阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

アフガニスタン&ミャンマーの勉強会の目的と民主化支援の意義

2012年06月24日 20時33分06秒 | 政治

 6月20日、アフガニスタンに関する勉強会を実施しました。7月上旬に行われるアフガニスタン支援のための東京会議に向けて、アフガニスタン支援に長く関わってきた日本のNGOからの問題提起を中心に、勉強会を数回にわたって実施してきましたが、今回はその集大成とも言えるものでした。

 アフガニスタンに長年関わってきた日本のNGOは、現場での経験、現地の方々の要望に基づき、NGOが現場で培ってきた問題意識を日本政府の方針、そして東京会議における決定事項に反映させることを強く求め、その思いを連続勉強会を通して国会議員と共有してきました。アフガニスタンの医療や教育、経済についてのマクロの統計は、テロとの闘いが始まる前と比べ、大幅な改善が示されています。しかし、それらはアフガニスタンの方々の本当の安心、そして幸せにつながっているのか? 一番支援を必要と人々に届いているのか? また持続可能なものなのか? 現場に関わっている方々は、多くの点に疑問を呈してきました。

 私たち国会議員は、国会に縛られ、本当の現場で長期的に活動することは困難です。一方、日本の市民社会の力はまだ弱く、私の経験でも政府方針に大きな影響力を発揮するまでには至っていません。従って私たちの強みを活かし、弱い部分を補完し合うためにも、私は政治と市民社会の連携強化が必要と考えています。私の事務所で連続で実施しているアフガニスタンの勉強会、また、ミャンマー(ビルマ)の民主化を考える勉強会では、政治を通して現場の声を政府に伝える、それをさらに現場にフィードバックすることを目指しています。
 
 アフガニスタン東京会議の議論の中心は、平和、安全、そしてグッドガバナンス(正しい統治)です。この勉強会でもアフガニスタン社会における汚職の蔓延、縁故主義、人権侵害、民主主義な制度の不備、説明責任を果たす政府機能の欠如などが常に指摘されてきました。

 この勉強会で報告された「アフガニスタン東京会議に向けた市民社会からの提言書」によると、東京会議では、今後10年の国際社会の支援に焦点があてられていますが、人権や民主主義の問題を見過ごしてはならないと強調されています。民主主義、正義、公正が欠如した経済的発展はアフガニスタンの持続的な安定、自立にはつながらないからです。

 特にグッドガバナンスは持続的平和と安全の前提条件と位置づけられています。開発プログラムの実施は、ガバナンスの大幅な改革とパッケージで開始するべきであり、特に汚職との闘いは国家の最優先事項とされています。東京会議において、国際社会は、アフガニスタン政府の汚職撲滅のために必須となる改革と構想の推進を条件にした援助を実施しべき。援助資金は、アフガニスタン政府が導入し実現する改革の数や規模に応じて支払うべきであると提言しています。また、国際社会は、市民社会、自由なメディアをサポートしながら、人権(特に女性の人権)を尊重した民主的制度やプロセスの強化(例えば、選挙委員会の改革、自由で透明な全国的選挙の実施)など、民主主義の履行を条件としてアフガニスタンへの関与と支援を行う必要があるとされています。

 これまで日本政府は「民主化支援」に踏み込むことは内政干渉につながるとして控える態度を取ってきました。実際に民主化支援のために使えるスキームはほとんどありません。しかし、私はグッドガバナンス支援を通して民主化を支えることは、その国の持続的な発展に寄与するとともに、公正な競争が機能するビジネス展開の可能性が広がるなど、日本の国益にもつながると思います。

 アフガニスタンにおいて、またミャンマーにおいて、民主化支援につなげる意識を持って、現場の声を政府に伝え続けていきます。



写真上:アフガニスタン勉強会で進行役を務める私



写真上:山根副大臣も出席し、質疑応答にも対応


写真上:アウンサンスーチーさんの誕生日を祝う会合にてカチン族の女性と。


写真上:ノーベル平和賞受賞者・ジュディ・ウイリアムズ氏と。(6月19日)地雷廃絶に向けて市民社会の力を結集させ、対人地雷禁止条約の締結を実現しました。