博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『中国、一九〇〇年』

2008年02月25日 | 中国学書籍
三石善吉『中国、一九〇〇年 義和団運動の光芒』(中公新書、1996年4月)

宣和堂さんのブログでの紹介を見て、清末のカンフーというか武林に関する記述が多いということで興味をひかれて読んでみました。

義和団運動を日本での認識のようにカルト的な集団による暴動と片付けてしまうのではなく、かと言って中国での認識のように中国革命につながる起義として理想化するわけでもなく、等身大の彼らの姿を探っていこうというのが本題。著者の言う文化帝国論、中国版千年王国論には首をかしげるような点も無いではないですが、農民たちと宣教師、そして彼らの庇護のもとにある教民との軋轢・確執が運動の背景にあったこと、彼らが決起するだけのやむにやまれぬ事由があったことなどはよく理解できました。

しかし大刀会や梅花拳、神拳といった団体が結成され、それが義和団として合流していくさまはマンマ武侠小説のノリですね(^^;) 香港映画なんかでは悪役になることが多い義和団ですが(『ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ』でも黄飛鴻に倒される側になってましたね)、武侠物に出て来る門派・幇会などのルーツはこんなところにあったのでしょうか。
コメント (2)
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