半藤一利『昭和史 1926-1945』(平凡社ライブラリー、2009年)
文字通り昭和史のうち太平洋戦争の終結までの流れを押さえた本ですが、当時の政治家とか軍人のアレッぷりにいしいひさいちの『鏡の国の戦争』を活字で読まされている気分になりました。でもあっちは漫画ですが、この本に書かれているのは現実なんですよね(´・ω・`) で、本書の中で色々と面白いエピソードが取り上げられていたので、以下にそれを紹介しておきます。
1 ゴーストップ事件
昭和8年、大阪で陸軍の一等兵が信号無視をして道路を突っ切ったところ、大阪府警の巡査が捕まえようとして殴り合いとなる。陸軍側は「たかが信号無視ぐらいでガタガタ言うな!誰に向かって口聴いとるんか分かっとんのか、オラ!」とゴリ押しで大阪府警に謝罪させようとしたものの、府警側は屈服せずに「陸軍か何か知らんけど信号ぐらい守れや、ボケ!」とブチ切れ、陸軍・府警双方の幹部や大阪府知事まで巻き込んだ大騒動に発展。事の次第は天皇の耳にまで入り、結局大阪府警や大阪府にはお咎めなしの一方、陸軍側の幹部が待命処分を下され、陸軍側が悪かったという形で事件は終幕。……大阪人、半端ないな。
2 二・二六事件
戦後になって二・二六事件に関わった四名の青年将校の生き残りにインタビューした著者。岡田啓介首相・鈴木貫太郎侍従長ら天皇の側近を殺害しようとした青年将校たちですが、著者は「彼らを何も殺そうとする必要はなかったんじゃないですか?銃剣で脅してどこかに監禁するだけでも充分だったのでは?」と質問したところ、四人そろって「そうなんだよなあ」と返答。……エエエエェェェェ(´Д`)ェェェェエエエエ 今更それはない……
3 中国の農村で
日中戦争の時に河北省無極の郊外東陽村では村人が自警団を組織して日本軍を追っ払おうとしていたが、この時に攻め込んだ日本軍中隊の隊長が人格者で、村人たちと仲良くなってともに共産党の軍を追っ払ったりした。……( ;∀;)イイハナシダナー そしてこの中隊が別の中隊と交替することになったが、新しくやって来た中隊がタチが良くなかったので、今度は村人たちは共産党軍と手を組んで日本軍を追っ払った。……( ;∀;)イイハナシダナー
4 日独伊三国同盟
ドイツから日独伊三国同盟の締結を打診された時、日本側はこの同盟を結ぶべきか否かで大もめに揉め、首相・外務大臣・大蔵大臣・陸軍大臣・海軍大臣による五相会議が七十回以上開かれて話し合いがなされた。そして日本が半年もの間グダグダやっている間に、ドイツは日本が敵国となると見なしていたソ連ととっとと独ソ不可侵条約を結んでしまい、日本側を唖然とさせる。ドイツ側の言い分。「こっちが早く三国同盟を結びたいと言ってるのに、半年もgdgdやってるそっちがワリいんだよっ!」
5 ノモンハン事件
ノモンハン事件は、実は前線での戦闘だけを取りだしてみれば日本側の大敗というわけでもなく、かなり善戦していた。ただしこれは指揮官の指導が拙劣なのにも関わらず、一線の兵隊が頑張った結果によるものである。指揮官がヘボだけど前線の戦闘員は優秀……今もあんまり変わってませんね。そして当時の軍部のお偉方の意識は「起きると困るようなことは起きないことにする」……やっぱり今と変わってない。
文字通り昭和史のうち太平洋戦争の終結までの流れを押さえた本ですが、当時の政治家とか軍人のアレッぷりにいしいひさいちの『鏡の国の戦争』を活字で読まされている気分になりました。でもあっちは漫画ですが、この本に書かれているのは現実なんですよね(´・ω・`) で、本書の中で色々と面白いエピソードが取り上げられていたので、以下にそれを紹介しておきます。
1 ゴーストップ事件
昭和8年、大阪で陸軍の一等兵が信号無視をして道路を突っ切ったところ、大阪府警の巡査が捕まえようとして殴り合いとなる。陸軍側は「たかが信号無視ぐらいでガタガタ言うな!誰に向かって口聴いとるんか分かっとんのか、オラ!」とゴリ押しで大阪府警に謝罪させようとしたものの、府警側は屈服せずに「陸軍か何か知らんけど信号ぐらい守れや、ボケ!」とブチ切れ、陸軍・府警双方の幹部や大阪府知事まで巻き込んだ大騒動に発展。事の次第は天皇の耳にまで入り、結局大阪府警や大阪府にはお咎めなしの一方、陸軍側の幹部が待命処分を下され、陸軍側が悪かったという形で事件は終幕。……大阪人、半端ないな。
2 二・二六事件
