感想:万引き家族

2018-06-10 11:28:25 | 映画


公式サイト

観てきました!!

ご存知パルムドール受賞作。


日々の労働によるわずかな収入と祖母のわずかな年金では
生活をまかないきれずに万引きと窃盗を繰り返す家族。
ある日、虐待で家から締め出されている女の子を連れ帰り一緒に暮らし始める。



万引きだけではなく、
クリーニングのパートでポケットの中身を横領、
パチンコ屋で他の客の出玉を盗んで遊ぶ、
自分の元旦那の家族への強請り。

やはり悪いことを見せられるのは気分が良くないが
大掛かりな犯罪のロマンではなく
こすい犯罪をリアルに見せられるとたまらなく苦しい。
ましてや子供を使っての万引きというクズっぷりには
誰もが反感を覚えるところ。

貧しさに起因するあらゆるネガティブな要素が
これでもかと押し寄せてきて本当につらい。
共感できないししたくもない。


しかし、その中でも絆を深めていく家族が妙に幸せそうに見える。
展開が進むにつれて、連れ去った女の子だけではなく
全員に血の繋がりがないことが明らかになっていき
それでも本当の家族そのものの距離感に不思議な羨ましさを覚える。



できるだけ社会と交わらずに生きていく家族ながら、
人間が社会の中で生きていくために必要な善悪の判断は
人格が形成されていない子供ほど純粋に働く。

そこから生じたひずみで展開が大きく動き
終盤、永遠に思えた家族たちの絆が
正義・常識・権力に押し潰されていく流れは圧巻。



口下手な日本人が言葉が足りずに誤解されたままになり
観る側にまでモヤモヤを残して終わらせるという
「いかにも邦画!」って感じの映画だった。


テーマや構成の繊細さ、俳優たちの演技が本当に見事で、
まさに賞をもらってもおかしくはない内容だったし、
気力さえあればもう一度じっくり観てみたい気持ちもあるが
「面白かった!」「観てよかった!」となる映画ではないので
事前にそれなりの覚悟が必要だなー。

コメント
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