阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や平和構築活動、趣味や日常生活についてメッセージを発信します。

苦しい時だからこそ果たすべき責任

2011年04月18日 23時59分33秒 | 政治

 先日、バングラデシュ人の友人、ホーシェンさんが議員会館に訪ねてきました。

 ホーシェンさんは3月11日、大震災が発生した直後から、自らが経営する日光のホテル「アジアンガーデン」を東日本大震災の被災者の方々に無償で提供することを決意。寝たきりの高齢者などを中心に、福島第1原発事故で避難を余儀なくされた福島県南相馬市の住民の方々を受け入れています。

 実は当初、ガソリンと車両の不足のため、部屋を提供する強い意思がありながら被災者を受け入れることができませんでした。ホーシェンさんの依頼を受け、私も交通手段を提供していただくよう福島県や日光市に電話して働きかけを行いました。行政機能も大変な状況で、なかなか上手くいかなかったのですが、外務省のバングラデシュ担当官も巻き込んで交渉してもらったところ事態が急展開。交通手段も確保できました。介護が必要な方が多いこともあり、ホーシェンさんは市内の医療機関とも連携し、医療や介護が必要な方へも万全の体制で臨んでいます。


 http://asiangardenjapan.com/(アジアンガーデンのHP)


 外務省が「霞クラブ(外務省の記者クラブ)」に情報提供を行ったこともあり、メディアも関心を持ち、これまで4度にわたって報道番組でも特集して頂きました。 

 先の見えない状況で長期にわたって無償で支援するのは大変なことです。しかし、「日本に来て25年間、苦しい時にも日本の皆さんには本当にお世話になったので、今度はその恩返しがしたいんです」と話すホーシェンさんの思いがより多くの方々に伝わっていく様子には感動します。

 ホーシェンさんは今、バングラデシュに一時帰国し、ダッカ大学で講演するなどして日本とのビジネスや交流を途絶えさせないよう後押しをしてくれています。

 さて、復興支援のための第一次補正予算の財源確保のため、政府は途上国への政府開発援助(ODA)の2割に相当する約1000億円の削減を検討しています。私はこの考えには反対です。ODAに存在する無駄を引き続き徹底的に省くことは当然ですが、外国政府にすでに約束している案件の予算もあり、「はじめに2割削減ありき」という考え方はODAには馴染まないと思います。国連によれば東日本大震災発生後に世界中から日本に届いた義援金と物資の合計額は支払い表明済み分を加えると864億円に達しているそうです。支援は感謝の気持ちとともに有効活用させて頂き、苦しい時だけど、苦しい時だからこそ、国際約束をしっかり果たすことが世界の友情に応え、日本への信頼を確かなものにする上でも重要だと思います。


 写真:議員会館を訪ねて来たホーシェンさんと。バングラデシュの刺繍ノクシカタ(右下)も写るように立ったのですが、私自身が隠してしまいました。