博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

亀卜の臭い

2008年02月28日 | 学術
今年に入ってからとある事情で『対馬国卜部亀卜之次第』『対馬亀卜伝』など、江戸時代に書かれた亀卜関係の書をつらつらと読んでます。その中で読んでいて思わず笑ってしまった記述があったので、以下にその部分を引いておきます。

…… 某昔大掌【ママ】會ノ時ノ亀卜ノコトヲ聞シニ坐(ナマ)シキ亀ヲ焼レシホドニ臭気甚シテ堪ズト云ヒキ……

……常憲院様御代ニ京都大嘗會ノ時分必亀ヲ灼申例有之ニツキ亀ヲ灼申候公家方ニモ其方一人存知タル人無之生亀ヲ灼申故殊ノ外臭ク難義致シ候由ニ御座候……


下の条は常憲院(五代将軍徳川綱吉)の時代、東山天皇が即位する時にそれまで長らく途絶えていた大嘗祭が復興されることになったのですが、儀式の準備や進行のさせ方 がいまいちよく分からなかったらしく、取り敢えず亀卜をやることになっているからと、おそらく表面のぬめりを取るというような下準備を充分にしないまま亀の甲羅を火にくべてみたところ、強烈な異臭がして難儀したという話です(^^;) 上の条もこの時の亀卜について述べたものと思われます。

この異臭については、以前に紹介した『亀卜』に掲載されている灼甲実験レポートでも、「電動ノコギリで切断する際、その摩擦熱の影響で亀甲が焼けたようで、周囲には強烈な異臭が漂った」(同書232頁)というコメントがありますね。ついでに言うと、このレポートでは亀甲を火にかけた途端にスルメを焼くように縮んだとのことですが……
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