博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『はじめての漢籍』

2011年11月18日 | 中国学書籍
東京大学東洋文化研究所図書室編『はじめての漢籍』(汲古書院、2011年5月)

東大所属の研究者や漢籍に関わるスタッフの講演をまとめたものですが、やはり現場のスタッフの苦労話が読んでて一番面白いなと。『上海博物館蔵戦国楚竹書』や発掘報告の類を四部分類でどう分類したかとか(結論だけを言ってしまうと、それ専用の新しい項目を作ったとのことw)、OPACへのデータ入力にどのように対応したかという話とか。

あと当然のことかもしれませんが、東大所蔵の漢籍って、関東大震災でほとんど失われてしまって、今所蔵してる分はその後になって再び収拾したり、国内外から寄贈してもらったやつなんですね。現在の東大総合図書館の建物自体、震災直後にアメリカのロックフェラー財団の寄付によって建てられたものであるとのとこと。

しかしまあ本書の中で言われているように、書庫の中から目的の漢籍を捜し出すという行為自体がいい勉強というのは、ホントにその通りですよね。


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5 コメント

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科学思想の大転換 (マルテンサイト)
2024-02-27 10:29:08
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズムにんげんの考えることを模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。このメガトレンドどこか多神教的で日本的ななつかしさがある。
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Unknown (さとうしん)
2011-11-29 22:02:58
>川魚さま
確かに大学図書館では漢籍は開架になってない所が多いかも。まあ、調べ物とか何とか理由をつけて閲覧する機会を作ればいいと思いますよ。
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Unknown (かはさかな)
2011-11-28 23:12:02
果てしなさそうですねえ(笑
原本に触れんと、学問をした甲斐が無い、なんてほんまなんでしょうか。

>書誌学に関しては図書館などで実物に触れるのが一番

なるほど、台大の図書館には、「善本室」があり、
勝手に入ってはいかんような雰囲気でした。

いまの政大にはあるんかなあ?
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Unknown (さとうしん)
2011-11-28 20:52:04
>川魚さま
『書誌学のすすめ』も以前に読みましたよ。この分野もこだわり出すと果てしないなという印象を受けましたが(^^;) 書誌学に関しては図書館などで実物に触れるのが一番だと思いますよ。
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Unknown (川魚)
2011-11-27 22:12:12
漢籍とちょっと違うかも知れませんが、
高橋智『書誌学のすすめ:中国の愛書文化に学ぶ』という日書を読んで居ります。

まだ始めのとこだけですが、
「よい香りがしてきて、食いついてしまいそう、でもほんまか」
みたいな感じです。

故宮のいまの特展は、「精彩:國寶百選」という、
なんか節操のないものですが、
これにも、通常の常設にも、
最近は書画部、器物部、以外に図書文献部が活躍してるような印象を受けます。

わたしも、ちょっと図書文献を勉強しとうなってきました。
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