博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『チャイニーズカルチャーレビュー vol.4』

2007年08月03日 | 中国学書籍
朱大可・張閎主編、高屋亜希・千田大介監訳『チャイニーズカルチャーレビュー -中国文化総覧 vol.4』(好文出版、2007年7月)

『チャイニーズカルチャーレビュー』待望の2005年版邦訳です。2005年は反日運動が目立った年で、当然本書でもそれに言及しています。

しかし2004年版と違って武侠作品への言及は少なめですねえ。取り上げられている作品といえば、『カンフー・ハッスル』と『PROMISE』ぐらいですが、『カンフー・ハッスル』は周星馳の才気の衰えが見て取れる作品と評価され、『PROMISE』の評価は……言うまでもありませんね(^^;) 後は当時中国で放映されていた『チャングム』に関する項目が目に付きました。

その他の分野ではネット上で芙蓉姐姐、紅衣教主といったキモドルがもてはやされ、特に紅衣教主については女性歌手のコンテスト番組『超級女声歌唱比賽』で組織票によって上位に押し上げようとする動きがあったとのこと。本書では2005年を中国の「娯楽元年」と位置づけていますが、「祭り元年」と呼んだ方がしっくりくるような気がします。反日運動もこうした「祭り」のひとつだったのかもしれません。
 
その他、「現代の大儒」こと蒋慶が現代中国の道徳荒廃が儒教の軽視によるものだとして、『孝経』などの儒教経典の朗読を児童教育の必修科目に取り入れるよう運動しているという記述が気になりました。奇しくも、日本でも儒教研究に携わる加地伸行氏が『孝経』の翻訳・解説書の中で道徳教育の必要性を熱く語っておられるわけですが(^^;)

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