くりいむレモン復刊ノベライズ第五弾!!
感想が刊行順からズレてしまって申し訳ない。
夏が終わる前にこっちを先に!!
ていうか表紙がかんざきひろってwww
旧版と同じアングルを今風の絵柄で復刻するのがすごくいいね…。
-あらすじ-
陽はちょうど一年前に死んだ恋人の弥子を弔うために
一人でバイクのツーリングに向かう。
日南海岸で思いにふけっているところへ、快活な少女の美奈が現れる。
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普段から鈍い色の日本海を眺めている地域の人間としては
日南海岸のビビッドな色彩は一度見ただけでも脳裏に焼き付く美しさ。
自分は20年前に見たきりだが、いまだに情景を詳細に思い出せる!!!
作中でもサザンの名前が幾度も出てくるが、
まさに80年代!! 夏!! 海!!
といわんばかりの陽キャ御用達ステージ。
元のアニメは陽が美奈に逆ナンされて海でイチャイチャしたあと
ラブホへ向かってセックスしたあとあっさり別れるという
無機質にもほどがある展開。
とはいえ、美奈のアニメのキャラデザとしては不自然なほど澄んだブルーの瞳が
とことん夏らしさを強調していて、雰囲気全振りのエロ環境映像としてかなり有能。
そんなほぼほぼカラッポシナリオを巧みな情景描写と心理描写で
カッチリと埋めきってしまう筆力。
夏の浜辺は比喩表現の宝庫なので、そこはもう、この作者の得意フィールド。
陽の亡くした恋人への想いの深さ、
訪れない恋人を待つ美奈の想いの深さ、
それぞれの感傷が濃厚に絡み合いながら向かうラストの切なさ!!
アニメでは中途半端な立ち位置だった海の家の看板娘である真由美も
一目惚れをした陽の魅力を客観的に高める存在。
アニメのキャラデザのおかげで下手をすれば美奈より可愛く見えてしまうところを
サブキャラ然とした男勝りな性格に変えているのも上手い。
それでいて陽を求めて自慰にふける愛嬌もいいw
そして舞台である海岸の番人としてのポジションを明確にすることで、
陽と美奈の二人だけの世界から、こまめに現実へ引き戻す役目を果たしている。
そして肝心のエロ描写も素晴らしい。
『黒猫館』『エスカレーション』で見せた非日常の淫靡なエロスではなく
行きずりの男女の間のカラッとした、それでいて肉感的なエロさ!!
美奈の明るい性格と可憐な容姿の描写のおかげでさらにそれが際立って
感触まで伝わってきそうな写実感。
全てが綿密に計算されたシナリオ作成術。うむ。さすが。
明るく透明な南国の夏の空気が湿っぽさを霧散させる、
果てしなくすがすがしい青春小説。
本棚に置いて3年に一度くらいは読み返し、若かりし頃に思いを馳せたい。