私はこのブログで『真央イスト』であることを公言し、浅田真央選手のことは何度も書いています。責任上、ソチ・オリンピックを観た上での総括が必要だと思います!?
多くの方がそうであったように、私も浅田真央選手のフリーの演技には心底感動して涙が止まりませんでした。前日のショートプログラムでは全てのジャンプに失敗して何と16位。金メダルを取るために技術的に誰よりも難しいプログラムを磨き上げ、挑戦したのに、最初のトリプルアクセルに失敗したショックから立ち直れないような演技には、ライブで応援していた私も茫然自失でした。天国のお母さんに金メダルを見せるため努力を続けてきた本人はどれほどの喪失感に苛まれているだろうと思うと翌日のフリーを見る気力もなくなりそうでした。先日報告した外務委員会の質問準備もありましたが、別れの演技は何としてもライブで心に刻まなきゃ!と祈るような気持ちでひとり応援しました。
実は、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番は私にとっても非常に思い出深い曲です。自分の人生の分岐点に立った時、究極の集中力が求められた時などは、この曲を聴くのがここ30年あまりの私の習慣でもあります。ラフマニノフ自身、人生の深い苦悩から立ち上がる過程をこの曲を通して表現したと言われていますが、浅田選手の演技は、まさにそんな曲のモチーフを体現するものでした。
多くの方が、天才少女としての浅田真央選手の鮮烈なデビューに驚き、一方で、体の成長から代名詞であるトリプルアクセルが跳べなくなり、表現力を磨きながらもこの技にこだわるがゆえに多くの挫折を経験してきたことを長年見つめ、応援してきたことと思います。オリンピックという場で、あえてこの技に挑戦する姿に自分の人生や価値観を投影しながら応援していた人も多いのではないでしょうか。
生存確率が限りなくゼロに近いと宣告されたにもかかわらず完治したガン患者に携わった医療者からお話を聞いたことがあります。意志の力で脳に限界を超えるよう命令することで、自己治癒力が生み出され、快方に向かうことがあるらしいです。
彼女の最高の演技は、世界最高レベルのスケーターとしての本来の実力に加え、私たちの祈るような思いがひとつになって一段上の意志の力を引き出した結果だったとも思います。ジャンプを成功させるたびに躍動し、表情が輝いて、完璧に滑り切った姿。堪え切れずに流した涙と笑顔にはやり切った満足感があふれていました。彼女の演技を通して、大切な人と一緒に大きな試練を乗り越えた時のような幸福感、安堵感を共有できた感激が、多くの涙を誘った理由なのでしょうね。この感情、日本人だけでなく、プルシェンコ選手や長年のライバルだったキム・ヨナ選手、さらに中国などの外国のファンの間にも広がっていることを知り、何とも嬉しい気持ちになりました。
最終の第4グループの遥かに前の第2グループだったので得点が上がらないポジションだったのに、自己ベストを6点も更新する演技。私はメダリストのキム・ヨナ選手やソトニコワ選手を遥かに上回るものだったと思います。
金メダルを狙う一番確率の高い方法は、自分のできること、できないことを見極めて自分の強みを最大化すること。でも、彼女はリスクを承知で自分の理想にこだわりました。金メダルは取れなかったけど、オリンピックにおけるメダルの価値観を変えるほどの演技にありがとうと言いたいです。私自身が目指すべき生き方も徹底して理想を追うことだと大きな勇気をもらいました。
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真央VSヨナ 悔しい敗戦こそ最高の贈り物
http://blog.goo.ne.jp/xd…/e/9ae8ae4213736cb5011ec99f8082b908
逆境で発揮した力-浅田真央選手&安藤美姫選手
http://blog.goo.ne.jp/xd…/e/bdb86863b6c2c7e69a0a45171f606d70
「花はどこへ行った」カタリナ・ビットの平和への祈り
http://blog.goo.ne.jp/xday0321/e/dcedddc41f1a3e069566455ba9e3c1f8
浅田真央選手16歳の世界選手権での「チャルダッシュ」 http://www.youtube.com/watch?v=5wkvykGZD1s
その直後に、阪口さんからの熱いメールが届きましたが(笑)。
まさに金メダル以上の輝きを見た瞬間でしたね。
『真央イスト』としての阪口さんのラストダンスも、最高に良い形で締めくくることができたのではないでしょうか。
そして今、やはり金メダルに届かなかったひとりの五輪アスリートを思い出してしまいます。
それはバルセロナで銀、アトランタで銅メダルに輝いた有森裕子さんです。
阪口さんもアンコールワット・チャリティ・マラソンで学生たちと参加した時、共に走った五輪アスリートですね。有森さんもまた、浅田真央選手と同じく残念ながら金メダルには届きませんでした。
しかしそんな有森さんが代表をつとめるNPO法人の名は『ハート・オブ・ゴールド』。
まさに『心の金メダル』というところでしょう。
その有森さんの講演会に阪口さんと一緒に行った想い出がありますが、講演の中で有森さんが語っていた言葉を今でも覚えています。
それは「ボランティアとは、出来る人が出来ることを出来るだけ長く続けること」といったものだったかと思います。
そしてそれこそが阪口さんのボランティア活動の、そしてそれに続くNGO活動やさらには政治家としての活動の原点でもあるのかな、思ったりもしています。
浅田真央選手がこれからどんな道を歩んでいくのかはわかりませんが、有森さんのように何かステキな活動をしてくれるのでは、と密かに期待もしています。
そして今回のソチオリンピックでは、浅田真央選手以外にもたくさんのアスリートから勇気をもらうことができました。モーグル上村愛子選手もそんなひとりですし、レジェンド葛西選手もまたしかりです。
スポーツはいつ観ても感動的です。
さあ、次はパラリンピックに注目しましょう!