戦後になって二・二六事件に関わった四名の青年将校の生き残りにインタビューした著者。岡田啓介首相・鈴木貫太郎侍従長ら天皇の側近を殺害しようとした青年将校たちですが、著者は「彼らを何も殺そうとする必要はなかったんじゃないですか?銃剣で脅してどこかに監禁するだけでも充分だったのでは?」と質問したところ、四人そろって「そうなんだよなあ」と返答。……エエエエェェェェ(´Д`)ェェェェエエエエ 今更それはない……
3 中国の農村で
日中戦争の時に河北省無極の郊外東陽村では村人が自警団を組織して日本軍を追っ払おうとしていたが、この時に攻め込んだ日本軍中隊の隊長が人格者で、村人たちと仲良くなってともに共産党の軍を追っ払ったりした。……( ;∀;)イイハナシダナー そしてこの中隊が別の中隊と交替することになったが、新しくやって来た中隊がタチが良くなかったので、今度は村人たちは共産党軍と手を組んで日本軍を追っ払った。……( ;∀;)イイハナシダナー
4 日独伊三国同盟
ドイツから日独伊三国同盟の締結を打診された時、日本側はこの同盟を結ぶべきか否かで大もめに揉め、首相・外務大臣・大蔵大臣・陸軍大臣・海軍大臣による五相会議が七十回以上開かれて話し合いがなされた。そして日本が半年もの間グダグダやっている間に、ドイツは日本が敵国となると見なしていたソ連ととっとと独ソ不可侵条約を結んでしまい、日本側を唖然とさせる。ドイツ側の言い分。「こっちが早く三国同盟を結びたいと言ってるのに、半年もgdgdやってるそっちがワリいんだよっ!」
5 ノモンハン事件
ノモンハン事件は、実は前線での戦闘だけを取りだしてみれば日本側の大敗というわけでもなく、かなり善戦していた。ただしこれは指揮官の指導が拙劣なのにも関わらず、一線の兵隊が頑張った結果によるものである。指揮官がヘボだけど前線の戦闘員は優秀……今もあんまり変わってませんね。そして当時の軍部のお偉方の意識は「起きると困るようなことは起きないことにする」……やっぱり今と変わってない。
著者の半藤さん、というのは司馬遼太郎の友人で、
自分でも『ノモンハンの夏』という小説書いてませんでしたか。
司馬も、ノモンハンは大分調べたそうですが、
「軍部が阿呆すぎて小説にできなかった」そうですね(笑
ノモンハンの漫画化なら、『虹トロ』で、蒙古少年隊なんかの描写がありましたね。
ちなみにウチの中国語老師曰く「日本はダメ首相が短期で交代してもやっていける国。中国は国家主席がダメだと国がダメになる」。日本のシモジモ万歳ですわ。
さいです。『ノモンハンの夏』を書いた人ですね。
>「軍部が阿呆すぎて小説にできなかった」
本書によると、実はもうちょっと違った事情があったようです。司馬遼太郎はノモンハン事件の生き残りのある人物から取材を重ね、この人を主人公にして小説を書き進めていた。ところが司馬が雑誌の企画で瀬島龍三大本営元参謀と仲良く対談していたことから、この人が司馬に不信感を募らせ、「あんたには失望した。今まであんたに話したことはみんな聞かなかったことにしてくれ」と絶交を申し渡し、それで小説が書けなくなったということです。……どこまで信用していいのかどうかわかりませんが。
>飯香幻さま
>「日本はダメ首相が短期で交代してもやっていける国。中国は国家主席がダメだと国がダメになる」
内田樹の『街場の中国論無でも似たようなことを書いてましたね。やっぱり中国政府と対比させるとそういう風に感じられるのか(^^;)
日本海軍と政府と外務省「陸軍の提唱する日独伊三国同盟だけは絶対にあかん。」
日英同盟締結に奔走するも、英国は独と接近する日本陸軍の情報をキャッチしており接近する日本側に門前払いの刑。
↓
ストレスで海軍大臣吉田善吾が胃を壊して及川古志郎(啄木の同級生)がその後任につくと、海軍の総意が変更される。
「やっぱり、陸軍に歯向かうとあとがこわいんや。海軍は兵士の絶対数で陸軍に負けとるし。」
政府と外務省「いやああああああああ……裏切らないでー。」
↓
もう何もかもどうでもよくなった松岡洋右外相「こんなことしとうないけど、しかたないんや!」
日独伊三国同盟に調印。しかし、独ソは既に不可侵条約を結んでいたというオチが待っていた。
俺の感想「ぐだぐだな会議でナチス独の戦略変更させて、とことんまでナチス独の足を引っ張った日本最高や! こんな有様になるんやったら、さっさと日独伊三国同盟に調印しとけばよかったんや!!」
ホントにいしいひさいちの漫画のネタになりそうなエピソードで泣いた(;´д⊂)