阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

社会保障と税の一体改革について、私の思い

2012年06月21日 14時17分35秒 | 政治

昨日、野田首相が出席した両院議員懇談会が行われました。

15日の深夜に民主党、自民党、公明党の3党が合意した社会保障と税の一体改革について理解を求める執行部に対して、18日、19日の会合に続き、特に反対派の方々から激しい反対意見が寄せられました。

消費税増税は国民に痛みを強いる政策です。特に多くの過疎地を抱える和歌山県選出の国会議員としては、地方経済の厳しい現状に日々ふれている立場でもあり、賛成するには自らの身を切る議員定数削減を始め、いつくつかの前提条件を満たす必要があると思い、未だギリギリのところで未だ熟考中です。しかし、苦渋の判断ですが、賛成することを念頭に採決に臨む方向で考えています。

世界史上例がないレベルでの少子高齢化が進む一方、社会保障費が飛躍的に増大し、国と地方の借金が1000兆円を超えて国債の利払いだけでも10兆円に達する。そんな状況で、社会保障費の安定財源確保のために増税が必要なのは残念ながら現実です。また、世界のマーケットは日本の増税を織り込み済みであり、この期に及んで「決断できない政治」が世界の金融市場に悪影響を与える可能性も懸念されます。しかし、デフレ脱却、景気の回復が十分ではない今でなければいけないのか、その手続きは十分に民主的なものだったのか、そんな葛藤は当然あります。一方、これまで自民党政権が逃げ続けてきた「消費税増税」に政治生命を賭け、このねじれ国会の中で法案成立が見えるところまでこぎつけた努力。正直、自民党案の丸飲みでは賛成できないと思っていましたが、予想していたよりも遥かに民主党の理念を守る形で合意に漕ぎつけた内容を見る限り、ギリギリであっても合格点で、受け入れるべきとの考えに至りました。

自民党の茂木政調会長は「サッカーで言えば6-1の勝利」と言っているようですが、それは大幅に譲歩したことに対する党内向けの弁明であり、本心は違うはず。また、石原幹事長は「最低保障年金もなくなった」「国民会議で考えていきましょうと民主党の側から頼んできた」と会見で発言しているようですが、これは事実とは異なるとのことで今日の民主党の代議士会では輿石幹事長と前原政調会長から文書にて抗議を申し入れました。自民党執行部は「解散の確約もなく譲り過ぎだ」との突き上げをかなり食らっているのでしょう。

私は「引き分けだけどアウェーでの失点の少なさにより予選突破」ぐらいかなと思っています。大手を振って大勝利とは言えないけれど、しっかり結果につなげたのではと思います。一方で、私たちの次回の選挙はさらに厳しくなると思います。「消費税を上げても喜ぶのは次の政権やいしょ。増税らしちゃあったら次は野党じょ」支援者のこんな声は痛いほど響きましたが、私は次の選挙よりも未来への責任を果たす方が重要と思っています。一方で、党が割れるような事態は絶対に避けねばならず、この点は執行部には毅然とした、しかし、十分な配慮を伴う対応を求めます。

社会保障制度は、政権が変わるたびに変更されるものであってはならず、今回、三党が合意できたことには意義があると思います。昨年末に、民主党内でまとめた一体改革「素案」では、「本素案をもって野党各党に社会保障・税一体改革のための協議を提案し、与野党協議を踏まえ、法案化を行う。」とされており、長妻昭元厚生労働大臣をはじめとする党内における税と社会保障の最高レベルの交渉担当者が何とか理念を守ってまとめた合意の内容を私は尊重すべきだと思います。期限の中で了承しなければ、3党合意自体は破棄され、内閣不信任案や問責決議案が出る事態になったでしょう。昨夏の一体改革成案の党内論議、昨年末の一体改革大綱の審議、昨年度末の関連法案の審査と、党内では百時間をはるかに超える長さの議論を行い、反対派、慎重派の意見も加えて度重なる修正を加えてきています。党内的手続きとしては、私は十分に丁寧だったと感じています。さらに、114時間の国会審議、3党協議を経て合意されたのです。政府与党案には修正が加わっていますが、しっかり実は取った。交渉担当者の努力には敬意を表します。

しかし、合意を優先するあまり、民主党の理念に関わる政策である最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止など、取り下げてはないけれど「国民会議」で議論することとして、結論は先送りされました。ねじれ国会の下で法案を通そうと思えば妥協も必要であり、100%の成果は望むべくもありませんが、この法案の必要性、何を譲り何を守ったのか、しっかりとした説明を続けなければ、とても理解されないものと心を引き締めているところです。


写真上:昨日は両院議員懇談会の直前までアフガニスタン支援についての会合の司会をしていました。詳しくはまた報告します。


写真上:両院議員総会で答弁をする野田総理。


写真上:議員定数削減を求める議員立法を提出


写真上:自民党への抗議文