2023/03/30
「妻ジムでぎっくり腰にかかりたりトンカツ弁当買ってあげたり[一つを昼・夜二つにわける][]」
「表紙用マット紙きれてジョーシンに探しにいけり2種類を買う[早めに出たり、0.21mmと0.22mm][]」
「LAWSONで時間調整していたら右の奥歯がとうとう抜ける[いたくなくてスッキリとする][]」
「かたむいているような気がする国道をしんしんとひとりひとりで歩く[早坂類][]」
「進むとき傾きたるは坂道とそんな道理と違う傾き[下句がポイントである][]」
「ブティックのビラ配りにも飽きている午後 故郷から千キロの夏[早坂類][]」
「バイト飽きさて何するか思うときふと故郷の距離が浮かべり[][]」
「工事中のランプを盗んできてしまう祐一が猛暑のトビラをたたく[早坂類][]」
「猛暑なる扉がなにか不安気なもの持ち込みし祐一の手で[][]」
「海からの風みたいだなごうごうと通過電車に吹かれてみんな[早坂類][]」
「踏み切りで貨物列車の洗礼を受けてる歌か人何人も[][]」
「カーテンのすきまから射す光線を手紙かとおもって拾おうとした[早坂類][]」
「光線を拾う動作が浮かばない身体で受けて感ずる言葉[][]」
「ふと僕が考えるのは風のまま外海へ出たボールのことだ[早坂類][]」
「この場合ボールが風の表象かいかなる旅になるかわからん[][]」
「看板の表が何か確かめることなく顔を嵌められる姉[前川泰信][]」
「普通なら前で確かめパチリするこの姉さんはマニアであらん[こういうタイプはいるもんだ][]」
「夜行バスに乗る前必ず遺書をかく妹の耳に増えゆくピアス[春野さき子][]」
「人生に敏感ならば無造作にピアスの穴は増えないものだ[][]」