感想:日日是好日

2018-11-04 09:58:51 | 映画


公式サイト

観てきました!!



真面目だが不器用な典子と華々しく如才のない従姉妹の美智子は
ともに就職活動を控えた大学生。
ささいなきっかけで知り合いの武田が教えるお茶の教室に通い始め
対照的な二人が、その人生でもまったく異なる生き方を
お茶の道とともに歩んでいく。



「モリのいる場所」「万引き家族」と2作続けて樹木希林の出演作を観たので
訃報にはかなり驚いた。ずっとガンを押して女優やってたんだな…。
映画館も「樹木希林さん出演作品」なんてこれ見よがしに書きおってからに。


で。
そんな樹木希林なんだが、茶道の所作がすごい。
さすが大御所は作法もしっかり身につけているんだなぁ!!

なんて思ったが。

この映画に出演するまで茶道の経験がなかったらしいがマジかw
人生は常に勉強であることを体現している凄さ。
死ぬほど勉強が嫌いな自分には真似できねえ。

お茶の先生としての演技もナイス。
ていうか演技というよりも素の樹木希林がお茶の先生をやってるように見えるw
イメージした演技をイメージどおりに再現してくれるから
役者として起用しやすかったんだろうな。ご冥福をお祈りします。


「それって形式主義じゃないんですか?」と理屈っぽい典子と
屈託なく「お茶って変!」と言ってのける美智子。
どんなことでもそうであるように、誰もが陥りがちな外面での印象から
続けていくことでその奥深さを知っていく描写が
とてもシンプルに伝わってきて面白い。

時間の経過もひとつひとつ積み重ねていくように
年や月ではなく二十四節気で表すのも趣があって気持ちいい。

もちろんその間、典子の生活で様々なことが起こるが
客観的な視点で見ている観客に対しても仕事や恋愛の場面はほとんど提示されず
映画のほとんどがお茶に関わる場面。
にもかかわらず、直接的にそれらの映像がなくても
二人の人生がくっきり浮き彫りになるのは脚本と演出の力。
人の生き様を面白く見せることこそが映画の妙。
自叙伝をこういう形にしてもらえたなら原作者も本望だろう。



お茶の場面がほとんどであることからもわかるとおり、
たぶん予算はほとんどかかってない映画。
全体の演出やフィルムの使い方も
なんだかNHKのドラマ特番のようだったw

しかし特筆すべきは音。
お茶を点てる音、季節ごとの虫や水の音。
音が重要になる場面では、演出として事前に無音に馴らすことで集中力を高めてくれる。
TVではそこまで集中して観ないから劇場に足を運ぶ価値は十二分にあった。
観客全員が一体になって意識を共有できてたのが非常に痛快。


数十年お茶を続ける典子の人生を追いかけることで
お茶の教えの本質が見えてくる。
人によって生き様は数あれど、お茶が人生の支えになる素晴らしさ。
せっかく人として生まれたのだから、
なんでもいいからひとつでも集中して考えられるものを探すべきなのだという教訓。
地味だがとても良い映画だった。

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