の違い。山と海の対称。俊成は歌の師匠で実朝は歌の弟子に当たる。(083,世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる,皇太后宮大夫俊成/093,世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人の小舟の綱手かなしも,鎌倉右大臣)」

「003と091は、結句の『ひとりかも寝む』が同じ。053は『ひとり寝る』は、内容的には一人寝である。(003,あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む,柿本人麻呂/091,きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかも寝む,後京極摂政前太政大臣/053,嘆きつつひとり寝る夜の明くる間はいかに久しきものとかは知る,右大将道綱母)」

「結句の『逢はむとぞ思ふ』が同じで、#56の『逢ふこともがな』は同じ意味(020,わびぬれば今はたおなじ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ,元良親王/077,瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ,崇徳院/056,あらざらむこの世のほかの思ひ出にいまひとたびの逢ふこともがな,和泉式部)」

「第一句が『朝ぼらけ』で同じ。#52は、結句にあって同一。(031 朝ぼらけ有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪 坂上是則/064 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木 権中納言定頼/052 明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな 藤原道信朝臣)」

「(049 御垣守衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ 大中臣能宣朝臣/080,ながからむ心も知らず黒髪の乱れてけさはものをこそ思へ,待賢門院堀河/085 夜もすがらもの思ふころは明けやらぬ ねやのひまさへつれなかりけり 俊恵法師)」

「第三句目に『ながらへば』があり、#84は初句に入る(068,心にもあらで憂き夜に長らへば恋しかるべき夜半の月かな,三条院/089 玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする 式子内親王/084 長らへばまたこのごろやしのばれむ 憂しと見し世ぞ今は恋しき 藤原清輔朝臣
)」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする